2020年6月1日号
新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取り扱い(4月10 日付け厚生労働省事務連絡)(京都医報5月1日号保険だより参照) に関するQ&Aが示されましたのでお知らせします。
なお,本Q&Aについては適宜更新されます。
Q1 事務連絡による時限的・特例的な取扱いは新型コロナウイルス感染症の感染が収束するまでの間とされているが,具体的にはどのような状態を収束と呼ぶのか。
A1 新型コロナウイルス感染症の感染の収束の定義については,今後専門家も交えて議論が必要であるが,事務連絡による時限的・特例的な取扱いの趣旨を踏まえると,院内感染のリスクが低減され,患者が安心して医療機関の外来を受診できる頃が想定される。
Q2 新型コロナウイルス感染症の感染が収束するまでの間に行う全ての診療について,「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の適用が除外されるのか。
A2 事務連絡による対応は,新型コロナウイルス感染症が拡大し,医療機関の受診が困難になりつつあることに鑑みた時限的・特例的な対応であるため,原則,既に指針に基づくオンライン診療を行っていた患者に対しては,指針の内容を遵守し,診療を行うこと。
Q3 情報通信機器を用いた診療を行う場合,どのような通信環境において,実施すべきか。
A3 情報通信機器を用いた診療を行う場合の通信環境に関しては,「オンライン診療の適切な実施に関する指針」Ⅴ2.(5)通信環境(情報セキュリティ・プライバシー・利用端末) を参考にして,情報セキュリティやプライバシーに配慮すること。
Q4 なぜ麻薬や向精神薬は処方できないのか。
A4 麻薬及び向精神薬については,濫用等のおそれがあることから,麻薬及び向精神薬取締法によりその取扱いについて厳格に規制されているところ。この点,初診から電話や情報通信機器を用いた診療を行う場合は,患者のなりすましや虚偽の申告による濫用・転売の防止が困難であることを考慮し,麻薬及び向精神薬取締法に指定する麻薬及び向精神薬の処方はその対象から除外することとした。
Q5 初診からの電話や情報通信機器を用いた診療の実施において,診療録等により患者の基礎疾患の情報が把握できない場合,なぜ処方日数は7日間を上限とされているのか。
A5 電話や情報通信機器を用いた診療においては,患者の基礎疾患の情報等の診断に必要な情報が十分に得られないことが多いと予想されるため,処方医による一定の診察頻度を確保して患者の観察を十分に行う必要があるという観点から,処方日数については7日間を上限とした。
Q6 「初診から電話や情報通信機器を用いて診療を行うことが適していない」場合とは具体的にどのような場合か。
A6 できるだけ早期の処置や服薬が必要であると医師が判断した場合,診断にあたって検査が必須となる場合等が考えられる。また,初診から電話や情報通信機器を用いた診療により診断や処方が可能であるかの判断は,個別具体的に医師の責任の下で行われるものであるが,電話や情報通信機器を用いた診療は症状が出現し,電話やオンラインによる診療の予約をしてから診察までに時間を要することが予想されること,重篤な症状でなくても緊急的な処置や治療が必要なことがあること(軽い胸痛や突然の頭痛等)や触診や聴診を行うことが困難であること等に鑑み,電話や情報通信機器を用いた診療には適していない症状をあらかじめ示しておくか,電話による予約などにおいて確認しておくことが望ましい。
Q7 1.(2)①アにおいて,「説明に当たっては,「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(平成30年3月厚生労働省策定。以下「指針」という。)Ⅴの1.(1)に定める説明や同意に関する内容を参照すること」とされていますが,Ⅴの1.(1)には医師と患者が相互に信頼関係を構築したうえでセキュリティ対策を含めた「診療計画」を定めて診療を行うと記載されております。「診療計画」の作成が必要でしょうか。
A7 初診から電話や情報通信機器を用いて診療を行う場合に,「診療計画」に定める事項も参考にした上で,医師から患者に対して十分な説明や合意を求めるものであり,必ずしも「診療計画」の策定を求めるものではない。
Q8 電話や情報通信機器を用いた診療を一度行った場合,再度同じ医師に電話や情報通信機器を用いて診療を行った場合は,再診になりますか。またその場合の診療報酬は何を算定することが可能ですか。
A8 電話や情報通信機器による診療によって初めてなされた診断は,患者個人の十分な情報によってされたものではないため,再度電話や情報通信機器を用いて診療した際も,十分な情報に基づいて診療を行えないと考えられるため,事務連絡1(1)と同じ扱いとする。診療報酬においては,電話等再診料を算定する。
Q9 本人確認は事務連絡における内容で対応しきれるのか。また医師のなりすましが横行するのではないか。
A9 視覚の情報を含む情報通信手段を用いて診療を行う場合,医師については顔写真付きの身分証明書により本人確認を行うこと,また医師の資格を有していることを証明すること。なお,都道府県において不適切な事例の報告があった際には当該医療機関を管轄する貴管下の保健所に対し,当該医療機関における電話や情報通信機器を用いた診療の実態を調査した上,行為の速やかな停止を勧告するなど必要な指導を行うほか,指導を行っても改善がみられず,医師法第17条違反が疑われる悪質な場合においては,刑事訴訟法第239条の規定に基づく告発を念頭に置きつつ,警察と適切な連携を図ること。
Q10 70歳以上の患者の窓口負担割合については,どのように確認を行うのか。また,国民健康保険の被保険者については,被保険者資格証明書を交付されている場合もあるが,どのように本人確認や窓口負担割合の確認を行うのか。
A10 被保険者証による本人確認に加え,70歳以上の患者については,高齢受給者証についても確認を行うこと。また,国民健康保険の被保険者のうち,被保険者資格証明書の交付を受けている患者については,被保険者証による本人確認に代えて,被保険者資格証明書による本人確認を行うこと。
Q11 電話や情報通信機器等による診療を受けられる医療機関を取りまとめて公表することとしているが,公表されている医療機関以外は事務連絡に基づく診療を実施できないのか。
A11 事務連絡においては,電話や情報通信機器を用いた診療を希望する国民・患者のアクセスを確保する観点から,実施機関を取りまとめて公表することとしているところ。公表されている医療機関以外においては,事務連絡に基づく電話や情報通信機器を用いた診療を実施する際は,速やかに報告をすること。なお,厚生労働省では,報告に基づき,今後の検証を行う予定である。
Q12 自由診療の場合,都道府県に対する実施状況の報告は行わなくても良いのか。
A12 事務連絡1(5)の実施状況の報告は、保険診療に限らず、自由診療についても行うこと。
Q13 診療後、領収証及び明細書の交付は、どのように行う必要があるか。
A13 保険医療機関においては、保険医療機関及び保険医療養担当規則において、領収証及び明細書を無償で交付する義務があるため、後日、ファクシミリ、電子メール又は郵送等により領収証及び明細書を無償で送付する必要がある。自由診療においても上記に準じて対応すること。
Q14 なぜ都道府県では,医務主管課と薬務主管課が連携する必要があるのか。また,各都道府県においては具体的に何を議論するのか。
A14 事務連絡1(5)の実施状況の報告については,医療機関のみに対して求めているところ,事務連絡による対応の実績や地域との連携状況についての評価を行うに当たっては,患者が薬局において電話や情報通信機器による服薬指導等を希望した場合にどのように服薬指導等や薬剤の配送が行われたかについても把握する必要があるため,薬務主管課との連携を求めるもの。なお,事務連絡による対応期間内の検証の具体的な方法については,別途事務連絡を発出予定である。