保険だより – 薬価基準の一部改正等について

 5月18日付厚生労働省告示第197号,198号,第199号および5月25日付厚生労働省告示第211号をもって薬価基準および掲示事項等告示の一部が改正されるとともに,関連する留意事項等が示されましたので,その概要を下記のとおりお知らせします。
 また,小林化工株式会社の後発医薬品の製造販売承認が取消しになったこと等にともない,当該医薬品(11品目)およびその共同開発品目(8品目)が6月1日付で薬価基準から削除されましたので,併せてお知らせします。

▷新たに収載されたもの(5月19日から適用)

<内用薬>

<注射薬>

<外用薬>

▷薬価基準の一部改正に伴う留意事項について(5月19日収載分)
(1)ヴァイトラックビカプセル25mg,同カプセル100mg及び同内用液20mg/mL
 本製剤の効能又は効果に関連する注意において,「十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により,NTRK融合遺伝子陽性が確認された患者に投与すること。」とされているので,NTRK融合遺伝子陽性を確認した検査の実施年月日をレセプトに記載すること。
 なお,当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし,本剤の初回投与に当たっては,必ず実施年月日を記載すること。

(2)ペマジール錠4.5mg
 本製剤の効能又は効果に関連する注意において,「十分な経験を有する病理医又は検査施設により,FGFR2融合遺伝子が確認された患者に投与すること。」とされているので,FGFR2融合遺伝子を確認した検査の実施年月日をレセプトに記載すること。
 なお,当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし,本剤の初回投与に当たっては,必ず実施年月日を記載すること。

(3)イズカーゴ点滴静注用10mg
 本製剤の効能又は効果に関連する注意において,「中枢神経系症状の改善又は進行の抑制が必要と考えられる患者に対して投与を検討すること。」とされているので,使用に当たっては十分留意すること。

(4)ユプリズナ点滴静注100mg
 本製剤の効能又は効果に関連する注意において,「視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の患者に使用すること。」及び「抗AQP4抗体陽性の患者に投与すること。」とされているので,抗アクアポリン4抗体陽性で,視神経脊髄炎スペクトラム障害の確定診断が行われた場合にのみ投与すること。

(5)ヌーイック静注用250,同500,同1000,同2000,同2500,同3000及び同4000
① 本製剤は遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤であり,本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は,「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。
② 本製剤は針及び注入器付きの製品であるので,「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する場合,「C151」注入器加算及び「C153」注入器用注射針加算は算定できないものであること。

(6)ブレヤンジ静注
① 本製品の原料採取に伴い,患者から末梢血単核球を採取した場合は,「K921-3」末梢血単核球採取(一連につき)を算定できるものであること。
 なお,本算定は原則として1回までとする。
② 本製品を患者に投与した場合は,「K922-2」CAR発現生T細胞投与(一連につき)を算定できるものであること。
 なお,本算定は原則として1回までとする。

(7)アリケイス吸入液590mg
 本製剤の効能又は効果に関連する注意において,「本剤の適用は,肺MAC症に対する多剤併用療法による前治療において効果不十分な患者に限定すること。」とされ,用法及び用量に関連する注意において,「投与開始後12ヵ月以内に喀痰培養陰性化が得られない場合は,本剤の継続投与の必要性を慎重に再考すること。」とされているので,使用に当たっては十分留意すること。

(8)その他
 ブレヤンジ静注については最適使用推進ガイドラインおよび保険適用上の留意事項が示されているので参照のこと。

▷新たに収載されたもの(5月26日から適用)

<内用薬>

<注射薬>

<外用薬>

▷薬価基準の一部改正に伴う留意事項について(5月26日収載分)
(1)アダリムマブBS皮下注20mgシリンジ0.4mL「第一三共」,同BS皮下注40mgシリンジ0.8mL「第一三共」及び同BS皮下注40mgペン0.8mL「第一三共」
① 本製剤はアダリムマブ製剤であり,本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は,「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。
② 本製剤は針付注入器一体型のキットであるので,「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する場合,「C151」注入器加算及び「C153」注入器用注射針加算は算定できないものであること。

(2)インスリン アスパルトBS注カートNR「サノフィ」,同BS注ソロスターNR「サノフィ」及び同BS注100単位/mL NR「サノフィ」
① 本製剤はインスリン製剤であり,本製剤を投与した場合は「C101」の在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。
 また,本製剤は,「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等を定める件」(平成18年厚生労働省告示第107号)の第十の一の「インスリン製剤」に該当するものであること
② インスリン アスパルトBS注ソロスターNR「サノフィ」については注入器一体型のキットであるので,「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する場合,「C151」注入器加算は算定できないものであること。

▷関係通知の一部改正について
◎「使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について」(令和2年4月21日付け保医発0421第3号)の記の2の(4)

▷診療報酬における加算等の算定対象となる「後発医薬品のある先発医薬品」(6月1日から適用)

<注射薬>

▷延長される経過措置品目について
 モルペス細粒2%については,使用期限が令和3年9月30日までとされていたが,医療上の必要性の観点等から,令和4年3月31日までに延長された。

▷費用対効果評価結果に基づく価格調整が行われたもの(8月1日から適用)
 市場規模が大きい,または著しく単価が高い医薬品等については,費用対効果評価制度の対象として選定した上で,価格調整を行うこととされているが,令和3年5月12日に開催された中医協において,下記品目について価格調整が行われることが決定された。

▷市場拡大再算定の適用による価格の改定が行われたもの(8月1日から適用)
 効能変更等が承認された既収載品及び2年度目以降の予想販売額が350億円を超える医薬品について,一定規模以上の市場拡大のあった場合,新薬収載の機会(年4回)を活用して,薬価を見直すこととされているが,令和3年5月12日に開催された中医協において,下記品目について薬価を見直すことが決定された。

▷小林化工株式会社が有する製造販売承認の取消し等にともない,薬価基準から削除されるもの(6月1日から適用)
■小林化工株式会社の後発医薬品(11品目)
 ・ロラタジンODフィルム10mg「KN」
 ・アナストロゾール錠1mg「KN」
 ・ロスバスタチン錠2.5mg「MEEK」
 ・ロスバスタチン錠5mg「MEEK」
 ・ボセンタン錠62.5mg「KN」
 ・エンテカビル錠0.5mg「KN」
 ・イルベサルタン錠50mg「KN」
 ・イルベサルタン錠100mg「KN」
 ・イルベサルタン錠200mg「KN」
 ・セレコキシブ錠100mg「KN」
 ・セレコキシブ錠200mg「KN」
■承認取消対象品目の共同開発品目(8品目)
 ・アナストロゾール錠1mg「EE」(エルメッド株式会社)
 ・ロスバスタチン錠2.5mg「明治」(MeijiSeikaファルマ株式会社)
 ・ロスバスタチン錠5mg「明治」(MeijiSeikaファルマ株式会社)
 ・ボセンタン錠62.5mg「タナベ」(ニプロESファーマ株式会社)
 ・エンテカビル錠0.5mg「DSEP」(第一三共エスファ株式会社)
 ・イルベサルタン錠50mg「EE」(エルメッド株式会社)
 ・イルベサルタン錠100mg「EE」(エルメッド株式会社)
 ・イルベサルタン錠200mg「EE」(エルメッド株式会社)

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