保険医療部通信(第349報) – 令和4年度診療報酬改定の論点<その2>

 診療報酬改定に関する議論は10月から第2ラウンドが開始された。
 「外来医療」ではかかりつけ医機能の評価のあり方を巡り,支払い側が現在の評価体系を見直し,国民がかかりつけ医を持つため,制度化を前提に役割や機能を明確にすべきと主張。対して,診療側委員の城守日医常任理事(府医顧問)は,中医協は制度論を議論する場ではないと述べた上で,「国民はかかりつけ医を割り当ててほしいとは思っていないのではないか。かかりつけ医は患者と医師との信頼関係がベースにあり,信頼関係を制度で規定することは医療にはなじまない」と反論した。
 また,「入院医療」では,過去の改定と同様に急性期入院医療の重症度,医療・看護必要度を巡って対立し,城守日医常任理事は,改定ごとに評価項目の見直しなどが行われ,医療現場の負担となっていることを指摘するとともに,新型コロナウイルス感染症の影響から平時のデータが検証されていないことを踏まえ,今回の改定で評価項目を見直すことに明確に反対した。
 中医協で議論が進む中,財務省の財政制度等審議会・財政制度分科会が診療報酬改定率について言及し,「マイナス改定なくして医療費の適正化は到底図れない」「躊躇なくマイナス改定とすべき」と主張。さらに,薬価改定財源を診療報酬(本体)の財源とすることは「フィクションにフィクションを重ねたもの」と批判するとともに,独特の「論理」や主張が建設的な議論を妨げてきたとし,「診療報酬改定等にまつわる因習は払拭されなければならない」と言い放った。財務省の姿勢に対して,中川日医会長は,新型コロナウイルス感染症により地域の医療提供体制が厳しい状況にあると指摘し,「躊躇なくプラス改定にすべき」と強く反論した。
 本号では,10月15日号保険医療部通信「令和4年度診療報酬改定の論点<その1>」の続報として,10月以降の改定関連情報について,主に中医協総会の議論,特に城守日医常任理事の発言に注目しながら論点を整理し,お知らせする。

2021年12月1日号TOP