保険だより – 新型コロナウイルスに係る診療報酬の臨時的な取り扱いについて(その3)

 今般,新型コロナウイルス感染症に係る保険医療機関の診療報酬上の評価を適切に行う観点から,基本診療料に係る施設基準および外来診療料について,臨時的な対応として,厚労省より下記の取り扱いが示されましたので,お知らせします。

 また,3月15 日号保険だよりで掲載していた電話再診の取り扱いに関するQ&Aが追加で示されていますので,併せてお知らせします。

1.基本診療料に係る施設基準の取扱いについて

 「基本診療料の施設基準及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(平成30 年3月5日保医発第0305 第2号)の第2の7において,各月の末日までに基本診療料の施設基準の要件審査を終え,届出を受理した場合の取扱いに係り,月の最初の開庁日に要件審査を終えた場合を除き,翌月の1日から当該届出に係る診療報酬を算定するとされているところである。今般,新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れるために緊急に開設する必要がある保険医療機関について,新たに基本診療料の届出を行う場合においては,この規定にかかわらず,当分の間,要件審査を終えた月の診療分についても当該基本診療料を算定できることとする。

2.外来診療料(※)の取扱いについて

(1)外来診療料の取扱いについては,電話等による再診を行った場合は算定できないとされているところであるが,「新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて」(令和元年2月28 日厚生労働省医政局医事課,医薬・生活衛生局総務課事務連絡。)(京都医報3月15 日号保険だよりにて既報)の「1」にあるように,慢性疾患等を有する患者等について,地域によってはかかりつけ医機能を有する医療機関が近くに存在しないなどの理由によって,当該患者が外来診療料を算定する医療機関に複数回以上受診している場合も考えられることから,医師が電話や情報通信機器を用いて診療し医薬品の処方を行い,ファクシミリ等で処方箋情報が送付される場合,外来診療料を算定できることとする。

(2)本取扱いに従い外来診療料を算定する場合には,診療報酬明細書の摘要欄に電話等による旨及び当該診療日を記載すること。また,診療録への記載については,電話等再診料の規定に基づいて対応されたい。

(3)本取扱いについては,新型コロナウイルス感染症患者の状況等を踏まえた臨時的な取扱いであり,状況等に変化があった場合には,速やかに必要な見直しを行うこととする。

※ 外来診療料とは,一般病床200 床以上の病院が再診を行った場合に算定する点数であり,再診料の外来管理加算ではない。

3.電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて

問1  事務連絡の「1」にあるように,慢性疾患等を有する定期受診患者等について,医師が電話や情報通信機器を用いて診療し医薬品の処方を行った場合,保険医療機関は,電話等再診料,調剤料,処方料,調剤技術基本料を算定できるか。

(答) 算定できる。

問2  事務連絡の「1」の場合であって,過去3月以内に在宅療養指導管理料を算定した慢性疾患等を有する定期受診患者等について,医師が電話や情報通信機器を用いて診療し,患者又は患者の看護に当たる者(以下,「患者等」という。)に対して,療養上必要な事項について適正な注意及び指導を行い,併せて必要かつ十分な量の衛生材料又は保険医療材料を支給した場合に,在宅療養指導管理料及び在宅療養指導管理材料加算を算定できるか。

(答) 衛生材料又は保険医療材料を支給した場合に限り,在宅療養指導管理料及び在宅療養指導管理材料加算を算定できる。この場合,在宅療養の方法,注意点,緊急時の措置に関する指導等の内容,患者等から聴取した療養の状況及び支給した衛生材料等の量等を診療録に記載すること。また,衛生材料又は保険医療材料の支給に当たっては患者等に直接支給すること。ただし,患者の看護に当たる者がいない等の理由により患者等に直接支給できない場合には,当該理由を診療録に記載するとともに,衛生材料又は保険医療材料を患者に送付することとして差し支えない。この場合において,当該患者が受領したことを確認し,その旨を診療録に記載すること。

2020年4月1日号TOP