地域医療部通信 – 新型コロナウイルス感染症関連情報 第11報 唾液による新型コロナPCR検査に関するQ&A

【検体の採取方法】

 検査の対象者は,医師が必要と判断すれば制限はないのか。基準はあるのか

 医師が必要と判断すればよく基準はない。

 動線の確保とあるが,入口が一か所しかない場合は。

 診療時間の分離も方法である。

 検体採取時の防護策は。

 「飛沫感染予防策,および接触感染予防策を踏まえた」標準予防策でよい(「新型コロナウイルス感染症が疑われる者等の診療に関する留意点について(その2)」7月1日号第10報参照)。

 小児も対象となるのか。

 対象である。

 診療所施設外(敷地内)での唾液検体採取は可能か。また,届け出は必要か。

 可能である。唾液検体採取については侵襲性が低く,反復継続されるものではないことから,特段の届出は要しない。

 新型コロナウイルス感染症に係る検査において,唾液検体を自宅で採取の上,医療機関に提出させてもよいか。

 患者に採取容器を渡し,自宅で採取させることは想定していない。
  必ずしも,医師がその採取状況を現認することを求めるものではないが,基本的に医療機関で採取することとし,また,往診時等患者の自宅で採取する場合は医師がその場で持ち帰ること。

<自宅での唾液検体採取に係るリスク>

① 唾液採取時に手や容器外側に唾液をつける等汚染が発生する可能性があり,医師の関与できない部分で家族等に感染を拡大させるおそれがある。
② コンタミ(不純物の混入)の可能性がある。
③ 患者の自宅における検体の保管状況(温度条件)に懸念がある。

【検体の取り扱い方法や検査会社について】

 検体回収容器は検査会社に用意してもらうのか。

 検査会社にて用意される。

【手続等】

 委託した場合,何らかの方法で一般などに広報されるのか。

 公表されない。公表が必要な場合には再度お問い合わせします。

 委任状提出について締め切りの設定は。

 締め切りはなく随時受付し,府医へ申し出た時点から契約が有効となる。

 すでに行政と検査実施医療機関として契約を締結している場合は,再度,唾液を検体とするPCR 検査実施医療機関として応募する必要があるのか。

 その必要はない(帰国者・接触者外来を開設している医療機関を指すと考えられる)。

 周辺の医療機関が実施してない場合,実施医療機関に患者が集中しないか。

 医療機関名が公表されないことから集中することは考えにくい。

 勤務先などに提出する【陰性証明】として使用することは可能か

 有症状者が対象であり,無症状の健康な人への【陰性証明】としては不適当である。

 検査時に行政に提出する書類を教えてほしい(陰性,陽性とも)。

 「発生届」となる。

 唾液による抗原検査が認められたが(6月25日付厚労省健康局結核感染課長事務連絡)新たに契約をする必要があるか。

 行政と交わす契約について「『新型コロナウイルス感染症に係る行政検査の取扱いについて』(令和2年3月4日健感発0304第5号厚生労働省健康局結核感染症課長通知)が改正された場合には,本契約の当事者間で別途合意する場合を除き,当該通知の改正に基づく見直しがされたものとみなす」としているため新たに契約することなく抗原検査を行うことができる。

【妊婦への分娩前の検査について】(6月18日付厚労省子ども家庭局母子保健課事務連絡より抜粋)

 なぜ妊婦だけPCR検査の補助を行うのか。

 現時点では,妊婦が一般人口集団と比べ,新型コロナウイルス感染症に対するリスクが高いことは示唆されておらず,また,妊娠期間中に,妊婦から胎児に垂直感染し重篤な影響を及ぼす可能性は低いとされています。しかしながら,新型コロナウイルス感染症の流行が続く中で,妊婦の方は,医薬品の使用が制限されることや,自らの健康のみならず胎児への影響や出産後のことも懸念するなど,妊婦特有の不安を抱いて生活を送っています。このようなことから,不安を抱える妊婦がかかりつけ産婦人科医と相談し,本人が希望する場合に,分娩前にPCR等のウイルス検査を受けるための費用を補助することとしています。

 妊婦は必ずPCR検査を受けなければならないのか。

 当事業は,新型コロナウイルス感染症によって不安を抱える妊婦に対し,その不安を解消するために実施するものであり,あくまで希望する妊婦に対して実施することとなります。

 院内感染防止として,当事業を実施しても差し支えないか。

 当事業の主旨は,新型コロナウイルス感染症に関して不安を抱いている妊婦に対し,その不安を解消するために,希望する妊婦に対して実施するものです。このため,もっぱら院内感染防止を目的として,PCR検査を実施する場合は,当事業の対象にはなりません。

 PCR検査の検体として,唾液を含めても差し支えないか。また,抗原キットを用いても差し支えないか。

 唾液を用いたPCR検査や抗原検査については,現時点では特に無症状の場合における精度等の点に課題があることから,無症状の妊婦を対象とした当事業では,当面は,鼻咽頭スワブ検体を用いたPCR検査のみを補助の対象としています。
※新型コロナウイルス感染症を発症してから,おおよそ9日間程度は,唾液でのウイルス検出率も比較的高いことが報告されていることから,新型コロナウイルスへの感染が疑われる症状を発症してから9日以内の患者に限り,唾液検体を用いたPCR検査が推奨されることとなりました。発症後10日目以降は唾液中のウイルス量が低下することが知られており,推奨されていません。いずれにしても,当事業では,新型コロナウイルス感染症の症状を有しない無症状の妊婦を対象としたものであり,唾液検体を用いて検査を行うことは不適当と考えます。

 鼻咽頭スワブ検体を用いたPCR検査としてLAMP法を用いても差し支えないか。

 本事業におけるPCR検査として,行政検査として認められている核酸増幅法の検査(LAMP法を含む)を用いても差し支えない。

2020年7月15日号TOP