2022年4月15日号
東山医師会との懇談会が12月10日(金),Webで開催され,東山医師会から12名,府医から8名が出席。「インフルエンザ予防接種」,「コロナワクチン接種」,「特定健診『集団健診』の再開」,「DNAR」をテーマに活発な議論が行われた。
〈注:この記事の内容は12月10日現在のものであり,現在の状況とは異なる部分がございます〉
インフルエンザワクチン供給量の見通しや,発熱患者の診断および投薬について意見交換を行った。
発熱患者に対しては,検査以外の臨床所見によりインフルエンザと診断し,抗インフルエンザ薬の処方も可とする厚労省通知が現在も適用されていることを確認した上で,コロナ下における発熱患者への検査にあたっては,医療従事者はワクチン接種済であるものの,ブレークスルー感染の可能性もあるため,唾液のPCR検査と患者が自己採取する場合を除いて,検体採取時にはPPEをフル装備した上で実施する必要があると説明した。
発熱患者診察時には,患者のマスク着用と,医師・看護師も適切なPPE着用の上,15分以内の診療を目指し,消毒と手指衛生を励行することで,患者が新型コロナ陽性であっても診察医とスタッフは濃厚接触者に該当しないことに留意して対応することを呼びかけた。
地区からは,3回目の接種に関しては職域接種を実施しない企業が複数あることから,1・2回目を職域接種,集団接種で受けた人たちをすべて個別接種で対応することは難しいとして,集団接種の必要性が指摘された。
府医としても,各医療機関で職域接種から流れてくる分を想定してワクチンを手配することが難しい上,モデルナワクチンの場合は一度に20人程度集めて実施する必要があるため,個別接種では対応が難しいとの考えを示した。また,ファイザーワクチンの供給量の見通しから,モデルナワクチンを使用して実施せざるを得ない状況となることについて触れ,1,2回目をファイザーワクチンで接種した人が,3回目をモデルナワクチンで接種することをうまく受け入れてもらえるかがポイントであるとした。
特定健診について,京都市内の集団健診は新型コロナウイルス感染症の感染拡大にともない,令和2・3年度は中止となったが,京都市との協議により,令和4年度の実施が決定したことを報告。実施計画では,予約・定員制を設けた上で,区役所・支所を会場として,市内の受診者数が従来の約半数となる1万人程度となる見込みであると説明した。
また,各地区からの意見・要望に対して京都市からは,①区役所・支所を会場に設定したことについて,アクセス,利便性の面で賛否はあるものの,これまで会場としていた小学校で感染対策を徹底することが難しいこと,また,会場を区役所に集約することにより運営経費削減に繋がるとの考えが示された,②委託費等の増額については,財政難のため単価等の増額は難しいが,新型コロナ感染症対策費用は必要であると認識しており,検討するとの回答を得た,③建物の構造,動線,人員配置については,今後,過去の実施経験を踏まえつつ,健診業者とも一緒に設営計画を立てた上で,各地区医,健診業者と各区役所の下見を調整中である―等の回答が示されたことが報告された。
DNARオーダーとは「蘇生を試みない指示」という意味であるが,急変時ではなく,あくまでも心停止の際の蘇生を行わないという定義であるが,救急医療においては,救急要請した時点で救命処置がとられるため,かかりつけ医としてどう対応すべきか等について意見交換がなされた。
患者・家族が自分の最期をどのように迎えるのかを決めるにあたり,医師は知識や経験を踏まえて十分に情報提供し,ケアチームとともに繰り返し話し合いを行いながら意思決定を支援していくACP(Advance Care Planning)が重要であるとの認識を示すとともに,本人にDNARの意思があったとしても,救急要請があれば必要な応急処置を継続して医療機関に搬送することが基本となるため,府民への啓発が課題であるとした。
救命処置後に蘇生できたとしても「集中治療する・しない」の決定,さらにその先に「集中治療をいつまで続けるのか」の期限についての選択もあり,患者のみならず,医療従事者にも少しずつ浸透させていく必要があると指摘した。