2022年4月15日号
西京医師会と府医執行部との懇談会が12月24日(金),Webで開催され,西京医師会から10名,府医から10名が出席。「新型コロナウイルス感染拡大期における自宅療養者への対応」,「特定健診等,地域住民の健康維持に係る施策の方向性」,「次期診療報酬改定」をテーマに活発な議論が行われた。
〈注:この記事の内容は12月24日現在のものであり,現在の状況とは異なる部分がございます〉
第3波から第5波では自宅待機者および自宅療養者が急増したことを受け,その対応について意見交換を行った。
国の基本的な考え方として,従来の保健所のみの対応を転換し,地域の医療機関等と連携してオンライン診療・往診,訪問看護等を行う体制を構築する方針が示されたことを説明するとともに,症状の変化に迅速に対応して必要な医療につなげ,また重症化を未然に防止する体制の確保が掲げられていることを紹介。現時点での課題として,感染者に関する保健所と医療機関との双方向の情報共有がないことや,病床逼迫状況下における自宅療養者の症状悪化時の対応,処方薬の配送,後遺症に対するフォロー等を挙げ,早期発見・早期治療を実現するための体制構築に向けて,行政に働きかけていく考えを示した。
京都市における特定健診の集団健診は,新型コロナウイルス感染症流行のため,令和2年度・3年度は中止となったが,個別健診については令和2年度は例年通り,令和3年度は緊急事態宣言等の影響により,夏の受診者は少なかったものの,秋は昨年,一昨年に近い受診者数となったことを報告。また,令和4年度は事前予約による定員制を導入し,区役所・支所での集団健診の実施を予定しており,密を避ける目的で,対象者は例年の約半数にあたる1万人の予定であると説明した。
京都市のがん検診(胃・乳・肺・子宮・大腸・前立腺がん)の状況について,肺がん検診は特定健診が中止となった影響を受けて巡回健診も中止となったため,受検者数が激減しており,胃がん・乳がん検診も令和2年度は集団・個別健診ともに減少。また,子宮がん・前立腺がん検診の個別健診も減少,さらには大腸がん検診も感染対策として郵送による健診の中止が影響し,減少したことが報告された。集団健診が減少した分,個別健診に流れるとの予想に反して,特定健診と同様に個別健診もそれほど増加しておらず,今後進行した状態での発見が増えることが危惧されるとした。
厚労省の通知において,「緊急事態宣言の対象地域における各種健診・保健指導等であって,集団で実施するものについては,緊急事態宣言の期間において,原則として実施を延期すること。個別で実施するものについては,各自治体において,その実施時期や実施方法,実施の必要性や緊急性等を踏まえ,関係者や実施期間等と適宜相談の上で実施するかどうか判断する」とされているため,今後も特定健診については緊急事態宣言が出れば再度中止となるが,がん検診については,「がんによる死亡率を減少させる効果があることから,がん検診については不要不急の外出にはあたらないもの」とされていることから,引続き受診勧奨していく必要があるとした。
令和4年度の改定率が+0.43%に決定したことについて,看護の処遇改善および不妊治療の保険適用のための特例的な対応にそれぞれ+0.2%を充てることとされている一方で,リフィル処方箋の導入や令和4年3月末での小児の感染防止対策に係る加算の終了により,これらを除く改定率は+0.23%になると説明。中医協での議論を踏まえ,7対1入院基本料の評価の適正化やDPC制度の算定方法の見直し等のさらなる包括払いの推進,医師の働き方改革,外来医療の機能分化・連携,費用対効果を踏まえた後発医薬品の調剤体制に係る評価,多店舗を有する薬局等の評価の適正化,湿布薬処方の適正化―等の改革を確実に進めることが示されていることを紹介した。
また,争点の1つである「かかりつけ医機能の評価」について,財務省はかかりつけ医の制度化を主張し,現行点数のゼロベースでの見直しや点数の包括化の他,患者の事前登録等,いわゆる「人頭割」を狙った提案をしているのに対し,城守日医常任理事は,「医療費抑制のために人頭割のようなフリーアクセスを制限する制度化ではなく,国民に社会保障や健康に関する教育・啓発などを行い,意識改革を促し,骨太の方針にも記載されているとおり,上手な医療のかかり方を広め,かかりつけ医を普及していくことが重要である」と主張していることを報告した。
また,感染対策への評価も強く要望しており,新型コロナの臨時的な取り扱いであった医科外来等感染症対策実施加算が令和3年9月末で廃止されたが,平時からの感染症対策が重要であり,診療所において継続した対応が求められることから,「現行の施設基準や算定要件を見直し,より多くの医療機関で取組みが進むようにすべき」として評価を求めていることを紹介した。