2021年5月1日号
令和元年8月に社会保障審議会介護保険部会の下に「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」(以下,「専門委員会」という)が設置され,自治体関係者の参画も得て,令和元年12月4日に中間とりまとめが行われました。中間とりまとめの内容は厚労省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05896.html)参照。
同中間とりまとめにおいて今後の取組としていた事項のうち,令和2年度に専門委員会で検討した対応方針が下記のとおり示されましたので,お知らせします。
なお,この通知は,地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言として発出されるものです。
対応方針
1.変更届に関する取扱い
(1) 運営規程等に記載する従業員の「員数」の取扱い
運営規程や重要事項説明書に記載する従業員の「員数」は日々変わりうるものであるため,業務負担軽減等の観点から,介護サービス事業者が規程を定めるに当たっては,指定基準において置くべきとされている員数を満たす範囲において,「○人以上」と記載することも差し支えないこととする。
実人数を記載する場合にあっても,運営規程の「従業者の員数」に変更があったとするのは,1年のうち一定の時期を比較して変更している場合とし,その変更の届出は1年のうちの一定の時期(どの時期がいいかは各指定権者の判断事項)に行うことで足りるものとすること。(例えば,毎年3月に変更の届出を行わせる場合には,介護サービス事業者は,前年の3月と比較して変更している事項について届出を行うこととなる。)
なお,この取扱いは,従業者の日々の変動などを想定しているものであって,運営規程に変更があったとしても届出をしなくてもよいということを示しているものではないことに留意されたい。
(2) 変更届に添付を求める書類の標準化
変更届に添付を求める標準添付書類について,別途示される。
(3) 変更届の提出が遅延した場合の遅延理由書について
事業所の名称及び所在地その他厚生労働省令で定める事項に変更があったとき,介護サービス事業者は10日以内にその旨を指定権者に届け出なければならないと介護保険法で定められており,介護サービス事業者は変更届の提出期限を遵守しなければならないが,やむを得ない事情により遅延した場合などにおいては,指定権者は遅延理由書の提出までは求めないなど,介護サービス事業者に過度な負担をかけることのないよう留意すること。
2.更新申請時に求める文書の簡素化
介護保険法施行規則において,介護サービス事業者が更新申請にあたり提出が必要な事項のうち,既に指定権者に提出していて変更がない場合,指定権者は「申請書の記載又は書類の提出を省略させることができる」としている事項について,特段の事情がない限り,省略させることとする。
なお,変更がないために提出を省略する書類であることを確認するためのチェックリストの様式例を別途示される予定であるので,必要に応じて活用されたい。
3.複数の指定を受ける事業所に関する簡素化
(1) 介護サービスと介護予防サービスの指定を受ける場合の取扱いについて
例えば,介護予防訪問看護の指定を受けようとしている事業所が,訪問看護の指定を受けている場合においては,既に都道府県知事に提出している事項について変更がないときは,それらの事項にかかわる申請書又は書類の提出を省略させることができることが介護保険法施行規則において規定されている。指定権者は,これらの場合における「申請書の記載又は書類の提出を省略させることができる」としている事項については,特段の事情がない限り,省略させることとする。
(2) 指定の有効期間の定めに関する弾力的な運用について
介護保険法の規定により,指定サービス事業者等の指定等は,6年ごとにそれらの更新を受けなければ,その期間の経過によって効力を失うとされているが,これらは,指定等の有効期間を規定するものであり,指定等の更新を6年未満で行うことを妨げるものではない。
したがって,同一事業所で複数のサービスの指定等を受けており,それぞれの指定等の有効期限が異なっている場合に,それらの指定等の有効期間をあわせて更新することは可能であるので,必要に応じて対応願いたい。
なお,上記は,指定の更新を6年未満で行うことが可能であることを示したものであり,指定の有効期間を6年未満に短縮できるとしたものではない。
4.「従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表」様式例について
自治体及び事業者から寄せられた意見等を踏まえ,様式例及び事業所独自のシフト表等により代替する場合の必要項目について,別途示される。
5.実地指導等について
(1) 介護保険施設等に対する実地指導の標準化・効率化等の運用指針を踏まえた実地指導マニュアルの改訂を行い,更なる標準化・効率化に資する取り組みを推進するとともに,指導形態を見直し,事業所の運営状況により実施頻度についてメリハリをつけることとし,別途,関係通知等を改正する。
(2) 老人福祉施設の監査の頻度(原則,毎年1回)については,社会福祉法人監査の頻度と整合性を図り,適正な施設運営が確保されている場合には,原則として3年に1回とし,別途,関係通知等を改正する。
今後の取組
1.様式例の整備
(1) 総合事業の様式例の整備
専門委員会での検討を踏まえ,従前相当サービス及びサービスAの指定申請・変更届の様式例を作成し,示される予定。
(2) 加算の添付書類等
専門委員会での検討を踏まえ,各種加算について整理し,標準添付書類等を示される予定。
2.ガイドライン等,効果的な周知の方法
指定申請や報酬請求に関する指定権者の実務の標準化に向け,専門委員会で検討した対応方針等は当面,通知等により示される。
ウェブ入力・電子申請の実現後,指定権者及び事業者からの意見を踏まえながら,更なる簡素化・標準化の検討を行い,その結果を指定申請・報酬請求に関する運用指針(ガイドライン)としてとりまとめる予定。
3.ウェブ入力・電子申請(データの共有化)
専門委員会の方針を踏まえ,介護サービス情報公表システムを活用した指定申請等に関するウェブ入力・電子申請について検討を進めており,当該システムの改修を令和3年度中に行い,令和4年度当初から運用することを予定している。進捗状況や今後の運用方法等については逐次,示される。