学術講演会における「確認問題」

京都消化器医会 定例学術講演会  とき:6月12日(土)  ところ:WEB配信

「腸管IgA抗体と私たちの健康」
東京大学定量生命科学研究所免疫・感染制御研究分野 教授 新藏 礼子 氏

設問 抗生物質を処方するときに,一緒に処方するのが望ましい薬剤は?

解答 抗生剤耐性菌入りの整腸剤

第331回 京都整形外科医会学術講演会  とき:6月26日(土)  ところ:WEB配信

「腰痛治療のエビデンスとロコモの有用性」
名古屋大学大学院医学系研究科総合医学専攻運動・形態外科学講座整形外科 教授 今釜 史郎 氏

設問1 腰痛診療ガイドラインにも記載されている,見逃してはならない重篤な脊椎疾患(腫瘍,炎症,骨折など)の合併を疑うべきred flags(危険信号)は?

解答1 ・発症年齢(<20歳 または >55歳)
    ・時間や活動性に関係のない腰痛
    ・胸部痛
    ・癌,ステロイド治療,HIV感染の既往
    ・栄養不良
    ・体重減少
    ・広範囲に及ぶ神経症状
    ・構築性脊柱変形
    ・発熱

設問2 ロコモの有用性を示すYakumo studyの研究内容は?

解答2 ・ロコモ度は段階的に疼痛の強さ・肩の愁訴・NeP・QOLを反映する
    ・ロコモはフレイルよりも,運動器の変性や疼痛など,より多くの要素を反映できる
    ・3つの変性疾患が1つもない中高齢者の因子5つのうちの1つに,「ロコモ無し」があり,ロコモ予防が有用な可能性がある
    ・ロコモ度1では5年後に有意に運動機能や筋力が低下しており,ロコモ度1での介入に意義がある

「股関節疾患治療に関する最新の知見」
京都大学大学院医学研究科感覚運動系外科学講座整形外科学 准教授 後藤 公志 氏

設問1 静脈血栓塞栓症予防ガイドライン2017の中で,推奨されていない項目はどれか?
     ① 術後の安静臥床
     ② 積極的下肢運動
     ③ 弾性ストッキング
     ④ 離床までIPC
     ⑤ 抗凝固薬投与

解答1 ①

設問2 特発性大腿骨頭壊死症について,正しい項目はどれか?
     ① 最も多い原因はアルコール多飲である。
     ② 大腿骨頸部骨折後の骨頭壊死も含まれる。
     ③ 60歳代に発症のピークがある。
     ④ ステロイド投与にともなう壊死は男性に多い。
     ⑤ 壊死範囲が大きいほど圧潰しやすい

解答2 ⑤

京都循環器医会 学術講演会  とき:7月3日(土)  ところ:WEB配信

「急性冠症候群の初期対応と慢性期抗血栓療法」
京都府立医科大学大学院医学研究科循環器内科 准教授 中村  猛 氏

<急性冠症候群の初期対応>

設問1 現在心筋障害の指標とされる標準的なバイオマーカーは何か?

解答1 トロポニン

設問2 急性冠症候群の初期治療の選択のために,心電図変化により分類される二つの病態は何か?

解答2 ST上昇型急性心筋梗塞と非ST上昇型急性冠症候群

<慢性期抗血栓療法>

設問3 抗血栓療法の薬剤および期間を考慮するにあたりまず考慮すべき因子は何か?

解答3 出血リスク(出血高リスク群か否か)

設問4 アスピリンの長期処方にあたってリスクを評価しておくべき出血性合併症は何か?

解答4 消化管出血

「代謝を標的とした疾患治療の進歩」
京都大学大学院医学研究科循環器内科学 准教授 尾野  亘 氏

設問1 「左心室の機能低下にともない生じる神経やホルモンの変化」とはどんな変化か?

解答1 急に心臓の働きが弱まった場合,体には生命を維持するため,神経とホルモン,主に「交感神経系」,「レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系」,「バゾプレッシン系」の三つが活性化される。これらの働きは心腎(心脳腎)連関を介してさらに増幅される。慢性的に過剰にこの変化が続くと,心不全を悪化させるため,心腎連関の悪循環を断ち切るような治療法が必要となってくる。

設問2 NAFLD/NASHで認められる全身性の疾患にはどういうものがあるか?

解答2 表4 NAFLD/NASHと肝外合併症

京都消化器医会 定例学術講演会  とき:7月10日(土)  ところ:WEB配信

「最後の砦の覚悟~京都大学肝胆膵・移植外科~」
京都大学肝胆膵・移植外科 教授 波多野 悦朗 氏

設問1 肝胆膵癌の予想年間死亡数は?
     ① 8千人
     ② 8万人
     ③ 80万人

解答 ②

設問2 大腸癌切除不能肝転移で,化学療法により切除可能となる患者の割合は?
     ① 20%
     ② 40%
     ③ 60%

解答 ③

設問3 肝癌に対する生体肝移植の新しい適応は?
     ① 3-3-300基準
     ② 5-5-500基準
     ③ 10-10-100基準

解答 ②

第20回 京滋臨床甲状腺懇話会  とき:7月10日(土)  ところ:WEB配信

「甲状腺ホルモン作用と甲状腺ホルモン不応症の新展開」
名古屋大学環境医学研究所内分泌代謝分野 教授 林  良敬 氏

設問 頻脈・動悸を訴え,甲状腺の腫大を呈する症例の甲状腺機能を測定したところ,FT4は高値,TSHは基準範囲内であった。以下の対応のうち適切なものは?
     ① 専門医に紹介した
     ② 2週間後に再検査のために再度,来院するように指示した
     ③ βブロッカーを処方した
     ④ メルカゾールまたはプロピルチオウラシルを処方した

解答 ① ◎  ② △  ③ △  ④ ×

解説 ④ 甲状腺または内分泌専門医の試験問題であれば選択禁忌肢とするところ

第332回 京都整形外科医会  とき:7月31日(土)  ところ:WEB配信

「脊椎圧迫骨折に対するBKP治療―100歳医療とコロナ時代におけるBKP早期介入と骨形成促進剤によるパラダイムシフト―」
整形外科米澤病院整形外科 診療部長 米澤 嘉朗 氏

設問1 脊椎圧迫骨折(骨粗鬆症性椎体骨折)の治療上,最も問題となる2つの病態は何か?

解答1 ① 椎体の楔状化,変形(後弯など脊柱変形の原因となる)
    ② 遷延治癒(偽関節,遅発性神経障害に進行する症例あり)

解説1 ✓上記の病態は進行が速い⇒早期診断,早期加療
    ✓保存療法が原則だが限界あり
    ✓早期 BKP,骨形成促進剤を介入すべき症例あり

設問2 BKPは低侵襲かつ安全性の高い処置だが,唯一最大の問題点(合併症)は何か?

解答2 隣接椎体骨折

解説2 ✓発症因子として,罹病期間と骨強度が最も関与する。
    ✓隣接椎間不全の合併と椎体の骨脆弱性により,BKP後に必然的に発症する。
    ✓発症機序からは軽症で済む症例もあるが,圧潰が進行し後弯が改善しない症例もあり2nd BKPが有用である。

設問3 演者が以下の骨形成促進剤のうち椎体骨折の抑制効果が最も高いと考えている薬剤は?
     ① テリパラチド(20µg),daily
     ② テリパラチド(56.5µg),weekly
     ③ ロモソズマブ

解答3 ②

解説3 椎体骨折に対する抑制効果 dTPTD 65%<Rom 73%<wTPTD 80%
    ※臨床試験における対象,評価法が異なり直接比較は不可能

「膝関節症保存療法の最新事情」
京都府立医科大学大学院医学研究科運動器機能再生外科学(整形外科教室) 教授 高橋 謙治 氏

設問1 変形性膝関節症の保存療法の基本は?

解答1 患者教育・情報提供およびエクササイズ指導

設問2 早期の変形性膝関節症で進行リスクの高いMRI初見は?

解答2 軟骨損傷,骨髄異常陰影,半月板断裂,半月板逸脱

設問3 膝関節内反モーメント(KAM)を小さくする方法は?

解答3 対側の杖の使用,外側楔状足底挿板の使用,toe out gait,患側へ体幹をよせる,etc.

2021年9月1日号TOP