介護保険ニュース – 令和3年度介護報酬改定に向けた社会保障審議会介護給付費分科会における審議報告について

 令和3年4月の介護報酬改定に関して,厚労省の社会保障審議会介護給付費分科会が次期介護報酬改定の方針を示す審議報告をまとめ,令和2年12月23日に公表されましたので概要をお知らせします。
 審議報告では,「感染症や災害への対応力強化」,「地域包括ケアシステムの推進」,「自立支援・重度化防止の取組の推進」,「介護人材の確保・介護現場の革新」,「制度の安定性・持続可能性の確保」の5本を柱として,令和3年度介護報酬改定に関する基本的な考え方と,それを踏まえた主な改定内容が示されています。
 また,訪問リハビリテーションの診療未実施減算について,『ア 事業所外の医師に求められる「適切な研修の修了等」について,令和3年3月31日までとされている適用猶予措置期間を3年間延長する』,『イ 未実施減算の単位数の見直しを行う』と見直すこととする旨が記されています(「適切な研修の修了等」には,日医かかりつけ医機能研修制度応用研修会の単位取得が含まれる)。詳細は,厚労省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000188370_00002.html)をご参照ください。
 なお,介護サービスの運営基準および介護報酬に係る答申等が示されしだい,改めてお知らせします。

令和3年度介護報酬改定に関する審議報告(抜粋)
(令和2年12月23日 社会保障審議会介護給付費分科会)

Ⅱ 令和3年度介護報酬改定の対応(抜粋)

○ 令和3年度介護報酬改定の基本的な考え方を踏まえた主な改定内容は以下のとおり。
 (※基本的な考え方(Ⅰ)で示した5つの柱ごとに,改定内容と対象サービスを記載している。介護予防についても同様の措置を講ずる場合には★を付記している。なお,別添(省略)において,サービスごとに改定内容の事項を整理している)

1.感染症や災害への対応力強化

(1)日頃からの備えと業務継続に向けた取組の推進
①感染症対策の強化
 【全サービス★】
 介護サービス事業者に,感染症の発生及びまん延等に関する取組の徹底を求める観点から,以下の取組を義務づける。その際,3年の経過措置期間を設けることとする。
ア 施設系サービスについて,現行の委員会の開催,指針の整備,研修の実施等に加え,訓練(シミュレーション)の実施
イ その他のサービス(訪問系サービス,通所系サービス,短期入所系サービス,多機能系サービス,福祉用具貸与,居宅介護支援,居住系サービス)について,委員会の開催,指針の整備,研修の実施,訓練(シミュレーション)の実施等

②業務継続に向けた取組の強化
 【全サービス★】
 感染症や災害が発生した場合であっても,必要な介護サービスが継続的に提供できる体制を構築する観点から,全ての介護サービス事業者を対象に,業務継続に向けた計画等の策定,研修の実施,訓練(シミュレーション)の実施等を義務づける。その際,3年の経過措置期間を設けることとする。

2.地域包括ケアシステムの推進

(3)医療と介護の連携の推進
①基本方針を踏まえた居宅療養管理指導の実施と多職種連携の推進
【居宅療養管理指導★】
 居宅療養管理指導について,基本方針を踏まえ,利用者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう,より適切なサービスを提供していく観点から,近年,「かかりつけ医等が患者の社会生活面の課題にも目を向け,地域社会における様々な支援へとつなげる取組」を進める動きがあることも踏まえ,以下の見直しを行う。
ア 医師・歯科医師が居宅療養管理指導を行う際には,必要に応じて,居宅要介護者の社会生活面の課題にも目を向け,地域社会における様々な支援へとつながるよう留意し,また,関連する情報については,介護支援専門員等に提供するよう努めることを明示する。
イ 薬剤師・歯科衛生士・管理栄養士が居宅療養管理指導を行う際には,必要に応じて,これらの支援につながる情報を把握し,また,関連する情報を医師・歯科医師に提供するよう努めることを明示する。
ウ 多職種間での情報共有促進の観点から,薬剤師の居宅療養管理指導の算定要件とされている介護支援専門員等への情報提供について,明確化する。

②医師・歯科医師から介護支援専門員への情報提供の充実
 【居宅療養管理指導★】
 医師・歯科医師による居宅療養管理指導について,医師・歯科医師から介護支援専門員に適時に必要な情報が提供され,ケアマネジメントに活用されるようにする観点から,算定要件である介護支援専門員への情報提供について,以下の新たな様式によることとする。
 ・医師による情報提供について,主治医意見書の様式を踏まえた新たな様式。
 ・歯科医師による情報提供について,歯科疾患在宅療養管理料(医療)の様式を踏まえた新たな様式。
 ・これらの様式においては,居宅要介護者の社会生活面の課題にも目を向け,地域社会における様々な支援へとつながるよう,関連の記載欄を設けることとする。(※①ア関係)

⑪長期療養・生活施設の機能の強化
 【介護医療院】
 介護医療院について,医療の必要な要介護者の長期療養施設としての機能及び生活施設としての機能をより充実させる観点から,療養病床における長期入院患者を受け入れ,生活施設としての取組を説明し,適切なサービス提供を行うことを評価する新たな加算を創設する。具体的な算定要件は以下のとおりとし,入所した日から一定期間に限り算定可能とする。
 ・入所者が療養病床に長期間入院していた患者であること。
 ・入所にあたり,入所者及び家族等に生活施設としての取組について説明を行うこと。
 ・入所者及び家族等と地域住民等との交流が可能となるよう,地域の行事や活動等に積極的に関与していること。

⑫介護医療院の薬剤管理指導の見直し
 【介護医療院】
 介護医療院の薬剤管理指導について,介護の質の向上に係る取組を一層推進する観点から,CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用によるPDCAサイクルの推進・ケアの向上を図ることを新たに評価する。(※3(2)①イ参照)

⑬介護療養型医療施設の円滑な移行
【介護療養型医療施設】
 介護療養型医療施設について,令和5年度末の廃止期限までの円滑な移行等に向けて,より早期の意思決定を促す観点から,事業者に,一定期間ごとに移行等に係る検討の状況について指定権者に報告を求め,期限までに報告されない場合には,次の期限までの間,基本報酬を減算する。

(4)在宅サービスの機能と連携の強化
③退院当日の訪問看護
 【訪問看護★】
 利用者のニーズに対応し在宅での療養環境を早期に整える観点から,退院・退所当日の訪問看護について,現行の特別管理加算の対象に該当する者に加えて,診療報酬上の取扱いと同様に,主治の医師が必要と認める場合は算定を可能とする。

④看護体制強化加算の見直し
 【訪問看護★】
 訪問看護の看護体制強化加算について,医療ニーズのある要介護者等の在宅療養を支える環境を整える観点や訪問看護の機能強化を図る観点から,以下の見直しを行う。
ア 利用者の実態等も踏まえて,「特別管理加算を算定した割合30%以上」の要件を,「20%以上」に見直す。この際,当該要件緩和や,介護予防訪問看護についてはターミナルケア加算の要件が含まれていないことを踏まえて,訪問看護の看護体制強化加算(Ⅰ)及び(Ⅱ)並びに介護予防訪問看護の看護体制強化加算の評価の見直しを行う。
イ サービスの継続性に配慮しつつ,指定(介護予防)訪問看護の提供に当たる従業員に占める看護職員の割合を6割以上とする要件を新たに設ける。その際,2年の経過措置期間を設けることとする。

3.自立支援・重度化防止の取組の推進

(1)リハビリテーション・機能訓練,口腔,栄養の取組の連携・強化
<連携強化>
①リハビリテーション・機能訓練,口腔,栄養の取組の一体的な推進
 【訪問リハビリテーション★,通所介護,地域密着型通所介護,療養通所介護,認知症対応型通所介護★,通所リハビリテーション★,短期入所生活介護★,短期入所療養介護★,小規模多機能型居宅介護★,看護小規模多機能型居宅介護,特定施設入居者生活介護★,地域密着型特定施設入居者生活介護,認知症対応型共同生活介護★,介護老人福祉施設,地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護,介護老人保健施設,介護療養型医療施設,介護医療院】
 リハビリテーション・機能訓練,口腔,栄養の取組を一体的に運用し,自立支援・重度化防止を効果的に進める観点から,以下の見直しを行う。
ア リハビリテーション・機能訓練,口腔,栄養に関する加算等の算定要件とされている計画作成や会議について,リハビリテーション専門職,管理栄養士,歯科衛生士が必要に応じて参加することを明確化する。
イ リハビリテーション・機能訓練,口腔,栄養に関する各種計画書(リハビリテーション計画書,栄養ケア計画書,口腔機能向上サービスの管理指導計画・実施記録)について,重複する記載項目を整理するとともに,それぞれの実施計画を一体的に記入できる様式を設ける。

<リハビリテーション・機能訓練>
②リハビリテーションマネジメント加算の見直し
【訪問リハビリテーション★,通所リハビリテーション★】
 自立支援・重度化防止に向けた更なる質の高い取組を促す観点から,リハビリテーションマネジメント加算について,以下の見直しを行う。
ア 報酬体系の簡素化と事務負担軽減の観点から,算定率の高いリハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)及び介護予防訪問・通所リハビリテーションのリハビリテーションマネジメント加算は廃止し,同加算の算定要件は基本報酬の算定要件とし,基本報酬で評価を行う。
イ 訪問リハビリテーションにおける同加算と通所リハビリテーションの同加算の評価の整合性を図る観点から,リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)及び(Ⅲ)の評価の見直しを行う。
ウ 令和3年度からのCHASE・VISITの一体的な運用に伴い,リハビリテーションマネジメント加算(Ⅳ)を廃止するとともに,定期的なリハビリテーション会議によるリハビリテーション計画の見直しが要件とされているリハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)及び(Ⅲ)それぞれにおいて,事業所がCHASE・VISITへデータを提出しフィードバックを受けPDCAサイクルを推進することを評価する。(※3(2)①イ参照)
エ CHASE・VISITへの利用者情報の入力負担の軽減及びよりフィードバックに適するデータを優先的に収集する観点から,リハビリテーション実施計画書の項目について,CHASE・VISITにデータ提供する場合の必須項目と任意項目を定める。
オ リハビリテーションマネジメント加算の算定要件の一つである「定期的な会議の開催」について,利用者の了解を得た上で,テレビ会議等の対面を伴わない方法により開催することを可能とする。(※4(2)④イ参照)

④退院・退所直後のリハビリテーションの充実
【訪問リハビリテーション★】
 1週に6回を限度として算定が認められている訪問リハビリテーションについて,退院・退所直後のリハビリテーションの充実を図る観点から,退院・退所の日から起算して3月以内の利用者に対しては,診療報酬の例も参考に,週12回まで算定を可能とする。

⑤社会参加支援加算の見直し
【訪問リハビリテーション,通所リハビリテーション】
 社会参加支援加算について,算定要件である「社会参加への移行状況」の達成状況等を踏まえ,利用者に対する適時・適切なリハビリテーションの提供を一層促進する観点から,以下の見直しを行う。
ア 算定要件である,社会参加への移行状況の計算式と,リハビリテーションの利用の回転率について,実情に応じて見直す。
イ リハビリテーションの提供終了後,一定期間内に居宅訪問等により社会参加への移行が3月以上継続する見込みであることを確認する算定要件について,提供終了後1月後の移行の状況を電話等で確認することに変更する。また,移行を円滑に進める観点から,リハビリテーション計画書を移行先の事業所に提供することを算定要件に加える。
ウ 加算の趣旨や内容を踏まえて,加算の名称を「移行支援加算」とする。

⑥生活行為向上リハビリテーション実施加算の見直し
【通所リハビリテーション★】
 生活行為向上リハビリテーション実施加算について,廃用症候群や急性増悪等によって生活機能が低下した利用者に対する,適時適切なリハビリテーションの提供を一層促進する観点から,事業所の加算を取得しない理由等も踏まえ,以下の見直しを行う。
ア 加算算定後に継続利用する場合の減算を廃止する。
イ 生活行為向上リハビリテーションの実施開始から3月以内と3月以上6月以内で階段状になっている単位数を単一(現行の3月以内より低く設定)にする。
ウ 活動と参加の取組を促進する観点から,同加算の利用者の要件や取組の内容について明確化する。

⑦リハビリテーション計画書と個別機能訓練計画書の書式の見直し
【訪問リハビリテーション★,通所介護,地域密着型通所介護,通所リハビリテーション★,短期入所生活介護★】
 業務効率化の観点から,リハビリテーション計画書と個別機能訓練計画書の項目の共通化を行うとともに,リハビリテーション計画書の固有の項目について,整理簡素化を図る。

4.介護人材の確保・介護現場の革新

(1)介護職員の処遇改善や職場環境の改善に向けた取組の推進
①処遇改善加算の職場環境等要件の見直し
【訪問介護,定期巡回・随時対応型訪問介護看護,夜間対応型訪問介護,訪問入浴介護★,通所介護,地域密着型通所介護,療養通所介護,認知症対応型通所介護★,通所リハビリテーション★,短期入所生活介護★,短期入所療養介護★,小規模多機能型居宅介護★,看護小規模多機能型居宅介護,特定施設入居者生活介護★,地域密着型特定施設入居者生活介護,認知症対応型共同生活介護★,介護老人福祉施設,地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護,介護老人保健施設,介護療養型医療施設,介護医療院】
 介護職員処遇改善加算及び介護職員等特定処遇改善加算の算定要件の一つである職場環境等要件について,介護事業者による職場環境改善の取組をより実効性が高いものとする観点から,以下の見直しを行う。
ア 職場環境等要件に定める取組について,職員の離職防止・定着促進を図る観点から,以下の取組がより促進されるように見直しを行う。
 ・職員の新規採用や定着促進に資する取組
 ・職員のキャリアアップに資する取組
 ・両立支援・多様な働き方の推進に資する取組
 ・腰痛を含む業務に関する心身の不調に対応する取組
 ・生産性の向上につながる取組
 ・仕事へのやりがい・働きがいの醸成や職場のコミュニケーションの円滑化等,職員の勤務継続に資する取組
イ 職場環境等要件に基づく取組の実施について,過去ではなく,当該年度における取組の実施を求める。

②介護職員等特定処遇改善加算の見直し
【訪問介護,定期巡回・随時対応型訪問介護看護,夜間対応型訪問介護,訪問入浴介護★,通所介護,地域密着型通所介護,療養通所介護,認知症対応型通所介護★,通所リハビリテーション★,短期入所生活介護★,短期入所療養介護★,小規模多機能型居宅介護★,看護小規模多機能型居宅介護,特定施設入居者生活介護★,地域密着型特定施設入居者生活介護,認知症対応型共同生活介護★,介護老人福祉施設,地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護,介護老人保健施設,介護療養型医療施設,介護医療院】
 介護職員等特定処遇改善加算について,リーダー級の介護職員について他産業と遜色ない賃金水準の実現を図りながら,介護職員の更なる処遇改善を行うとの趣旨は維持した上で,小規模事業者を含め事業者がより活用しやすい仕組みとする観点から,以下の見直しを行う。
 ・平均の賃金改善額の配分ルールについて,「その他の職種」は「その他の介護職員」の「2分の1を上回らないこと」とするルールは維持した上で,「経験・技能のある介護職員」は「その他の介護職員」の「2倍以上とすること」とするルールについて,「より高くすること」とする。

③サービス提供体制強化加算の見直し
【定期巡回・随時対応型訪問介護看護,夜間対応型訪問介護,訪問入浴介護★,訪問看護★,訪問リハビリテーション★,通所介護,地域密着型通所介護,療養通所介護,認知症対応型通所介護★,通所リハビリテーション★,短期入所生活介護★,短期入所療養介護★,小規模多機能型居宅介護★,看護小規模多機能型居宅介護,特定施設入居者生活介護★,地域密着型特定施設入居者生活介護,認知症対応型共同生活介護★,介護老人福祉施設,地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護,介護老人保健施設,介護療養型医療施設,介護医療院】
 サービス提供体制強化加算について,サービスの質の向上や職員のキャリアアップを一層推進する観点から,財政中立を念頭に,以下の見直しを行う。
ア 介護福祉士割合や介護職員等の勤続年数が上昇・延伸していることを踏まえ,各サービス(訪問看護及び訪問リハビリテーションを除く)について,より介護福祉士の割合が高い,又は勤続年数が10年以上の介護福祉士の割合が一定以上の事業者を評価する新たな区分を設ける。その際,同加算が質の高い介護サービスの提供を目指すものであることを踏まえ,当該区分の算定に当たり,施設系サービス及び介護付きホームについては,サービスの質の向上につながる取組の一つ以上の実施を求めることとする。
イ 定期巡回・随時対応型訪問介護看護,通所系サービス,短期入所系サービス,多機能系サービス,居住系サービス,施設系サービスについて,勤続年数要件について,より長い勤続年数の設定に見直すとともに,介護福祉士割合要件の下位区分,常勤職員割合要件による区分,勤続年数要件による区分を統合し,いずれかを満たすことを求める新たな区分を設定する。
ウ 夜間対応型訪問介護及び訪問入浴介護について,他のサービスと同様に,介護福祉士の割合に係る要件に加えて,勤続年数が一定期間以上の職員の割合に係る要件を設定し,いずれかを満たすことを求めることとする。
エ 訪問看護及び訪問リハビリテーションについて,現行の勤続年数要件の区分に加えて,より長い勤続年数で設定した要件による新たな区分を設ける。

5.制度の安定性・持続可能性の確保

(1)評価の適正化・重点化
③訪問看護の機能強化
【訪問看護★】
 訪問看護の機能強化を図る観点から,理学療法士等によるサービス提供の状況や他の介護サービス等との役割分担も踏まえて,理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が行う訪問看護及び介護予防訪問看護について,評価や提供回数等の見直しを行う。

④長期期間利用の介護予防リハビリテーションの適正化
【介護予防訪問リハビリテーション,介護予防通所リハビリテーション】
 近年の受給者数や利用期間及び利用者のADL等を踏まえ,適切なサービス提供とする観点から,介護予防サービスにおけるリハビリテーションについて,利用開始から一定期間が経過した後の評価の見直しを行う。

⑤事業所医師が診療しない場合の減算(未実施減算)の強化
【訪問リハビリテーション★】
 訪問リハビリテーションについて,リハビリテーション計画の作成にあたって事業所医師が診療せずに「適切な研修の修了等」をした事業所外の医師が診療等した場合に適正化(減算)した単位数で評価を行う診療未実施減算について,事業所の医師の関与を進める観点から,以下の見直しを行う。
ア 事業所外の医師に求められる「適切な研修の修了等」について,令和3年3月31日までとされている適用猶予措置期間を3年間延長する。
イ 未実施減算の単位数の見直しを行う。

⑥居宅療養管理指導における通院が困難なものの取扱いの明確化
【居宅療養管理指導★】
 居宅療養管理指導について,在宅の利用者であって通院が困難なものに対して行うサービスであることを踏まえ,適切なサービスの提供を進める観点から,診療報酬の例を参考に,少なくとも独歩で家族・介助者等の助けを借りずに通院ができる者などは,通院は容易であると考えられるため,これらの者については算定できないことを明確化する。

⑦居宅療養管理指導の居住場所に応じた評価の見直し
【居宅療養管理指導★】
 居宅療養管理指導について,サービス提供の状況や移動時間,滞在時間等の効率性を勘案し,より実態を踏まえた評価とする観点から,単一建物居住者の人数に応じた評価について見直しを行う。

⑧介護療養型医療施設の基本報酬の見直し
【介護療養型医療施設】
 介護療養型医療施設(老人性認知症疾患療養病棟を除く)について,令和5年度末の廃止期限までに介護医療院への移行等を進める観点から,令和2年度診療報酬改定における医療療養病床に係る評価の見直しも踏まえ,基本報酬の見直しを行う。

⑨介護医療院の移行定着支援加算の廃止
【介護医療院】
 算定期限が令和3年3月31日までとされている介護医療院の移行定着支援加算について,介護医療院の開設状況を踏まえて,廃止する。

⑩介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)の廃止
【訪問介護,定期巡回・随時対応型訪問介護看護,夜間対応型訪問介護,訪問入浴介護★,通所介護,地域密着型通所介護,療養通所介護,認知症対応型通所介護★,通所リハビリテーション★,短期入所生活介護★,短期入所療養介護★,小規模多機能型居宅介護★,看護小規模多機能型居宅介護,特定施設入居者生活介護★,地域密着型特定施設入居者生活介護,認知症対応型共同生活介護★,介護老人福祉施設,地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護,介護老人保健施設,介護療養型医療施設,介護医療院】
 介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)について,上位区分の算定が進んでいることを踏まえ,廃止する。その際,令和3年3月末時点で同加算を算定している介護サービス事業者については,1年の経過措置期間を設けることとする。

2021年2月1日号TOP