京都府立医科大学医師会との懇談会 1.20 Web開催

「COVID-19」,「地域医療連携」について議論

 京都府立医科大学医師会と府医執行部との懇談会が1月20日(水),Webで開催され,京都府立医科大学医師会から7名,府医から7名が出席。「COVID-19」,「地域医療連携」をテーマに活発な議論が行われた。

〈注:この記事の内容は1月20日現在のものであり,現在の状況とは異なる部分がございます〉

COVID-19について

 年末年始の感染者の状況を報告後,今後の課題と医療体制について議論がなされた。
 京都府内では全国同様,年末年始にかけて陽性者が増加し,入院または宿泊療養の必要な陽性者が自宅待機を余儀なくされる状況になった。府医では,多くの医療機関が休業する年末年始に,特に自宅待機者が多かった京都市内の高齢者や基礎疾患を有するハイリスク者に対して,役員が電話による健康管理を実施した。府医の介入により,京都府入院医療コントロールセンターとの連携がスムーズになったことで,必要と判断した患者についてはほぼ入院が可能となったが,それでも入院・宿泊施設の対応人数には限界があり,自宅待機を余儀なくされ,重症化,死亡するケースもあった。年末年始の対応は概ね機能していたが,重症化する前にどれだけ治療ができるかが重要であり,課題として,医療連携のシステムの構築,病床確保,医療への早期アクセス,行政との情報共有などが挙げられた。

~意見交換~

◇「市が自宅待機者のリストを府医と共有できれば,かかりつけ医からの情報提供で,よりシステマティックに入院すべき患者の選択が可能になるのではないか」という意見が出された。
 府医からは,かかりつけ医が自宅待機者の健康観察を担当することを検討しているとした上で,それによって,かかりつけ医からの入院依頼が増加して医療を圧迫することのないよう,市と協議していくとした。

◇「最初に指定医療機関で高齢者・ハイリスク患者を診察・検査をすることは,入院の判別,重症化の予測には確かに有効だが,最後の砦である重症指定医療機関がその役割まで担うことは難しい。この入口の医療機関の役割分担を考えていく必要があると思う」,また,「自宅で症状悪化のため,京都府入院医療コントロールセンターに受入先を依頼しても,退院者がなければ2晩待つことも出てくる。そのあたりを担う病院群が必要である」との意見が出された。
 府医からはこの入口の役割への理解が進めば,担ってくれる医療機関の調整は可能との考えを示した。また,入口だけではなく,上り・下り搬送,中間的な診断,医療アクセスの確保等,すべて揃うためには,それぞれの医療機関がどの役割を果たしていくかを考える必要があるとした。

◇「コロナ対応の医療機関がこれ以上逼迫しないようなワクチンの接種体制を構築してほしい。大きな体育館を借りて,医師を派遣してはどうか。その派遣医師については府医大を含め,各医療機関が協力できると思う。京都市主導だと思うが,府医も体制について検討いただきたい」と要望が出された。
 府医より,厚労省からの通知,説明会での情報を基に,接種体制やスケジュールの概要を説明。府・市と検討を重ねているが,できるだけ要望に沿えるよう交渉していくと回答した。

<府医大>地域医療連携について

 医師の働き方改革が施行される2024年,地域医療構想の目標年次である2025年を見据え,今後は入院,手術などの本来の役割にタスクシフトすべく,外来患者30%の削減と逆紹介を推進していく意向を示した上で,「これらの実現には地域のかかりつけ医の協力が不可欠である」とし,府医へ協力を求めた。また,コロナを機に進展した地域連携の会など,顔の見える関係を今後も築いていきたいとした。

2021年5月15日号TOP