右京医師会との懇談会 10.30 Web開催

「健康保険情報のオンライン資格確認」,「新型コロナウイルス感染症流行のはじまりから,現在にいたるまでの京都の状況」,「新型コロナウイルス感染症に対する右京医師会の取組み」,「季節性インフルエンザ流行期に備えた診療体制」について議論

 右京医師会と府医執行部との懇談会が10月30日(金),Webで開催され,右京医師会から18名,府医から10名が出席。「健康保険情報のオンライン資格確認」,「新型コロナウイルス感染症流行のはじまりから,現在にいたるまでの京都の状況」,「新型コロナウイルス感染症に対する右京医師会の取組み」,「季節性インフルエンザ流行期に備えた診療体制」をテーマに活発な議論が行われた。
〈注:この記事の内容は10月30日現在のものであり,現在の状況とは異なる部分がございますのでお含みおきください〉

健康保険情報のオンライン資格確認について

 令和3年3月から開始される医療保険のオンライン資格確認の導入に向け,厚労省は6月25日に「医療情報化支援基金に関するポータルサイト開設のお知らせ」を発出,8月7日に顔認証付きカードリーダーの申し込み受付を開始し,9月初旬に案内リーフレットの配布を開始した。
 顔認証付きカードリーダーは無償提供(診療所は1台,病院は3台まで)されるが,令和3年3月までにシステムを導入しなければ,有料となる。また,オンライン資格確認にともなう設備の導入費用は補助されるが,上限があり,一部負担が生じる。
 導入のメリット・デメリットは以下のとおり。
 メリット:
 受付時の患者の資格情報の自動取得,資格過誤による返戻レセプトが減る,限度額認定証の持参不要,過去の薬剤情報・特定健診情報が閲覧可能。
 デメリット:
 保険証の資格喪失のデータ更新にタイムラグが生じる,患者がマイナポータルへの初回登録をする必要がある,外国人の不正利用は無くなるが,目視による本人確認の手間は増える,サーバーダウン時は保険証確認ができない等。

新型コロナウイルス感染症流行のはじまりから,現在にいたるまでの京都の状況について

~これまでの感染者数の推移~

 京都府内で1月30日に最初の新型コロナウイルス感染症の感染者が発生して以降,京都府の感染者の発生状況は,3月~10月の間に2度のピークがあり,ほぼ全国の状況と一致している。
 京都府では4月7日が第1波のピークであり,同日に緊急事態宣言が発出された。6月に入ると感染者数がほぼいなくなったため,緊急事態宣言は解除された。その後,第2波が始まり現在に至るが,第1波のようには感染者数が減少しない状況が続いている。

~感染者の年齢別・経路別の割合について~

 感染者数の年代別割合については,第1波の際には,京都府内で大学生のクラスターが発生したため,20代の割合が多かった。
 全国的な推移としては,6月以降に20代が増加し,相対的に60代以上が減少した。その後,家庭内感染や医療機関・介護施設等でのクラスター発生によって高齢者の感染者が増えている。
 感染者の感染経路(判明分)の割合については,第1波から家族内感染と職場内感染が比較的多い傾向にあり,その後も一定の割合を占めている。9月に入ってからは,保育施設・学校等でのクラスター発生のため増加しており,医療施設・高齢者施設も一定の割合を占めている。

~陽性判明者の対応状況と今後の対応~

 9月末までの感染者全体のうち半数以上が入院,宿泊療養が2割強,自宅療養が全体の4分の1程度であった。宿泊施設の入所期間は,第1波に比べて短くなっているが,これは症状消退後の滞在期間の短縮や2度目のPCR検査の陰性確認が不要になったためと考えられる。また,PCR検査数増にともなう陽性者の早期発見,府の入院医療コントロールセンターがうまく機能していることから,陽性判明から入院・宿泊療養施設収容までの期間も非常に短縮されている。
 重症者・死亡率とも減少しており,早期発見・早期治療の効果が大きいと考えられる。当初は治療も手探りであったが,病態が徐々に明らかになり,その病態に合わせて治療法を選択するという方法が確立され始めている。これについて京大・府医大の主催で,コロナ感染者の治療にあたる医療従事者に向けた勉強会がWebで開催される予定である。詳細がわかり次第,府医のHPあるいはメーリングリストで知らせる予定である。
 府医にとって会員への情報の周知は課題である。当初は厚労省からの文書を各地区医の事務所にそのまま流していたが,会員に浸透しなかったため,府医のメーリングリストやFAX情報の活用や府医のHPへの新型コロナ関連の特設サイトの設置等に取組んだ他,不明点についてはサイト内のQ&Aや質問コーナーで解消できるようにしている。それでも質問の電話が事務局へ集中している状況であり,今後も工夫・改善が必要であると考えている。

新型コロナウイルス感染症に対する右京医師会の取組み

 地区より,新型コロナウイルス感染症への取組みについて紹介された。
①右京区内の発熱外来への出務
 現場への応援だけでなく現場の状況を会員が間近で見て,感染拡大時にどのような対策・連携ができるかを模索するためにも発熱外来への出務を重要視している。また,府医の相談センター・PCRセンター・療養施設にも多数出務しており,現場を見るということが大切だと考えている。
②感染予防について多職種での研修会
 在宅医療の現場でも感染予防の知識の普及が不可欠と考え,京都市右京区在宅医療・介護連携支援センターの事業として,感染防護服の着脱の実際について医師・看護師・ヘルパーでの研修会を実施した。

季節性インフルエンザ流行期に備えた診療体制について

 本誌2月15日号P2参照。

~質疑応答~

◇「検体採取時,患者はくしゃみが出る可能性が高く,飛沫感染が危惧されるため,ビニールシートカーテンを設置する等の対策が必要ではないか」との意見があった。
 自己採取ができる患者は限られているため,医師による採取をする場合が多いと考えられる。
 鼻甲介での採取に留めれば,サージカルマスク,目の保護,ガウンを着用すれば,感染リスクを抑えることができる。また,ビニールカーテンであれば,飛沫感染は防止できるが,手の汚染は十分に防ぐことができないと回答した。

保険医療懇談会

 支払基金と国保連合会双方における審査の平準化と個別指導における主な指摘事項についての資料を提供した。
 また,療養費同意書交付(マッサージ,はり・きゅう)に関する留意点を解説し,慎重な判断と適切な同意書発行に理解と協力を求めた。

2021年2月15日号TOP