2021年8月1日号
6月20日(日),新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言下のため,感染拡大防止対策として,代議員の書面による議決権行使をもって議案の決議を行うこととし,Webでの開催となった。代議員数111名のうち94名より議決権行使書の提出があり,当日のWeb会議システムによる配信には代議員51名の参加を得た。
正・副議長の選出,松井府医会長の挨拶に引続き,第1号議案として「令和2年度事業報告及び決算」が上程された。松井府医会長からの総括報告,武田府医理事による会計決算報告を受けて,大坪府医監事より監査報告が行われ,賛成多数で可決承認された。
また,第2号議案「府医定款の改正」について武田府医理事より説明があり,先立って開催された定款検討特別委員会において,現在の府医の総務部,保険医療部,地域医療部,学術会員業務部,養成部の5つの部のうち,養成部を総務部に組み入れ,4つの部でより円滑に会務運営を行うため,副会長を現在の3名から4名に増やすことが協議・提案されたことを報告。副会長4名の体制を次期執行部から施行することと併せて,必要となる定款の改正が発議され,総代議員数の三分の二以上の賛成多数で可決承認された。
続いて,第3号議案「会長の任期満了に伴う改選(会長選挙)」,第4号議案「理事の任期満了に伴う改選(理事選挙)」,第5号議案「監事の任期満了に伴う改選(監事選挙)」,第6号議案「裁定委員の任期満了に伴う改選(裁定委員選挙)」,第7号議案「選挙管理委員会委員及び予備選挙管理委員会委員の任期満了に伴う選任(府医選管委員・予備選管委員選任)」がそれぞれ上程され,いずれも定数内で選任された。
今回は,感染拡大防止の観点から,できるだけ短時間での開催となるよう,代表質問は行わず,書面による質問を受け付け,後日,回答を行う形となった(本誌5頁参照)。
松井府医会長は,開会の挨拶に立ち,新型コロナウイルス感染症の今後の見通しについて,三度目の緊急事態宣言からまん延防止等重点措置へ移行した後も,府民には引続き感染防止のための行動をお願いするとともに,感染状況を見ながら徐々に制限を解除するという流れになるとしつつ,会員のご協力により京都府におけるワクチン接種が予想以上に進んでいることから,感染対策の大目標である「重症化する感染者が減少し,医療の逼迫状況を心配しなくてもよい」という状況を目指す段階に入ったとして,従来の感染対策と併せて,ワクチンによる感染予防によっていよいよ収束に向かいたいと展望を述べた。
また,これまでの京都府の感染状況として,昨年1月に新型コロナウイルスの感染者が初めて確認されてから現在まで約1年半の間に,4つの感染の波と,三度の緊急事態宣言・緊急事態措置を経験し,感染者数の累計が6月19日現在で16,449人,死亡者は235名であったことを報告。この間,PCR検査体制から診療・検査医療機関へのご協力をはじめ,自宅療養者と宿泊療養者の健康観察,さらにはワクチン接種において,過去に経験をしたことのない状況の中で,また,想定どおりにことが進まない困難な状況の中で,会員各位には深いご理解と強い使命感をもってご尽力をいただいたことに感謝の意を示した。
第4波では,変異株拡大の懸念から第3波以上に感染者が発生することを想定し,「感染者の隔離」という視点から,「治療を必要とする感染者に入院治療を行う」という視点に切り替えて入院のコントロールを行うこととしたため,軽症・無症状の感染者は宿泊療養,または自宅療養を基本としつつ,療養中の感染者の急変を見逃さないよう,自宅療養者,宿泊療養者には,会員のご協力による健康観察を行い,必要と判断した場合にCT検査や血液検査ができるよう,府内28の医療機関のご協力の下,陽性者外来を設置した上で,京都府入院医療コントロールセンターとの情報共有を密にしながら,観察中に入院が必要となった場合には速やかに入院に繋げる医療体制を構築してきたことを説明した。
また,宿泊療養施設においては,一部で薬剤投与とともに,必要に応じて酸素療法が行えるよう酸素吸入の設備を設置し,感染者数,重症者数ともに第3波を上回った第4波において,これらの体制が非常に効果的に機能したとの考えを示した。
京都府における死亡率が,全国平均1.80%に対して,1.39%であったことを紹介し,この結果は府医会員と行政,京都私立病院協会,京都府病院協会,そして,両大学病院が一体となって,まさにオール京都で取組み,実現できたものであると評価し,今後も引続きワクチン接種の効果,ウイルスの変異の状況などを見極めつつ,次に備えて医療体制を整えなければならないと述べた。
新型コロナウイルス感染症は,平時には気が付かなかった医療の大切さを再認識する契機となったとして,必要なときに必要な医療が受けられるという我が国の医療体制を絶対に守らなければならないと強調した。これらの経験から,パンデミックという災害とも言うべき状況において,必要な医療を守るためには,医師をはじめとする医療人と行政との連携がいかに重要であるか,また,必要な人に必要な医療を切れ目なく提供するためには医師・医療機関の連携が不可欠であることを改めて確認できたと述べ,より一層コロナ対策に力を注ぎ,医療関係者が一致して新型コロナウイルス感染症の一日も早い終息を目指すとともに,コロナ後も安心,安全な社会を目指し,必要な医療を担うために,府医として力を尽くすことに意欲を示した。
最後に,現執行部の2年間の活動へのご理解とご支援に謝意を述べるとともに,会員各位のより一層のご協力をお願いし,挨拶を締めくくった。
続いて開催された新執行部による臨時理事会において,新副会長の選任と会務分掌が決定され,代議員の先生方に紹介が行われた。松井府医会長より新執行部としての意気込みが述べられた後,北川府医副会長の挨拶をもって閉会した。
閉会後,今回退任となった神田益太郎理事,山下琢理事へ,松井府医新会長から労いの言葉とともに感謝状と記念品が手渡された。
【松井府医会長 挨拶】
本日は新執行部をご承認いただきまして誠にありがとうございました。
今回は,新型コロナウイルス感染症対応のさなかということで,概ね前期の執行部メンバーで継続してしっかりと対応にあたらせていただきたいと思っております。
ただし,その中でも新執行部の特徴といたしまして,おそらく全国的にも珍しいと思いますが,30歳代の若い勤務医である堀田先生に理事として加わっていただきました。新型コロナウイルス感染症が拡大している今の我が国では,少子高齢化が進み,社会の変化に対応するために,地域医療構想,医師偏在対策,そして働き方改革が進められております。将来の医療を担う主役であります若い先生方の代表として,堀田府医理事には医師会を経験していただき,医師会の中で議論していただき,私たちは若い先生方の考え方を尊重しながら,今後の医療のあり方,あるいは医師会のあり方を見定めていきたいと考えております。
また,左京医師会から市田府医理事にご参画いただきました。まさに地域医療の即戦力としてご活躍いただけるものと思っております。よろしくお願いいたします。
また,退任されました神田先生,山下先生には心から感謝申し上げます。今後は地域へお戻りいただきまして,府医で得られた知識と実力を思う存分に発揮していただき,地域で貢献していただきますようお願いいたします。また,地域から府医を叱咤激励していただければ幸いです。
医療を取り巻く状況は非常に厳しいですが,必要なときに必要な医療が受けられる医療制度を守らなければなりません。先生方のより一層のご指導とご鞭撻を賜りますことをお願いし,医師会の責務を全うすべく,執行部一同,精進してまいりますことをお誓いしまして,ご挨拶とさせていただきます。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
閉会に際しまして,また,新執行部からご挨拶申し上げます。
まずは,本日の代議員会に提出いたしましたすべての議案をご承認いただき,誠にありがとうございました。おかげをもちまして,新たに2人の先生を迎え,松井府医会長3期目の執行部をスタートすることができました。本日もウェブを用いた変則的な形での代議員会となりましたが,円滑な運営にご協力いただきました西村議長,片岡・堀澤両副議長に心より御礼申し上げます。
本日退任されます神田・山下両理事には,常に誠実に,そしてエネルギッシュに会務にあたっていただきました。本当にありがとうございました。お二人が築かれた数々の功績を活かし,今後もさらにそれを進めていくよう努めてまいりますので,これからもご助力をよろしくお願いいたします。また,特任理事の先生方には,理事会におきまして要所要所で豊富な経験,地域からの貴重なご指導をいただきまして,この場を借りて心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
さて,新型コロナウイルスの戦いは長期化し,会員の先生方には,求められる役割を果たすため,これまでに経験したことがないようなご苦労をされていると思います。また,それぞれの地域において,本日の事業報告にもありましたように,地域医療の各分野に多大な影響を生じております。また,地域住民の生活,生命の質が度重なる感染の波により,災害に匹敵する危機的な状況にあります。先を見通すことはなかなか難しい状況が続いておりますが,会員の皆様,そして各方面からの医療,また,医師会に対する期待・要望の大きさを心して,これからも会員の皆様とともに全力で取組んでまいります。
また,マイナス面だけに目を向けるのではなく,このコロナの経験をチャンスと捉え,改めて今後の地域医療のあり方を考える契機とするとともに,医師会活動や事業をより良い方向に変えていきたいとも考えております。至らぬ点もございますが,何卒よろしくお願いいたします。
結びに,代議員の皆様のこれからの府医へのご理解,お力添えをお願いし,また,次の代議員会には皆様と一堂に会することができるよう祈念いたしまして,閉会の挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。
今回の代議員会では,代表質問は行わず,全地区に対して書面による質問を受け付けた結果,2地区から質問があった。質問および回答は以下のとおり。
地区:西京医師会
テーマ:コロナ関係の今
質問事項
ワクチンの配給情報などをメールで連絡していただき有難いのですが,多くのメールが埋没して情報を確認するのが難しいです。そこで,府医HP等にポータルサイト等を作る予定はあるのかお伺いしたい。
【回 答】(担当:谷口副会長)
現在,府医では,会員メーリングリスト(以下,ML),FAX情報,京都医報,ホームページ(以下,HP)「新型コロナウイルス関連特設サイト」などを活用し,情報発信を行っております。ご指摘のHPにつきましては,コロナ特設サイトで情報提供を行っておりますが,MLのようにリアルタイムな情報をすべて掲載できているわけではありません。今後は,HPのさらなる活用を含め,リアルタイムに,正確で分かりやすい情報発信に努めてまいりますので,ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
地 区:綴喜医師会
テーマ:地区医師会での医師連盟活動について
質問事項
当地区の故油谷元府医会長も「医師会活動は,医政に尽きる」と仰っていたとおり,まさに地区医でも対行政や地方議員との対峙がまさにそれであると思っています。
現状,コロナ禍でのオリンピック開催は国民の半数以上が反対しております。また,その責任問題の放棄とも思える国の行動はいかがなものかとも思っております。
そんな与党である自民党を医師連盟が今後も選挙で推すのかどうか。また,推すのであればどのような理由があるのかをお示しいただき,地区での活動と会員の賛同に繋がってまいりますのでご教示をいただけますと幸いです。
【回 答】(担当:北川副会長)
府医といたしましても,医政活動の重要性についてはご指摘のとおりの認識でございます。
医政(政治)活動については,京都府医師連盟で対応しております。今後の連盟活動については,京都府医師連盟より改めてご案内がございますので,よろしくお願い申し上げます。