2022年4月1日号
伏見医師会との懇談会が令和3年11月26日(金),Webで開催され,伏見医師会から18名,府医から8名が出席。「新型コロナウイルス対策の現時点での総括と問題点」,「オンライン資格確認システムの導入状況等」をテーマに活発な議論が行われた。
〈注:この記事の内容は11月26日現在のものであり,現在の状況とは異なる部分がございます。〉
今日までの府医の主な取組みを紹介(詳細は地域医療部通信「新型コロナウイルス感染症関連情報」参照)。
府医では,「新型コロナウイルス感染症対策チーム」を編制し,オール府医体制で取組んでいる。日々状況が変わる中,厚労省からは膨大な情報提供がなされ,正確な情報をいかに会員へ提供するかが課題であった。府医HPに「新型コロナ関連特設サイト」や「質問コーナー」を設置した他,FAX情報・メーリングリストを活用し,迅速な情報提供に努めた。また,京都府・京都市の参画も得て,地区感染症対策・予防接種担当理事連絡協議会を頻回に開催した。
今回,集団接種(住民接種)を実施したことにより,今後新たな新興感染症にも新型コロナ対策が応用できると考えている。京都府・京都市との協議の場が圧倒的に増え,自治体との協働体制を維持し,さらなる連携強化が必要である。
~宿泊療養者に対する診療協力~
京都府においては,令和2年4月15日に平安ホテルで宿泊療養施設が開設され,当初は府医役員が健康管理を行っていたが,療養者数の増加にともない,京都内科医会に協力を依頼した。同年5月12日からホテルヴィスキオ京都が開設されたことから,伏見医師会,下京西部医師会,下京東部医師会の3地区に依頼し,その後も感染者数の増加や新たなホテルの開所等にともない,京都市内の全地区に協力を依頼し,現在まで数多くの先生方に出務いただいている。
比較的症状の重い患者が入所するホテルヴィスキオ京都では,診察・処方等で予定より長時間の出務になることが多かったにも関わらず,現在も定期的にご協力いただいている。
令和3年11月18日時点の状況は以下のとおり。〔伏見医師会員/出務者数(延べ人数)〕
平安ホテル〔9名/49名(18%)〕,ホテルヴィスキオ京都〔317名/671名(47%)〕,アパホテル京都駅堀川〔73名/233名(31%)〕,アパホテル京都駅東〔11名/67名(16%)〕
~自宅療養者に対する診療協力~
令和2年12月30日から令和3年1月3日まで,府医役員で自宅療養者における健康観察を行った。GWにかけての第4波,同年8月の第5波には自宅療養支援チーム(京都市電話診療所)を設置し,処方や陽性者外来への受診振り分けなどの対応をいただいた。
状況は以下のとおり。〔伏見医師会員/出務者数(延べ人数)〕
4月26日から5月28日まで〔17名/63名(27%)〕,8月17日から9月27日まで〔36名/164名(22%)〕
コロナ対策については,松井府医会長の強いリーダーシップの下,京都府・京都市に積極的に提案し,宿泊療養者・自宅療養者の健康管理,ドライブスルー検査など医療提供体制の整備に努めてきた。会員のご協力があってのものであり,府民の命を守る強い使命感と高い倫理観を持った先生方からの支援は大変心強く,先生方のご尽力に敬意と感謝の意を表するとともに,引続きの協力を求めた。
顔認証付きカードリーダーの全国の申し込み数は,10月20日時点で,56.3%と半数を超えている。内訳は,薬局が80.7%と特に多く,医科診療所では44%と半数に届いていない。準備完了施設は8.9%で,運用開始施設は5.1%となっている。10月17日時点での京都における準備完了施設数は,医科・歯科・薬局を合わせて8.7%である。
11月時点における京都の医科のアカウント登録数は46.1%(全国平均54%),カードリーダー申し込み率は39%(全国平均46.8%)と全国平均を大きく下回っていることが分かる。病院と診療所の比較では,診療所において導入が鈍いことが明らかである。
府医としては,当該システムの導入は義務ではないので,各医療機関においてメリット・デメリットを踏まえ,検討いただきたいと考える。
日医は9月7日付の文書において,「日医といたしましても,本年3月末までに顔認証付きカードリーダーを申し込み済,かつシステム事業者からご納得いただける導入見積が提示されている医療機関におかれましては,是非,早期参加を前向きにご検討いただきたいと考えております。一方,3月末までに顔認証付きカードリーダーを申し込んでいない,または申し込み済でもシステム事業者から金額等で納得のいく提案が出てこない医療機関におかれましては,日医として厚生労働省に追加支援策やシステム事業者への働きかけを重ねて要望しておりますので,焦らずにご検討いただきますようお願いいたします」との姿勢を示している。
11月1日時点の全国のマイナンバーの取得率は39.12%で,マイナンバーカードに保険証を紐付けしているのは4.65%である。
導入のメリット・デメリットは以下のとおり。
◇メリット
・受付時における患者の資格情報の自動取得
・資格過誤による返礼レセプトの減少
・過去の薬剤情報や特定健診情報が閲覧可能
◇デメリット
・患者がマイナポータルへ初回登録する必要があるため,窓口での説明の手間が増える
・初期費用は補助対象だが,ランニングコスト,維持費,カードリーダー端末の補償は医療機関の負担となる
※乙訓医師会との懇談会 P.3参照