2020年5月1日号
新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえ,患者を受け入れた医療機関における感染防止に留意した診療を実施する観点から,臨時的な診療報酬の取り扱い(その9および11)が示されましたので,お知らせします。
新型コロナウイルス感染症であることが疑われる患者に対し,必要な感染予防策を講じた上で実施される外来診療を評価する観点から,新型コロナウイルス感染症患者(疑われる者を含む。以下同じ)の外来診療を行う医療機関においては,当該患者の診療について,受診の時間帯によらず, B001-2-5 院内トリアージ実施料(300 点)を算定できることとする。なお,その際は,「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第1版」に従い,院内感染防止等に留意した対応を行うこと。
また,新型コロナウイルス感染症患者に対してのみ院内トリアージ実施料を算定する医療機関については,施設基準を満たしているものとみなすとともに,届出は不要とする。
(1)緊急に入院を必要とする新型コロナウイルス感染症患者に対する診療を評価する観点から, 新型コロナウイルス感染症患者の入院診療に当たっては,医師が診察等の結果,緊急に入院が必要であると認めた患者(入院基本料又は特定入院料のうち,救急医療管理加算を算定できるものを現に算定している患者に限る。)について,A205 救急医療管理加算1(950 点)を算定できることとする。その際,最長14 日算定できることとする。
なお,新型コロナウイルス感染症患者については,A205 救急医療管理加算の注1に規定する「緊急に入院を必要とする重症患者として入院した患者」とみなすものとする。
また,新型コロナウイルス感染症患者に対してのみA205 救急医療管理加算1を算定する医療機関については,地域における救急医療体制の計画的な整備のため,入院可能な診療応需の体制を確保しており,かつ,施設基準を満たしているものとみなすとともに,届出は不要とする。
(2)必要な感染予防策を講じた上で実施される入院診療を評価する観点から,新型コロナウイルス感染症患者の入院診療に当たっては,第二種感染症指定医療機関の指定の有無に関わらず, A210 二類感染症患者入院診療加算(250 点)を算定できることとする。
なお,A300 救命救急入院料,A301 特定集中治療室管理料,A301-2 ハイケアユニット入院医療管理料,A301-3 脳卒中ケアユニット入院医療管理料,A301-4 小児特定集中治療室管理料, A302 新生児特定集中治療室管理料,A303 総合周産期特定集中治療室管理料,A303-2 新生児治療回復室入院医療管理料,A305 一類感染症患者入院医療管理料を算定する病棟・病室については, 当該加算を含むものとし,別に算定できないこととする。
新型コロナウイルスの感染が拡大し,医療機関の受診が困難になりつつあることに鑑み,オンライン診療料の施設基準に規定する,1月当たりの再診料等の算定回数の合計に占めるオンライン診療料の算定回数の割合が1割以下であることとする要件については,新型コロナウイルスの感染が拡大している間に限り適用しないこととする。
問1 新型コロナウイルス感染症患者であって,一般病棟入院基本料を算定している病棟に入院している患者に対して,個室又は陰圧室で管理を行った場合に,A220-2 二類感染症患者療養環境特別加算は算定可能か。
(答) 新型コロナウイルス感染症患者は,二類感染症患者相当の取扱いとされていることから, 二類感染症患者療養環境特別加算の算定要件を満たせば,算定できる(個室加算300 点, 陰圧室加算200 点)。
問2 新型コロナウイルス感染症患者であって,地域包括ケア病棟入院料を算定している病棟に入院している患者に対して,在宅患者支援病床初期加算は算定可能か。
(答) 地域包括ケア病棟入院料を算定している病棟に,新型コロナウイルス感染症患者が入院した場合には,在宅患者支援病床初期加算(300 点)を算定できる。
問3 新型コロナウイルス感染症患者であって,療養病棟入院基本料を算定している病棟に入院している患者に対して,在宅患者支援療養病床初期加算は算定可能か。
(答) 療養病棟入院基本料を算定している病棟に,新型コロナウイルス感染症患者が入院した場合には,在宅患者支援療養病床初期加算(350 点)を算定できる。
問4 新型コロナウイルス感染症患者が療養病棟入院基本料を算定する病棟に入院した場合, 基本診療料の施設基準等別表第五の二に規定する「感染症の治療の必要性から隔離室での管理を実施している状態」とみなしてよいか。
(答) そのような状態とみなしてよい。
問5 新型コロナウイルスの感染が拡大している間,これまでオンライン診療料の届出を行っていない医療機関において新規にオンライン診療料を算定する場合,オンライン診療料の施設基準に係る届出は必要か。
(答) 必要。ただし,新型コロナウイルスの感染が拡大している間,施設基準に規定する,1 月当たりの再診料等の算定回数の合計に占めるオンライン診療料の算定回数の割合が1割以下であることとする要件については,適用しないこととすること。
問6 新型コロナウイルス感染が拡大している間,既にオンライン診療料の届出を行っている医療機関において,施設基準に規定する1月当たりの再診料等の算定回数の合計に占めるオンライン診療料の算定回数の割合が1割以下であることとする要件を満たさなくなった場合,オンライン診療料の変更の届出は必要か。
(答) 不要。ただし,当該要件以外の要件を満たさなくなった場合は,速やかに届出を取り下げること。
問7 必要な感染予防策を講じた上で,新型コロナウイルス感染症であることが疑われる患者に対しては,院内トリアージ実施料を算定できることとされているが,その際に講じることとされている「必要な感染予防策」とはどのようなものか。
(答) 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第1版」に従い,院内感染防止等に留意した対応を行うこと。特に,「5 院内感染防止」及び参考資料「新型コロナウイルス感染症に対する感染管理(国立感染症研究所)」の内容を参考とすること。
なお,その診療に当たっては,患者又はその家族等に対して,院内感染防止等に留意した対応を行っている旨を十分に説明すること。
問8 必要な感染予防策を講じた上で,新型コロナウイルス感染症であることが疑われる患者に対しては,院内トリアージ実施料を算定できることとされているが,その際,院内トリアージ実施料の施設基準に係る届出は必要か。
(答) 新型コロナウイルス感染症であることを疑われる患者に対してのみ院内トリアージ実施料を算定する保険医療機関については,不要。
問9 治療のため現に通院している患者であって,新型コロナウイルス感染症を疑う症状で受診したものについて,必要な感染予防策を講じた上で,当該患者の診療を行ったときには, 再診料等を算定した場合であっても,院内トリアージ実施料を算定できるか。
(答) 算定できる。
問10 新型コロナウイルス感染症患者の入院診療に当たっては,二類感染症患者入院診療加算を算定できることとされているが,その際に講じることとされている「必要な感染予防策」とはどのようなものか。
(答) 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第1版」に従い,院内感染防止等に留意した対応を行うこと。特に,「5 院内感染防止」及び参考資料「新型コロナウイルス感染症に対する感染管理(国立感染症研究所)」の内容を参考とすること。
問11 保険医療機関において新型コロナウイルス感染症患者を受け入れたこと等により,平均在院日数,重症度,医療・看護必要度,在宅復帰率,医療区分2・3の患者割合等の要件を満たさなくなった場合について,入院料に規定する施設基準の要件についてどのように考えればよいか。
(答) 新型コロナウイルス感染症患者の受入れ等の前にこれらの施設基準を満たしていた保険医療機関において,新型コロナウイルス感染症患者を受け入れたこと等により,平均在院日数,重症度,医療・看護必要度,在宅復帰率,医療区分2又は3の患者割合等の要件を満たさなくなった場合については,当面の間,直ちに施設基準の変更の届出を行う必要はない。
問12 精神科訪問看護基本療養費を算定する訪問看護ステーションの届出基準の1つに,「国, 都道府県又は医療関係団体等が主催する精神科訪問看護に関する研修」があるが,当該研修は新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から,集合研修ではなくeラーニング等のWEB 配信による受講でも該当する研修として認められるのか。
(答) 国,都道府県又は医療関係団体等が実施し,必要な内容が網羅されたものであれば,認められる。
問13 D006-19 がんゲノムプロファイリング検査の「2」結果説明時については,「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和2年3月5日保医発0305 第1号)において,「「2」結果説明時については,「1」検体提出時で得た包括的なゲノムプロファイルの結果について,当該検査結果を医学的に解釈するための多職種(がん薬物療法に関する専門的な知識及び技能を有する医師,遺伝医学に関する専門的な知識及び技能を有する医師,遺伝カウンセリング技術を有する者等)による検討会(エキスパートパネル)での検討を経た上で患者に提供し,治療方針等について文書を用いて患者に説明 する場合に,患者1人につき1回に限り算定できる。」とあるが,来院による新型コロナ ウイルスへの感染の危険性や当該患者の疾患の状態等を考慮した上で治療上必要と判断し た場合に限り,電話や情報通信機器を用いて結果を説明しても算定できるか。
(答) 算定できる。ただし,治療方針等について記載した文書を後日患者に渡すこと。
問14 D006-19 がんゲノムプロファイリング検査の「2」結果説明時については,「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」において,エキスパートパネルの開催については「やむを得ない場合は,リアルタイムでの画像を介したコミュニケーションが可能な情報通信機器を用いて参加することで出席とみなすことができる。」とされているが,書面などでの参加は可能か。
(答) リアルタイムでの画像を介したコミュニケーションが可能な情報通信機器を用いて参加することが望ましいが,新型コロナウイルスの感染拡大防止策を講じるに当たり,情報通信機器などでリアルタイムの参加が困難となる場合に限り書面での参加も可能とする。