2021年7月15日号
この度,3期目の府医会長を務めさせていいただくことになりました。過去2期4年間の会員の先生方のご支援とご協力に心より御礼を申し上げます。
2期目は,多くの時間を新型コロナウイルス感染症対策に費やすことになりました。京都府では昨年1月末に一人目の感染者が確認されてから現在まで約1年半の間に4つの感染の波と3度の緊急事態措置を経験しました。この間,会員の先生方には,PCR検査体制から診療検査医療機関へのご協力,自宅療養者と宿泊療養者の健康観察,最近ではワクチン接種において,過去に経験したことのない状況の中で,またなかなか想定どおりに事が進まない困難な状況の中で,深いご理解と強い使命感を持ってご尽力をいただいておりますことに心より敬意と感謝を表する次第です。
府医では,京都府,京都市と連携し,「感染者の早期発見と早期隔離」「積極的疫学調査の実施」「重症者医療の確保」を柱に体制を整え,順次対策を進めてまいりました。かかりつけ医による診療検査体制,行政による積極的疫学調査,京都府入院医療コントロールセンターによる入院トリアージ,両大学をはじめとする基幹病院による重症患者の治療など,それぞれが役割を果たし,連携をとることができた結果,新型コロナによる死亡率(6月30日現在)は1.46%と全国平均の1.85%を大きく下回ることができていると評価できるのではないでしょうか。まさにオール京都での取組みの結果です。今後もワクチン接種の効果,ウイルスの変異の状況などを見極めつつ,次に備えて医療体制を整えてまいりたいと考えております。
さて新執行部ですが,新型コロナウイルス感染症対応のさなかということで,おおむね前期執行部のメンバーで継続して対応にあたらせていただきます。
ただし,その中でもいくつかの新しい特徴をあげることができます。まず,今回新たにお認めいただきました4人目の副会長に谷口洋子先生を指名させていただきました。全国的にも女性副会長が増えてきましたが,ご承知のように女性医師が増えていく中,医師のワークライフバランスを考慮しない医療政策はあり得ないと考えています。同じく新任の堀田先生は医師会理事としては全国的にも珍しい30歳代の若い勤務医です。新型コロナウイルス感染症が拡大している現状においても,我が国では少子高齢化が確実に進み,社会の変化に対応するために地域医療構想,医師偏在対策そして働き方改革が進められていますが,将来の医療を担う主役である若い先生方の代表として,医師会を経験していただき,医師会の中で議論していただき,私たちは若い先生方の考え方を尊重しながら,今後の医療のあり方,医師会のあり方を見定めていかなければならないと考えています。また,左京医師会からは市田先生にご就任いただきました。まさに地域医療の即戦力としてご活躍いただけるものと思っております。
社会がどのように変化しようとも,必要な時に必要な医療が受けられる医療制度を守らなければなりません。先生方のより一層のご指導,またご鞭撻を賜りますことをお願いし,医師会の責務を全うすべく執行部一同精進してまいりますことをお誓い申し上げて就任のご挨拶とさせていただきます。
今後とも,どうぞよろしくお願い申し上げます。
今期は,主に総務部を担当いたします。本年11月で府医役員に就任して20年になります。反省すべき点は多々ありますが,これまでの経験を活かして会務に努めますので何卒よろしくお願い申し上げます。
会員の皆様には,長期化する新型コロナ感染症との闘いにこれまでに経験したことがないようなご苦労をされていると思います。府医も,新型コロナウイルス感染症により多くの事業が中止,延期になるなど会務に大きな影響が生じました。
感染状況が急速に深刻化する中で,厚労省や日医,京都府・市などから次々と連絡文書が発出され,また膨大な情報が錯綜しました。刻々と変化する状況下での情報処理や伝達の難しさを実感しております。今後,ICT化の推進などによる情報処理や広報の充実,災害時にも必要とされる情報伝達手段の多様化などを一層進め,できるだけ会員の皆様や地区医との距離を近づけて,情報の共有,新型コロナ感染症に立ち向かうための協力関係の強化,地域医療や医師会事業の再開,また,新たな取組みを進めていきたいと考えます。
新型コロナ感染症に対する中で,医療関係者が役割分担・協働すること,そしてお互いを思いやることの重要性をあらためて強く認識いたしました。超少子高齢社会において,医療のあり方,医療を巡る環境が変化していくことは避けられない状況であり,地域医療構想,地域包括ケアシステム,健康寿命の延伸に向けた生涯保健事業,そして,令和6年に施行される医師の働き方改革などがすでに動きだしております。このような状況においても,医療者の意識改革,相互理解・協力は不可欠であり,さらに,国民への理解・協力を得るための活動が求められています。そのような関係性を築き,取組みを進めていくためには,新規開業される先生方,勤務医の皆様,研修医の皆様にできるだけ入会いただき,府医の組織強化が重要な鍵になると考えます。そのためにも,医師のワークライフバランスを巡る諸課題に対する取組みや府医子育てサポートセンターによる支援の充実,また,会員の医療活動,医療機関の経営をサポートするための種々の取組みを進めてまいります。
会員の皆様からのご支援,ご協力をよろしくお願いいたします。
前期に引続き,松井執行部の副会長(保険全般担当)を務めさせていただきます。
昨年初頭からの新型コロナウイルス蔓延にともなう受診控えの影響を受け,多くの医療機関が経営難に陥りました。国も院内トリアージ実施料や小児外来加算,救急医療管理加算など時限的な特別措置をとりました。これらの対策が各医療機関にどの程度の効果があったのかは,現在日医が調査中で,おそらくこの夏から議論が始まる次期診療報酬改定の検討材料としても用いられると思います。
また報道でご存じのように,日医常任理事の城守国斗先生が,厚労省の中医協に二号委員(診療側代表)として参画されていますが,松本吉郎日医常任理事が退任されるため今期はいよいよ筆頭代表者として会議に臨まれます。しかし先日に公表された骨太の方針2021を見ても「社会保障関係費については,基盤強化期間においてその実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びにおさめることを目指す方針を継続する」と明記されており,本年の税収減も相まって,財政緊縮を唱える財務省をバックに一号委員(支払い側)との厳しい議論が展開されると思います。
我々府医も保険医療部会のメンバーなどで智恵を出し合い,微力ながらも城守府医顧問の後方支援をしていきたいと考えています。
府医には社会保険研究委員会(社保研)という諮問会議があり,昨期も「社会保障における給付と負担のあり方」に関して出木谷委員長を筆頭に各委員が,診療所,病院などそれぞれの立場から熱い議論を交わしていただき素晴らしい答申書をいただきました。皆様もぜひご一読いただきたいと思います。今期はこれまでの社保研の運営を若干変更し,我が国の保険診療のあり方を検討する会を開催したいと目論んでいます。我々府医の役員だけではなかなか良い考えが浮かばないため,会員の皆様の多くの経験や見識を広く賜りたいと思います。
今期も様々な府医の会務への積極的なご協力をお願いいたします。
このたび,3期目となる松井執行部で副会長を拝命いたしました。引続き学術・会員業務を担当させていただきます。何卒よろしくお願い申し上げます。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックは世界を大きく揺るがしました。勤務形態や所属の如何にかかわらず「すべての医師」が参加・協力する場としての医師会がその役割を発揮することを,これほど強く期待されることはかつてなかったのではないかと思います。大きな期待に対する実際の活動の成果については,パンデミックの様々なフェーズ,地域,その他多様な要因が絡んできますので,パンデミック終息後に歴史の評価を待たざるを得ません。しかし,少なくとも医師会の存在を前提としないコロナ対策が想定されることはありませんでしたし,その活動の評価がわかれることはあっても,医師会の存在を前提としない評価はあり得ないことと思います。
医療の専門家集団として医師会の基盤となる学術・生涯教育にかかわる府医の活動もコロナ禍にあって,大きな影響を受けました。当初は府医が主催する多くの学術講演会,研修会は軒並み休止を余儀なくされました。しかしこの危機への対応として,会員の先生方の絶大な協力のもと,WEB開催やハイブリッド開催の道筋が速やかに整えられ,従来にも増して多くの参加を得ることができました。南北に長い京都府の地理的条件から,北部・南部の会員の先生方の自己研鑽の機会をいかに確保するかは年来の課題でしたが,今後ICTの活用によりこうした課題を解消する取組みは増えこそすれ,後戻りすることはないものと思います。
一方,医師偏在対策,医師の働き方改革,そして地域医療構想のいわゆる「三位一体の改革」は,コロナ禍にあっても法整備も含め着々と準備が進められています。新専門医制度の下での新たな専門医の誕生を控え,専門医更新条件を偏在対策に絡めた議論が唐突に報じられたことは記憶に新しいところです。こうした課題に真正面から取組む必要性は関係者の共有するところですが,将来の医療を担う若手・中堅医師の生活やキャリアプランの選択における踏み絵のような形で解決の糸口を求めることは適切とはいえません。
新たな執行部には,若手医師の声により率直に耳を傾けるべく,新たな人財も加わっていただいております。
引続き広範な会員の先生方のご指導・ご鞭撻をどうかよろしくお願い申し上げます。
この度,松井執行部3期目の副会長を拝命いたしました伏見の谷口です。地域医療を担当いたします。浅学非才の若輩者でございますが精一杯努めてまいりますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。
平成23年以来,森執行部で学校保健,介護保険,地域連携パス,庶務を担当し,松井執行部で広報企画,保険全般,医師のワークライフバランス等を担当いたしました。
昨年から,コロナ対策を通じて行政と打ち合わせを重ねる中で,医療行政の重要性を改めて認識し,府民の命を最優先に考え,政策に反映できるよう行政に進言してまいりました。
松井府医会長のご発案により昨年4月に宿泊療養施設が開所され,当初は府医役員が入所者の健康管理にあたっていましたが,感染者が急増し始めた5月中旬には内科医会や地区医の協力も得て,多くの会員にも出務いただくことになりました。施設開所から現在に至るまで,府医が出務医の派遣・調整を行っており,土日祝日,年末年始に関係なく,府医役員と会員が協力して出務し,タブレットを用いて入所者の健康管理を行っています。
また,昨年4月下旬には保健所の処理能力が限界に達し,PCR検査に結び付けることができず行き場を失った患者を救うため,京都府と交渉し府医で京都府・医師会京都検査センター(府医検査センター)の運用を開始しました。
さらに11月からは相談センターを立ち上げ,かかりつけ医のいない発熱患者の診療・検査医療機関への紹介も行っています。
一方で年末,12月29日時点で,京都府内で入院先を調整している方は380名に上りました。この自宅待機者の健康管理は保健所に委ねられていますが,感染拡大の中で業務が逼迫した保健所では手に負えず,自宅待機者は孤立していました。そこで府医と京都市が連携して,入院先等を調整している陽性者のうち,医師の健康観察を要するハイリスク者に対して,年末年始(12月30日~1月5日)に府医役員が直接本人への電話による健康観察・相談を行い,症状等により速やかに入院を必要とする方については「京都府入院医療コントロールセンター」へ入院または宿泊施設への入所の要請を行いました。4月末から5月末までの約1ヶ月にわたり会員の協力も得て同様の取組みができました。
5月からコロナワクチン接種が始まり,通常業務に支障が出ている中,個別接種,集団接種ともに会員の自発的な取組みにより,府民の命を守っていただいております。
今後の第5波に備えて,平時からこのような体制を整備することが非常時の医療提供体制を確保することにつながるものと考えています。
京都府,京都市と協力体制を維持しつつ,より良い方向に向けて助言し,非常時にも対応できる医療提供体制を確保するためには,引続き医師会が行政をリードしていかなければならないと考えております。松井府医会長をできる限り補佐してまいりたいと思っております。会員の先生方のご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。