保険だより – エムガルティ皮下注に係る最適使用推進ガイドラインの策定にともなう留意事項について

 今般,「片頭痛発作の発症抑制」を効能効果とする抗CGRP抗体製剤(エムガルティ皮下注)について,最適使用推進ガイドラインが策定されるとともに,同製剤の保険適用上の留意事項として,レセプトの摘要欄に記載する事項等が示されましたので,お知らせします。

(1)エムガルティ皮下注120mgオートインジェクター及び同120mgシリンジについては,最適使用推進ガイドラインに従い,有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間,本製品の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに,副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件を満たす医療機関で使用するよう十分留意すること。

(2)本製剤の投与開始に当たっては,次の事項をレセプトの摘要欄に記載すること。
① 本製剤に関する治療の責任者として配置されている医師について,以下のアに該当し,イ~オのいずれかの学会の専門医の認定を有していることとされているため,投与開始に当たっては,レセプトの摘要欄に以下のア~オのうち該当するもの(「医師要件ア」から「医師要件オ」までのうち該当するものを全て記載))。
 ア 医師免許取得後2年の初期研修を修了した後に,頭痛を呈する疾患の診療に5年以上の臨床経験を有している。
 イ 日本神経学会
 ウ 日本頭痛学会
 エ 日本内科学会(総合内科専門医)
 オ 日本脳神経外科学会
② 本剤の投与開始前3ヶ月以上における1ヶ月あたりのMigraine Headache Days(MHD,片頭痛又は片頭痛の疑いが起こった日数)の平均。
③ 本剤の投与の要否の判断にあたっては,以下のアに該当し,イ~エのいずれかを満たす患者であることを確認することとされているため,本剤投与前の片頭痛発作の発症抑制薬による治療の状況(「前治療要件ア」から「前治療要件エ」のうち該当するものを全て記載)。
 ア 非薬物療法及び片頭痛発作の急性期治療等を既に実施している患者であり,それらの治療を適切に行っても日常生活に支障をきたしている。
 イ 本邦で既承認の片頭痛発作の発症抑制薬のいずれかが,効果が十分に得られず使用又は継続ができない。
 ウ 本邦で既承認の片頭痛発作の発症抑制薬のいずれかが,忍容性が低く使用又は継続ができない。
 エ 本邦で既承認の片頭痛発作の発症抑制薬のいずれかが,禁忌,又は副作用等の観点から安全性への強い懸念があり使用又は継続ができない。

(3)本剤投与中は症状の経過を十分に観察し,本剤投与開始後3カ月(3回投与後)を目安に治療上の有益性を評価して症状の改善が認められない場合には,本剤の投与中止を考慮することとされているため,当該評価を実施した際のレセプトの摘要欄に,症状の改善が認められた旨を記載すること。

(4)本製剤の投与開始後も,定期的に投与継続の要否について検討し,頭痛発作発現の消失・軽減等により日常生活に支障をきたさなくなった場合には,本剤の投与中止を考慮すること。

2021年6月15日号TOP