2020年12月1日号
京都医家芸術クラブは,府医の後援を得て,今年も10月2日から3日間,京都府立文化芸術会館(京都府立医科大学前;河原町広小路)において芸術展を開催しました。COVID-19の影響による参加者の減少も心配されましたが,今回は,油絵11点,水彩画16点,水彩絵巻物1点,日本画3点,アクリル画1点,色鉛筆画2点,木版画2点,書1点,写真10点,チャイナペイント1点,陶芸2点,ステンドグラス4点,そして面1点の合計55点の出品がありました。掛け軸に表装された書(堀江順子先生:上東)の右横に展示された面:乙(西野健一先生:綴喜)は,能面の持つ格調の高い怪しげな雰囲気で,書とともに,「和の空間」を会場の西側中央に作り出しました。また,2階の会場の中央に設定されたテーブル展示コーナーの中心には4点のステンドグラスランプ(佐々木真弓さん:中路茗子さん:今井恵子さん:吉田朋子さん)が点灯して展示され,会場を艶やかに盛り上げました。また,この4つのランプの光が,テーブルコーナーを照らし,テーブルに静かに置かれた陶芸(足立晴彦先生:西京)や,チャイナペイント(久下冨久子さん),また水平に開かれた絵巻物(鎌野幸子さん)を一段と美しくしました。今回は書や陶芸がやや少なく感じましたが,次回に向けて,「和の作品」の出展依頼に努力してまいりたいと思います。また,今回は写真もやや少なめでありましたが,出展された写真作品は,いずれも,見つめるだけで物語が聞こえてきそうな,素晴らしい一瞬を切り取ったものでした(上田尚司先生:下西,岩井直躬先生:乙訓,小柴先生夫婦:亀岡,立入先生夫婦:西京)。写真のなかには進歩的なコンピューターを駆使した作品もありました。今回16点と,最も多かった水彩画には,食べたくなるようなサクランボやライチー(浅野明美先生:下東)から,写真のように緻密で綺麗なヨーロッパの風景画4点(鈴木博先生:乙訓)もあり,また,動物が飛び跳ねる力まで表現されたイラスト付きの組み写真ではなく,組み絵(竹内幹子さん)までありました。毎年参加しておりますと,絵を見るだけで,作者がわかるようになってきました。力強い油絵らしいタッチは八田一郎先生:左京。バラの花は岸本真喜子先生:中西。砂漠の絵は藤田裕美先生:中東。ヨーロッパの家並は谷村先生:西京。いつも本格的な油絵の出射喜代子さん。母子像は蘆田ひろみ先生:左京。筆が走るようなタッチの水墨画のような水彩画は山下元先生:乙訓。落ち着いたきれいな色合いの花は,家森百合子先生:中西。プロの技で驟雨に濡れる花を描かれた日本画は中橋幸子さん。華を描かれた角川宣子さん。アクリル画は村上敬子さん。色鉛筆画は蝶勢弘行先生:中西,と作者の個性が毎年よりいっそう磨かれて,楽しくなってまいりました。田代博先生:右京の木版画,花のシリーズも第15シリーズとなりました。また本年も府立医大の堀田先生のご家族には愛らしい水彩画を出展していただきました。作品を見るだけで作者がわかるというのは絵画のみでなく陶芸も同様で,多種にわたる焼物で夕食一膳分をそろえられた足立先生の作品は,精密に作られた西洋の城の作品とともに先生ならではの作品でした。最終日,閉会前の集まりで,来年の案内はがきにベニスの水彩画を採用させていただくことが決定しました。93歳で元気に診療にあたっておられる鈴木博先生の作品です。鈴木先生を見習って,診療に,作品制作に,次回に向けて今後も努力してまいりたいと思います。感染対策のパネルを立てた受付で,来場者の皆さんには連絡先までご記入いただきましたが,今回の来場者は,約350名でした。例年の400から500という数字から見ますと少し減少しましたが,感染症に負けず,半世紀を超えて,来年の54回に繋ぐことができましたこと,皆様に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。また,会場申し込み時点からお世話になりました府医事務局に衷心より深謝いたします。
京都医家芸術展は,府医の医師およびご家族,そして従業員まで広く出展できます。来年も秋に開催しますので,初めての方も気軽にご参加ください。
京都府医師会,医家芸術クラブ 医芸展部門 世話人
浅野 明美,蘆田ひろみ,足立 晴彦,田代 博,谷村 仲一,藤田 裕美,山下 元