介護保険ニュース – 「2019 年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4)」および「居宅介護支援の退院・退所加算に関するQ&A」の送付について

   今般,介護職員等特定処遇改善加算に関するQ&A(Vol.4)が発出されましたので,お知らせします。当該Q&Aにともない,平成24 年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)問241 ならびに平成27 年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)問38,問47,問48,問51,問57 および問62 は削除されましたので,申し添えます。

  また,令和2年度診療報酬改定では,居宅介護支援の退院・退所加算において,効率的な情報共有・連携を促進する観点から,情報通信機器を用いたカンファレンスの実施が進むように要件が見直されることにともない,「居宅介護支援の退院・退所加算に関するQ&A(令和2年3月30 日)」も示されましたので,併せてお知らせします。

 記

2019 年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4)(令和2年3月30 日)

 【介護職員処遇改善加算・特定処遇改善加算の様式関係】

問1 令和2年4月分の介護職員処遇改善加算又は特定処遇改善加算を算定する場合,介護職員処遇改善計画書・介護職員等特定処遇改善計画書の提出期限はいつまでか。

(答)
・ 令和2年4月分の介護職員処遇改善加算又は特定処遇改善加算を取得しようとする介護サービス事業所等は,令和2年4月15 日までに介護職員処遇改善計画書・介護職員等特定処遇改善計画書を提出する必要がある。

問2 地域密着型サービスの事業所であって,所在する市町村以外の市町村から地域密着型サービスの指定(みなし指定を含む。)を受けている事業所等において,介護職員処遇改善加算又は特定処遇改善加算を算定する場合,介護職員処遇改善計画書・介護職員等特定処遇改善計画書については,どのように記載すればいいのか。

(答)
・ 指定権者毎に,次頁の記載例を参考に,別紙様式2-2(介護職員処遇改善計画書(施設・事業所別個表))又は別紙様式2-3(介護職員等特定処遇改善計画書(施設・事業所別個表)) を作成することとなる。
・ なお,この場合においても賃金改善の計画については,1つのものとして作成することとなる。

問3 保険給付の訪問介護と総合事業における従前相当の訪問介護を実施している場合で,同一事業所とみなしたときの介護職員処遇改善計画書・介護職員等特定処遇改善計画書(実績報告書)については,どのように記載するのか。

(答)
・本Q&A問2と同様に扱われたい。

問4 介護職員処遇改善計画書・介護職員等特定処遇改善計画書において,介護職員(職員)の賃金の総額を計算するに当たり,「なお,これにより難い合理的な理由がある場合には,他の適切な方法により前年度の(介護職員)の賃金の総額を推定するものとする」とされているが,「これにより難い合理的な理由がある場合」とは,例えばどのような場合を想定しているのか。

(答)
・これにより難い合理的な理由がある場合としては,例えば,
- 前年の10月に事業所を新設した等サービス提供期間が12ヶ月に満たない場合,
- 申請する前年度において職員の退職などにより職員数が減少し,基準額となる賃金総額として適切でない場合,
- 前年(1~12月)の途中から事業規模の拡大又は縮小を行い,申請年度においては,変更後の事業規模で実施する予定である等,当該年度の賃金総額として適切な規模に推定する必要がある場合
等を想定している。
・なお,具体的な推計方法については,例えば,
- サービス提供期間が12ヶ月に満たない場合は,12ヶ月サービスを提供していたと仮定した場合における賃金水準を推計すること
- 事業規模を拡大した場合は,比較時点にいない職員について,当該職員と同職であって,勤務年数等が同等の職員の賃金水準で推計すること
等が想定される。
 また,複数の介護サービス事業所等について一括して申請を行う事業所において,当該申請に関係する事業所等に増減があった場合は,変更の届出が必要とされているが,例えば,事業所が増加することにより,職員も増えた場合における推計方法は,当該職員と同職であって勤務年数等が同等の職員の賃金水準で推計し,前年度(前年の1~12月)の賃金総額を推計することが想定される。

問5 令和2年度の介護職員処遇改善加算又は特定処遇改善加算を算定するに当たり,介護職員処遇改善加算又は特定処遇改善加算の「前年度の賃金の総額」を算出する場合の「賃金の総額」や「加算の総額」,「各介護サービス事業者等の独自の賃金改善額」は,どのように記載すればいいか。

(答)
・ 賃金改善の見込額の算出に当たっては,前年度の賃金の総額等と加算の見込額を比較し計算することとしているが,前年度の賃金の総額等については,原則,加算を取得する前年の1月~12月の実績に基づき記載することを想定している。
・ 令和元年10月から特定処遇改善加算を算定している場合の令和2年度の当該加算の取扱いに関しては,
- 特定処遇改善加算の総額について,10月~12月の実績(10月から算定した場合は,10月サービス提供分について,12月に各都道府県の国保連から支払われた収入)から12ヶ月分を推計(10月サービス提供分の介護報酬総単位数を用いて計算)し,
- 前年度の介護職員(職員)の賃金の総額について,特定処遇改善加算の総額(12ヶ月分を推計した額)と同額を前年度の介護職員(職員)の賃金の総額に含めて計算すること(独自の賃金改善を行っている場合は,当該額を含めること)
等が想定されるが,個別の状況に応じ判断されたい。
 なお,独自の賃金改善を行っていない場合には,特定処遇改善加算の総額(12ヶ月分を推計した額)と同額が前年度の介護職員(職員)の賃金の総額に含まれることから,相殺されることとなる。
・ また,本項目については,「賃金改善の見込額」が「処遇改善加算の見込額」を上回ることを確認するものであり,独自の賃金改善額についても前年の1月~12月の実績に基づき記載することを想定している。

問6 介護職員処遇改善計画書・介護職員等特定処遇改善計画書における「前年度における介護サービス事業者等の独自の賃金改善額」には,どのようなものを記載するのか。

(答)
・ 介護職員処遇改善計画書・介護職員等特定処遇改善計画書を提出する前年度において介護サービス事業者等が,加算額を上回る賃金改善を行うために実施した賃金改善額(初めて処遇改善加算を取得した年度(交付金を取得している場合については交付金を初めて取得した年度)以降に,新たに行ったものに限る。手当や定期昇給によるものなど賃金改善の手法は問わない。)について,記載することを想定している。
・ なお,このため,加算額を上回る賃金改善を行うために実施した「以前から継続している賃金改善」についても記載することは可能である。

問7 介護職員処遇改善計画書・介護職員等特定処遇改善計画書において,様式2-1の「(3)賃金改善を行う賃金項目及び方法」のうち,「イ介護職員処遇改善加算」と「ロ介護職員等特定処遇改善加算」の「具体的な取組内容」で,記載が求められる「(上記取組の開始時期)」は,どの時点の年月を記載するのか。

(答)
・ 「イ介護職員処遇改善加算」については,初めて介護職員処遇改善加算を取得した年月を,「ロ介護職員等特定処遇改善加算」については,特定処遇改善加算を取得した年月を記載することを想定している。

問8 介護職員処遇改善計画書・介護職員等特定処遇改善計画書に「加算対象となる職員の勤務体制及び資格要件を確認しました。」の欄があり,証明する資料の例として,介護福祉士登録証があるが,この資格要件については特定処遇改善加算を算定する場合のみチェックするという認識で良いか。

(答)
・お見込みのとおり。

問9 別紙様式2-1介護職員処遇改善計画書・介護職員等特定処遇改善計画書における「⑦平均賃金改善額」の「ⅲ前年度の一月当たりの常勤換算職員数」は,「原則として,本計画書を提出する前月の常勤換算方法により算出する」とされているが,職員数の変動があった場合など,前月の実績を用いることが適当でないと考えられる事業所においては,過去3ヶ月の平均値や前々月の実績など,他の期間の実績を用いることは可能か。

(答)
・お見込みのとおり。

【特定処遇改善加算】

問10 令和2年度からの介護職員処遇改善加算,特定処遇改善加算について,「介護職員処遇改善加算及び介護職員等特定処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(老発0305第6号令和2年3月5日付厚生労働省老健局長)が発出されたが,令和元年度の実績報告は,本通知に基づき行うのか。

(答)
・ 本通知については,令和2年度の介護職員処遇改善加算及び特定処遇改善加算に係る届出から適用するものであり,令和元年度の実績報告については,「介護職員等特定処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(老発0412第8号平成31年4月12日付厚生労働省老健局長)に基づき報告することとなる。

問11 特定処遇改善加算の見える化要件については,2020年度から算定要件とするとされていたが,令和2年度の特定処遇改善加算を算定する場合,介護職員処遇改善計画書・介護職員等特定処遇改善計画書にはこの「見える化要件」についてどのように記載するのか。

(答)
・ 見える化要件について情報公表システムを活用し満たす予定の事業所については,掲載予定にチェックし,提出いただきたい。

問12 共生型サービスを提供する事業所において,特定処遇改善加算を算定する場合,月額8万円の改善又は年収440万円となる者の設定は,介護サービスのみで設定する必要があるのか。

(答)
・ 介護保険の共生型の指定を受け共生型サービスを提供している事業所においては,介護保険の共生型サービスとして,月額8万円又は年額440万円の改善の対象となる者について,1人以上設定する必要がある。なお,小規模事業所等で加算額全体が少額である場合等は,その旨説明すること。また,介護サービスと障害福祉サービスを両方行っている事業所についても同様に扱われたい。

問13 2019年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)問1において「入居継続支援加算等を算定できない状況が常態化し,3か月以上継続した場合に変更の届け出を行う」とあるが,特定処遇改善加算の算定区分が変更となるのはいつからか。

(答)
・ 入居継続支援加算等を算定できない状況が常態化し,3か月以上継続した場合に変更の届け出を行うこととなるが,2019年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)問1のとおり当該届出の4ヶ月目から特定処遇改善加算の算定区分が変更となる。
・ 例えば,3月まで入居継続支援加算等を算定していたが,4月,5月,6月と算定することができず,7月も入居継続支援加算等を算定できないとわかった場合には,7月から特定処遇改善加算の算定区分の変更を行うこととなる。

問14 2019年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)問12において,介護老人保健施設と短期入所療養介護等について,事業を一体的に行っており,同一の就業規則等が適用される等労務管理が同一と考えられる場合は,月額8万円の改善又は年収440万円となる者の設定にあたり,同一事業所とみなすことが可能とされているが,介護老人保健施設に併設している通所リハビリテーションについても同様に扱うことは可能か。

(答)
・ 介護老人保健施設に併設する通所リハビリテーション事業所については,それぞれで,月額8万円の改善又は年収440万円となる者を設定する必要がある。

問15 「月額8万円以上」又は「年額440万円以上」の改善の対象とし,賃金改善を行っていた経験・技能のある介護職員が,年度の途中で退職した場合には,改めて別の職員について,「月額8万円以上」又は「年額440万円以上」の改善を行わなくてはならないか。

(答)
・ 特定処遇改善加算の配分に当たっては,賃金改善実施期間において,経験・技能のある介護職員のグループにおいて,月額8万円の改善又は年収440万円となる者を1人以上設定することが必要であるが,予定していた者が,賃金改善実施期間に退職した場合等においては,指定権者に合理的な理由を説明することにより,当該配分ルールを満たしたものと扱うことが可能である。
・ なお,説明に当たっては,原則,介護職員処遇改善実績報告書・介護職員等特定処遇改善実績報告書の「④月額8平均8万円又は改善後の賃金が年額440万円となった者<特定>」欄の「その他」に記載することを想定している。

問16 特別養護老人ホームの併設の短期入所生活介護(ショート)と空床のショートをそれぞれ提供している事業所において,利用者が月の途中で,併設のショートから空床のショートに移動した場合,当該月の特定処遇改善加算の区分はどのように取扱うのか。

(答)
・ 原則,それぞれのショートで満たす特定処遇改善加算の加算区分を取得することとなるが,介護福祉士の配置等要件が異なることにより,特定処遇改善加算の区分がⅡからⅠに変わる場合に加え,特定処遇改善加算の区分がⅠからⅡに変わる場合についても,当該月に限り,特定処遇改善加算Ⅰを引き続き算定することが可能である。

問17 介護サービスと障害福祉サービス等を両方実施しており,職員が兼務等を行っている場合における介護職員の賃金総額はどのように計算するのか。

(答)
・ 介護職員処遇改善計画書・介護職員等特定処遇改善計画書に,職員の賃金を記載するにあたり,原則,加算の算定対象サービス事業所における賃金については,常勤換算方法により計算することとしており,同一法人において介護サービスと障害福祉サービスを実施しており,兼務している職員がいる場合においても,介護サービス事業所における賃金について,常勤換算方法による計算をし,按分し計算することを想定している。
・ 一方で,計算が困難な場合等においては実際にその職員が収入として得ている額で判断し差し支えない。

問18 「9 処遇改善加算等の取得要件の周知・確認等について」の「(3)労働法規の遵守について」において,「労働基準法等を遵守すること」とされているが,訪問介護員の移動時間については,労働基準法(昭和22年法律第49号)上,労働時間に該当すると考えるがどうか。

(答)
・ 貴見のとおり。「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」(平成16年8月27日付け基発第0827001号)において,「移動時間とは,事業場,集合場所,利用者宅の相互間を移動する時間をいい,この移動時間については,使用者が,業務に従事するために必要な移動を命じ,当該時間の自由利用が労働者に保障されていないと認められる場合には,労働時間に該当するものである」とされている。

居宅介護支援の退院・退所加算に関するQ&A(令和2年3月30日)

【居宅介護支援】

○退院・退所加算について

令和2年度診療報酬改定では,効率的な情報共有・連携を促進する観点から,情報通信機器を用いたカンファレンスの実施が進むように要件が見直されるが,利用者又はその家族の同意を得た上で,ICTを活用して病院等の職員と面談した場合,退院・退所加算を算定してよいか。

(答)
○ 差し支えない。なお,当該取り扱いは令和2年4月以降に面談を行う場合に適用することとし,カンファレンス以外の方法によるものも含む。

2020年5月1日号TOP