2021年3月15日号
西京医師会と府医執行部との懇談会が11月27日(金),Webで開催され,西京医師会から10名,府医から9名が出席。「府医と西京医師会との連携・役割分担」,「住民の方への啓発の主体」,「今後の健診のあり方」をテーマに活発な議論が行われた。
〈注:この記事の内容は11月27日現在のものであり,現在の状況とは異なる部分がございますのでお含みおきください〉
診療・検査医療機関についてあらためて説明し,集合契約の積極的な参加を依頼した。地区から発熱患者の紹介を受け入れる医療機関の情報提供を求める声があったが,地区によって事情が異なり統一が難しいため,地区ごとでの検討が望ましいとした。情報共有の一例として,山科医師会の取組みを紹介した。
発熱患者・検査医療機関の参加を募っているが,自院患者のみ対応の医療機関は非公表としている。地区内の医療機関の情報を把握するため,山科地区全会員に緊急アンケートを実施し,どの程度対応可能かを6つの項目に分け,回答を得た。この結果に基づいて,理事会で今後の方針を検討し,その一つが「山科発熱者患者等外来コントロールセンター」の設置である。各班に理事を1名置いて,7名で医療機関のリストを共有し,会員からの問い合わせに対応,外来調整の体制を考えている。また,地区全員でのWeb・対面でのハイブリッド会議を開催し,山科医師会の今後の対応について説明予定である。
◇「西京医師会でもアンケート実施を検討したが,行政が指定医療機関を把握しているのであれば,直接京都府から提供してもらえないか。もしくは府医で同様のアンケートを実施し,地区ごとの特性を把握した上で,府医から各地区に提供した方がよいのではないか。また,アンケート実施について,すぐに状況が変わるため,行政がWeb等で実施していく方がより正確なのではないか」と意見が出された。
府が指定医療機関を指定する際に意向確認を行ったデータでは,実情と異なっていたケースがあり,データがそのまま使えないため,独自にアンケートを実施した地区もある。より正確な情報把握のため,各地区で対応した方が良いと思われる。また,これらについて府と府医では何度も協議をしているが,刻一刻と状況が変わり,細かな変更点もあると回答した。
地区で発熱患者が安心して受診するために,軽症者については従来のルートで対応するが,重症化の兆候が認められた場合,どのように対応するかは非常に重要である。実際に入院医療コントロールセンターでも,検査結果を待つ間に重症化しているケースが見られる。もし結果判明前に入院ができればそのリスクが避けられる。但し,病院側の受け入れ態勢が確立されているか,これらについてどこまで広報するか等の課題がある。
各地区でも,コロナ・疑いとも病院が受け入れ拒否のケースがある。陽性患者についてはコントロールセンターで対応するが,地区でも受け入れてもらえる病院を少しずつ増やし,体制を整えていくのが望ましいとした。
◇「コロナ・インフルエンザ流行時における西京医師会の体制等の周知について行政に確認したところ,府・市で一括して実施するので,区単位では周知不要との回答だった。この辺りについて府医と行政で協議してほしい」と要望が出された。
区民への周知については「身近なかかりつけ医」を謳っている以上,患者が必ず検査・治療が受けられ,医師が安心して診療に当たるためにも積極的に広報してもらっても構わない。診療・検査医療機関の公表については,地区内で慎重に検討してほしいと回答した。
◇「患者の勤務先の同僚が濃厚接触者で陰性の場合,上気道炎等の症状があれば偽陰性の可能性がある。会社が患者に自費検査を要求した場合,任意検査の実施は可能か。また,今後このような依頼が増えてきた時どのような対応をすればよいか。契約検査機関で任意検査も対応してもらえるのか」と質問があった。
基本的に濃厚接触者であるかは保健所が判断する。実際に近くに居ただけでは濃厚接触者にならないケースもあり,基準が曖昧である。質問のケースではどうしてもPCR検査の性質上,偽陰性が出てくる。無症状者を府医の検査センターで検査することはできない。会社が自費でという場合は,勤務先の会社に医療機関を探してもらうか,検査専門の医療機関への案内しかできないのではないか。府医の検査は行政検査であり,集合契約の医療機関でも自費診療は不可としていると回答した。
◇「抗原検査が陰性後,数日で症状が改善しなかった場合,再度自院での検査は可能か。もしくは府医の相談センターに連絡すべきか」と質問が出された。
同一日に実施の場合,保険で認められるかは不明のため,同じ医療機関で同日に2つの検査実施は避けてほしい。翌日に検査するか,府医の相談センターに連絡するか,同日実施の場合は別の医療機関に依頼するかのいずれかで対応願いたいと回答した。
京都市の健診受診者数は,現状では緊急事態宣言で4~5月が実施できなかったことと集団健診の中止の影響もあり,4~10月比較では前年から大きく減少している。京都市の健診は,3月末までの実施であることから今後の予想は難しい。
府医としては,感染対策をしっかり行った上での令和3年度の集団健診事業の実施を念頭に置き,密を避けるための予約制コールセンターの設置や定員設定(60名制限)を行うにあたっての補償を京都市へ要望してきた。しかし,市からは財政面からも補償は困難との回答であった。また,感染対策を実施したとしても多くのリスクや問題点がある。これらの状況から,府医としては令和3年度の集団健診実施は難しいという意見を各地区担当理事に伝えた。最終的に,各地区で実施希望かどうかの回答を得た上で,府医が最終判断することとした。
◇「現状では集団健診の実施が難しいことがわかった。住民の健康のためにも健診受診が重要だと考えており,先程のテーマと同様に住民への啓発を検討している。区と連携してやっていきたい」と意見が出された。
住民の健康のためにも,この状態を長引かせるのは良くない。しかし説明のとおり,集団健診実施は難しい状況であり,来年も実施が困難と思われる。できるだけ集団健診の受診者を個別健診へ勧めるよう働きかけ,京都市にも要望していく。個別健診の医療機関には負担をかけるが,協力をお願いしたい。令和3年度は,市へ個別健診における対策費(コロナ感染対策費)を検討してもらっている。令和4年度以降の集団健診については未定だが,従来どおりに実施できればと考えていると回答した。