2022年7月1日号
5月24日付け厚生労働省告示第182号,第183号ならびに6月7日付け厚生労働省告示第195号,第196号をもって薬価基準の一部および掲示事項等告示の一部が示され,5月25日(一部は8月1日)および6月8日から適用されましたので,その概要を下記のとおりお知らせします。
記
▷新たに収載されたもの(5月25日から適用)
<内用薬>
<注射薬>
<外用薬>
▷薬価基準の一部改正に伴う留意事項について(5月25日適用分)
(1)ジスバルカプセル40mg
本製剤の効能・効果に関連する注意において「遅発性ジスキネジアと診断された患者に使用すること。」とされていることから,遅発性ジスキネジアの診断及び治療に精通した医師のもとで,本剤の投与が適切と判断される症例に使用すること。
(2)ケレンディア錠10mg及び同錠20mg
① 本製剤の効能又は効果に関連する注意において,「アンジオテンシン変換酵素阻害薬又はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬による治療が適さない場合を除き,これらの薬剤が投与されている患者に投与すること。」,「本剤投与によりeGFRが低下することがあることから,eGFRが25mL/min/1.73m2未満の患者には,リスクとベネフィットを考慮した上で,本剤投与の適否を慎重に判断すること。」及び「「17.臨床成績」の項の内容を熟知し,臨床試験に組み入れられた患者の背景(原疾患,併用薬,腎機能,アルブミン尿等)を十分に理解した上で,適応患者を選択すること。」とされているので,使用に当たっては十分留意すること。
② 本製剤の用法及び用量に関連する注意において,「10mg錠と20mg錠の生物学的同等性は示されていないため,20mgを投与する際には10mg錠を使用しないこと。」とされているので,使用に当たっては十分留意すること。
(3)カログラ錠120mg
本製剤の効能又は効果に関連する注意において,「本剤は維持療法のために投与しないこと。本剤の進行性多巣性白質脳症(PML)発現リスクを考慮し,臨床試験では維持療法について検討していない。」とされているので,使用に当たっては十分留意すること。
(4)セムブリックス錠20mg及び同錠40mg
本製剤の効能又は効果に関連する注意において,「2つ以上のチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容で,慢性期の慢性骨髄性白血病患者に使用すること。」とされているので,使用に当たっては十分留意すること。
(5)サムタス点滴静注用8mg,同点滴静注用16mg
本製剤の警告において,「本剤投与により,急激な水利尿から脱水症状や高ナトリウム血症を来し,意識障害に至るおそれがあり,また,急激な血清ナトリウム濃度の上昇による浸透圧性脱髄症候群を来すおそれがあることから,入院下で投与を開始,増量又は再開すること。また,特に投与開始日,増量日又は投与再開日には血清ナトリウム濃度を頻回に測定すること。」とされているので,使用に当たっては十分留意すること。
(6)オンデキサ静注用200mg
本製剤の効能又は効果に関連する注意において,「本剤は直接作用型第Xa因子阻害剤(アピキサバン,リバーロキサバン又はエドキサバントシル酸塩水和物)の種類,最終投与時の1回投与量,最終投与からの経過時間,患者背景(直接作用型第Xa因子阻害剤の薬物動態に影響する可能性がある腎機能等)等から,直接作用型第Xa因子阻害剤による抗凝固作用が発現している期間であることが推定される患者にのみ使用すること。」及び「本剤はアピキサバン,リバーロキサバン又はエドキサバントシル酸塩水和物以外の抗凝固剤による抗凝固作用の中和には使用しないこと。」とされているので,次の事項をレセプトの摘要欄に記載すること。
ア 直接作用型第Xa因子阻害剤の種類,最終投与時の1回投与量及び最終投与からの経過時間
イ 本製剤の投与が必要と判断した理由
(7)タクザイロ皮下注300mgシリンジ
本製剤の効能又は効果が「遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制」であることを踏まえ,関連する学会のガイドライン等を参考に,遺伝性血管性浮腫の確定診断がされ,急性発作のおそれがある患者に対して使用すること。
(8)モイゼルト軟膏0.3%,同軟膏1%
本製剤の用法及び用量に関連する注意において「塗布量は,皮疹の面積0.1m2あたり1gを目安とすること。」,「1%製剤で治療開始4週間以内に症状の改善が認められない場合は,使用を中止すること。」及び「症状が改善した場合には継続投与の必要性について検討し,漫然と長期にわたって使用しないこと。」とされているので,使用に当たっては十分留意すること。
本製剤の用法及び用量は,「通常,小児には0.3%製剤を1日2回,適量を患部に塗布する。症状に応じて,1%製剤を1日2回,適量を患部に塗布することができる。」とされており,用法及び用量に関連する注意において「小児に1%製剤を使用し,症状が改善した場合は,0.3%製剤への変更を検討すること。」とされているので,使用に当たっては十分留意すること。
(9)オゼンピック皮下注2mg
① 本製剤はグルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニストであり,本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は,「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。
② 本製剤は注入器一体型のキットであるため,「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する場合,「C151」注入器加算は算定できないものであること。
③ 本製剤の自己注射を行っている者に対して,血糖自己測定値に基づく指導を行うために血糖自己測定器を使用した場合には,インスリン製剤の自己注射を行っている者に準じて,「C150」血糖自己測定器加算を算定できるものであること。
④ 本製剤は,新医薬品に係る投薬期間制限(14日間を限度)は適用されないものであること。
(10)エイベリスミニ点眼液0.002%
本製剤は,以下の患者に使用した場合に限り算定するものであること。
① ベンザルコニウム塩化物に対し過敏症の患者又はその疑いのある患者
② 角膜上皮障害を有する患者
(11)ビレーズトリエアロスフィア120吸入
本製剤は,新医薬品に係る投薬期間制限(14日間を限度)は適用されないものであること。
(12)ビベスピエアロスフィア120吸入
本製剤は,新医薬品に係る投薬期間制限(14日間を限度)は適用されないものであること。
▷関係通知の一部改正について(5月25日適用分)
◎「使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正について」(令和2年11月17日付け保医発1117第3号)の記の3の(3)(傍線部分は改正部分)
(3)ゼジューラカプセル100mg及び同錠100mg 本製剤を「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の相同組換え修復欠損を有する再発卵巣癌」に用いる場合は,効能又は効果に関連する使用上の注意において,「3つ以上の化学療法歴のある患者を対象とすること。」及び「承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いた検査により,相同組換え修復欠損を有することが確認された患者に投与すること。」とされているので,過去に実施した化学療法歴及び相同組換え修復欠損を有することを確認した検査の実施年月日をレセプトの摘要欄に記入すること。 なお,検査実施年月日は,当該検査を実施した月のみ記載すること。ただし,本剤の初回投与に当たっては,必ず実施年月日を記載すること。 |
▷新たに収載されたもの(6月8日から適用)
<内用薬>
<注射薬>
▷薬価基準の一部改正に伴う留意事項について(6月8日適用分)
(1)ボカブリア錠30mg,同水懸筋注400mg及び同水懸筋注600mg
本製剤の特殊性に鑑み,本製剤を使用した患者に係るレセプト等の取扱いにおいては,当該患者の秘密の保護に十分配慮すること。
(2)リカムビス水懸筋注600mg及び同水懸筋注900mg
本製剤の特殊性に鑑み,本製剤を使用した患者に係るレセプト等の取扱いにおいては,当該患者の秘密の保護に十分配慮すること。
▷掲示事項等告示の一部改正について(6月8日適用分)
通常,新医薬品については,薬価基準収載の翌月の初日から1年間は,原則,1回14日分を限度として投与することとされているが,「ボカブリア錠30mg」については,疾患の特性や,含有量が14日分を超える製剤のみが存在しているといった製剤上の特性から,1回の投薬期間が14日を超えることに合理性があり,かつ,投与初期から14日を超える投薬における安全性が確認されている新医薬品であることなどから,例外的に,「14日間の処方制限の対象外」として承認された。
▷市場拡大再算定の適用による価格の改定が行われたもの(8月1日から適用)
効能変更等が承認された既収載品及び2年度目以降の予想販売額が350億円を超える医薬品について,一定規模以上の市場拡大のあった場合,新薬収載の機会(年4回)を活用して,薬価を見直すこととされているが,5月18日に開催された中医協において下記のとおり内用薬2品目について,新薬収載の機会を活用して薬価を見直すことが決定された。
▷経過措置品目となったもの(令和5年3月31日まで)
<内用薬>
<注射薬>