2020年11月15日号
2020年10月28日現在
Q1.診療・検査医療機関とは?
(A)インフルエンザ流行期における新型コロナウイルスに対する相談・診療・検査体制として,京都府から指定を受けた医療機関です。京都府・京都市と府医は,唾液を検体とするPCR検査に係る集合契約を結んでいますが,この集合契約に参加している医療機関が原則,「診療・検査医療機関」となる予定です。
Q2.集合契約医療機関になるには?
(A) 医療機関が「新型コロナウイルス感染症に係る行政検査(PCR検査)の委託契約に関する委任状」を府医に提出することによって,京都府・京都市と契約を締結したことになります。この集合契約に参加すると行政検査を行うことができます。
Q3.集合契約医療機関で行う行政検査とは?
(A) 発熱など有症状者に対する唾液を検体とするPCR検査およびCOVID-19抗原定量検査,鼻腔ぬぐい液を検体とするPCR検査,抗原定量検査,抗原定性検査のことを指します。検査費用は公費で負担されます。
Q4.集合契約を結ばず,COVID-19抗原定性検査キットを入手し検査を行うことができるか。その場合でも,陽性となれば届出が必要か。
(A) 国は,すべてのCOVID-19検査については患者自己負担がないことを求めています。患者自己負担分を公費でまかなうためには,集合契約医療機関として行政検査を行うことになります。集合契約をしていない医療機関で抗原定性検査を行った場合は,患者自己負担が発生する通常の保険診療の扱いができません。自由診療扱いになります。その場合でも陽性の時は,発生届の提出は必要です。
Q5.行政検査と保険診療で行う検査はどう違うのか?
(A) 新型コロナウイルス感染症は感染症法で定められた指定感染症(2類相当)であり,検査の費用は公費で賄われ,患者自己負担はありません。かかりつけ医(集合契約医療機関)で行うPCR検査は保険を使用しますが,患者の自己負担分は公費で賄われます。そのためには,京都府・京都市と契約を結ぶ必要があります。京都府では府市と府医が集合契約を結ぶことによって,会員の契約を簡素化しています。府医に届け出ていただくことで,契約が完了します。
Q6.行政検査の保険請求方法は?
(A) 請求方法の詳細は京都医報8月1日号「保険だより」をご参照ください。COVID-19検査のPCR検査1,800点+微生物学的検査判断料150点の合計1,950点,あるいは抗原検査は600点+免疫学的検査判断料144点の744点となります。患者窓口負担分が公費で賄われ,後ほど行政から支払われますが,COVID-19検査以外(初診料,処方料,その他の検査など)は通常の保険診療となりますので,その自己負担分は患者に請求してください。
Q7.鼻腔ぬぐい液の抗原定性検査も,唾液PCRと同じようにレセプトでの詳記が必要か?
(A) そのとおり。行政検査を行った場合は検査日,検査実施の理由などのコメントを記載してください。
Q8.新型コロナ抗原検査で陰性の者に対し,PCRが必要と考えられる場合,府医検査センターへの誘導が推奨されているが,自院で唾液PCR検査を行うことはできるのか。
(A) COVID-19検査として,抗原検査とPCR検査の両方を公費負担でできるとは記載されていません。同一日に重複請求しないために,自院で抗原検査をされた上でPCR検査が必要と考えられた場合は,府医PCR相談検査センターに依頼していただければ,重複請求になりませんので,考慮していただくことをお勧めします。
Q9.集合契約のための要件に,動線の分離とあるが,どうすればよいか?
(A) 発熱患者とその他の患者とができるだけ接触しないように工夫をお願いします。新型コロナウイルス感染症の疑いがあるかないかに拘わらず,患者には,外来受診時に必ずマスクを着用していただくとともに,入室時の手指消毒の徹底などをお願いします。また,発熱患者の受診時間を指定するなどで時間的・空間的分離を行うことも方法として考えられます。
Q10.特養の診療所は集合契約に参加できるか?
(A) 診療所の管理者である医師が府医会員であれば,府医に前述の委任状を提出することで参加できます。
Q11.検体採取の際の感染予防策は?
(A) 唾液採取では,検体を受け取る際にはサージカルマスクと手袋の装着が必要。
鼻腔ぬぐい液採取で,患者の自己採取の場合も同様。
鼻腔ぬぐい液を医療者が採取する場合は,サージカルマスク,手袋,眼の保護(ゴーグル,アイシールド,フェイスガード等),ガウン着用が必要です。
いずれも接触感染予防としての環境清拭,手指消毒および換気は励行してください。
Q12.検体採取で,「鼻腔・咽頭拭い液採取」5点の扱いは?
(A) 検体採取料は公費対象外です。
Q13.集合契約医療機関でCOVID-19検査を行う際に疑似症届を出すのか?
(A) 感染症法政省令の一部改正により,疑似症届を出すのは入院を要する場合のみとなりました。しかし,検査を実施した当日に検査結果が判明しない場合は,実施した医療機関でHER-SYSで疑似症届を入力することになります。
Q14.鼻腔ぬぐい液の抗原定性検査で陽性と判明した場合の対応は?
(A) 直ちにHER-SYSに陽性結果の入力をお願いします。患者には陽性であることを伝えてください。この際,保健所から入院などの連絡があるまで自宅待機すること,同居者への感染対策について説明・指導をお願いします。
Q15.抗原検査で陰性の場合,新型コロナ感染の可能性は低いと考え,PCRに進まず,内服処方や経過観察としてよいか。
(A) 構いません。但し,偽陰性である可能性が否定できませんので,症状が治まるまでは自宅療養とし,また周囲への感染対策を施すことと,発症後10日間は健康観察期間であることをご説明ください。
Q16.COVID-19検査で陽性の場合,入院,宿泊療養,自宅療養は保健所が決めるのか?
(A) 65歳以上,基礎疾患を持つ者等が入院対象となります。「京都府入院医療コントロールセンター」で入院の調整を行います。かかりつけ医は患者の症状や合併症を伝えるなど,入院先の決定にご協力をお願いします。
Q17.陽性者が自宅療養していて,症状悪化があれば,どこが対応するのか?
(A) 症状悪化の場合は,保健所が対応します。保健所からの要請で「京都府入院医療コントロールセンター」が入院先を調整します。患者からかかりつけ医に相談があった場合も保健所を通じて入院先を調整することにご協力をお願いします。
Q18.鼻腔ぬぐい液の抗原定性検査で陰性の場合は?
(A) 発症2日目から9日目までに実施した場合は,陰性と扱います。ただし偽陰性の可能性があるので,症状が治まるまで自宅療養,発症後10日間は健康観察期間であることを説明してください。健康観察中はマスク,手指の消毒の励行など,他人に感染させないための行動をとるよう指導をお願いします。なお,陰性であってもCOVID-19が否定しきれないと考えた場合は,「京都府・医師会京都検査センター」による鼻咽頭ぬぐいのPCR検査で是非確認をお願いします。
Q19.唾液検体や鼻腔ぬぐい液検体を自宅で採取して持参することは可能か?
(A) できません。検体の採取は医師等の監視のもとで行うことが基本です。但し,受診あるいは検査施設への移動が困難な要介護者等の場合,在宅医療医師あるいは訪問看護師等が採取,あるいはこれらの監視のもとで,家人が鼻腔ぬぐい液を採取することは可能と考えます。
Q20.鼻腔ぬぐい液の採取は,医療者しかできないのか?
(A) 医師等の監視下で,検査を受ける者の自己採取が可能です。
Q21.発熱者でインフルエンザとCOVID-19の検査を同時にする場合の検体採取は?
(A) 鼻腔ぬぐい液で行います。鼻かみ液はインフルエンザ検査で使用可能ですが,COVID-19検査では認められていません。また,唾液はインフルエンザ検査での使用が認められていません。これらの組み合わせで検査を行うことは可能です。事情に合わせてご検討をお願いします。
Q22.インフルエンザ抗原検査のみの咽頭ぬぐい液採取において,透明なビニールのついたてを患者との間に立てビニールカーテンの間から採取すれば,飛沫を浴びなくてすむので,ガウンの代わりとして使用できないか?
(A) インフルエンザ抗原迅速検査では,鼻腔ぬぐい液採取で行うことを府医はお勧めしています。患者の自己採取の場合は,ガウン着用は必要ありません。医療者が鼻腔ぬぐい液採取をする場合は,サージカルマスク+手袋+眼の保護+ガウン装着が必要となります。患者の正面からではなく,横からのアプローチと,鼻だけを出した患者にはマスクの両端を押さえていただければ飛沫による曝露はかなり減ると考えます。ご質問にある方法で,飛沫による曝露を減ずることは可能だと思いますが,実際に行う場合に採取する医療者の上肢をアームカバーで覆うなどの工夫が必要です。
Q23.インフルエンザとCOVID-19検査のどちらを先にするのか?
(A) ワンプレートで両方の検査ができるキット以外では,COVID-19抗原定性検査キットで採取した検体浮遊液はインフルエンザ検査でも使用できます。
例えば,鼻かみ液でインフルエンザ迅速検査をしてから,唾液検体PCR検査を行う方法もあります。
インフルエンザ・COVID-19の検体抽出液の共有ができる場合があるので,それぞれのキットの添付文書に従ってください。
Q24.インフルエンザの可能性が高いと診断し,タミフルなどを処方し,診断書も発行した。その後,当該例が新型コロナと判明した場合,これは誤診と判断されることになるのか。
(A) COVID-19の可能性が否定しきれないことを十分に説明しその旨をカルテに記載していれば,そのような判断にはならないと考えます。
Q25.インフルエンザとCOVID-19検査を同時に行った場合,請求はどう扱うのか?
(A) COVID-19検査は,「Q6.」のとおり行政検査として請求します。インフルエンザ検査は,通常の保険請求となります。但し,免疫学的検査判断料を行政検査で請求した場合,インフルエンザでは保険請求できません。
Q26.COVID-19抗原定性検査キットの生産は?
(A) 国内三社から製造・発売されており(エスプラインⓇSARS-CoV-2,クイックナビⓇ-COVID19Ag,イムノエースⓇSARS-CoV-2/キャピリアⓇSARS-CoV-2),これらの製品は厚労省から行政検査として使用することが認められている。
Q27.COVID-19抗原定性検査キットは集合契約医療機関に配布されるのか?
(A) 各医療機関が卸売業者に発注して入手してください。京都府と府医は,府内の流通状況を確認し,円滑な流通を確保するため,メーカー・卸売業者と協議を行います。
Q28.集合契約医療機関が「診療・検査医療機関」として指定されるのか?
(A) 原則として,集合契約医療機関は「診療・検査医療機関」として京都府からを受けることとなります。制度の発効までに時間が無いことが理由です。指定を辞退することはいつでもできます。また,集合契約に参加することによって指定を受けることもいつでもできます。
なお,「診療・検査医療機関」は,原則,ホームページ等で公表されることはありません。
Q29.「診療・検査医療機関」は,いつ指定されるのか?
(A) 2020年11月1日付で指定されますが,その後は随時の指定となります。
Q30.「診療・検査医療機関」は,検査をする体制が必要か?
(A) COVID-19検査ができる集合契約医療機関であることが指定の条件となります。
Q31.「診療・検査医療機関」は公表されるのか?
(A) 原則,ホームページ等での公表はしません。
Q32.公表される医療機関があるのか?
(A) 自院のかかりつけ患者以外を受け入れるとした医療機関については,京都府から別途,意向調査があります。この場合,「新型コロナ医療相談センター」および保健所から受診可能医療機関として案内するため,行政側と情報共有されることになります。ホームページ等による公表はありません。
Q33.G-MIS(新型コロナウイスル感染症医療機関等情報支援システム)の入力が必要と聞いたが?
(A) 「診療・検査医療機関」はIDを付与され,日々の実績(発熱患者数,COVID-19検査実施数等)と医療資材の在庫状況(週次)の入力をお願いします。
<日々の実績(可能な限り日々の実績を翌日13時までに入力)>
※入力ができなかった場合は,必ず後日入力してください。
【報告項目】
(1)診察室数
(2)診療・検査医療機関としての開設時間
(3)開設時間内における発熱患者数
(4)新型コロナウイルス検査実施(検体採取)総人数
①無症状者の希望に基づく検査等
②PCR検査実施人数
③抗原定量検査実施人数
④抗原定性検査(簡易キット)実施人数
<医療資材の状況(毎週水曜日13時までに入力)>
※医療資材:サージカルマスク,N95マスク(DS2,KN95含む),ゴーグル,防護服,フェイスシールド,サージカルガウン,アイソレーションガウン,非滅菌手袋,滅菌手袋,手指消毒用アルコール,スワブ(検体採取用)およびその他必要な資材
【報告項目】
(1)G-MIS入力日前日時点の在庫量
(2)現在の在庫の備蓄見通し
(3)今後1週間あたりの想定消費量
(4)先週1週間の物資の購入量
(5)今後1週間に購入できる見込量
(6)主要取引(卸売業者名)
Q34.京都府・医師会検査センターの設置で,かかりつけ医からの直接紹介でPCR検査を受けられる体制が整備されているが,秋,冬に向けてさらに基幹病院などで医院から紹介可能な発熱外来を新たに設置されるなどの情報はあるのか。
(A) 接触外来をもつ医療機関の新たなものの情報はありません。発熱患者の受入体制がない診療所などから紹介できるのは,「診療・検査医療機関」として指定されたうちで自院以外の患者を受け入れることを承諾している医療機関がそれに相当します。自院の患者以外を受け入れる「診療・検査医療機関」は,京都府に同意した上で,新型コロナ診療相談センターや保健所に情報共有されることになります(ホームページなどへの公開はありません)。
Q35.在宅や,施設入所の高齢者が発熱した場合など,入院が必要だが新型コロナ感染の懸念が生じるとスムーズに受け入れてもらえないケースが生じている。在宅療養あんしん病院でうたわれているような病院とかかりつけ医のスムーズな連携が今こそ重要である。
(A) 仰るとおりです。府医の地域ケア委員会で,この連携について意見交換がされています。
Q36.インフルエンザ流行期における発熱外来診療体制確保支援補助金は「診療・検査医療機関」が対象か?
(A) そのとおり。発熱患者を受け入れて,COVID-19検査が実施できる医療機関が対象となります。
Q37.自院の患者だけ対応する医療機関は,その旨を申し出るのか?
(A) 府医としては,集合契約医療機関は自院の患者のみに対応することを前提にしています。
紹介患者も受け入れる医療機関は別途京都府から意向調査があります。
Q38.インフルエンザ流行期における発熱外来診療体制確保支援補助金の申請はどうするのか?
(A) 厚労省のホームページに掲載されている書式に記入して,各医療機関から申請していただきます。
京都府から「診療・検査医療機関」として指定された指令書(指定通知書)の写しが必要です。
<厚生労働省ホームページ>
「令和2年度インフルエンザ流行期に備えた発熱患者の外来診療・検査体制確保事業」について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou18/index_00012.html
Q39.補助金の上限20名としたいが,構わないか?
(A) 対応可能な人数でお願いします。
補助金の算定基準が以下のとおりです。
(1) 自院のかかりつけ患者および自院に相談のあった発熱患者に対して診療・検査を実施する場合,国が定める基準患者数は1日5人(体制を2時間以上確保した場合※)です。
<自院の患者のみ受け入れる場合の基準発熱患者数>
(2) 京都府・京都市協調で設置する新型コロナ医療相談センターや,同じ地区医会員から発熱患者等の紹介を受けて診療・検査を実施する場合,国が定める基準発熱患者数は1日20名(体制を7時間以上確保した場合※)です。
※基準発熱患者数は体制を確保した時間数によって変わります。
<紹介患者も受け入れる場合の患者数>