保険だより – 新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取り扱いについて

 新型コロナウイルスの感染が拡大している状況を踏まえ,臨時的な診療報酬の取扱い(その55~その58)が,下記のとおり示されましたので,お知らせします。

◇臨時的な取扱い その55(8月26日付)

問1 「入院外患者に一時的に酸素投与等の対応を行う施設(入院待機施設)の整備について」(令和3年8月25日厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)に示される入院待機施設や,新型コロナウイルス感染症患者に係る宿泊療養施設に職員を派遣した保険医療機関等について,「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その26)」(令和2年8月31日厚生労働省保険局医療課事務連絡)の1(2)①イ「アに該当する医療機関等に職員を派遣した保険医療機関等」に該当すると考えてよいか。

(答) よい。

問2 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第44条の3第2項の規定に基づき,宿泊施設又は当該者の居宅若しくはこれに相当する場所から外出しないことを求められている者であって,新型コロナウイルス感染症患者に係る宿泊療養施設等において療養している患者について,
① 当該宿泊施設等における往診に係る調整等を保健所,都道府県,市町村又は医師会が実施し,
② 往診を担当する保険医療機関の保険医が当該患者の診療の求めがあることを確認し,
③ 当該保険医が診療の必要性を認めこれを実施した場合に,
往診料は算定できるか。

(答) 算定可。

◇臨時的な取扱い その56(8月27日付)

 中等症の新型コロナウイルス感染症患者(急変等のリスクに鑑み,自宅・宿泊療養の対象とすべきでない患者を含む。以下「入院加療を実施する患者」という。)に対しては,より多くの重症化のリスク因子が明らかとなり,診療の際に注意を要する事項が増加していることや,新たな知見に基づく医薬品の使用が進んでいること等を踏まえ,より手厚い診療を要することから,以下の取扱いとする。

(1)入院加療を実施する患者(入院基本料又は特定入院料のうち,救急医療管理加算を算定できるものを現に算定している患者に限り,次の(2)に該当する患者を除く。)については,14日を限度として1日につき救急医療管理加算1の100分の400に相当する点数(3,800点)を算定できることとすること。(編注:救急医療管理加算1(3倍)2,850点→(4倍)3,800点
 ただし,上記において継続的な診療が必要な場合には,当該点数を15日目以降も算定できることとすること。なお,その場合においては,継続的な診療が必要と判断した理由について,摘要欄に記載すること。

(2)入院加療を実施する患者のうち,呼吸不全に対する診療及び管理を要する中等症以上の新型コロナウイルス感染症患者(入院基本料又は特定入院料のうち,救急医療管理加算を算定できるものを現に算定している患者に限る。)(編注:中等症Ⅱ)については,14日を限度として1日につき救急医療管理加算1の100分の600に相当する点数(5,700点)を算定できることとすること。(編注:救急医療管理加算1(5倍)4,750点→(6倍)5,700点
 ただし,上記において継続的な診療が必要な場合には,当該点数を15日目以降も算定できることとすること。なお,その場合においては,継続的な診療が必要と判断した理由について,摘要欄に記載すること。

◇臨時的な取扱い その57(8月27日付)

問1 中和抗体薬「カシリビマブ及びイムデビマブ」(以下「本剤」という。)の投与対象となる新型コロナウイルス感染症患者に対し,短期の入院の間に本剤を投与した後,当該患者が自宅・宿泊療養に移行した場合,当該入院に係る「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その9)」(令和2年4月8日厚生労働省保険局医療課事務連絡)の2(2)における二類感染症患者入院診療加算(250点)及び「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その56)」(令和3年8月27日厚生労働省保険局医療課事務連絡)の(1)における救急医療管理加算1の100分の400に相当する点数(3,800点)の算定について,どのように考えればよいか。

(答) それぞれ算定できる。
 また,当該入院に係る所定の要件を満たした場合,医科点数表の第1章第2部第2節に規定する入院基本料等加算も算定できる。

問2 「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その12)」(令和2年4月18日厚生労働省保険局医療課事務連絡)の2,「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その19)」(令和2年5月26日厚生労働省保険局医療課事務連絡。以下「5月26日事務連絡」という。)の1(2)及び「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その27)」(令和2年9月15日厚生労働省保険局医療課事務連絡)の1に示す中等症の新型コロナウイルス感染症患者の診療に係る救急医療管理加算1の算定について,どのように考えればよいか。

(答) 「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その56)」の発出日(令和3年8月27日)以降は,同事務連絡の(1)又は(2)により取り扱うこと。

問3 5月26日事務連絡の2(1)における重症の新型コロナウイルス感染症患者の範囲に関し,当該患者が,人工呼吸器管理等を要しないものの,特定集中治療室管理料等を算定する病棟における管理を要すると医学的に判断される場合,特定集中治療室管理料等の算定について,どのように考えればよいか。

(答) 当該患者は重症の新型コロナウイルス感染症患者に該当するものとして,5月26日事務連絡の別表に示す特定集中治療室管理料等を算定してよい。

問4 「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その51)」(令和3年7月30日厚生労働省保険局医療課事務連絡)の別添問1において,自宅・宿泊療養を行っている者に対して,新型コロナウイルス感染症に関連した訴えについて往診を実施した場合,救急医療管理加算1(950点)を算定できることとされているが,同一の患家等で2人以上の自宅・宿泊療養を行っている者を診察した場合の当該加算の算定については,どのように考えればよいか。

(答) 2人目以降の自宅・宿泊療養を行っている者について,往診料を算定しない場合においても,救急医療管理加算1(950点)を算定して差し支えない。

問5 訪問看護の開始に際し,あらかじめ,利用申込者又はその家族等に対し,運営規定の概要等の重要事項を記載した文書を交付して説明し,同意については書面によって確認することが望ましいとされているが,新型コロナウイルス感染症に感染している等の利用者の状態に応じて,説明は電話等により行い,必要な書面については後日郵送等により対応してもよいか。

(答) よい。

◇臨時的な取扱い その58(8月27日付)

問1 新型コロナウイルスに感染した妊婦について,入院中にハイリスク妊娠管理を行った場合に,ハイリスク妊娠管理加算(1,200点)の算定について,どのように考えればよいか。

(答) 新型コロナウイルスに感染した妊婦については,当該加算の算定対象となる患者に該当するものとして,当該加算を算定できる。この場合において,当該加算の算定上限日数(1入院につき20日)を超えて,入院による管理が医学的に必要とされる場合には,21日目以降も算定できる。なお,この取扱いは,本事務連絡(新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その58))の発出日(8月27日)以降適用される。

問2 新型コロナウイルスに感染した妊産婦について,分娩を伴う入院中にハイリスク分娩管理を行った場合に,ハイリスク分娩管理加算(3,200点)の算定について,どのように考えればよいか。

(答) 新型コロナウイルスに感染した妊産婦については,当該加算の算定対象となる患者に該当するものとして,当該加算を算定できる。この場合において,当該加算の算定上限日数(1入院につき8日)を超えて,入院による管理が医学的に必要とされる場合には,9日目以降も算定できる。なお,この取扱いは,本事務連絡(新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その58))の発出日(8月27日)以降適用される。

2021年9月15日号TOP