保険だより – 【必読】新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取り扱い等の「まとめ」について

   新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえた診療報酬上の臨時的な取り扱いが,厚生労働省から複数回の事務連絡等により示されています。この度,これらの取り扱いを一部抜粋してまとめましたのでご参照ください。なお,以下はあくまでも臨時的な取り扱いであり,当該感染症の収束時には平時のルールに戻りますので,ご留意ください。また,これらの取り扱いは4月27 日時点のものであり,追加の通知により変更される可能性があることを申し添えます。

 記

 電話や情報通信機器による初診 214 点

  • 4/10 から算定可
  • 患者からの求めがあり,医師の責任の下,可能と判断し,診断や処方を行った場合,算定可
  • 麻薬,向精神薬の処方は不可
  • 過去のカルテ等により,基礎疾患の情報を把握・確認できない場合,処方日数は7日限り。また, 抗悪性腫瘍剤,免疫抑制剤などの「ハイリスク薬」の処方は不可
  • 電話等初診により生じる恐れのある不利益等につき,十分な情報提供,説明を行い,カルテ記載
  • 小児科外来診療料及び小児かかりつけ診療料の届出医療機関が,6歳未満の患者に電話初診を行う場合も,同様に扱う
  • 患者からの求めがあっても,電話初診は困難と判断して行わず,対面診療や他医受診を勧奨することは,応招義務違反に当たらない
  • 京都府に対して毎月,実施状況を報告する(電話初診に引き続き,対面診療を経ずに行う電話等再診も含む) 

電話等再診による処方  73 点(一般病床200 床以上の病院においては外来診療料74 点) 処方料等

  • 電話等による再診で,当該患者にすでに処方されていた慢性疾患治療薬を処方することも可
  • 発症が容易に予測される症状の変化に対する処方も可。その場合,電話等を用いた診療により生じる恐れのある不利益等につき,十分な情報提供,説明を行い,カルテ記載
  • 外来管理加算,地域包括診療加算,認知症地域包括診療加算の算定は不可
  • 一般病床200 床以上の病院において外来診療料を算定する場合は,レセプト摘要欄に電話等による旨と当該診療日を記載

処方箋の取扱い

  • 処方箋を患者が希望する薬局,または患者本人にFAX する。処方箋原本は,いったん医療機関が保管するが,最終的には薬局が保管する
  • 処方箋原本を送付する場合,郵送代は「療養の給付に直接関係ないサービス」として自費徴収できる
  • 患者が薬局において電話等による服薬指導等を希望する場合,処方箋の備考欄に「0410 対応」と記載

薬剤を送付する場合の取扱い

  • 患者と相談の上,院内処方した薬剤を患者に直接配送することも可
  • 薬剤の品質保持や確実な授与等がなされる方法(書留郵便等)で行い,薬剤が確実に授与されたことを電話等により確認すること
  • 郵送代は「療養の給付に直接関係ないサービス」として自費徴収できる

院内トリアージ実施料 300点

  • 4/8から算定可
  • 本来は施設基準の届出を要するが,臨時的取扱いとして,不要となっている
  • 新型コロナウイルス感染症の疑いがある患者に対し,必要な感染予防策を講じた上で,外来診療を行った場合に,受診の時間帯によらず,算定可
  • 患者又はその家族に対して,院内感染防止等に留意した対応を行っている旨を十分説明する
  • 初診時に限らない(再診時でも算定可)
  • 往診時も算定可

電話等再診時の医学管理料 3/27~4/9まで 100点, 4/10以降 147点

  • 対象:特定疾患療養管理料,小児科療養指導料,てんかん指導料,難病外来指導管理料,糖尿病透析予防指導管理料,地域包括診療料,認知症地域包括診療料,生活習慣病管理料
  • 上記の医学管理料を従前から算定していた患者に対し,電話等再診を行った場合に算定可(月1回)
  • 指導内容等のカルテ記載については,通常どおり必要なので十分留意すること
  • 4/22以降,通院・在宅精神療法も当該取扱いの対象となった

診療情報提供料(Ⅰ) 250点

  • PCR検査が必要と判断した患者について,本人の同意を得て,保健所等に診療情報を提供した場合,算定可

在宅時医学総合管理料 または 施設入居時等医学総合管理料

  • 前月に在医総管等を算定していた患者につき,感染の懸念などにより患者からの要請に基づき訪問診療を控え,電話等再診を複数回行った場合にも,前月と同じ在医総管等を算定可(4月中のみ)。

在宅療養指導管理料 および 在宅療養指導管理材料加算

  • 過去3月以内に在宅療養指導管理料を算定した患者またはその家族に対して,電話等再診により指導管理を行い,かつ,必要十分な量の衛生材料及び保険医療材料を支給(機器の貸与中も含む)した場合に,算定可
  • 衛生材料及び保険医療材料を,患者に直接支給できない場合は送付してもよい。その場合,直接支給できない理由と患者が受領したことの確認をしたことをカルテに記載

在宅患者訪問看護・指導料の在宅移行管理加算 250点

  • 新型コロナウイルス感染症患者(疑い含む)に対して,必要な感染予防策を講じて訪問看護を行う場合,月1回算定可

自宅療養 または 宿泊療養する新型コロナウイルス感染症患者への診療

  • 自宅以外の場所(宿泊施設等)であっても,往診料・訪問診療料の算定可
  • 自宅療養または宿泊療養する軽症者等からの求めに応じて電話等による診療を行い,必要な薬剤を処方することも可(電話や情報通信機器による初診の項参照)。その場合,処方箋の備考欄に「CoV自宅」または「CoV宿泊」と記載。また,処方する薬剤を配送等により患者へ渡す場合は,感染症患者であることが配送業者等に知られることになるため,それについて患者の同意を得る

施設基準上の猶予措置

  • 地域包括診療加算・料における「慢性疾患の指導に係る適切な研修の受講」につき,新型コロナウイルスの感染拡大防止のために中止される等やむを得ない事情があれば,満たしていなくても辞退する必要はない。ただし,研修受講が可能になった場合には速やかに受講し,届出を行う

≪入院関係≫

(以下の記載は全て新型コロナウイルス感染症患者への診療を前提とする)

A205:1 救急医療管理加算1  950点(1日につき)

  • 医師の診察により緊急入院が必要と認めた患者について,最長14日間算定可(届出不要)
  • 中等症以上(酸素吸入が必要な状態)の患者に対する診療を行う場合,14日に限り,当該点数×2(1,900点)を算定可(届出不要)

医療従事者の感染リスクを伴う診療に対する評価

  • 看護配置に応じて,二類感染症患者入院診療加算に相当する点数を算定可(届出不要)

中等症以上(酸素吸入が必要な状態)患者への診療に対する評価 (再掲)  1,900点(1日につき)

  • A205:1 救急医療管理加算1の2倍に当たる点数を,14日に限り,算定可(届出不要)

重症患者への診療に対する評価

  • 重症患者に対する人工呼吸器管理等(ECMO,人工呼吸器による管理(CPAP等含む)等,呼吸不全をはじめとした多臓器不全に対する管理)の診療を評価
  • 以下の入院料につき,通常の2倍の点数が算定可
    A300救命救急入院料,A301特定集中治療室管理料,A301-2ハイケアユニット入院医療管理料,A301-3脳卒中ケアユニット入院医療管理料,A301-4小児特定集中治療室管理料,A302新生児特定集中治療室管理料,A303総合周産期特定集中治療室管理料,A303-2新生児治療回復室入院医療管理料
  • 算定上限日数
    急性血液浄化(腹膜透析を除く。)を必要とする状態,急性呼吸窮迫症候群又は心筋炎・心筋症のいずれかに該当する患者 →21日
    体外式心肺補助(ECMO)を必要とする状態の患者 →35日

定数超過入院による減額措置の適用除外

  • 新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れたことによる定数超過入院は,「災害等やむを得ない事情」に当たり,定数超過入院による減額措置の適用対象とはならない

新型コロナウイルス感染症患者等を,許可病床数を超過して入院させた場合の算定方法

  • 原則:実際に入院した病棟(病室)の入院基本料・特定入院料を算定
  • 会議室等病棟以外への入院の場合:必要な医療が行われている場合に限り,病院が届出している入院基本料のうち,本来当該患者が入院すべき病棟の入院基本料を算定
  • 医療法上,本来入院できない病棟に入院した場合/診療報酬上の施設基準の要件を満たさない患者が入院した場合:
    入院基本料算定病棟に入院 → その入院基本料を算定
    特定入院料算定病棟に入院 → 医療法上の病床種別とその特定入院料の看護配置を勘案し,算定する入院基本料を判断

施設基準上の猶予措置

  • 新型コロナウイルス感染症患者の受入れによる入院患者の一時的な急増等により,月平均夜勤時間数,看護要員の数,看護要員と入院患者の比率,看護師+准看護師の数に対する看護師の比率に1割以上の一時的な変動があっても,当面の間,変更の届出は不要
  • 病院職員が新型コロナウイルス感染症への罹患ないし濃厚接触により出勤不能となった場合についても上記同様とする
  • 新型コロナウイルス感染症患者を受け入れたこと等により,平均在院日数,重症度,医療・看護必要度,在宅復帰率,医療区分2・3の患者割合等の要件を満たさなくなった場合については,当面の間,直ちに施設基準の変更の届出を行う必要はない

A210:2 二類感染症患者入院診療加算 250点(1日につき)

  • 第二種感染症指定医療機関に入院させた場合に算定可(ただし当該加算の算定可能入院基本料算定時に限る)
  • 必要な感染予防策を講じた場合,第二種感染症指定医療機関の指定の有無に関わらず,算定可(4/8以降)
  • 次を算定する場合には,当該加算を含むため算定不可
    A300救命救急入院料,A301特定集中治療室管理料,A301-2ハイケアユニット入院医療管理料,A301-3脳卒中ケアユニット入院医療管理料,A301-4小児特定集中治療室管理料,A302新生児特定集中治療室管理料,A303総合周産期特定集中治療室管理料,A303-2新生児治療回復室入院医療管理料,A305一類感染症患者入院医療管理料

A220-2 二類感染症患者療養環境特別加算:1 個室加算 300点(1日につき)

A220-2 二類感染症患者療養環境特別加算:2 陰圧室加算 200点(1日につき)

  • 二類感染症患者相当の取扱いとして,個室ないし陰圧室に入院させた場合に算定可(ただし当該加算の算定可能入院基本料算定時に限る)
  • A210:2との併算も要件を満たせば可

A101 療養病棟入院基本料 注6 在宅患者支援療養病床初期加算  350点

A308-3  地域包括ケア病棟入院料 注5 在宅患者支援病床初期加算  300点

(いずれも1日につき,14日限度) 

地域包括ケア病棟ないし療養病棟に入院している新型コロナウイルス感染症患者に対して算定可

特定集中治療室管理料等と同等の人員配置とした病棟における算定(柔軟な対応)

  • 新型コロナウイルス感染症患者の受入れのために,特定集中治療室管理料等(救命救急入院料,特定集中治療室管理料,ハイケアユニット入院医療管理料をいう。以下同じ)と同等の人員配置とした病棟で,当該感染症患者又は当該入院料算定病棟で受け入れるべきであった患者を受け入れた場合,「簡易な報告」を行うことにより,特定集中治療室管理料等の算定が可
  • 「簡易な報告」の様式は,「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その12)」(令和2年4月18日厚生労働省保険局医療課事務連絡)の別紙1,2を参照
  • 患者又はその家族等に対して,当該特例的対応の趣旨等について十分に説明すること
  • 当該入院料を算定する病棟に入院した理由等,報告に用いた書類(別紙1,別紙2等の様式), 配置職員の勤務実績を記録し,保管しておくこと

救命救急入院料の代替的な算定(柔軟な対応)

  • 新型コロナウイルス感染症患者の受入れ等により特定集中治療室管理料等算定病棟に入院できない場合,患者の同意を得た上で,入院元を問わず救命救急入院料を算定可
  • 患者又はその家族等に対して,当該特例的対応の趣旨等について十分に説明すること
  • 本来入院すべき病棟の種別,本来入院すべき病棟に入院できない理由及びその期間,当該病棟と同等の人員配置とした病棟に入院する必要性を記録し,当該患者のカルテ等と併せて閲覧できる状態で保管しておくこと

2020年5月15日号TOP