保険だより – 新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話等を用いた診療等の時限的・特例的な取り扱いについて

 京都医報5月1日号保険だよりにて既報のとおり,厚労省が4月10 日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱い」を発出し,初診からの電話等による診療が臨時的に認められているところです。
 今般,厚労省の「第10 回オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」において,4月から6月までの実施状況について検証が行われ,今後の時限的・特例的な取り扱いに関する留意事項が示されましたのでお知らせします。
 なお,日医も検討会の場において,下記の1と3について厳しく現状の是正・改善を求めたところです。実施されている医療機関においてはご留意ください。

1.初診からの電話や情報通信機器を用いた診療の実施について
(1)初診からの電話や情報通信機器を用いた診療の実施の要件の遵守の徹底について,以下の要件を遵守しない処方が見られたことから,初診から電話や情報通信機器を用いた診療を実施する医療機関は当該要件の遵守を徹底すること。
 ①麻薬及び向精神薬を処方してはならないこと
 ②診療録等により当該患者の基礎疾患の情報が把握できない場合は,処方日数は7日間を上限とすること
 ③診療録等により当該患者の基礎疾患の情報が把握できない場合は,診療報酬における薬剤管理指導料の「1」の対象となる薬剤の処方をしてはならないこと
 また,当該要件を遵守しない処方が行われた医療機関については,厚生労働省から都道府県へ情報提供を行うこととするので,情報提供を受けた都道府県は,当該医療機関における電話や情報通信機器を用いた診療の実態を調査の上,行為の速やかな停止を勧告するなど必要な指導を行うこと。また,かかる調査や指導等の結果については,厚生労働省に随時情報提供すること。

(2)初診から電話や情報通信機器を用いた診療を実施する際の留意事項について
 医療機関の所在地から大きく離れた地域の患者に対して診療が行われた事例が見られたが,概ね医療機関と同一の2次医療圏内に生活・就労の拠点を有する患者を対象とすることが望ましいことから,初診から電話や情報通信機器を用いた診療を実施する医療機関は,その点を踏まえた上で実施するよう留意すること。

2.初診からの電話や情報通信機器を用いた診療の実施状況の報告について
 初診から電話や情報通信機器を用いた診療や受診勧奨を行う医療機関は,検討会での議論を踏まえ,報告の様式を次頁のとおり変更することとし,9月以降の実施状況については,変更後の様式により,所在地の都道府県に報告を行うこと。各都道府県においては,引き続き,管下の医療機関における毎月の実施状況をとりまとめ,厚生労働省に報告を行うこと。
※報告書の様式は,京都府の医療機関・医療情報検索サイト「京都健康医療よろずネット」の「京都府からのお知らせ」をご参照ください。

3.研修の受講について
 時限的・特例的な取扱いが継続している間は,厚生労働省が策定した「オンライン診療の適切な実施に関する指針」( 令和元年7月改訂) で求めている研修の受講をしていない医師が,オンライン診療及び4月10 日付事務連絡に基づく電話や情報通信機器を用いた診療を実施しても差し支えないことが示されたところ,検討会において,本会より不適切な事例等を受けて当該研修の受講を強く要求した結果,可能な限り速やかに当該研修を受講するよう努め,遅くとも令和3年3月末までには受講することとされたこと。

2020年10月1日号TOP