第52回 全国学校保健・学校医大会
メインテーマ「明るく強く育むために~コロナや災害に取組む医療~」

 第52回全国学校保健・学校医大会が10月30日(土)に岡山県で開催された。本年は昨今の新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ,WEB形式(LIVE配信+オンデマンド配信)にて開催され,府医からはWebでの参加が10名であった。

 午前は「からだ・こころ1」「からだ・こころ2」「整形外科」「耳鼻咽喉科」「眼科」の5分科会で合計41の演題発表が行われ,府医からは学校保健委員会委員長の柏井真理子氏が「GIGAスクール構想と色のバリアフリー」と題した研究発表を行った。発表では,GIGAスクール構想により多くの小中学校でデジタル端末を活用した授業が始められつつある中で,デジタル機器使用に関しては眼の健康への注意が必要であるが,特にこの構想下での色のバリアフリーについての見解が述べられた。
 午後は式典のあと,「感染症とワクチン~新型コロナウイルスを経験して」と題した川崎医科大学小児科教授・中野貴司氏の基調講演と,「コロナや災害から子どもを守る医療」をテーマとしたシンポジウムが行われた。
 中野貴司氏は新型コロナウイルス感染症が人類の大きな疾病負担であることのポイントとして誰もが感染する可能性と重症化する頻度や致命率が高いことを挙げ,感染症対策の基本が予防であることを前提に,小児の場合には自らだけでは判断できないという特性をふまえて,わかりやすい方法で適切にアドバイスできる環境の整備の重要性を述べた。
 その後,4人の演者による発表があり,まず,岡山大学大学院医歯薬学総合研究科小児医科学准教授・岡田あゆみ氏が,「コロナとともに生きる子ども達~小児心身医学の視点から~」としてコロナが子どもたちのこころに与えた影響について報告した。
 次に,岡山大学学術研究院医歯薬学域疫学・衛生学分野教授・頼藤貴志氏からは,「新型コロナウイルス感染症やその他の災害の子どもへの影響」と題して新型コロナウイルス感染症の流行状況と症状,予後について小児という観点からの振り返りがなされた。
 岡山県小児科医会会長/岡山愛育クリニック副院長・横山裕司氏は,「支援を必要とする子どもの避難場所の確保~岡山県小児科医会の取組み」について述べ,平成30年の西日本豪雨に際して医療的ケア児への対応の遅れや避難場所の指示・把握あるいは病院や行政での対応マニュアルの不備を踏まえて,在宅医療的ケア児の避難策確保に係る取組みについて紹介した。
 最後に,岡山大学病院救命救急災害医学科助教塚原紘平氏より「新型コロナ感染症と災害からこどもを護るためにできること」と題した発表があり,ウィズコロナやアフターコロナにおいて,我々はどのような視点で子どもたちを護っていくべきなのかについての発表があった。
 続く特別講演では「大原美術館で見付けてほしいこと」と題して財団法人大原美術館名誉館長の大原謙一郎氏による特別講演が行われ,来年度の開催県である岩手県医会長からの挨拶をもって第52回大会は無事終了した。

2021年12月1日号TOP