保険だより – 材料価格基準の一部改正等について 9月1日から

 8月31日付厚生労働省告示第304号をもって材料価格基準の一部が改正されるとともに,8月31日付保医発0831第1号厚生労働省保険局医療課長通知をもって「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和2年3月5日保医発0305第1号)等の一部が改正され,令和2年9月1日から適用されましたのでお知らせします。
 今回の改正は,医療機器が保険適用されたこと等によるものです。

▷新たに機能区分及び保険償還価格が設定された医療機器等(9月1日適用)

1.集束超音波治療装置
【販売名】 MRガイド下集束超音波治療器ExAblate4000(InSightec Japan株式会社)

〔決定区分〕 区分A3(特定包括・既存技術・変更あり)
〔特定診療報酬算定医療機器の区分〕 集束超音波治療装置
〔対応する診療報酬項目〕 K154-4 集束超音波による機能的定位脳手術
〔主な使用目的〕
 本品は頭蓋外部から集束超音波を照射することにより標的とする領域を局所的に加熱,壊死させる集束超音波治療器であり,以下の目的で使用する。
 (1) 視床を標的とし薬物治療で十分に効果が得られない本態性振戦及びパーキンソン病における振戦症状の緩和
 (2) 淡蒼球を標的とし,薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病(脳深部刺激術が不適応の患者に限る)における運動症状の緩和

<関連する告示・通知の改正>
「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和2年3月5日付保医発0305第1号)の一部改正(令和2年8月31日付保医発0831第1号)

2.大動脈用ステントグラフト
【販売名】 Ovation腹部ステントグラフトシステム(日本ライフライン株式会社)

〔決定区分〕 区分C1(新機能)
〔保険償還価格〕1,430,000円
〔決定機能区分〕
 146 大動脈用ステントグラフト (1)腹部大動脈用ステントグラフト(メイン部分) ③ポリマー充填型
〔主な使用目的〕
 本品は,腎動脈下腹部大動脈瘤の治療に用いられ,以下の解剖学的条件をいずれも満たす患者へ使用する。
 ・血管形態が血管内治療に適していること。
 ・腸骨動脈及び大腿動脈の血管径,形態等が血管アクセス法,デリバリーシステムの挿入及び各種併用医療機器の使用に適していること。
 ・低位腎動脈より13mm末梢側の大動脈径が16mm~30mmの範囲であること。
 ・中枢ネックの角度は,中枢ネック長が10mm以上の場合60度以内であること。中枢ネック長が10mm未満である場合,中枢ネックの角度は45度以内であること。
 ・腸骨動脈末梢側ランディングゾーンの血管長が10mm以上であること。
 ・腸骨動脈末梢側ランディングゾーンの血管径が8mm~20mmの範囲であること。
 ・低位腎動脈から35mm中枢側の大動脈径は選択したボディサイズに適した範囲内であること。

<関連する告示・通知の改正>
 (1) 「材料価格基準」(平成20年3月5日付厚生労働省告示第59号)の一部改正(令和2年8月31日厚生労働省告示第304号)

 (2) 「特定保険医療材料の定義について」(令和2年3月5日付保医発0305第12号)の一部改正(令和2年8月31日付保医発0831第1号)

3.片側型人工膝関節
【販売名】 MCKシステム(日本ストライカー株式会社)

〔決定区分〕 区分C1(新機能)
〔保険償還価格〕
 ① MCK大腿骨コンポーネント 157,000円
 ② MCK脛骨ベースプレート  118,000円
〔決定機能区分〕
 ① 058 人工膝関節用材料 (1)大腿骨側材料 ④片側置換用材料(関節固定型)
 ウ 手術用支援機器専用型
 ② 058 人工膝関節用材料 (2)脛骨側材料 ④片側置換用材料(関節固定型)
 イ 手術用支援機器専用型
〔主な使用目的〕
 本品は,片側膝関節置換術における片側大腿骨顆の摺動面及び対応する脛骨顆の置換を目的とする。
※手術用ロボット手術ユニット(販売名:Makoシステム)専用のインプラント

<関連する通知の改正>
 (1) 「材料価格基準」(平成20年3月5日付厚生労働省告示第59号)の一部改正(令和2年8月31日厚生労働省告示第304号)

 (2) 「特定保険医療材料の定義について」(令和2年3月5日付保医発0305第12号)の一部改正(令和2年8月31日付保医発0831第1号)

4.頸動脈用ステント
【販売名】 CASPER Rx 頸動脈用ステント(テルモ株式会社)

〔決定区分〕 区分C1(新機能)
〔保険償還価格〕180,000円
 ※迅速な保険導入による加算の適用により,令和4年8月31日まで184,000円
〔決定機能区分〕
 133 血管内手術用カテーテル (14)頸動脈用ステントセット イ 特殊型
〔主な使用目的〕
 本品は,経皮経管的に頸部頸動脈(総頸動脈,内頸動脈)の狭窄部位に挿入・留置することにより血管内腔を拡張・維持する目的で使用されるステントシステムである。本品は標的血管径が4.0mmから9.0mmの範囲にあり,超音波検査又は血管造影検査等にて総頸動脈又は内頸動脈の狭窄率が症候性の場合50%以上,無症候性の場合80%以上の狭窄が認められる患者に使用される。

<関連する通知の改正>
 (1) 「材料価格基準」(平成20年3月5日付厚生労働省告示第59号)の一部改正(令和2年8月31日厚生労働省告示第304号)

 (2) 「特定保険医療材料の定義について」(令和2年3月5日付保医発0305第12号)の一部改正(令和2年8月31日付保医発0831第1号)

5.人工鼻,整形外科用テープ,再使用可能な気管切開チューブ,気管食道用スピーチバルブ
【販売名】 プロヴォックスVega(株式会社アトスメディカルジャパン)

〔決定区分〕 C1(新機能)
〔保険償還価格〕
 ①  492円
 ② 1,000円
 ③  675円
 ④ 17,800円
 ⑤ 22,100円
 ⑥ 51,100円
〔決定機能区分〕
 ① 015 人工鼻材料 (1)人工鼻 ①標準型,207 人工鼻材料 (1)人工鼻 ①標準型
 ② 015 人工鼻材料 (1)人工鼻 ②特殊型,207 人工鼻材料 (1)人工鼻 ②特殊型
 ③ 015 人工鼻材料 (2)接続用材料 ①シール型,207 人工鼻材料 (2)接続用材料 ①シール型
 ④ 015 人工鼻材料 (2)接続用材料 ②チューブ型,207 人工鼻材料 (2)接続用材料 ②チューブ型
 ⑤ 015 人工鼻材料 (2)接続用材料 ③ボタン型,207 人工鼻材料 (2)接続用材料 ③ボタン型
 ⑥ 015 人工鼻材料 (3)呼気弁,093 人工喉頭 (2)呼気弁
〔主な使用目的〕
 【人工鼻】
 気管孔に取り付けられた気管切開チューブ又は固定用テープに装着し,患者の呼吸の熱と水分を捕捉し,呼吸を支援することを目的とする。
 ①エクストラフローHME,エクストラモイストHME,ルナHME,フリーハンズHME
 ②マイクロンHME
 【整形外科用テープ】
 人工鼻の接続部を有するシールであり,気管孔に合わせて貼ることで,人工鼻を永久気管孔に固定することを目的とする。
  ③フレキシダーム,オプティダーム,スタビリベース,エクストラベース,ルナアドヒーシブ
 【再使用可能な気管切開チューブ】
 気管切開時に気管に作製された人工開口部に挿入する器具であり,気道を確保することを目的とする。
 ④ラリチューブ
 ⑤ラリボタン
 【気管食道用スピーチバルブ】
 手指を用いずに発声することを目的とする。
 ⑥フリーハンズフレキシボイス

<関連する通知の改正>
 (1) 「材料価格基準」(平成20年3月5日付厚生労働省告示第59号)の一部改正(令和2年8月31日厚生労働省告示第304号)

 (2) 「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和2年3月5日付保医発0305第1号)の一部改正(令和2年5月29日付保医発0529第1号)

 (3) 「特定保険医療材料の材料価格算定に関する留意事項について」(令和2年3月5日保医発0305第9号)の一部改正(令和2年8月31日付保医発0831第1号)

 (4) 「特定保険医療材料の定義について」(令和2年3月5日付保医発0305第12号)の一部改正(令和2年8月31日付保医発0831第1号)

6.除細動機能付植込み型両心室ペーシングパルスジェネレータ
【販売名】 ① Viva CRT-D シリーズ,② Claria MRI CRT-Dシリーズ(日本メドトロニック株式会社)

〔決定区分〕 区分C1(新機能)※チャレンジ申請
〔保険償還価格〕
 ① 4,440,000円
 ② 4,750,000円
〔決定機能区分〕
 ① 144 両室ペーシング機能付き植込型除細動器 (1)単極又は双極用 ③抗頻拍ペーシング機能付き
 ② 144 両室ペーシング機能付き植込型除細動器 (2)4極用 ③抗頻拍ペーシング機能付き
〔主な使用目的〕
 至適薬物療法が行われているにもかかわらず,症状が改善しない1)の(1)又は(2)の基準のすべてを満たす心不全患者であり,2)又は3)を満たす患者(ただし,一過性又は可逆性の原因に由来するものを除く。)の症状改善を目的とする。
 なお,「Claria MRI CRT- Dシリーズ」は,撮像可能条件に適合する場合にのみ限定的にMRI検査を行うことが可能となる機器である。
 1)対象とする心不全患者
 (1)・NYHAクラスⅡ(軽度)
 ・左室駆出率30%以下(左室収縮機能不全)
 ・QRS幅150ms以上(心室内伝導障害)
 ・左脚ブロック  ・洞調律
 (2)・NYHAクラスⅢ又はⅣ(中等度,重度)
 ・左室駆出率35%以下(左室収縮機能不全)
 ・QRS幅120ms以上(心室内伝導障害)
 2)次のいずれかの心臓突然死のリスクをもつ患者
 ・致死性不整脈による心停止(意識消失が明白)からの蘇生既往。
 ・血行動態が破綻する心室頻拍又は心室細動。
 ・非持続性心室頻拍が確認され,かつ電気生理学的検査によって心室頻拍又は心室細動が誘発される。
 3)本邦における植込み型除細動器の埋込み基準に適合する患者

<関連する通知の改正>
 (1) 「材料価格基準」(平成20年3月5日付厚生労働省告示第59号)の一部改正(令和2年8月31日厚生労働省告示第304号)

 (2) 「特定保険医療材料の定義について」(令和2年3月5日付保医発0305第12号)の一部改正(令和2年8月31日付保医発0831第1号)

7.除細動機能付植込み型両心室ペーシングパルスジェネレータ
【販売名】 RESONATE CRT- Dシリーズ(ボストン・サイエンティフィックジャパン株式会社)

〔決定区分〕 区分C1(新機能)※チャレンジ申請
〔保険償還価格〕
 ① 3,780,000円
 ② 4,190,000円
〔決定機能区分〕
 ① 144 両室ペーシング機能付き植込型除細動器 (1)単極又は双極用 ④長期留置型
 ② 144 両室ペーシング機能付き植込型除細動器 (2)4極用 ④長期留置型
〔主な使用目的〕
 本装置は,能動植込み型医療機器であり,心不全症状を改善するために両心室を電気的に刺激し,左右心室の収縮を同期させる心臓再同期療法(CRT:Cardiac Resynchronization Therapy)を主目的とする。さらに,心臓活動を感知するセンシング機能を有し,徐脈検出時にはペーシングによる治療を行い,頻拍検出時には除細動機能又は抗頻拍ペーシング(ATP)機能により治療を行う。
 なお,本装置にはMRI保護モードを有するモデルが含まれており,MRI使用条件に適合する場合にのみ限定的にMRI検査を行うことが可能となる。
 適応:至適薬物療法が行われているにもかかわらず,症状が改善しない①の(1)又は(2)の基準のすべてを満たす心不全患者であり,②又は③を満たす患者(ただし,一過性又は可逆性の原因に由来するものを除く。)の症状改善を目的とする。
①対象とする心不全患者
 (1)・NYHAクラスⅡ(軽度)
 ・左室駆出率30%以下(左室収縮機能不全)
 ・QRS幅150ms以上(心室内伝導障害)
 ・左脚ブロック  ・洞調律
 (2)・NYHAクラスⅢ又はⅣ(中等度,重度)
 ・左室駆出率35%以下(左室収縮機能不全)
 ・QRS幅120ms以上(心室内伝導障害)
②次のいずれかの心臓突然死のリスクをもつ患者
 ・致死性不整脈による心停止(意識消失が明白)からの蘇生既往。
 ・血行動態が破綻する心室頻拍又は心室細動。
 ・非持続性心室頻拍が確認され,かつ電気生理学的検査によって心室頻拍又は心室細動が誘発される。
③本邦における植込み型除細動器の埋込み基準に適合する患者

<関連する通知の改正>
 (1) 「材料価格基準」(平成20年3月5日付厚生労働省告示第59号)の一部改正(令和2年8月31日厚生労働省告示第304号)

 (2) 「特定保険医療材料の定義について」(令和2年3月5日付保医発0305第12号)の一部改正(令和2年8月31日付保医発0831第1号)

8.超音波手術器
【販売名】 スマートキュレット(株式会社メディカルユーアンドアイ)

〔決定区分〕 区分C2(新機能・新技術)
〔保険償還価格〕
 特定保険医療材料ではなく,新規技術料にて評価する。
  準用技術料
  K002 デブリードマン
   1 100平方センチメートル未満 1,260点
   2 100平方センチメートル以上3,000平方センチメートル未満 4,300点
   3 3,000平方センチメートル以上 10,030点
  注4 水圧式デブリードマン加算 2,500点
〔主な使用目的〕
 本品は,軟組織の切除に使用する。主にデブリードマンに使用するものである。

<関連する告示・通知の改正>
 「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和2年3月5日付保医発0305第1号)の一部改正(令和2年5月29日付保医発0529第1号)

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