2020年10月15日号
今般,厚生労働省医政局長より「令和2年度の医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査の実施について」(通知①)および「医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査要綱の一部改正について」(通知②)が発出されましたので,お知らせいたします。
通知①は,令和2年度の立入検査の実施にあたっての留意事項をまとめたものであり,地方自治法の規定による技術的な助言です。留意事項の概要は,前年度通知と同様,「Ⅰ.安全管理のための体制の確保等について」,「Ⅱ.院内感染防止対策について」,「Ⅲ.最近の医療機関における事件等に関連する事項について」,「Ⅳ.立入検査後の対応その他」に分けられております。
通知②は,今後の立入検査の実施にあたっての参考として,要綱の一部が改正されたことの了知を求めるものです。
両通知の前年度からの主な改正点については,以下をご確認いただきますようお願いいたします。
なお,「令和2年度医療法第25条第1項及び第3項の規定に基づく立入検査の実施について」(令和2年5月12日付事務連絡)に基づき,令和2年度に立入検査を実施しないこととした病院については,令和3年度立入検査の実施をもって,令和2年度立入検査も実施したものとみなすこととされています。
1 医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査要綱
【要綱の改正を要する主な要素】
● 診療放射線に係る安全管理(施行規則第1条の11第2項第3号の2)
医療法施行規則の一部を改正する省令(平成31年厚生労働省令第21号)が2019年3月11日に公布され,このうち,診療用放射線に係る安全管理体制に関する規定については2020年4月1日に施行されることになったことによる改正。
(改正内容)
● 診療放射線に係る安全管理体制の追加
・診療放射線に係る安全管理のための責任者の配置
・診療用放射線の安全医療のための指針の策定(ガイドライン 令和元年10月3日医政地発1003第5号)
・放射線診療に従事する者に対する診療用放射線の安全利用のための研修の実施
・放射線を受ける者の当該放射線による被ばく線量の管理及び記録その他の診療用放射線の安全利用を目的とした改善のための方策の実施(線量管理,線量記録,情報等の収集と報告)
[参考(医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査要綱(令和2年9月))]
https://www.kyoto.med.or.jp/info/wordpress/wp-content/uploads/2020/10/d09af0e16e55ca7b97ff7a671942bb92.pdf
2 令和2年度の医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査の実施について(医政局長通知)
(改正内容)
● 放射線業務従事者等に対する線量測定等の徹底及び目の眼の水晶体被ばくに係る放射線障害防止対策の再周知
・現在実施している外部被ばくによる線量及び内部被ばくによる線量の測定について,医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第30条の18第1項に規定する放射線診療従事者等に対して適切に実施しているか確認
・外部被ばくによる線量の測定について,医療法施行規則第30条の18第2項第2号に基づき,放射線測定器を適切な位置に装着して実施しているか確認
● 病院におけるアスベスト(石綿)対策について
・ばく露のおそれがある場所を有している病院,分析調査依頼中又は分析調査依頼予定の病院及び未回答の病院に対し,「病院におけるアスベスト(石綿)使用実態調査に係るフォローアップ調査の結果の公表及び今後の対応等について(通知)」(令和2年2月14日医政発0214第1号)に基づいた対応をしているか確認及び指導
● オンライン診療の適切な実施について
・「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(平成30年3月)等に基づき
①オンライン診療を実施する医療機関が診療計画を適切に作成及び保存していることを診療録等で確認
②「オンライン診療における不適切な診療行為の取扱いについて」(平成30年12月26日付)において示している医師法第20条に違反するおそれがある診療行為に該当しないことを診療録等で確認
③「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」(令和2年4月10日付け)により初診から電話や情報通信機器を用いた診療を行った医療機関がその実施状況等を都道府県に報告しているか等を確認