2020年12月1日号
10月24日(土),府医会館3階大会議室において「第1回医療安全講演会」を開催し会員医師68名が参加した。冒頭,挨拶に立った松井府医会長は,府医でも新型コロナウイルスの流行を受け講演会・研修会実施を制限してきたが,本日は流行以降,府医主催としては久々の開催であり,今後もソーシャルディスタンス・安全を十分に確保した上で,様子を見ながら再開していくと説明した。新型コロナウイルス対応については,京都府民が新しい生活様式を守っているように,我々医療機関も新しい診療の形を作っていく時期にきているとして,様々変化していく状況を丁寧に発信していくと述べ,参加者には引続いての理解と協力を求め,挨拶を締めくくった。
挨拶を行う松井府医会長
はじめに,京都府立医科大学における感染対策で中心的役割を担われる藤田直久先生に登壇いただいた。まず前置きとして,今回テーマとする「医療安全と感染対策」について,医療安全は「患者の安全」を第一義的に考えるものであり,その中に病院環境,医療機器,医療行為,そして感染対策も含まれるものの,アプローチの仕方が異なると前置いた上で,今回は新型コロナのすべてを説明すると述べ講演をスタートした。
講演では,「Covid19」の言葉の定義についての説明から始まり,具体的な症状や予後の状態に関する説明,感染経路に関する説明,換気に関する説明,クラスターに関する説明などが順次行われた。続く,診断・検査に関する説明では,鼻腔拭いと鼻咽頭拭いの採取場所が異なり,言葉が誤って使われている点を指摘し,正しい理解の必要性を述べた。さらに病院でのゾーンニングに関する説明と続いた。最後の感染予防対策に関する説明では,感染源の遮断が何より重要となることから,受講者には,正しい手洗いの実施と,PPEの正確な着脱方法のマスターを強く求めた。講演は大変多岐にわたる内容であったが,各説明それぞれに具体例を示し,聴講者が今後コロナ対策を考える上でも非常に参考となる内容になった。
最後に,100年前に流行したスペイン風邪を例に挙げ,その時代であっても市民に対しは「近寄るな,鼻口を覆え」と掲示されていた。手洗いが無いものの,基本的な予防は100年前から何も変わらないとして,基本に立ち戻った対策の重要性を述べ,講演を終了した。
続いて,京都第二赤十字病院救急科副部長で府医の医療安全担当理事の成宮博理先生からご講演があった。成宮先生が所属される病院でも,これまで日々臨床を何とか回してきていたが,昨今コロナが流行し,身を守りながら医療の安全を確保することが非常に困難な状況になっているとして,医療安全が揺らいでいると説明,その状況について実体験を踏まえて報告された。
講演は,10月に第二日赤のコロナ患者対応をしたスタッフを対象に行ったアンケート結果を順次紹介する形で進められた。患者対応においては,かなり強いストレスを感じており,そのストレスは内服薬投与や,点滴,採血など,通常行う業務にまで影響を与えていると説明。スタッフは非常に強いストレス下にあり,ベテラン看護師でも辛いと感じる状況で,普段ならありえないミスをしてしまう。そして医療スタッフにも感染リスクがあること,コロナ以外の患者がウイルスを持っているかもしれないことなど,様々なストレスから回避するサポートが必要と述べた。そして「Off The Job Training」の教育効果が非常に重要な役割を占めるとして,何らかの方法で再開し,チーム力を高めて,この窮状を乗り切ってほしいと述べ講演を終了した。
質疑応答の状況(左から成宮先生,藤田先生,佐和先生)
参加者アンケートでは,多くの回答者から新型コロナウイルスに関する最新の知見や,救急最前線の状況について知識を得られた点について評価する回答が多く寄せられるなど,概ね好評であったことから,今後も府医医療安全講演会では,広く会員に対し情報発信を行っていきたい。
なお,今回の講演内容は,府医ホームページ「各種講演会ビデオ視聴・動画ライブラリ」に動画をアップしております。ただし「ID(ユーザー名)・パスワード」が必要となります。お申し込みをいただいた方にのみご案内しておりますので,視聴をご希望されます場合は下記申込フォームよりお申し込みください。なお配信は令和2年12月26日までとなります。申し込み方法,視聴方法などについてご不明点等ございましたら事務局医療安全課までお問い合せください。
<配信期間>
令和2年11月4日(水)午前~令和2年12月26日(土)まで
<申込方法>
お申し込みは,府医ホームページ(https://www.kyoto.med.or.jp/)のTOPから「医療安全対策→令和2年度第1回医療安全講演会」へとお入りいただきますと申込リンクがございます。また下記QRコードからもお申し込み可能です。
申し込み確認後メールおよび郵送にてID・パスワードをご案内申し上げます。
<視聴方法>
府医ホームページ(https://www.kyoto.med.or.jp/)のTOPから『各種講演会ビデオ視聴・動画ライブラリ』にお入りください(*学術講演会ビデオ視聴ではありません)。動画項目右端のアイコンをクリックいただき,下記ID・パスワードをご入力いただきますと視聴いただけます。
<担当事務局>
京都府医師会 医療安全課
TEL:075-354-6505