保険医療部通信(第360報) – 政府が骨太の方針と規制改革実施計画を閣議決定 かかりつけ医機能の制度化が明記 オンライン資格確認の導入,来年4月から原則義務化の方針

 政府は6月7日,「経済財政運営と改革の基本方針2022」(いわゆる骨太の方針)と「規制改革実施計画」をあわせて閣議決定した。
 財務省が強く求めているかかりつけ医の制度化について,骨太の方針2022での書きぶりは,「かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行う」のみで,財務省の財政制度等審議会が5月にまとめた建議のような具体的な内容は記載されなかった。しかし,「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」は建議で使用された文言と同じであり,かかりつけ医の認定や患者の事前登録など,いわゆる人頭割の導入と定額制による医療費の抑制を企図する財務省の意向に沿った議論が今後展開される可能性があり,予断を許さない状況に変わりはない。コロナ流行当初,感染症医療という平時とは異なる体制のもと,国策として受診を一定制限したことによる医療体制の混乱の原因を,かかりつけ医機能が十分に機能しなかったと誤った情報を国民に流し,安易にかかりつけ医の制度化を一気に進めようとすることは絶対に認められない。
 また,オンライン資格確認については,医療機関に2023年4月から導入を原則義務付けるとともに,将来的には保険証の原則廃止が明記された。現実離れした目標のもと拙速な推進は医療現場に混乱をきたすことは必至である。保険証を原則廃止する意味を見出すこともできない状況である。
 経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太の方針),規制改革実施計画の概要は以下のとおり。


 骨太の方針2022「新しい資本主義へ~課題解決を成長のエンジンに変え,持続可能な経済を実現~」は,第1章から第5章で構成され,社会保障制度は主に第4章「中長期の経済財政運営」で触れており,持続可能な社会保障制度の構築として,①全世代型社会保障の構築と②社会保障分野における経済・財政一体改革の強化・推進のための取組みを掲げている。
 ①では,全世代型社会保障の構築に向けて,「世代間の対立に陥ることなく,全世代にわたって広く基本的な考え方を共有し,国民的な議論を進めていく」とし,給付と負担のバランスや現役世代の負担上昇の抑制を図りつつ,各種保険制度における負担能力に応じた負担のあり方等の総合的な検討を進めるとした。
 また,医療提供体制について,コロナ禍で顕在化した課題などを踏まえ,機能分化と連携を一層重視した医療・介護提供体制等の国民目線での改革を進めるため,「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」を求めている。
 その他,医師の働き方改革の円滑な施行や医療費適正化計画のあり方の見直しなどの取組みも記載されている。
 ②では,特に医療分野でのDX(デジタルトランスフォーメーション)について言及しており,医療機関と薬局にオンライン資格確認システムの来年4月からの導入を原則義務付けるとともに,保険証の原則廃止を目指すとの方針が明記された。さらに,レセプトや特定健診の情報に加えて,電子カルテなどの情報を共有できる「全国医療情報プラットフォーム」の創設が盛り込まれた。また,「診療報酬改定DX」(デジタル時代に対応した診療報酬やその改定に関する作業を大幅に効率化し,システムエンジニアの有効活用や費用の低廉化を目指す)により,医療保険制度全体の運営コスト削減につなげることを求めている。これらの医療分野のデジタル化を強力に推進するため,総理を本部長とする「医療DX推進本部(仮称)」を設置する方針を示した。
 その他,リフィル処方箋の普及・定着のための仕組みの整備の実現やOTC医薬品・OTC検査薬の拡大などを求めている。
 財政健全化については,社会保障関係費の具体的な記載はなく,「財政健全化の「旗」を下ろさず,これまでの財政健全化目標に取組む」とされた。骨太の方針2021にて,「22年度から24年度までの3年間の社会保障関係費については,基盤強化期間(19年度から21年度)においてその実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びにおさめることを目指す方針とされていること,経済・物価動向等を踏まえ,その方針を継続するとの目安に沿って予算編成を行う」とされていたことから,引続き高齢化による増加分に伸びをおさめるものと見込まれる。

 規制改革実施計画では,オンライン診療のさらなる拡充や薬剤師の業務拡大(在宅医療で活用),コロナ抗原定性検査キットのOTC化による薬局での販売の完全解禁などが盛り込まれた。
 オンライン診療については,デジタルデバイスに不慣れな高齢者が自宅が基本のオンライン診療を通所介護事業所や公民館などでも可能とすることを提案している。また,薬剤師の業務拡大は,医療人材の不足を踏まえたタスクシフト/タスクシェアの推進の観点から,在宅医療の現場において点滴の交換や褥瘡への薬剤塗布をまかせることを検討するよう求めている。

◇経済財政運営と改革の基本方針2022

新しい資本主義へ
~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~(抜粋)
第1章 我が国を取り巻く環境変化と日本経済

2.短期と中長期の経済財政運営
(経済社会活動の正常化に向けた感染症対策)

 新型コロナウイルス感染症対策については,必要な財政支援や見える化等により医療提供体制の強化を進めるとともに,感染状況や変異株の発生動向に細心の注意を払いつつ,段階的な見直しを行い,一日も早い経済社会活動の正常化を目指す。
 医療提供体制の強化について,国立病院機構等の公立公的病院に法律に基づく要求・要請を行うことによる新型コロナウイルス感染症の専用病床化とともに,個別の病院名を明らかにした病床の確保を行いつつ,感染拡大時には即応病床の増床や病床の使用率向上により,入院を必要とする者がまずは迅速に病床又は臨時の医療施設等に受け入れられ,確実に入院につなげる体制を整備する。
 感染拡大時に臨時の医療施設等が円滑に稼働できるよう,都道府県ごとに医療人材派遣の協力可能な医療機関数や派遣者数を具体化するほか,公立公的病院においても都道府県に設置する臨時の医療施設等に医療人材を派遣する。
 医療DXを推進し,医療情報の基盤を整備するとともに,G-MISやレセプトデータ等を活用し,病床確保や使用率,オンライン診療実績など医療体制の稼働状況の徹底的な「見える化」を進める。
 ワクチン,検査,経口治療薬の普及等により,予防,発見から早期治療までの流れを強化して新型コロナウイルス感染症の脅威を社会全体として可能な限り引き下げる。マイナンバーカードを使ったワクチン接種証明書のデジタル化等により,入国時での効率的なワクチン接種履歴の確認など円滑な確認体制を進める。
 国際的な人の往来の活発化に向け,感染拡大防止と経済社会活動のバランスを取りながら,他のG7諸国並みの円滑な入国を可能とする水際措置の見直しなど水際対策の緩和を進める。また,新たな変異株が発生する場合にはこれに機動的に対処する。
 新型コロナウイルス感染症に関する罹患後症状(いわゆる後遺症)についての実態把握や病態解明等に資する調査・研究を進める。
 その上で,これまでの新型コロナウイルス感染症対応を客観的に評価し,次の感染症危機に備えて,本年6月を目途に,危機に迅速・的確に対応するための司令塔機能の強化や感染症法の在り方,保健医療体制の確保など,中長期的観点から必要な対応を取りまとめる。

第4章 中長期の経済財政運営

1.中長期の視点に立った持続可能な経済財政運営
 第1章で述べた時代認識とそれに対して必要な取組や政策の方向性を踏まえ,持続可能な経済財政運営を行う。
 まずは,急激な輸入物価上昇の中にあって,安定的な物価上昇の下での持続的かつ力強い経済成長の実現が重要であり,第1章で述べた経済財政運営に関する枠組みの下,「成長と分配の好循環」を拡大する。特に,資本主義のバージョンアップに向けて,社会課題の解決に向けた官民連携を成長の源泉とする。このための計画的な重点投資,規制・制度改革を通じて力強い成長を取り戻すとともに,分配戦略により成長の果実を幅広く行き渡らせる。
 その際,予算の単年度主義の弊害を是正する。税制の将来にわたる効果を見据えた動的思考を活用する。また,成長と分配の好循環に資する官民投資に重点化し,構造変化を促すインセンティブ・仕組みを構築するとともに,個々の予算を効果的・効率的なものとし,成果の検証の強化を進める。
 財政健全化の「旗」を下ろさず,これまでの財政健全化目標に取り組む。経済あっての財政であり,現行の目標年度により,状況に応じたマクロ経済政策の選択肢が歪められてはならない。必要な政策対応と財政健全化目標に取り組むことは決して矛盾するものではない。経済をしっかり立て直し,そして財政健全化に向けて取り組んでいく。ただし,感染症及び直近の物価高の影響を始め,内外の経済情勢等を常に注視していく必要がある。
 このため,状況に応じ必要な検証を行っていく。

(官民連携による計画的な重点投資の推進)
 持続的な成長には,需要創出と同時に,供給力を高める効果も持つ「投資」の拡大が不可欠である。世界的に不確実性が増大し,民間企業の投資への逡巡が懸念される中でこれを実現するには,政府が,民間の予見可能性を高め,民間投資の呼び水となる効果的・効率的な支出(ワイズスペンディング)を思い切って行うことで,これまで長期にわたり低迷してきた民間投資を喚起し,可及的速やかに経済を安定成長経路に乗せていく必要がある。
 このため,投資促進に向けては,「人への投資」,「科学技術・イノベーションへの投資」,「スタートアップへの投資」,「GXへの投資」,「DXへの投資」を重点投資分野に位置付ける。計画的な投資と課題解決に必要な制度改革を含めたロードマップ133を官民で共有し,それに基づいて,必要な財源を確保しつつ,事業の性質に応じた基金や,税制も活用しながら,大胆な重点投資を,官民連携の下で中長期的かつ計画的に推進する。

(単年度予算の弊害是正)
 政策の長期的方向性や予見可能性を高めるよう,単年度主義の弊害を是正し,国家課題に計画的に取り組む。事業の性質に応じた基金の活用等を進めるとともに,年度末の予算消化などの予算単年度主義に起因する弊害についても,年度を跨ぐ予算執行が可能となるよう,柔軟かつ適切に対応する。

(持続可能な債務管理に向けて)
 我が国の債務残高は毎年の財政赤字が積み上がっており,今後も,安定的な国債の借換えのための環境を実現していく必要がある。また,債務残高対GDP比をコントロールしていく観点からも名目成長率を高めることが重要である。

(効果的・効率的な支出の推進とEBPMの徹底強化)
 今後これまで以上に歳出の中身をより結果につながる効果的なものとすることが重要となる。効果的・効率的な支出(ワイズスペンディング)の推進に向けて,国民各層の意識や行動の変容につながる見える化,先進・優良事例の全国展開,インセンティブ改革,公的部門の産業化,PPP/PFIや共助も含めた民間活力の最大活用などの経済・財政一体改革の取組を抜本強化する。また,コロナ禍での累次の補正予算について,その使い道,成果について,見える化する。
 EBPMの手法の実践に向け,行政事業レビューシートを順次見直し,予算編成プロセスでのプラットフォームとしての活用等134を進める。また,政策立案・実施に投入するリソースの確保に向け政府の評価関連作業の合理化を進めるとともに,EBPMの取組を強化135するため,エビデンスによって効果が裏付けられた政策やエビデンスを構築するためのデータ収集等に予算を重点化する。
 予算の単年度主義の弊害是正に向け,事業の性質に応じた基金を活用しつつ,重要な政策課題に取り組む基金についてEBPMの手法を前提としたPDCAの取組を推進する。
 また,計画的な投資と課題解決に必要な制度改革を含めたロードマップについても,こうした考え方に立って取組を進める。
 政府向け及び一般向けの可視化等を含めた統計データのエコシステムの構築に向けて取り組むとともに,GDP統計等における無形資産の捕捉強化や,文化資源コンテンツの価値等のソフトパワーの把握・計測等,さらに各政策分野におけるKPIへのWell-being指標の導入を進める。また,公的統計の不適切な取扱いを繰り返さぬよう,集中的な統計改革を行う。

(税制改革)
 経済成長と財政健全化の両立を図るとともに,少子高齢化,グローバル化等の経済社会の構造変化に対応したあるべき税制の具体化に向け,包括的な検討を進める。
 骨太方針2021136等も踏まえ,応能負担を通じた再分配機能の向上・格差の固定化防止を図りつつ,公平かつ多様な働き方等に中立的で,デジタル社会にふさわしい税制を構築し,経済成長を阻害しない安定的な税収基盤を確保するため,税体系全般の見直しを推進する。
 納税環境の整備と適正・公平な課税の実現の観点から制度及び執行体制の両面からの取組を強化するとともに,新たな国際課税ルールへの対応を進める。

2.持続可能な社会保障制度の構築
(全世代型社会保障の構築)

 全世代型社会保障は,「成長と分配の好循環」を実現するためにも,給付と負担のバランスを確保しつつ,若年期,壮中年期及び高齢期のそれぞれの世代で安心できるよう構築する必要がある。そのために,社会保険を始めとする共助について,包摂的で中立的な仕組みとし,制度による分断や格差,就労の歪みが生じないようにする。これにより,我が国の中間層を支え,その厚みを増すことに寄与する。給付は高齢者中心,負担は現役世代中心というこれまでの社会保障の構造を見直し,能力に応じて皆が支え合うことを基本としながら,それぞれの人生のステージに応じて必要な保障をバランスよく確保する。その際,給付と負担のバランスや現役世代の負担上昇の抑制を図りつつ,後期高齢者医療制度の保険料賦課限度額の引上げを含む保険料負担の在り方等各種保険制度における負担能力に応じた負担の在り方等137の総合的な検討を進める。全世代型社会保障の構築に向けて,世代間の対立に陥ることなく,全世代にわたって広く基本的な考え方を共有し,国民的な議論を進めていく。
 男女が希望どおりに働ける社会を構築するため,男性や非正規雇用労働者の育児休業取得促進や子育て支援138に取り組む。そして,子育て・若者世代が出産・育児によって収入や生活に不安を抱くことなく,仕事と子育てを両立できる環境を整備するために必要となる更なる対応策について,国民的な議論を進める。勤労者皆保険の実現に向けて,被用者保険の適用拡大の着実な実施や更に企業規模要件の撤廃・非適用業種の見直しの検討,フリーランス・ギグワーカーへの社会保険適用について被用者性の捉え方等の検討を進める。
 家庭における介護の負担軽減のため介護サービスの基盤整備等を進める。公的価格の費用の見える化等を行った上で,職種毎に仕事の内容に比して適正な水準まで賃金が引き上がり,必要な人材が確保されること等を目指して,現場で働く方々の更なる処遇改善に取り組んでいく。また,独居の困窮者・高齢者等に対する相談支援や医療・介護・住まいの一体的な検討・改革等地域共生社会づくりに取り組む。また,医療・介護提供体制などの社会保障制度基盤の強化については,今後の医療ニーズや人口動態の変化,コロナ禍で顕在化した課題を踏まえ,質の高い医療を効率的に提供できる体制を構築するため,機能分化と連携を一層重視した医療・介護提供体制等の国民目線での改革を進めることとし,かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行うとともに,地域医療連携推進法人の有効活用や都道府県の責務の明確化等に関し必要な法制上の措置を含め地域医療構想を推進する。あわせて,医師の働き方改革の円滑な施行に向けた取組を進める。その他基盤強化に向けて,医療費適正化計画の在り方の見直しや都道府県のガバナンスの強化など関連する医療保険制度等の改革139とあわせて,これまでの骨太方針2021等に沿って着実に進める。
 これらの取組について,今後,生産年齢人口が急速に減少していく中,高齢者人口がピークを迎えて減少に転ずる2040年頃を視野に入れつつ,コロナ禍で顕在化した課題を含め,2023年,2024年を見据えた短期的課題及び中長期的な各種の課題を全世代型社会保障構築会議において整理し,中長期的な改革事項を工程化した上で,政府全体として取組を進める。

(社会保障分野における経済・財政一体改革の強化・推進)
 医療・介護費の適正化を進めるとともに,医療・介護分野でのDX140を含む技術革新を通じたサービスの効率化・質の向上を図るため,デジタルヘルスの活性化に向けた関連サービスの認証制度や評価指針による質の見える化やイノベーション等を進め,同時にデータヘルス改革に関する工程表にのっとりPHRの推進等改革を着実に実行する。オンライン資格確認について,保険医療機関・薬局に,2023年4月から導入を原則として義務付けるとともに,導入が進み,患者によるマイナンバーカードの保険証利用が進むよう,関連する支援等の措置を見直す141。2024年度中を目途に保険者による保険証発行の選択制の導入を目指し,さらにオンライン資格確認の導入状況等を踏まえ,保険証の原則廃止142を目指す。「全国医療情報プラットフォーム143の創設」,「電子カルテ情報の標準化等144」及び「診療報酬改定DX」145の取組を行政と関係業界146が一丸となって進めるとともに,医療情報の利活用について法制上の措置等を講ずる。そのため,政府に総理を本部長とし関係閣僚により構成される「医療DX推進本部(仮称)」を設置する。経営実態の透明化の観点から,医療法人・介護サービス事業者の経営状況に関する全国的な電子開示システム等を整備する147とともに,処遇改善を進めるに際して費用の見える化などの促進策を講ずる。医療・介護サービスの生産性向上を図るため,タスク・シフティングや経営の大規模化・協働化を推進する。加えて,医療DXの推進を図るため,オンライン診療の活用を促進するとともに,AIホスピタル148の推進及び実装に向け取り組む。
 経済安全保障や医薬品産業ビジョン2021等の観点も踏まえ,医薬品の品質・安定供給の確保とともに創薬力を強化149し,様々な手段を講じて科学技術力の向上とイノベーションを実現する。がん・難病に係る創薬推進等のため,臨床情報と全ゲノム解析の結果等150の情報を連携させ搭載する情報基盤を構築し,その利活用に係る環境を早急に整備する。
 がん専門医療人材を養成するとともに,「がん対策推進基本計画」151の見直し,新たな治療法を患者に届ける取組を推進する等がん対策を推進する。大麻に関する制度を見直し,大麻由来医薬品の利用等に向けた必要な環境整備を進める。熱中症対策に取り組むとともに,OTC医薬品・OTC検査薬の拡大に向けた検討等によるセルフメディケーションの推進,ヘルスリテラシーの向上に取り組む。早期発見・早期治療のため,疾患に関する正しい知識の周知啓発を実施し,感染拡大によるがん検診受診の実態を踏まえ,引き続き,受診勧奨に取り組むとともに,政策効果に関する実証事業を着実に実施するなどリハビリテーションを含め予防・重症化予防・健康づくりを推進する。また,移植医療を推進する。
 良質な医療を効率的に提供する体制の整備等の観点から,2022年度診療報酬改定により措置された取組の検証を行うとともに,周知・広報の推進とあわせたリフィル処方箋の普及・定着のための仕組みの整備を実現する。バイオシミラーについて,医療費適正化効果を踏まえた目標値を今年度中に設定し,着実に推進する。新型コロナウイルス感染症対応の経験を踏まえ,コロナ入院患者受入医療機関等に対する補助の在り方について,これまでの診療報酬の特例等152も参考に見直す。国保財政健全化の観点から,法定外繰入等の早期解消を促すとともに,普通調整交付金の配分の在り方について,方向性を示すべく地方団体等との議論を深める。
 全身の健康と口腔の健康に関する科学的根拠の集積と国民への適切な情報提供,生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)の具体的な検討,オーラルフレイル対策・疾病の重症化予防につながる歯科専門職による口腔健康管理の充実,歯科医療職間・医科歯科連携を始めとする関係職種間・関係機関間の連携,歯科衛生士・歯科技工士の人材確保,歯科技工を含む歯科領域におけるICTの活用を推進し,歯科保健医療提供体制の構築と強化に取り組む。また,市場価格に左右されない歯科用材料の導入を推進する。


133 「人への投資」を強化する3年間で4,000億円規模の施策パッケージ,「第6期科学技術・イノベーション基本計画」,「スタートアップ育成5か年計画」,「クリーンエネルギー戦略」,「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」,「デジタル社会の実現に向けた重点計画」等。

134 記載事項の検索のためのレビューシートのデータベース構築や補正予算のレビューシートの前倒し作成。

135 経済産業研究所におけるEBPMセンター設置等の例がある。

136 「経済財政運営と改革の基本方針2021」(令和3年6月18日閣議決定)。

137 これまでの経済財政運営と改革の基本方針や新経済・財政再生計画改革工程表に掲げられた医療・介護等に関する事項を含む。

138 第2章2.(2)「(少子化対策・こども政策)」に記載されている内容を含む。

139 中長期的課題として,現在広域連合による事務処理が行われている後期高齢者医療制度の在り方,生活保護受給者の国保及び後期高齢者医療制度への加入を含めた医療扶助の在り方の検討を深めることなどを含む。

140 データヘルス,オンライン診療,AI・ロボット・ICTの活用など,医療・介護分野におけるデジタルトランスフォーメーションをいう。

141 診療報酬上の加算の取扱いについては,中央社会保険医療協議会において検討。

142 加入者から申請があれば保険証は交付される。

143 オンライン資格確認等システムのネットワークを拡充し,レセプト・特定健診等情報に加え,予防接種,電子処方箋情報,自治体検診情報,電子カルテ等の医療(介護を含む)全般にわたる情報について共有・交換できる全国的なプラットフォームをいう。

144 その他,標準型電子カルテの検討や,電子カルテデータを,治療の最適化やAI等の新しい医療技術の開発,創薬のために有効活用することが含まれる。

145 デジタル時代に対応した診療報酬やその改定に関する作業を大幅に効率化し,システムエンジニアの有効活用や費用の低廉化を目指すことをいう。これにより,医療保険制度全体の運営コスト削減につなげることが求められている。

146 医療界,医学界,産業界をいう。

147 その際,補助金等について事業収益と分けるなど見える化できる内容の充実も検討。

148 平成30年度から開始した「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」第2期(平成30~令和4年度)においてAIホスピタル等の研究開発を推進している。

149 医薬品産業ビジョン2021では,医薬品産業政策の取組を継続していく観点からKPIの重要性について言及しており,創薬力の強化等に向け,KPIを設定し,取組を進める。

150 10万ゲノム規模を目指した解析結果のほか,マルチ・オミックス(網羅的な生体分子についての情報)解析の結果等を含む。

151 平成30年3月9日閣議決定。

152 過去の収入に応じた支払いを含む。

◇規制改革実施計画(抜粋)
<医療・介護・感染症対策>

(1)新型コロナウイルス感染症に係る在宅での検査等の円滑化

(2)医療DXの基盤整備(在宅での医療や健康管理の充実)

(3)医療DXを支える医療関係者の専門能力の最大発揮

2022年7月15日号TOP