2020年5月15日号
舞鶴医師会と府医執行部との懇談会が2月22 日(土),TV 会議(於:府医会館)にて開催され,舞鶴医師会から10 名,府医から7名が出席。「公立・公的病院の再編・統合等」について, 意見交換が行われた。
地域医療構想の実現に向けては,医療機関の診療実績等にも着目した上で,住民に必要な医療を, 質が高く効率的な形で不足なく提供できるかという視点の議論が不可欠である。
厚労省は,地域医療構想調整会議における議論を進める観点から,以下の要件に該当する424 病院の公表を行い,当該分析だけでは判断し得ない地域の実情に関する知見を補いながら,議論を尽くすよう求めている。
分析項目ごとに診療実績等の一定の指標を設定し,当該医療機関でなければ担えないものに重点化されているか分析する。重点化が不十分な場合, 他の医療機関による代替可能性があるとする。
都道府県から要請を受けた再検証対象医療機関は,以下について検討を行い,その結果を反映した具体的対応方針について,地域医療構想調整会議において,再検証を経た上で合意を得ることが求められている。
領域(6領域「がん,心疾患,脳卒中,救急, 小児,周産期」を必ず含むものとし,必要に応じて他の領域を含めるものとする)ごとの2025 年の各医療機関の役割分担の方向性等について検討する。
令和2年1月17 日付医政地発0117 第1号にて厚労省医政局地域医療計画課長通知が発出され, 民間医療機関の診療実績の実数についても,当該民間医療機関が所在する構想区域の地域医療構想調整会議における議論に必要なデータとして示すこととされた。
また,
などの地域で必要な医療機能を担っていることもあるため,民間医療機関に関するデータを使用し, 地域医療構想調整会議で議論する際はその点について留意が必要であるとしている。
民間医療機関のデータを公表するか否かは都道府県の判断に委ねられているため,京都府では, 公表はしないものの議論の参考として各調整会議の資料として活用することとなっている。
厚労省は,医師確保の方向性について,医師の地域偏在および診療科偏在の是正への対応が必要であるとし,これまでの人口10 万人対医師数に代わる新たな指標である「医師偏在指標」を設定したが,京都府では,地域の実情を反映していないとの考えから,国とは別に京都独自の医師偏在指標を設定し,医師の仕事量(大学院生,研究医, 京都に籍を置きながら他府県に勤務している方を除く),京都府の患者受療率,地理的要因(医療機関へのアクセス時間)などを加味した指標を示した。
京都府指標では,へき地医療や救急医療等の政策医療を担う医師が不足する地域を「医師少数スポット」と位置付け,中丹医療圏ならびに南丹医療圏のへき地診療所の周辺地域を指定した。
二次医療圏ごとの医師偏在指標を基に「医師確保対策の優先順位」を検討。
二次医療圏にとらわれず対応が必要な疾病等(脳血管疾患,心疾患,ハイリスク分娩等,緊急対応が必要なもの)について府内一円で医療提供体制を構築。
舞鶴においても,中丹に患者住所地がある方が上記疾患を発症した場合に概ね中丹圏内で治療が行われていることがデータとして示されているが,医師の肌感覚と乖離がないかということの検証が必要である。
医師の派遣やキャリア形成の支援など短期的に効果が得られる施策,医学部における地域枠の設定など長期的な施策を実施し,オール京都体制で対応していく必要がある。
地区から「呼吸器内科,腎臓内科,血液内科の専門医の常勤がいない。中丹地域の病院と連携していかなければならない」,「1人で派遣されると退職されるケースが多い。消化器内科は急性期の病院で3名だけである。診療科によって医師の数が大きく異なることも問題である」と意見が出された。
府医からは,国は数だけで推し進めるため,地域の実情を反映しにくいとし,地区から声を挙げていただきたいと依頼した。また,働き方改革で医師の数はますます足りなくなるため,例えば舞鶴を含む中丹医療圏で,どの診療科にどれだけの医師がいるかをトータルで考え,それをどのように配置するかを検討する必要があると提案した。その際には6つの領域について,時間との関係もあり,医療機能別に議論を進めなければならず, 医療機関の集約化や統合も含め,検討する時代に来つつあるとの考えを示した。
地区から「内科系の勤務医が減少傾向にあり, 内科系の救急や内科疾患の受け入れが厳しい状況である。高齢者の割合が多いため,遠方まで紹介できない患者や,専門医療の対象にならない患者もいるので,マンパワー不足を非常に感じている。専門医制度の基幹病院も無いので,専攻医など若手医師が入ってくる可能性もない」と意見が出された。
府医からは,地域医療構想,専門医制度,医師確保計画,働き方改革が,矢継ぎ早に施策として打ち出され,議論が進められているとし,その結果,5年後10 年後に地域で数も必要になってくる,そして質も確保しなければならない,かかりつけ医が育たない環境,かかりつけ医の育成には逆行するような働きがあるのではないかと危惧を示した。
また,専門医制度の問題点としてプログラム制を挙げ,行動が制限されることで,どこで研修するかではなく,どこで専門医として学ぶかを選べるので,地方に派遣されることや,医師少数区域の勤務があることを嫌厭したり,内科領域においては,サブスペシャリティとの関連が明確に示されていないので,内科を専攻しても次が不明確であることを理由に内科から離れる傾向もあり, オール京都で大学に縛られずに,それぞれの地域に若手医師も周ってもらい,キャリア形成が支援できるような取組みを実施していきたいとの意向を示した。
地区から「今後どのように地域医療構想調整会議に関わっていけば良いか」と質問が出された。
府医からは,京都府では各医療圏の調整会議の議長を中立的な立場である保健所長が務めているケースが多く,中央や京都府からの情報を伝達するのみの会議となってしまい,各調整会議に出席いただいた先生から何が目的なのかわからないと批判の声を多く聞き及んでいると説明。
今回の局長通知でも示されているとおり,二次医療圏ごとに,どういう医療が必要なのか,そのためにはどのような機能を持った医療機関が必要なのか,そこにどのような資格,専門性を持った医師を派遣しなければならないのか,その体制をどのように構築するのかということが議論されなければいけないと示した。今後は,議論の中心に医師会が関与しなければならないので,積極的に関わっていただきたいと依頼した。
支払基金と国保連合会双方における審査の平準化をはかるために開催している「基金・国保審査委員会連絡会」の状況について解説するとともに,個別指導における主な指摘事項についての資料を提供した。
また,療養費同意書交付(マッサージ,はり・きゅう)に関する留意点を解説し,慎重な判断と適切な同意書発行に理解と協力を求めた。