保険だより – 新型コロナウイルス感染症に係る新たな診療報酬上の特例的な対応について

 新型コロナウイルスの感染が拡大している状況を踏まえ,新たな診療報酬上の特例的な対応等について,下記のとおり示されましたので,お知らせします。
 令和3年4月診療分より,外来および入院診療に係る感染症対策に係る診療報酬の特例的対応として,「医科外来等感染症対策実施加算(5点)」および「入院感染症対策実施加算(10点)」の算定が可能とされてきましたが,この取り扱いにつきましては,本年9月末日をもって終了となりました。
 これに代わり,医療機関等による感染拡大防止対策への支援として,令和3年10月1日から12月31日までに係る感染拡大防止対策に要する費用として,病院・有床診療所に10万円,無床診療所に8万円が補助されることとなりました(詳細はあらためて周知予定)。
 令和2年12月15日より実施されてまいりました6歳未満の乳幼児に対する小児の外来診療等に係る措置(初診料,再診料,外来診療料,小児科外来診療料,小児かかりつけ診療料を算定する場合,100点を加算)につきましては,本年10月診療分から令和4年3月診療分までの取り扱いとして,点数を50点として継続されることとなりました。
 その他,診療報酬における特例的な対応は下記のとおりです。

Ⅰ 新たな診療報酬における特例的な対応の概要
① 「診療・検査医療機関」として都道府県から指定され,その旨が自治体のホームページで公表されている医療機関において,その診療・検査対応時間内に,新型コロナウイルス感染症であることが疑われる患者に対し,必要な感染予防策を講じた上で外来診療を実施した場合,院内トリアージ実施料(300点)に加えて,二類感染症患者入院診療加算(250点)を算定可能となる。(令和4年3月31日までの措置)
 本取扱いは,自治体のホームページで公表されている「診療・検査医療機関」の他,令和3年10月31日までの間は,当該医療機関のホームページによる公表,看板の設置,院外での広告の掲示,広報誌等による周知により,対外的に情報が得られる方法により,自治体による公表に変えることが可能。(ただし,院内掲示のみでは不可。)

② 自宅・宿泊療養を行っている者に対して,新型コロナウイルス感染症に関連した訴えについて往診を緊急に求められ,速やかに往診しなければならないと判断し往診を実施した場合,あるいは,新型コロナウイルス感染症に関連した継続的な診療の必要性を認め訪問診療を実施した場合,往診料または在宅患者訪問診療料を算定した日に救急医療管理加算1の100分の300に相当する点数(2,850点)が算定可能となる。
 また,当該点数は,当該患者に対して主として診療を行っている保険医が属する1つの医療機関において,1日につき1回算定できる。なお,同一の患家等で2人以上の自宅・宿泊療養を行っている者を診察した場合においては,2人目以降の患者について,往診料を算定しない場合においても,当該加算(2,850点)を算定して差し支えない。

③ 介護医療院等の併設医療機関の医師または介護福祉施設の配置医師が,入所する新型コロナウイルス感染症患者で,病床ひっ迫時等に,やむを得ず当該施設内での入所を継続し療養を行う者に対して,新型コロナウイルス感染症に関連した訴えについて往診を緊急に求められ,速やかに往診しなければならないと判断し往診を実施した場合,あるいは,新型コロナウイルス感染症に関連した継続的な診療の必要性を認め診療を実施した場合,救急医療管理加算1の100分の300に相当する点数(2,850点)が算定可能となる。
 また,当該点数は,当該患者に対して,主として診療を行っている保険医が属する1つの医療機関において,1日につき1回算定できる。

④ 中和抗体「カシリビマブおよびイムデビマブ」(以下「本剤」)の投与対象となる新型コロナウイルス感染症患者であって,自宅・宿泊療養を行っている者に対して,一定の要件を満たした医療機関において,本剤を当該患者の居宅(高齢者施設等を含む。)において投与した場合,投与した日に1回,救急医療管理加算1の100分の500に相当する点数(4,750点)を算定できる。
 また,新型コロナウイルス感染症患者に対し,一定の要件を満たした医療機関において,本剤を外来で投与した場合,投与した日に1回,救急医療管理加算1の100分の300に相当する点数(2,850点)を算定できる。

⑤ 入院中の患者以外の新型コロナウイルス感染症患者に対し,新型コロナウイルス感染症に係る診療(緊急的な往診,訪問診療および電話や情報通信機器を用いた診療を除く。)を実施した場合,当該患者に対して主として診療を行っている医療機関において,1日につき1回,救急医療管理加算1(950点)を算定できる。

⑥ 自宅・宿泊療養を行っている者に対して,主治医の指示に基づき,訪問看護ステーション又は医療機関が緊急に訪問看護を実施した場合,訪問看護ステーションにおいては,長時間訪問看護加算の100分の300に相当する額(15,600円)を,医療機関においては,長時間訪問看護・指導加算の100分の300に相当する点数(1,560点)を,当該患者に対して主として訪問看護を行った訪問看護ステーションまたは医療機関において,訪問看護を行った時間を問わず1日につき1回算定できる。

Ⅱ 新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その63)(9月28日付)

1.小児の外来診療等に係る措置について
 「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱い(その31)」(令和2年12月15日厚生労働省保険局医療課事務連絡)の1及び「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱い(その35)」(令和3年2月26日厚生労働省保険局医療課事務連絡)の1により,令和3年9月診療分まで実施している小児の外来診療等に係る特例的な評価については,同年10月診療分から令和4年3月診療分までの取扱いとして,以下の取扱いとする。

(1)医療機関において,6歳未満の乳幼児に対して,小児の外来診療等において特に必要な感染予防策を講じた上で診療を行い,医科点数表の「A000 初診料」,「A001 再診料」,「A002 外来診療料」,「B001-2 小児科外来診療料」又は「B001-2-11 小児かかりつけ診療料」を算定する場合,現行の要件を満たせば算定できる加算に加えて,「A001 再診料」注12に規定する「地域包括診療加算1」御中の2倍に相当する点数(50点)をさらに算定できることとすること。

2.その他の診療報酬の取扱いについて
 下記のとおりとする。

問1 「次のインフルエンザ流行に備えた体制整備について」(令和3年9月28日厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)における「診療・検査医療機関」として都道府県から指定され,その旨が公表されている医療機関において,その診療・検査対応時間内に,新型コロナウイルス感染症であることが疑われる患者に対し,必要な感染予防策を講じた上で外来診療を実施した場合,「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その9)」(令和2年4月8日厚生労働省保険局医療課事務連絡。以下「4月8日事務連絡」という。)の2(2)における二類感染症患者入院診療加算(250点)の算定について,どのように考えればよいか。

(答) 4月8日事務連絡の1に示す院内トリアージ実施料(300点)とは別に,上記の診療・検査医療機関で外来診療を実施した場合でも当該加算を算定できる。なお,この取扱いは,本事務連絡(新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その63))の発出日(9月28日)以降適用され,令和4年3月31日までの措置とする。

問2 問1において,「診療・検査医療機関として・・・その旨が公表されている医療機関」とあるが,どのようなものをいうのか。

(答) 診療・検査医療機関として,自治体のホームページで公表されている医療機関をいう。なお,令和3年10月31日までの間は,当該医療機関のホームページ等において,診療・検査医療機関である旨を公表していることをもって,自治体による公表に代えて差し支えない。

問3 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第44条の3第2項の規定に基づき,宿泊施設又は当該者の居宅若しくはこれに相当する場所から外出しないことを求められている者(以下「自宅・宿泊療養を行っている者」という。)に対して,当該患者又はその看護に当たっている者から新型コロナウイルス感染症に関連した訴えについて往診を緊急に求められ,速やかに往診しなければならないと判断し往診を実施した場合,あるいは,新型コロナウイルス感染症に関連した継続的な診療の必要性を認め訪問診療を実施した場合において,「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その19)」(令和2年5月26日厚生労働省保険局医療課事務連絡。以下「5月26日事務連絡」という。)の1(2)に示される救急医療管理加算1の100分の300に相当する点数(2,850点)の算定について,どのように考えればよいか。

(答) 当該点数については,自宅・宿泊療養を行っている者に対して,往診料又は在宅患者訪問診療料を算定した日に算定することができる。ただし,同一日に「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その56)」(令和3年8月27日厚生労働省保険局医療課事務連絡。以下「8月27日事務連絡」という。)の(1)に示す救急医療管理加算1の100分の400に相当する点数(3,800点)又は同事務連絡の(2)に示す救急医療管理加算1の100分の600に相当する点数(5,700点)は併算定できない。
 なお,この取扱いは,本事務連絡の発出日以降適用される。

問4 問3について,救急医療管理加算1の100分の300に相当する点数(2,850点)は,往診料又は在宅患者訪問診療料を算定する毎に算定できるのか。

(答) 当該点数については,当該患者に対して主として診療を行っている保険医が属する1つの医療機関において,1日につき1回算定できる。
 また,同一の患家等で2人以上の自宅・宿泊療養を行っている者を診察した場合においては,2人目以降の患者について,往診料を算定しない場合においても,当該加算を算定して差し支えない。

問5 介護医療院若しくは介護老人保健施設(以下「介護医療院等」という。)又は地域密着型介護老人福祉施設若しくは介護老人福祉施設(以下「介護老人福祉施設」という。)に入所する新型コロナウイルス感染症患者であって,病床ひっ迫時に,やむを得ず当該施設内での入所を継続し療養を行う者に対して,介護医療院等の併設医療機関の医師又は介護老人福祉施設の配置医師が,当該患者又はその看護に当たっている者から新型コロナウイルス感染症に関連した訴えについて往診を緊急に求められ,速やかに往診しなければならないと判断し往診を実施した場合,あるいは,新型コロナウイルス感染症に関連した継続的な診療の必要性を認め診療を実施した場合において,問3及び問4と同様に,救急医療管理加算1の100分の300に相当する点数(2,850点)を算定できるか。

(答) 当該点数については,上記の場合において,介護医療院等又は介護老人福祉施設に入所する新型コロナウイルス感染症患者に対して算定できる。また,当該点数については,当該患者に対して主として診療を行っている保険医が属する1つの医療機関において,1日につき1回算定できる。なお,初診料,再診料,往診料及び訪問診療料の算定については,特に定めのない限り,「要介護被保険者等である患者について療養に要する費用の額を算定できる場合」(平成20年厚生労働省告示第128号)等に基づく現行の取扱いと変わらないことに留意されたい。
 なお,この取扱いは,本事務連絡の発出日以降適用される。

問6 中和抗体薬「カシリビマブ及びイムデビマブ」(以下「本剤」という。)の投与対象となる新型コロナウイルス感染症患者であって,自宅・宿泊療養を行っている者に対して,「新型コロナウイルス感染症における中和抗体薬の医療機関への配分について」(令和3年7月20日厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡。以下「7月20日コロナ本部事務連絡」という。)中「医療機関による往診での投与」に示される要件を満たした医療機関が本剤を当該患者の居宅(高齢者施設等を含む。以下同じ。)において投与した場合,「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その27)」(令和2年9月15日厚生労働省保険局医療課事務連絡)の1に示される救急医療管理加算1の100分の500に相当する点数(4,750点)の算定について,どのように考えればよいか。

(答) 当該点数については,本剤を患者の居宅において投与した日に1回算定できる。ただし,本事務連絡の問3における救急医療管理加算1の100分の300に相当する点数(2,850点),8月27日事務連絡の(1)に示す救急医療管理加算1の100分の400に相当する点数(3,800点)又は同事務連絡の(2)に示す救急医療管理加算1の100分の600に相当する点数(5,700点)は併算定できない。
 なお,この取扱いは,本事務連絡の発出日(9月28日)以降適用される。

問7 入院中の患者以外の新型コロナウイルス感染症患者に対し,新型コロナウイルス感染症に係る診療(緊急的な往診,訪問診療及び電話や情報通信機器を用いた診療を除く。)を実施した場合,当該外来診療に係る「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その9)」(令和2年4月8日厚生労働省保険局医療課事務連絡)の2(1)に示される救急医療管理加算1(950点)の算定について,どのように考えればよいか。

(答) 当該患者に対して主として診療を行っている医療機関において,1日につき1回算定できる。ただし,同一日に本事務連絡の問3における救急医療管理加算1の100分の300に相当する点数(2,850点),問6における救急医療管理加算1の100分の500に相当する点数(4,750点),8月27日事務連絡の(1)に示す救急医療管理加算1の100分の400に相当する点数(3,800点)又は同事務連絡の(2)に示す救急医療管理加算1の100分の600に相当する点数(5,700点)は併算定できない。
 なお,この取扱いは,本事務連絡の発出日(9月28日)以降適用される。

問8 本剤の投与対象となる新型コロナウイルス感染症患者に対し,7月20日コロナ本部事務連絡中「医療機関による外来での投与」に示される要件を満たした医療機関において本剤を外来で投与した場合,5月26日事務連絡の1(2)に示される救急医療管理加算1の100分の300に相当する点数(2,850点)の算定について,どのように考えればよいか。

(答) 本剤を外来で投与した日に1回算定できる。ただし,同一日に本事務連絡の問3及び問5における救急医療管理加算1の100分の300に相当する点数(2,850点),問7における救急医療管理加算1(950点),8月27日事務連絡の(1)に示す救急医療管理加算1の100分の400に相当する点数(3,800点)又は同事務連絡の(2)に示す救急医療管理加算1の100分の600に相当する点数(5,700点)は併算定できない。
 なお,この取扱いは,本事務連絡の発出日(9月28日)以降適用される。

問9 「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その52)」(令和3年8月4日厚生労働省保険局医療課事務連絡)別添の問1に基づき,自宅・宿泊療養を行っている者に対して緊急に訪問看護を実施した場合,長時間訪問看護加算又は長時間訪問看護・指導加算の算定について,どのように考えればよいか。

(答) 訪問看護ステーションにおいては,長時間訪問看護加算の100分の300に相当する額(15,600円)を,医療機関においては,長時間訪問看護・指導加算の100分の300に相当する点数(1,560点)を,当該患者に対して主として訪問看護を行った訪問看護ステーション又は医療機関において,訪問看護を行った時間を問わず1日につき1回算定できる。この場合,長時間精神科訪問看護加算又は長時間精神科訪問看護・指導加算の算定についても同様の取扱いとなる。
 なお,この取扱いは,本事務連絡の発出日(9月28日)以降適用される

2021年10月15日号TOP