2021年3月1日号
Q1.アナフィラキシー症状への対応は何か検討しているのか。
(A) 府医救急委員会にてマニュアルを作成依頼。京都市内では救急輪番病院に依頼して救急対応を整える予定。
Q2.集団接種は検討しているのか。
(A) 京都市内における住民接種については行政が各地区医を訪問して協議を行う予定。
Q3.自院での接種は請求が可能か。
(A) 可能である。当該市町村内の住民のものは当該市町村に,それ以外は国保連に請求することとなる。
Q4.ディープフリーザーを設置するとワクチンを連携医療機関(サテライト医療機関)配送しなければならないのか,それとも他の医療機関が取りに来るのか。
(A) 医療従事者向けの場合は京都府が,住民向けは市町村が配送することとなる。(注:ファイザー製の場合)
Q5.優先接種で余ったワクチンを住民に接種してもよいか。
(A) 接種券が発行されていなければ接種履歴の登録ができないため不可。医療従事者向け優先接種の範囲内でやりくりして実施することは可。
Q6.集団接種への出務に集合契約は必要か。
(A) 実施主体である行政が手続きを行うためその必要はない。
Q7.住民票登録のある市町村での接種となっているが近隣市町村から越境しての接種は可能か。
(A) 可能である。接種後の請求先が当該市町村住民は当該市町村に,それ以外は国保連に請求することとなる。
Q8.接種医はフルPPEが必要か。
(A) マスクと手指衛生の標準予防策で可。
Q9.1バイアル5接種の倍数からはみ出た場合の残りは廃棄するのか。
(A) 優先接種の機会を与えられたにもかかわらず大量の廃棄が出ることは社会が容認しないため,最大限ロスの出ないようにご配慮願いたい。
Q10.接種の日時は誰が指定するのか。
(A) 各医療機関の裁量で受け付けていただいてよい。
Q11.在宅診療のかかりつけ患者も希釈後6時間以内に接種するのか。
(A) 6時間以内のスケジュールを5人単位で組むことをお願いしたい。
Q12.集合契約をしていない医療機関に所属する従事者は他院で接種することになるのか。
(A) 集合契約を行っている医療機関で接種していただくことになる。集合契約医療機関名は今後,行政のホームページで広報される予定。
Q13.診療所での個別接種時の副反応への対応が混合診療にあたらないか。
(A) 予防接種健康被害救済制度では,予防接種と健康被害との因果関係が認定された場合,かかった医療費の自己負担分が給付される仕組みとなっている。
新型コロナワクチン接種によって健康被害が生じた場合にも,予防接種に基づく救済(医療費・障害年金の給付など)が受けられる。
これは現時点の取り扱いではあるが混合診療には該当しないと考えられる。
Q14.これまでに認められている副反応にはどのようなものがあるのか。
(A) 日本への供給を計画している海外のワクチン(ファイザー社,アストラゼネカ社,モデルナ社,ノババックス社)では,ワクチン接種後に,ワクチン接種と因果関係がないものも含めて,接種部位の痛みや,頭痛・倦怠感・筋肉痛等の有害事象が論文等に発表された。
また海外ですでに実施された予防接種では,まれな頻度でアナフィラキシーの発生が報告されている。もしアナフィラキシーが起きたときには,接種会場や医療機関では初期対応としての治療を行う。
Q15.副反応が起きた場合の補償はどのようなものか。
(A) 一般的にワクチン接種での副反応による健康被害は極めて稀であるものの避けることができないことから,救済制度が設けられている。
救済制度では,予防接種によって健康被害が生じ,医療機関での治療が必要であったり障害が残った場合に,予防接種法に基づく救済(医療費・障害年金等の給付)が受けられる。
新型コロナワクチン接種でも,健康被害が生じた場合には予防接種法に基づく救済を受けることになる。なお,健康被害救済の給付額は,定期接種のA類疾病と同じ水準とされた。
Q16.海外では,アレルギーのある人は接種を受けているのか。アレルギーのある人は副反応が起きやすいのか。
(A) 米国の疾病予防管理局(CDC)は,他のワクチンや食べ物に対して重いアレルギーのある人も,新型コロナワクチンの接種は可能としている。一方,過去に新型コロナワクチンに対して,アナフィラキシーなど重いアレルギー反応を起こした人や,同ワクチンに含まれるポリエチレングリコール(PEG)やポリソルベート(※)に対して重いアレルギー反応を起こしたことがある人への接種は推奨されない。
(※)PEGは,医薬品・医薬品添加物,ヘアケア・スキンケア製品,洗顔料,顔料分散剤など,様々な用途で使用されている。また,ポリソルベートは,乳化剤や安定剤として,幅広く食品やワクチンに用いられている。
米国では,①重いアレルギー反応の既往や,ワクチンや注射で何らかの即時型アレルギー反応を起こしたことがある人は,ワクチン接種後少なくとも30分間,②それ以外の人は,ワクチン接種後少なくとも15分間は,アナフィラキシーなどの有無を観察するよう推奨している。
なお,米国において,ファイザー社の新型コロナワクチン接種後に報告されたアナフィラキシーは,2021年1月18日時点で,50例(9,943,247回中)で,100万回あたり5例となっている。74%が接種後15分以内,90%が接種後30分以内に症状が現れていた。また,80%にアレルギーの既往があり,24%にはアナフィラキシーの既往があったと報告されている。
英国では,新型コロナワクチンの接種開始当初,過去にワクチンや薬剤,食品にアナフィラキシーを起こした人には接種しないこととしていたが,特に制限を行わない米国でのアナフィラキシーのデータを踏まえ,今は,米国同様の取扱いとしている。
Q17.子どもはワクチンを受けることができるのか。
(A) 現在薬事承認されているファイザー社の新型コロナワクチンは,16歳以上が薬事承認の対象となっている。
また,予防接種法に基づく公費での接種の対象を16歳以上としている。このため,16歳未満はワクチンの接種の対象にはならない。
アストラゼネカ社,モデルナ社の新型コロナワクチンでは,18歳以上に対して臨床試験が行われており,今後,提出された臨床試験のデータに基づき,接種の年齢が決められることになる。また,ファイザー社,モデルナ社の新型コロナワクチンでは12歳以上の小児を対象とした臨床試験が開始されている。
接種の対象者は,現時点の科学的知見に基づいて決められるが,将来的には接種の対象年齢が広がる可能性がある。
Q18.ファイザー社のワクチンは,1回目から3週間後に2回目を受けることになっているが,どのくらいのズレが許容されるのか。
(A) ファイザー社のワクチンは,標準としては,1回目から3週間後(3週間後の同じ曜日)に2回目を受けることになっている。現時点では21 日±2日(19日~21日)の間隔が許容されている。
接種間隔が3週間から大きくずれた場合の効果は確かめられおらず,1回目の接種から3週間を超えた場合,可能な限り早く2回目の接種を行う。
Q19.mRNAワクチンは新しい仕組みであるが,既存のワクチンと違う点は何か。特に,ワクチンの遺伝情報を人体に投与することで,将来の身体への異変や将来持つ予定の子どもへの影響が懸念されないか。
(A) これまで我が国において使用されていたワクチン(不活化ワクチン,組換えタンパクワクチン,ペプチドワクチン)はウイルスの一部のタンパクを人体に投与し,それに対して免疫ができる仕組みである。
mRNAワクチンでは,ウイルスのタンパク質(スパイクタンパク)をつくる情報の一部を注射し,体内でこの情報をもとにスパイクタンパクの一部がつくられ,それに対する抗体などが産生され免疫を獲得する。
mRNAは,数分から数日といった時間経過とともに分解される。また,mRNAは人の遺伝情報(DNA)に組みこまれるものではない。体内でDNAからmRNAを作る仕組みがあるが,情報の流れは一方通行で,逆にmRNAからはDNAはつくられない。このことから,mRNAの注射でその情報が長期に残ったり,精子や卵子の遺伝情報に取り込まれることはないと考えられている。
このような一般的な科学的な知見だけでなく,薬事承認にあたっては,動物試験や臨床試験の結果に基づいて安全性を評価し,審査を行っている。
Q20.接種するワクチンの種類は選べるのか。
(A) 接種を受ける時期に供給されているワクチンを接種することになる。また,複数のワクチンが供給されていても,2回目の接種は,1回目に接種したワクチンを同じ種類のワクチンを接種する必要がある。
Q21.筋肉注射の部位と方法,コツは。
(A) 新型コロナワクチンは三角筋に接種する。接種部位は肩峰の3横指(5cm)下で,利き手の反対側の手で皮膚をやや伸展させ,皮膚に垂直に刺入する。血液の逆流を確認するための陰圧をかけることは不要。一気に接種し,真っ直ぐに針を抜いてアルコール綿で押さえる。揉む必要はない。
皮膚から筋肉までは約15mmの深さであり,針の長さは5/8(16mm)が最適である。痩せている人は少し浅く刺入するか,1/2(13mm)を用いてもよい。肥満の人では5/8(16mm)を深く刺入する。やむを得ず1(25mm)を用いる場合は深くならないよう,注意を要する。
なお,アナフィラキシーと判断してエピネフリン0.1%を筋注する場合は大腿外側で行う。