2022年12月1日号
診療報酬の改定にともなう労災診療費算定基準における健康保険準拠項目および労災特掲項目の一部改定については,5月1日号保険だより9ページでお知らせしていたところです。 今般,運用面での変更等を踏まえて「労災診療費算定マニュアル(令和4年4月版)」が一部改定されましたので,お知らせします。 今回の改定内容の概要は下記のとおりですが,特にA400の2「短期滞在手術等基本料3」の対象となる手術等を行った場合の取り扱いについて,短期滞在手術等基本料3ではなく,従来どおり出来高での算定が可能となりました。また,当該取り扱いについては令和4年4月診療分から遡っての請求が可能となっていますので,ご留意ください。
記
▷主な改定項目
1 初診料 「紹介状なしで受診する場合等の定額負担等」について,健康保険における疑義解釈資料において,同一日に他の傷病について新たに別の診療科を紹介状なしで初診として受診した場合の2つ目の診療科における取扱いが示されたことを踏まえて1,910円の算定要件を改定したものであること。
2 再診料 令和4年10月1日適用の健保点数表において,初再診料の注加算「電子的保険医療情報活用加算」が廃止されたことに伴って再診料の注加算に係る規定が改定されたことを踏まえて改定したものであること。
3 入院基本料 健康保険では入院日から起算して5日以内に対象となる手術等を行った場合は,特に規定する場合を除き,全ての患者について「A400短期滞在手術等基本料3」を算定することとなっているが,労災保険では入院基本料の特例(健保点数の1.30倍又は1.01倍)や四肢加算(健保点数の1.5倍又は2.0倍)等が算定可能であることを考慮して,当該対象手術等を行った場合もいわゆる出来高算定によって算定できることとしたものであること。
4 コンピューター断層診断の特例 本特例によって再診時に健保点数の「E203コンピューター断層診断」(450点)が算定できるものではないことを示したものであること。また,今まで質疑応答集で示していた他の医療機関に画像撮影を依頼した場合の算定方法を示したものであること。
5 職場復帰支援・療養指導料 算定回数について,頭頸部外傷症候群,頸肩腕症候群等の慢性的な疾病を主病とする者で現に就労している者については,医師が必要と認める期間とし,回数の制限はないとしているところ,4回目以降の点数を示したものであること。
6 その他 「Ⅱ参考」について,一部修正を行ったものであること。
7 差額請求について 本改定により,労災指定医療機関等が請求済みの診療費について「A400短期滞在手術等基本料3」による算定から出来高算定への変更及び「入院室料加算」の乙地の金額から甲地の金額への変更を希望する場合は,当該変更に係る差額請求を行うことができること。なお,この場合の差額請求の手続きについては,別途指示するので,適切に対応すること。
【参考】 厚生労働省労災診療費の改定について(令和4年4月) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai_shinryouhi/kaitei.html※こちらのURLで労災診療費算定マニュアル(令和4年4月版)等のダウンロードが可能です。