2021年2月1日号
令和3年3月開始予定のオンライン資格確認について,1月15日号に続いてお知らせします。なお,1月上旬に社会保険診療報酬支払基金より,今回の追加補助や同システム導入に係る準備作業についてまとめたパンフレットが各医療機関あてに送付されていますので,併せてご参照ください。
【ポイント】
◎顔認証付きカードリーダーの無償配付に加え,「加速化プラン」により補助限度額を上限に実費補助(100%補助)される。
⇒「加速化プラン」による補助(100%補助)を得るには,令和3年3月末日までに顔認証付きカードリーダーの申込みを行うことが必要(令和5年3月までにシステム導入を完了し,同年6月末までに補助金交付申請を行う)。
◎顔認証付きカードリーダーやその他機器等の選定にあたっては,システム導入事業者と相談のうえ,事業者が推奨するものを申込むこと。
◆オンライン資格確認の導入に向けた手続き等について
オンライン資格確認を開始するためには,「オンライン資格確認・医療情報化支援基金関係医療機関向けポータルサイト」(以下,「ポータルサイト」)において,下記①~③の手続きが必要。
①ポータルサイトアカウント登録
②顔認証付きカードリーダーの申込み
③オンライン資格確認等システムの利用申請・電子証明書発行申請
※②,③は書面による申請も可能です。(1月15日号参照)
◆医療情報化支援基金による補助
(1)顔認証付きカードリーダーの無償提供(診療所は1台,病院は3台まで)
・ポータルサイトより申込みが必要
・顔認証付きカードリーダーを申し込んだものの,結果としてオンライン資格確認システムを導入しなかった場合,顔認証付きカードリーダーの代金を求償されることになりますので,ご留意ください。
(2)その他の費用への補助
下表の補助限度額を上限として,診療所は3/4,病院は1/2を補助
⇒「加速化プラン」により,特例として,令和3年3月末までに顔認証付きカードリーダーを申し込んだ場合は,補助限度額を上限に実費補助(100%補助)
※「加速化プラン」による補助(100%補助)を得るための条件は,「顔認証付きカードリーダーの申込み」であり,補助金交付申請の期限(下記)に変更はありません。
(3)補助金交付申請の期限
令和5年3月末までに導入を完了し,同年6月末までに補助金交付申請を行う必要があります。
◆必要となる機器等
顔認証付きカードリーダーやその他の機器等については,システム導入事業者と相談のうえ,事業者が推奨するものを選定してください。
(1)顔認証付きカードリーダー
社会保険診療報酬支払基金から無償提供(下表の3種から選択)
【製品比較表】
(2)その他機器等
①オンライン資格確認用パソコン
受付での利用を想定し,オンライン資格確認用の専用端末として顔認証付きカードリーダーを接続して使用
②ネットワーク機器(ルーター)
オンライン資格確認の接続方法(IP-VPN等)に対応した回線認証のための機能を有するもの
③専用回線
・ネットワーク回線は,レセプトオンライン請求の回線を使用
・オンライン資格確認とレセプトオンライン請求の回線環境の導入・整備に共通する部分は補助の対象となる。
※レセコンのセキュリティや安定性の問題から,レセプトオンライン請求回線とは別回線にした方がよい場合があるため,システム導入事業者に確認が必要
④導入後のランニングコスト
ネットワーク回線の維持費,カードリーダー端末の保守サポート費用等が必要。
※ランニングコストについては補助対象外
◆照会できる情報について
(1)患者の保険資格情報
・枝番を含む健康保険証,高齢受給者証の資格情報の取得が可能
・患者の同意のもと,限度額適用認定証,限度額適用・標準負担額減額認定証の適用区分,特定疾病療養受療証の認定疾病名も取得可能
(2)薬剤情報・特定健診データ
本人から同意を取得した上で,支払基金・国保中央会に照会する。
①薬剤情報
・医療機関等より審査支払機関に提出された令和3年9月分以降のレセプトから抽出した診療(調剤)の医薬品データ
②特定健診結果
・医療保険者が,40歳以上74歳以下の被保険者・被扶養者に対して実施した特定健診の結果情報
・令和3年3月時点では,連携可能な医療保険者等から順次,令和2年度分の情報が提供・登録される予定
(3)その他
今後,医療扶助に係る資格確認への対象拡大が見込まれている。
◆システム事業者の不適切対応事例の収集について
オンライン資格確認を導入する医療機関は,事前に既存の院内システムを導入したシステム事業者(ベンダー)と十分にご相談いただく必要がありますが,その際,不当に高額な見積もりが提示される事例が報告されています。これを受けて,日医がシステム事業者による不適切対応事例を収集のうえ,その情報を随時厚生労働省に提供し,問題があるシステム事業者に対して働きかけが行われることとなりました。
補助限度額を大きく上回るような不当に高額と思われる見積もり(※)が提示された場合には,日医ホームページ・メンバーズルーム内の専用フォームから情報をお寄せください。
【不適切対応事例受付フォーム】(日医ホームページ・メンバーズルーム内)
http://www.med.or.jp/japanese/members/info/jirei.html
※一般的に,余程カスタマイズされたレセコンや電子カルテを運用していない限りは,概ねカードリーダー1台の場合の上限事業費(診療所42.9万円,病院210.1万円)に近い金額の見積もりが提示されるケースが多いとされています。
◆オンライン資格確認の導入にあたって
オンライン資格確認の導入は義務ではなく,導入していない医療機関においては,従来どおり健康保険証での資格確認を行うこととなります。
日本医師会は,オンライン資格確認によって形成されるネットワークは,将来的な全国保健医療情報ネットワークの基盤になり得るものとして,支援基金を活用できる機会に多くの医療機関に整備を進めていただきたいとの考えを示しておりますが,「加速化プラン」により補助が拡充されたものの,システムの導入・維持には医療機関の負担が発生します。導入にあたっては,システム事業者とご相談のうえ,十分にご検討ください。