2022年12月15日号
9月下旬から10月中旬にかけての社会・医療保険状況について,◆来年4月以降のオンライン資格確認の原則導入義務化に向け,長島公之日医常任理事は今年末に中医協で行うオンライン資格確認導入状況の点検論議を通じて,導入が難しい医療機関に対する「導入除外規定」や「経過措置」などを整備していく必要性を指摘。◆中医協の薬価専門部会で,2023年度に実施する薬価のいわゆる「中間年改定」で捻出する財源を診療報酬本体に充てる是非を巡り,本格的な議論を開始。◆厚労省・森光大臣官房審議官は,厚生労働大臣をトップとした「医療DX令和ビジョン2030」の下に設置された「診療報酬改定DXタスクフォース」で検討課題となっている診療報酬改定の時期について,医療現場の業務負担が集中しがちな4月から「後ろ倒し」することも視野に入れた具体的な検討を進める意向を示した。◆松本吉郎日医会長は,政府が健康保険証を2024年秋にも原則廃止し,マイナンバーカードに一本化する方向で調整を進めているとの報道を踏まえ,廃止時点でマイナカードを取得していない人がいた場合,その対応も非常に大きな問題になるとの認識を示し,「仮に政府が健康保険証の廃止を決定するのであれば,まずは国民にそのことをしっかりと理解してもらうことが非常に重要である」と指摘した。◆加藤勝信厚生労働相は,オンライン資格確認の導入が,やむを得ない事情で,原則義務化される来年4月に間に合わない医療機関・薬局に対する措置について,年末時点での状況をしっかりと点検した上で,必要な対応を考えていくとし,今回の義務化対象外である紙レセプトで請求している医療機関については,その簡易に行える仕組みを検討し,その導入を進めていく意向を示した。◆財務省主計局の大沢元一主計官(厚生労働係,社会保障総括担当)は,かかりつけ医機能を発揮できる制度整備について年内に具体的な姿を作る必要があるとの考えを示した。―といった話題を中心に説明した。
11月に予定している府医学術講演会を紹介し,参加を呼びかけた。
有効期限が令和4年12月31日の麻薬免許の更新手続きの期限が迫っているため,更新申請が済んでいない場合は速やかに手続きを行うよう注意を促した。
また,今回の更新手続を行わず,麻薬業務を廃止する場合は,免許の廃止手続きが必要であると補足した。
生後6か月〜4歳の小児への新型コロナワクチンとしてファイザー社「コミナティ筋注」が10月5日に薬事承認され,10月24日から接種が開始されたことを報告した。京都府内では,同日(10月24日)から対象者の60%に充当するワクチンが各市町村に供給される予定であると説明した。
3回接種を行う必要があるが接種間隔を鑑みると接種完了まで11週間を要するため,特例臨時接種として位置づけられている令和5年3月末までに完了するには,遅くとも令和5年1月15日には1回目の接種を開始する必要があるとした。
また,5〜11歳用新型コロナワクチンとの違いを次ページ表のとおり説明し,接種ミスに留意するよう促した。
〈6ヵ月~4歳用コミナティ筋注との5~11歳用コミナティ®筋注違い〉
さらに,現在,国は年内に全接種対象者の1,2回目の接種を完了させる意向であり,小児向けのファイザー社製新型コロナワクチンは,4種類あるが,コミナティ筋注(1価:起源株)については,年内に供給が止まると報告した。
最後に,注意点として5〜11歳用新型コロナワクチンの接種券を持っていたとしても,12歳の誕生日以降に3回目接種をする場合は,オミクロン株対応の12歳以上用の新型コロナワクチンを接種する必要があるとして注意を促した。
令和4年10月15日号京都医報付録(地域医療部通信第46報)では,「『発生届対象外の方を登録・確認する場合』は,保健所が使用するものであり,医療機関はここからの入力は行わない」と記載していたが,京都市の認識誤りであったことから,同一号にて訂正とお詫びの文章を封入したことを報告し,「健康観察のため発生届対象外の方を登録・確認する場合」の機能は医療機関での活用が可能であることを改めて案内した。
新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザとの同時流行に備えて,国から診療・検査体制の方針が示されたが,京都府の情勢に合わせた体制にするための検討が必要であることから,京都府は新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザとの同時流行に備えた調査を診療・検査医療機関に対して行うことになったと報告した。
本調査では,診療可能な最大予定人数および新たに公表が求められる診療・検査に係る情報(小児患者の対応可否や検査方法等)について調査することになっており,FAXだけでなく,WEB上からも回答できるよう準備を進めていると説明した。準備ができ次第,各診療・検査医療機関に調査依頼が届くことから,回答期限の10月末までに回答するよう協力を求めた。
9月26日からの全数届出の見直しにともない,今後,陽性者へのパルスオキシメータの貸与についての対象者を原則,陽性が判明した発生届出対象者(65 歳以上や基礎疾患を有するなど重症化リスクがある者)に限ることになったと報告し,追加送付が必要な場合は,追加送付依頼書にて京都府健康対策課まで報告するよう説明した。
国から12歳以上用追加接種(3〜5回目接種)に使用するオミクロン株対応ワクチン等の接種間隔をこれまでの「5か月以上」から「3か月以上」に短縮する方針が示されたことを報告。
これに合わせて京都市では,前回(2〜4回目)の接種から3か月経過に合わせて接種券が届けられる予定であり,5回目の接種についてすでに配布が始まっていると説明した。
最後に接種後の副反応として熱性けいれんが追加されたことを報告し,接種後7日以内に発生した熱性けいれんは,副反応として届出する必要があると説明し,後日,行政から接種医療機関に対し,通知文が発送される予定であるとした。
京都医報10月1日号にて,「オンライン資格確認に係るアンケート」を実施し,300件を超える医療機関から回答があったことと併せて,その結果について報告した。
回答のあった医療機関の内97.2%がオンライン資格確認義務化の対象であるオンライン等でレセプト請求を行っており,うち8割以上が業者への問い合わせや相談,カードリーダーの申し込みを完了させており,オンライン資格確認に係る導入準備を進めていることが明らかになったとした。
また,カードリーダーがすでに到着し,導入が完了している医療機関がおよそ半数近くある一方で,4割近くの医療機関から「到着時期が不明」との回答があっただけでなく,運用開始時期についてもおよそ6割の医療機関から「不明」との回答があったことから,多くの医療機関が業者等の都合によって,オンライン資格確認関係補助金の事業完了期限である令和5年3月31日に間に合わない可能性を抱えている状況にあると指摘した。全国的にこのような状況にあることから,日医から国に対し,業者等の都合によって事業完了の期限に間に合わない場合は,救済措置を実施するよう求めていることを報告した。
次にアンケートの自由意見から,①医療機関がカードリーダーの申し込みを済ませていても,業者や機器等の都合により導入時期が不明瞭であることから補助の条件の見直しが必要であること,②補助金額42万9,000円では,オンライン資格確認システムの導入費用として大きく不足していること,③導入後の保守契約の費用が必要となるが,この財源確保について厚労省が明確にしていないこと―を問題点として指摘した。日医からこのような問題点を集約して厚労省に提言していく予定であるため,何かあれば府医に報告するよう協力を求めた。
最後に,オンライン資格確認が義務化されたことから,対象の医療機関に対し改めて導入準備を進めるよう案内した。また,厚労省は導入しなかった場合,保険医の資格停止を検討していることに対し,実際にこのような罰則が適用されないよう注視していく意向を示した。
地区から,「医療機関外で保険証を確認する場合(患者宅への往診や駐車場で発熱患者の対応をする等)に,医療情報・システム基盤整備体制充実加算が算定できるかどうか」との質問があり,詳細がわかり次第,情報提供すると回答した。