2021年6月1日号
新型コロナウイルスの感染が拡大している状況を踏まえ,臨時的な診療報酬の取扱い(その43 〜46)が示されましたので,お知らせします。
今回の取り扱いでは,初診または再診から直ちに入院した場合の「医科外来等感染症対策実施加算」(5点)および「入院感染症対策実施加算」(1日につき10点)の取り扱いや,新型コロナウイルス感染症から回復した後,引続き入院管理が必要な患者を個室に受け入れた場合の取り扱い等について示されています。
記
◇臨時的な取扱い その43(4月30日付)
問1 介護医療院又は介護老人保健施設(以下,「介護医療院等」という。)若しくは地域密着型介護老人福祉施設又は介護老人福祉施設(以下,「介護老人福祉施設」という。)に入所する者が新型コロナウイルス感染症に感染した場合であって,病床ひっ迫時に,やむを得ず当該施設内での入所を継続し療養を行う場合について,当該患者又はその看護に当たっている者からの新型コロナウイルス感染症に関連した訴えにより,緊急に求められ,医師が速やかに往診しなければならないと判断し,介護老人福祉施設の配置医師又は介護医療院等の併設保険医療機関の医師がこれを行った場合,緊急往診加算は算定できるか。
(答) 初・再診料,往診料は,別に算定できない(介護医療院に入所する者に対し併設保険医療機関の医師が往診した場合であって,介護医療院サービス費のうち他科受診時費用を算定した場合においては,往診料は別に算定できない。)が,緊急往診加算は算定できる。
問2 介護医療院等又は介護老人福祉施設に入所する者が新型コロナウイルス感染症に感染した場合であって,病床ひっ迫時に,やむを得ず当該施設内での入所を継続し療養を行う場合について,必要な感染予防策を講じた上で,介護老人福祉施設の配置医師又は介護医療院等の併設保険医療機関の医師が往診等を実施する場合,院内トリアージ実施料を算定できるか。
(答) 初・再診料,往診料等は別に算定できない(介護医療院に入所する者に対し併設保険医療機関の医師が往診した場合であって,介護医療院サービス費のうち他科受診時費用を算定した場合においては,往診料は別に算定できない。)が,院内トリアージ実施料は算定できる。なお,必要な感染予防策については,「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き」に従い,院内感染防止等に留意した対応を行うこと。
問3 介護医療院等又は介護老人福祉施設に入所する者が新型コロナウイルス感染症に感染した場合であって,病床ひっ迫時に,やむを得ず当該施設内での入所を継続し療養を行う場合について,介護老人福祉施設の配置医師又は介護医療院等の併設保険医療機関若しくは併設保険医療機関以外の保険医療機関の医師が酸素療法に関する指導管理を行った場合,在宅酸素療法指導管理料2「その他の場合」(2,400点)を算定できるか。
(答) 算定可。ただし,当該管理料は複数の保険医療機関が当該患者に対して診療を行っている場合であっても,当該患者に対して主として診療を行っている保険医が属する1つの保険医療機関において算定する。なお,在宅療養指導管理材料加算については,要件を満たせば従来通り算定できる。
◇臨時的な取扱い その44(5月7日付)
問1 令和3年2月26日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その35)」(以下,「2月26日事務連絡」という。)の2.(1)①において,「特に必要な感染予防策を講じた上で診療を行い,医科診療報酬点数表の次に掲げる点数を算定する場合,「A001 再診料」注10に規定する時間外対応加算1に相当する点数(5点)(以下,「医科外来等感染症対策実施加算」という。)をさらに算定できることとする」とされているが,再診から直ちに入院し,再診の費用が入院基本料等に含まれ,算定できない場合においては,医科外来等感染症対策実施加算は算定できるか。
(答) 算定可。なお,その診療等に当たっては,患者又はその家族等に対して,院内感染防止等に留意した対応を行っている旨を十分に説明すること。
問2 2月26日事務連絡の2.(2)において,「特に必要な感染予防策を講じた上で診療を行い,次に掲げる点数を算定する場合,一日につき「A218 地域加算(6級地)」の2倍に相当する点数(10点)(以下,「入院感染症対策実施加算」という。)をさらに算定できることとする」とされているが,医科外来等感染症対策実施加算及び入院感染症対策実施加算について,初診又は再診から直ちに入院した場合,併算定できるか。
(答) 併算定可。なお,その診療等に当たっては,患者又はその家族等に対して,院内感染防止等に留意した対応を行っている旨を十分に説明すること。
◇臨時的な取扱い その45(5月11日付)
問1 令和2年12月15日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その31)」の2.において,「新型コロナウイルス感染症から回復した後,引き続き入院管理が必要な患者を受け入れた保険医療機関において,必要な感染予防策を講じた上で実施される入院診療を評価する観点から,当該患者について,いずれの入院料を算定する場合であっても,二類感染症患者入院診療加算の100分の300に相当する点数(750点)を算定できること」とされている。この場合,個室に受け入れた保険医療機関においてはどのような取扱いになるか。
(答) 新型コロナウイルス感染症から回復した後,引き続き入院管理が必要な患者を受け入れた保険医療機関において,必要な感染予防策を講じた上で,入院診療が実施され,必要性を認めて個室に入室させた場合においては,当該患者について,いずれの入院料を算定する場合であっても,上記の二類感染症患者入院診療加算の100分の300に相当する点数(750点)に加え,1日につき二類感染症患者療養環境特別加算(1日につき)1個室加算(300点)を,入院日を起算日として90日を限度として算定して差し支えない。この場合において,その診療等にあたっては,患者又はその家族等に対して,院内感染防止等に留意した対応を行っている旨を十分に説明すること。なお,この取扱いは,本事務連絡(新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その45))の発出日以降適用される。
◇臨時的な取扱い その46(5月11日付)
問1 15歳未満の新型コロナウイルス感染症患者(児童福祉法(昭和22年法律第164号)第6条の2第2項に規定する小児慢性特定疾病医療支援の対象である場合は,20歳未満の新型コロナウイルス感染症患者)を,小児入院医療管理料を算定する病棟に入院させた場合,どの入院基本料又は特定入院料を算定するのか。
(答) 「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて」(令和2年2月14日厚生労働省保険局医療課事務連絡)問1の「診療報酬上の施設基準の要件を満たさない患者が入院した場合」に準じ,医療法上の病床種別と当該特定入院料が施設基準上求めている看護配置等により,算定する入院基本料を判断の上,当該入院基本料を算定することとして差し支えない(一般病床の小児入院医療管理料1,2,3又は4を算定する病棟に入院させた場合は急性期一般入院料7,同管理料5を算定する病棟に入院させた場合は地域一般入院料3を算定。)。なお,入院料の変更等の届出は不要である。
問2 令和2年4月10日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その10)」の3.において,電話や情報通信機器を用いた診療を行う以前より,対面診療において診療計画等に基づき療養上の管理を行い,特定疾患療養管理料等を算定していた患者に対して,電話や情報通信機器を用いた診療においても当該計画等に基づく管理を行う場合は,管理料等として147点を月1回に限り算定できることとするとされている。この場合,同一月に,令和2年3月12日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その5)」(以下,「3月12日事務連絡」という。)問2に示される在宅療養指導管理料を算定できるか。
(答) 特定疾患療養管理料,小児科療養指導料,てんかん指導料又は難病外来指導管理料を算定していた患者に対して,同一月に,在宅療養指導管理料は算定できないこととされており,新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いとして,電話や情報通信機器を用いた診療を実施する場合であって,電話や情報通信機器を用いた診療を行う以前より,対面診療において特定疾患療養管理料,小児科療養指導料,てんかん指導料又は難病外来指導管理料を算定していた患者に対して,管理料等(147点)を算定した場合においても同様に,同一月に,3月12日事務連絡問2に示される在宅療養指導管理料は算定できない。
なお,電話や情報通信機器を用いた診療を行う以前から,対面診療において,糖尿病透析予防指導管理料,地域包括診療料,認知症地域包括診療料又は生活習慣病管理料を算定していた患者に対して,管理料等(147点)を算定した場合は,同一月に,3月12日事務連絡問2に示される在宅療養指導管理料を算定できる。
問3 自院に通院している患者が他の医療機関等において市町村の予防接種実施計画等に基づき新型コロナウイルス感染症に係るワクチン(以下,「新型コロナワクチン」という。)の接種を受けるにあたり,当該他の医療機関等より診療情報提供を求められ,患者の同意を得て,診療状況を示す文書を添えて必要な情報を提供した場合,情報提供先の医療機関等を診療情報提供料(Ⅰ)注2に掲げる市町村とみなしてよいか。
(答) よい。なお,その場合,「別紙様式11」,「別紙様式11の2」又はこれらに準じた様式の文書を用いてよい。
問4 在宅での療養を行っている患者であって,疾病,傷病のために通院による療養が困難な者に対して,保険医療機関の保険医が訪問診療を行った日と同一日に,市町村との委託契約に基づき,新型コロナワクチンの接種に係る診療等を実施した場合,訪問診療に対して在宅患者訪問診療料(Ⅰ)又は(Ⅱ)は算定できるか。
(答) 算定可。