2021年11月15日号
府医では2021年10月21日,京都産婦人科医会,京都市との三者による「新型コロナウイルス感染症の在宅療養中の妊婦に対する医療体制構築に向けた協定」を締結し,調印式を行った。
新型コロナ陽性妊婦について,京都府では原則入院としているところであるが,第5波のような感染爆発が起こるとやむを得ず自宅療養を強いられる場合も想定されることから,そのような状況でも適切に医療に繋げる体制の構築を目的とする。
これまで,在宅療養中の新型コロナ陽性妊婦の状態が悪化し,産科的な対面診療が必要となった場合で,院内の構造上,自院での診療ができない産科医療機関の妊婦については,総合周産期母子医療センターや地域周産期母子医療センター等,産科対応可能なコロナ受入病院で対応していたが,第5波の患者急増時には,これらの受入病院の病床が逼迫した経過がある。
今般,府医会館内に設置したコンテナハウスを診療場所とし,かかりつけ産科医によるかかりつけ妊婦への診療を可能とすることで,妊婦への安心と総合周産期母子医療センター,地域周産期母子医療センターの負担軽減に繋げる狙いがある。
松井道宣・府医会長は,「妊婦は他の陽性者と異なり,母体と胎児の二つの命を守らなければならない。府医会館に設置した診療場所をかかりつけ産科医・産婦人科医会の先生方に活用いただくことで,いち早くリスクを把握することにも繋がり,京都府入院医療コントロールセンターを経て,速やかな入院医療につなげることができる。中和抗体薬の活用にも有効であり,今後は重症化予防が重要な観点になる」として,今回の協定締結の意義を強調した。
また,柏木智博・京都産婦人科医会長は,「かかりつけ産科医がまず一次診療を行うことで,妊婦を守る,総合周産期および地域周産期母子医療センターを守るという2つの大きな意味がある。産婦人科医会として総力を挙げて取組みたい」と意気込みを示した。
本事業に係る費用は,日医の「新型コロナ感染症患者受入病床確保調整業務支援事業」による補助金が活用された。
左から松井道宣・府医会長,門川大作・京都市長,柏木智博・京都産婦人科医会長