2022年7月15日号
2022年6月30日
京都府医師会新型コロナウイルス感染症対策チーム
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大第6波の新規感染者数は,ゼロに近づくことなく6月中旬までは微減あるいは高止まりの状況であった。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異株オミクロン(B.1.1.529)はBA.1からBA.2系統への置き換わりが進んできたが,それ以外の亜系統のBA.4やBA.5系統も国内感染者で検出された。京都府内でも,BA.2.12.1系統とBA.5系統による感染が確認された。6月末に京都府内での新規感染者の増加傾向があり,今後の動向を注視する必要がある。重症者や死亡者数は相対的に多くないが,欧州各国で感染拡大傾向がみられ,今後は感染拡大第7波に繋がることが危惧される。また,世界的にSARS-CoV-2の感染が治まりきらない状況で,南半球のオーストラリアで季節性インフルエンザの感染拡大が顕著となっており,今後我が国でのインフルエンザ対策も必要となる。
SARS-CoV-2ワクチン(コロナワクチン)の2回接種完了者は全人口の8割を超え,65歳以上の92%超となった。3回目接種が進む中で,60歳以上を対象とする4回目接種が始まった。3回接種完了時期からみると,7月中旬に4回目接種のピークとなることが予想される。
2022年6月の1か月間の動向について述べる。
なお,本文中に記載した数値や対応策等は,6月30日時点のものであり,今後の動向により変化することを予めお断りしておく。
⑴ 全国の感染者数の推移と対策
全国の新規感染者数は,6月上旬には10万人あたり約97人,今週先週比は0.70と減少が続いたが,中旬は約78人,先週今週比は0.98となり,減少は続いているものの減少幅は鈍化している。地域別にみると,減少を続けている地域や,横ばいまたは増加の兆しのみられる地域もあり,感染状況の推移に差が生じている。一部の人口規模の小さい地域では,クラスター発生による新規感染者数の急増がみられる。感染者数が激増していた沖縄県では,横ばいと微増を繰り返しながら減少傾向にあるが,他の地域と比べて人口あたりの感染者数が多い状況は続いており,今後の感染状況の動向は注視が必要である。なお,東京都では6月中旬に,10日連続で前週の同じ曜日を上回る増加傾向がみられている。
年代別の新規感染者の割合は,10代以下が全体の約3分の1を占めていることが続いているが,20代の割合は第5波の時よりも減少し,60代以上の割合が増加している(表1)。新規感染者数は,全国的にすべての年代において微減または減少が続いていたが,地域によっては増加している年代がみられる。感染場所は,学校等における割合が減少傾向にあるものの,依然として高い割合で推移し,下旬には保育所等における割合が増加傾向にあった。
オミクロン株はBA.1系統からBA.2系統へおおむね置き換わった。世界的にBA.2系統への置き換わりが進む中で感染者数の増加がみられたが,5月以降は各国で減少傾向となっていた。BA.2系統はBA.1系統との比較では,実効再生産数および二次感染リスク等の分析から,感染性がより高いことが示されている。BA.2系統の世代時間は,BA.1系統に比べ15%短く,実効再生産数は26%高いことが示された。両者の重症度の比較では,実際の入院および重症化リスクに関する差はみられないという報告がある。英国の報告ではワクチンの予防効果にも差が無いことが示されている。
他方,BA.2.12.1系統,BA.4系統およびBA.5系統の占める割合が世界的に増加しており,これらの系統がBA.2系統に比較して感染者増加の優位性が示されており,またWHOレポートでは,複数の国から集積した知見によると,これらの系統は既存のオミクロン株と比較した重症度の上昇はみられないとしている。またXE系統(BA.1系統とBA.2系統の組み換え体)は,WHOレポートでは,BA.2系統に比べて市中感染者の増加する速度が10%程度高いと報告されているが,世界における感染者数は減少を続けている。BA.2.12.1系統,BA.4系統,BA.5系統およびXE系統は,すべて検疫で検出されている。ゲノムサーベイランスでは,国内では引続きBA.2系統が主流であるが,BA.2.12.1系統,BA.4系統およびBA.5系統については,今後,検出割合が増加する可能性がある。6月22日に岡山県が6月のCOVID-19患者のうち,BA.4系統とBA.5系統を各1例ずつ検出したことを発表した。2例とも海外渡航歴があり,市中感染とは考えていないようであるが,検疫以外でBA.4とBA.5系統が検出されたのははじめてであった。今後,市中感染としての広がりが懸念される。
表1.第6波における新規陽性者に占める各年代の割合の推移(全国)
一方,欧州では,COVID-19の再拡大の傾向がみられる。フランス保健省は,6月24日に確認された過去24時間以内の新規感染者は約7万9,000人と,1週間前に比べて約57%増加していることを公表した。ワクチン接種者と未接種者の陽性率はほぼ変わらないという。イタリアでは,25日に確認された過去24時間以内の新規感染者数は約5万6,000人で,1週間前の約3万5,000人から大幅に増加した。ドイツでは,6月下旬に入って1日あたりの新規感染者は10万人を超える日が続き,英国でも1万6,000人を超えており,増加傾向にある。ワクチン接種から時間が経過して予防効果が薄れていることや,オミクロン株のBA.4とBA.5系統が免疫を回避する能力を高めていることが増加の要因と考えられる。いずれの国もコロナワクチン接種率は日本よりも低く,フランスやイタリア政府は追加接種を受けることを促している。
欧州各国での感染拡大は,日本の水際対策の緩和にともなって,我が国にも波及する可能性があり,第7波となる懸念がある。
⑵ 京都府の感染者数の推移と対策
京都府の新規感染者数は5月から引きつづいて減少傾向にあり,6月上旬の今週先週比は0.5台で推移していた。しかし7日から今週先週比は微増し,中旬には0.8を超え,18日~22日は1.0超であった。23日から再び1.0を下回ったが,0.95前後での推移であった。しかしながら,下旬の後半に今週先週比が1を超え28日0.98,29日1.03,30日1.14と急増し,感染者数も増加してきた。週別で最多となる水曜日に限定すると,1日527人,8日424人,15日409人,22日355人と,22日までは漸減したが,29日に再度増加して410人となり,また翌30日は木曜日の感染者数としては6月で最多の484人で,さらに増加していた(図1)。年代別では,下旬から20代の感染者が,特に市内で増えてきたことが目立っている。6月末に急速な感染者数の増加がみられることから,7月の感染者数の推移を注視する必要がある。
図1.6月 京都府内(府+市)新規感染者数(2022年6月1日~30日)
表2.京都府のモニタリング指標の状況
新規感染者数の微減にともなって,6月の入院病床使用率も漸減し,重症者病床の使用率も減少した。特に高度重症病床は6月1日に1床であったが,2日以降はゼロが続いた。しかし6月下旬に確保病床使用率は再上昇し,重症者病床使用率も増加した。
京都府内でオミクロン株のBA.2.12.1とBA.5系統による感染がゲノム解析で確認された。前者は海外渡航歴のない7名で,市中感染の可能性がある。後者は海外渡航歴のある1名で,国外で感染し帰国後に発症したと考えられる。いずれも6月中旬に発症し軽症あるいは無症状であった。これらのオミクロン株亜系統による市中感染が京都府内で広がる可能性がある。
表3.京都府における人口10万人あたり7日間累積新規感染者数(10歳刻み)
第42報に記載した発生届の簡略化は,その通知が厚労省から各自治体へ月末に発出され,30日に切替えのためにHER-SYSへのアクセスができなくなる事態を生じた。新たな発生届は,厚労省からの通知に従い,京都府と京都市で同じ様式であるが,京都府は京都府知事宛,京都市は京都市長宛の違いがある。具体的な届出様式,HER-SYS入力の変更点については別で周知する,
⑶ 次の感染症危機に備えるための対応の方向性
第5回新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議(6月15日開催)で「次の感染症危機に備えた中長期的な課題」について協議された案が6月17日の第95回対策本部会議に提出され,「新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に備えるための対応の方向性」(p.29~32参照)として首相官邸から公表された。以下は,その項目である。
1.政府の司令塔機能の強化として「内閣感染症危機管理庁(仮称)」の設置
2.感染初期から速やかに立ち上がり機能する保険医療体制の構築
① 医療提供体制の強化
I.医療機関の抜本的拡充
Ⅱ.自宅・宿泊療養者等への医療提供体制の確保
Ⅲ.広域での医療人材の派遣等の調整権限創設
② 保健所の体制とその業務に関する自治体の権限・関与の強化
③ 検査体制の強化
④ 感染症データ収集と情報基盤の整備・医療DXの推進
⑤ ワクチン等の開発・効率的な接種体制確保
⑥ 医療用物資等の確保
⑦ 水際対策の実効性の向上
3.初動対応と特措法の効果的な実施
① 要請等の措置の実効性の向上
② その他特措法の対応
今回示された「方向性」が具体的な対応策に結びつくかどうか注視する必要がある。2009年新型インフルエンザ感染拡大のあとに出された専門家会議の提言がほとんど実行されないままになっていたことを我々は忘れてはならない。
⑷ 小児のCOVID-19対策;濃厚接触者の特定
厚労省の対策推進本部/医政局/健康局/子ども家庭局から,各自治体衛生主管部(局)および保健主管部(局)宛に,小児のCOVID-19対応について事務連絡が出された。そのうち,子どもの濃厚接触者の特定について再周知・対応依頼があったが,内容は次のとおりである。
保育所(地域型保育事業および認可外保育施設を含む),幼稚園,認定こども園,小学校,義務教育学校,特別支援学校および放課後児童クラブ(以下,「保育所等」)における濃厚接触者の特定・行動制限については,自治体ごとに予め保健衛生局と市町村の児童福祉部局等,都道府県および市町村の教育委員会または都道府県市立学校主管部局(以下,「児童福祉部局等」)が連携して方針を決定することとされている。一方,濃厚接触者の特定を行わないとする自治体もあるが,その場合は保育所等に自主的な候補範囲を求めるとは想定していない。
保育所等における濃厚接触者の特定・行動制限を行っている自治体では,就学前の子どもに対してマスク着用を一律には求めていないこと,学校における体育等や登下校においてマスク着用を必要としないことを踏まえて,以下のように対応する。
① 「手で触れることのできる距離(1メートルが目安)」で,必要な感染予防策なしで,「患者(確定例)」と15分以上の接触があった者」が,濃厚接触者の特定を行う要件の1つとなっているが,マスク着用をしていないことのみをもって一律に濃厚接触者と特定することなく,引続き,周辺の環境や接触の状況等の個々の状況から患者の感染性を総合的に判断する
② 上記①の観点を保育所等に周知した上で,オミクロン株の特性や各地域における感染状況,保育所等における業務負担などを踏まえて,保健所等関係機関と協議し,濃厚接触者の特定・行動制限の必要性等について適切に判断すること
③ 感染者と接触があった就学前の子どもについては,感染者と接触があったことのみをもって通園等を含む外出を控える必要はないが,引続き,高齢者等との接触や感染リスクの高い行動は控えるよう依頼する
④ 保育所等の子どもや職員も含めて,有症状の場合は,通園等の外出を控えるなどの感染対策の徹底を依頼する
⑸ 効果的かつ負担の少ない感染対策
「医療機関における院内感染対策のための自主点検等について」(2020年8月),「オミクロン株の特性を踏まえた保健・医療提供体制の対策徹底を踏まえた取組状況及び更なる体制強化について」(本年5月)および「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド第4版」(2021年11月,日本環境感染学会)をもとに,専門家から今後の感染対策の考え方とその実施に向けた対策が提言され,厚労省から各自治体へ「効果的かつ負担の少ない医療現場における感染対策について」が事務連絡として出された。感染症対策の具体的な手法についての概略は以下のとおりである。
1.外来でCOVID-19疑い患者を診察する場合,「インフルエンザ流行時に準じた対応(空間的/時間的隔離,換気,マスク,優先診察などによる対応)」を実施できること(*)
2.病棟でCOVID-19の入院患者を診療する場合,病棟全体のゾーニング(専用病棟)を行わずCOVID-19患者を受け入れることができること。病棟内の一部の区画においてCOVID-19患者を隔離する場合のゾーニングや個人防護具の着脱の手法として,以下の例が示されている
① 「病室などの患者が滞在する区域をレッド,清潔区域をグリーンとして区別する(さらに施設によってはPPEを脱ぐ区域をイエローゾーンとして設ける)
② 「施設内に陰圧空調を備えた病室が設置されている場合には,エアロゾル産生手技が高頻度に実施される患者を優先的に収容する。他方,陰圧空調設備を有さない施設では,エアロゾル産生手技の実施前後に病室内の換気を行う
③ COVID-19の入院患者を,病棟の一部で病室ごとのゾーニングを行うことにより管理する
3.COVID-19重点医療機関の施設要件の一つの「病棟単位でCOVID-19患者あるいは疑い患者専用の病床確保を行っていること」における「病棟」の単位は,看護体制の1単位をもって取り扱うものであり,必ずしも構造上の病棟単位で専用の病床確保を行うことを要件とするものではない
4.「令和4年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)」における,各医療機関において確保した即応病床等の病床確保料の支給対象期間は,即時病床または休止病床に患者を受け入れていない期間(=当該病床に診療報酬が支払われていない期間)であることに留意しつつ,COVID-19であることが確定した患者以外の患者を受け入れることも可能である
(*)註:インフルエンザに比べてSARS-CoV-2はエアロゾルの感染力が高いことに留意し,適切な換気が重要。発熱のみで咳などの呼吸器症状がみられない患者を診察する場合はサージカルマスクのみでも可であるが,患者の状態に応じて眼の保護等が必要になる。ただし,SARS-CoV-2検査のために検体採取をする場合は,PPE装着および良好な換気が必要と考える。
⑴ 会議
感染者数の減少が緩やかな状況が続く中で,府医の各種会議(定例理事会,各部会,各種委員会,地区庶務担当理事連絡協議会)はハイブリッド形式での開催を続けた。
6月18日の府医第208回定時代議員会は,Hグランヴィア京都を会場として感染対策を行った上で,集合形式/対面式で開催した(懇親会なし)。
22日の地区庶務担当理事連絡協議会では,次期感染症サーベイランスシステムの更改(未決定のことが多く概略のみ説明;後日詳細が決まれば改めて広報の予定)について京都府・京都市からの説明が行われ,この部分のみに地区感染症担当理事の参加をお願いした。
松井府医会長は,29日の京都府庁での新型コロナ対策専門家意見交換会に参加した。
30日に,京都市と府医共催・京都府後援で,「新型コロナウイルス感染症オンライン研修会」を府医会館で開催した。会場参加は約10名,Web参加は300名以上のハイブリッド形式であった。京都市立病院副院長の清水恒広先生(府医感染症対策委員会委員長)の座長で3つの講演が行われた。講演後には活発な質疑応答があった。
講演1「新型コロナウイルス感染症の検査について」京都大学臨床病態検査学教授 長尾美紀先生
講演2「新型コロナウイルス感染症の治療について」京都市立病院感染症科副部長 栃谷健太郎先生
講演3「新型コロナウイルス感染症に関する施設の感染制御について」
京都府保健環境研究所所長 藤田直久先生(府医感染症対策委員会副委員長)
今後の感染状況を踏まえながら,対面あるいは集合形式の会議,研修会が増えることになろうが,今しばらくはWeb形式/ハイブリッド形式が継続すると思われる。
⑵ 宿泊療養施設健康管理および自宅療養者
宿泊療養施設は,引続きホテルヴィスキオ京都(HV),アパホテル京都駅東(AE),アパホテル京都駅堀川(AH)の3施設を利用している。出務医は,6月2日と30日に各2名がHVに出務し,それ以外の日とAEおよびAHは連日1名の出務であった。3施設の合計入所者数は,6月1日の169名から漸減し,中旬には100名を下回った。その後90名台で推移したが,26日以降に100名を再び超えて漸増し30日には127名であった。1日の平均入所者数および退所者数は,HVでそれぞれ8.1人,8.6人,AEでは5.8人,6.6人,AHで4.1人,4.1人で,3施設合わせての平均入所者と退所者数は17.9人,19.2人であった。保険診療の延べ件数は,HVで80件,AE59件,AH33件であった。6月中の転院は6名,陽性者外来受診は2名であった。
自宅療養者あるいは自宅待機者は,6月1日時点では4,700人余で,その後は漸減して15日には2,600人余となったが,下旬からの感染者数増加により,30日時点では2,800人余と増加した。
⑴ 接種状況
6月29日公表時点で,全国の2回接種完了者は全人口の80.8%で,うち65歳以上高齢者では92.7%,5~11歳小児接種では16.8%であった。3回接種完了者は全人口の61.7%,高齢者は89.8%となっていた。都道府県別では,東北地方は接種率が相対的に高く,秋田県72.0%から宮城県64.4%であるが,近畿地方はそれより低く和歌山県61.8%から大阪府54.6%と60%を下回っている府県が半分である。60%を下回る都府県は,東京都59.8%,愛知県58.3%,兵庫県58.5%,京都府58.0%,大阪府54.6%,広島県59.5%,福岡県58.3%,沖縄県45.5%であり,沖縄以外は政令都市を有する都府県である。20政令都市の平均は58.4%であるが,平均を下回るのは,川崎市,名古屋市,京都市,大阪市,堺市,神戸市,岡山市,広島市,福岡市の9市である。
なお,3回目接種は当初2回目から6か月を経過して接種していたが,4回目接種を3回目から5か月を開けて実施することに合わせて,3回目接種も2回目から5か月に短縮された。ワクチン接種の間隔の長さによって,オミクロン株に対する3回目接種の有効性について,スペイン公衆衛生研究所が全国規模の住民登録データを用いて検討した結果を報告した。追加接種までの間隔でみると,初回シリーズ後151~180日に追加接種した場合の推定有効率は43.6%(95%CI 40.0~47.1),180日を超えて追加接種した場合は52.2%(同 51.0~53.3)であり,6か月以上の間隔の方がより高い有効性を示した。また追加接種のオミクロン株に対する推定有効率はファイザー社と比べてモデルナ社で高く,初回シリーズ完了後追加接種までの時間とともに推定有効率が増加した。しかしながら,間隔を開けた場合よりも推定有効率がやや低いとしても,オミクロン株の感染拡大の中では,接種は可能な限り早い段階で感染を減らすという側面からは正当化されるべき,とも考察している。
⑵ 4回目接種
我が国で5月25日から始まった4回目接種は,6月末時点で60歳以上で3回目接種完了から5か月以上経過した者の21.2%が接種している。ただし4回目接種をした者の内77%が60歳以上で,23%は60歳未満で基礎疾患を持つなど接種が必要と考えられた者である。
イスラエルの健康保険組織(MHS,250万人加入)のデータベースを用いた,オミクロン株が優勢であった2022年1月10日~3月13日までのデータ解析によるファイザー社ワクチンによる4回接種のCOVID-19の感染予防と重症化予防の有効性に関する報告があった。解析対象は60歳以上のMHS会員でSARS-CoV-2感染歴がなく4回目接種を受ける資格(3回目から4か月以上経過)をもち,追跡期間中に少なくとも1回のPCR検査を受けた97,499例である。このうち4回目接種を受けたのは27,876例,3回接種は69,623例であった。4回目接種後最初の3週間は,3回接種と比較して,感染および重症化の両方に有効性が認められたが,感染予防効果は時間とともに低下した。4回目接種の相対的な有効率は,接種後3週目(14~20日)に65.1%(95%信頼区間(CI):63.0~67.1)でピークに達した後,急速に低下し,接種後10週目(63~69日)には22.0%(95%CI:4.9~36.1)となった。一方,重症化に対する4回目の相対的な有効率は,追跡期間を通じて高率に維持された(接種後7~27日で77.5%,28~48日で72.8%,49~69日で86.5%)。但し重症化は比較的まれで,追跡期間中のCOVID-19関連入院・死亡は全体でも572例(0.25%)で,COVID-19による死亡は106例で,77例が3回接種のみ,23例は3回接種後の最初の3週間に4回目接種を受けていた。このことから,4回目接種は,3回目接種と比較して感染予防と重症化予防の両方の有効性を認めたものの,感染予防効果は比較的早期に減弱することが示唆された。また3回目接種と4回目接種の間隔が短すぎると,重症化予防効果も低くなる。
⑶ 遷延性広範局所反応(DLLR)
遷延性広範局所反応は,ワクチン接種後に生じる遷延性の皮膚反応で,モデルナ社ワクチン接種後の「モデルナアーム」として知られている。通常,ワクチン接種から1週間後に発生し,4日間ほど続く。自衛隊中央病院皮膚科のグループが,DLLRの発生リスクに関する横断研究を行った。
2021年5月24日~11月30日に自衛隊東京大規模接種会場で2回目(初回接種から4~6週間後)のモデルナ社ワクチンを受けた5,893例(男性3,318例,年齢中央値55歳;女性2,575例,同50歳)を対象に,DLLRの発生リスクと性および年齢との関連を検討した。接種後6日目以降に生じた接種部位周辺の紅斑,圧痛,かゆみ,硬結,灼熱感,腫れをDLLRと定義し,発生状況は皮膚科専門医が聞き取り調査を行った。
DLLRは747例(12.7%)にみられ,症状はいずれも軽度で,ワクチン接種禁忌に至る例はなかった。男女別の解析では,DLLR発生リスクと女性との有意な関係が認められた(男性5.1% vs. 女性22.4%,オッズ比(OR)5.30,95%CI 4.42~6.34,p<0.001)。年齢層別の解析では,18~29歳(81/896例(9.0%))と比較したDLLR発生リスクは,30~39歳(129/900例(14.3%),OR 1.68,95%CI 1.25~2.26,p<0.001),40~49歳(136/861例(15.8%),同 1.89,同 1.41~2.53,p<0.001),50~59歳(104/699例(14.9%),同 1.76,同 1.29~2.40,p<0.001),60~69歳(182/1,446例(12.6%),同 1.45,同 1.10~1.91,p=0.008)といずれも有意に関連していた。70歳以上との有意な関連は認めなかった(115/1,091例(10.5%),同 1.19,同 0.88~1.56,p=0.26)。
以上から,モデルナ社ワクチンの初回接種において,女性,30~69歳でDLLRの発生リスクが高いこと,またホルムアルデヒドなどに関連するアレルギー性接触皮膚炎の有病率と類似した知見であり,DLLRがⅣ型(遅延型)アレルギー性皮膚反応であることが示唆される,とした。
⑷ ギラン・バレー症候群の注意喚起
第80回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会と令和4年度第5回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品安全部会安全対策調査会が6月10日に合同開催され,mRNAワクチン(コミナティ筋注,コミナティ筋注5~11歳用,スパイクバックス筋注)について,使用上の注意の「重要な基本的注意」の項目にギラン・バレー症候群を追記するよう改訂指示を出した。
ジョンソン・エンド・ジョンソン社のワクチンでは,ギラン・バレー症候群発症が4倍高いと報告されていたが,mRNAワクチンでも接種後にギラン・バレー症候群が報告されていたため,注意喚起されることになった。mRNAワクチン接種後に,四肢遠位から始まる弛緩性麻痺,腱反射の減弱ないし消失等の症状が出た場合は,直ちに医療機関を受診するよう,被接種者ないし保護者に予め説明する必要がある。
⑸ 3回接種後のブレイクスルー感染での二次感染とウイルス排出
COVID-19のブレイクスルー感染が,感染拡大にどれほどの影響を与えているのかの検討やデータは多くない。ブレイクスルー感染が,他への感染を広げる(二次感染)の割合やウイルス排出動態についてのコホート研究が韓国で実施され,その結果が報告された。
2020年3月1日~21年11月6日の期間に入院または3次医療機関の受診でCOVID-19と診断された医療従事者,入院患者および介護者の疫学データを分析した。SARS-CoV-2のゲノムRNAをPCRで測定し,21年7月20日~8月20日に韓国で分離されたデルタ株に感染したCOVID-19軽症例の唾液サンプルのウイルス培養を行った。
コロナワクチンの3回接種完了(完全接種)のブレイクスルー感染群と,1~2回接種(部分接種)と未接種者を非ブレイクスルー感染群とした。COVID-19の173例(年齢中央値47歳,女性100例)が二次感染率の試験に含まれた。感染歴がなく,50例(29%)がブレイクスルー感染であった。
院内の二次感染率は,ブレイクスルー感染群の方が,非ブレイクスルー感染群よりも有意に少なかった(43例中3例(7%)vs.110例中29例(26%),p=0,008)。
ウイルス排出動態試験では,デルタ株に感染した45例(年齢中央値37歳,女性14例)が含まれ,そのうち6例(13%)は完全接種で,39例(87%)は部分接種/未接種であった。
初期ゲノムウイルス量は2群間で同等であったが,細胞培養での生存ウイルスは完全接種(症状発現後4日間)のものと比べると,部分接種者(同8日間)と未接種者(同10日間)のもので,著しく長い間検出された。
ワクチン3回接種者はCOVID-19に感染しても他人に感染を広げることが抑えられることから,ブレイクスルー感染であっても,ワクチン接種はウイルスまん延を制御することに非常に有用であると結論づけた。
⑹ 新型コロナワクチンの有効性:国内多施設共同症例対照研究(第5報)
日本における新型コロナワクチンの有効性は,長崎大学等で行われている「新型コロナワクチンの有効性に関する研究」で検討されている。長崎大学熱帯医学研究所,大分大学微生物学講座,横浜市立大学健康者会医学ユニット,東京大学医薬政策学による研究グループで,国立感染症研究所感染症疫学センターが研究協力し,研究参加医療機関は11都道府県14施設での国内多施設共同症例対象研究である。この研究は2021年7月1日から着手されたが,今回は2022年1月1日~3月31日のオミクロン株流行期を対象とし,SARS-CoV-2の検査を受けた患者データを用いて,16歳以上におけるコロナワクチン(mRNAワクチン)の有効性を評価した。結果は,6月8日に開催された第87回COVID-19対策アドバイザリーボードで,第5報として報告された。
表4.新型コロナワクチンの有効性に関する研究(第5報)解析対象者
表5.日本での新型コロナワクチンの発症予防の有効性(暫定値)
65歳以上では,ファイザー社あるいはモデルナ社のいずれかを接種した場合,接種後14日以上経過時点の発症予防効果は23.3%であった。3回目接種完了の場合は80.5%まで上昇していた。なおファイザー社に限定して解析した結果は,2回接種完了で43.2%,3回接種完了で78.8%であった。また1,2回目がファイザー社,3回目がモデルナ社の場合は,77.9%と推定された。どのワクチンであっても,3回接種が完了していれば,77.9~80.5%という高い発症予防効果が期待できるという結果であった。
16~64歳では,ファイザー社あるいはモデルナ社のいずれかを接種した場合,接種後14日以上経過時点の発症予防効果は36.0%であった。3回接種後14日以上経過の時点で,68.7%と上昇していた。ファイザー社に限定して解析した結果は,2回接種完了で34.2%,3回接種完了で66.1%であった。一方,モデルナ社に限った解析では,2回接種完了で43.3%,3回接種完了で75.8%であり,ファイザー社に比してやや高い傾向がみられた。また,1,2回目がファイザー社,3回目がモデルナ社の場合は,81.7%であった。
また,16~64歳について,2回接種完了からの経過時間で有効性の低下があるかどうかも検討され,その結果,90日以内が36.5%,91~180日が34.5%,181日以降が34.8%と,時間経過による有効性の明らかな低下はみられなかった。
以上の結果から,この第5報では,65歳以上を含む16歳以上では,オミクロン株に対して,2回目接種の発症予防の有効性はデルタ株流行期と比較して低下を認めるが,3回目接種によってオミクロン株に対しても発症予防の有効性が上昇することを確認した,と結論づけている。
3回目接種による発症予防の有効性に関する海外の報告は,65~75%(英国)や67.3%(米国)と推定されており,日本の第5報の結果はこれらとほぼ同等であったことから,COVID-19対策において,現行のワクチンの果たす役割が大きいことを示している。しかしながら,3回目接種の進捗状況は,地域差があり,大都市を有する自治体ほど低い傾向がある。4(1)で述べたように接種率が60%を下回り十分とは言えない自治体があり,こういった地域でいかに早く3回目接種率を上げるかが鍵となる。
一方,3回目接種の発症予防効果がいつまでも続かないという根本的な問題があり,いくつかの報告が出ている。英国では,3回目接種から15週以降の発症予防効果は,オミクロン株のBA.1系統で45.5%,BA.2系統で48.8%減衰したと報告した。また先のイスラエルの報告(4(2)4回目接種の項)では,3回目接種の発症予防効果が数か月で減衰しており,4回目接種では発症予防効果を補うことが限定的としている。ただし,重症化予防効果は数か月経過しても維持されている点が重要であり,先の英国の報告では3回目接種70日後でもBA.1系統で72.5%,BA.2系統で70%と高い率が続いている。また,先のイスラエルの検討では60歳以上の場合は4回接種後7~30日でも3回接種に対する相対的重症化予防効果が67.5%,49~69日で86.5%と高い率を維持している。
我が国で4回目接種が始まったが,3回目接種も同時に進めていくことはCOVID-19対策として現時点での課題の1つとして重要である。
⑺ mRNAワクチンの有害事象の長期観察
ファイザー社およびモデルナ社のmRNAワクチン接種後の副反応疑い(有害事象)について,ランダム化比較試験では,その発生率が低いことが判明している。より長期フォローアップを大規模で多様な集団で,より広範囲の潜在的な有害事象に関する安全性を明らかにするため,米国で調査が行われた。
米国退役軍人省データベース(米国最大の総合医療システム)を用いて,2021年1月4日~9月20日の期間にファイザー社またはモデルナ社ワクチンの1回目接種を受けた退役軍人の潜在的な有害事象を評価した。その後に各ワクチン接種者を危険因子に応じて1:1でマッチングさせた。
43万3,672例が評価値対象になり,男性93%,黒人20%,年齢中央値は69歳で,対象者の併存疾患は,高血圧症(ファイザー社63%(13万7,265例),モデルナ社65%(14万744例)),肥満(同47%(10万885例),同47%(10万1,207例)),糖尿病(同34%(7万2,895例),同37%(7万9,338例))が多かった。
有害事象の38週間リスクは,両社のどちらを接種しても概して低かった。1万人あたりのイベント発生リスク差は,ファイザー社はモデルナ社と比較して,虚血性脳卒中は10.9件(95%CI 1.9~17.4),心筋梗塞は14.8件(同7.9~21.8),その他の血栓塞栓性イベントは11.3件(同3.4~17.7),腎機能障害は17.1件(同 8.8~30.2)と多かった。これらに対応するリスク比(ファイザー社vs.モデルナ社)は,虚血性脳卒中で1.17件(同1.03~1.28),心筋梗塞1.32件(同1.16~1.49),血栓塞栓性イベント1.20件(同1.05~1.32),腎機能障害1.16件(同1.08~1.29)だった。これらの推定値は,年齢(40歳未満,40~69歳,70歳以上)と人種(黒人/白人)によるサブグループ間でもほぼ同様の値を示した。しかし,高齢者と白人では,虚血性脳卒中のリスク差は非常に大きく,高齢者間では腎機能障害が,黒人間では血栓塞栓性イベントのリスク差がより大きかった。2つのワクチンで,有害事象の発生リスクにわずかな差がみられたのは,1回目接種から42日間で,14日間ではほとんど違いはなかった。
⑻ 小児へのアストラゼネカワクチンの安全性と免疫原性
英国4施設で,6~17歳の小児に対してアストラゼネカ社のコロナワクチン(ChAdOx1 nCov-19,AZD1222)の忍容性と免疫原性および安全性について評価するため,第Ⅱ相単盲検無作為化比較試験(COV006試験)が実施され,その結果が報告された。
対象は,慢性呼吸器疾患および検査でCOVID-19の既往がなく,莢膜B群髄膜炎菌ワクチン(対照)未接種の6~17歳の健康小児で,AZD1222(ウイルス粒子量5×1010)を28日間隔,対照ワクチンを28日間隔,AZD1222を84日間隔,対照ワクチンを84日間隔でそれぞれ2回筋肉内接種する群に,4:1:4:1の割合で無作為に割り付けた。2021年2月15日~4月2日に,AZD1222群262例(28日間隔群105例,84日間隔群106例),対照群51例(同26例,25例)で,試験期間中に30歳未満へのAZD1222接種制限が導入されたため,28日間群に割り付けられた12~17歳の参加者のみが,計画された28日間隔で接種を受けたが,残りの参加者は112日目に2回目の接種となった。
AZD1222群では,局所性および全身性の特定有害事象は,初回接種後7日目までで210例中169例(80%)に,2回目接種後で193例中146例(76%)に認めたが,重篤な有害事象の報告はなかった。接種後28日までの非特定有害事象の発現度は40%(83/210例,計128件)であった。AZD1222群の6~11歳群で,Grade4の発熱(40.2℃)が1例報告され,24時間以内に消失していた。AZD1222群あるいは対照ワクチン群でよくみられた有害事象は,疼痛および圧痛であった。
全参加者260例中20例は血清データを入手できず,血清データのある242例中14例(6%)はベースライン時に血清陽性であった。AZD1222群のベースライン血清陰性者において,2回目接種後28日目に抗SARS-CoV-2 IgG抗体濃度および中和抗体濃度は,投与期間が長い(112日)12~17歳群ではそれぞれ73,371AU/mL(95%CI 58,685~91,733)および299(同230~390)であり,投与期間が短い(28日)12~17歳群(それぞれ43,280 AU/mLおよび150)と比較して高かった。2回目接種後の液性免疫応答は同じ投与期間が長い(112日)群でも,6~11歳群が12~17歳群より高かった。また細胞性免疫応答(IFN-γ ELISpot法)は,すべての年齢群および間隔群においてAZD1222の1回目接種後にピークに達し,2回目接種後もベースラインより高く維持された。
以上から,AZD1222接種は,6~17歳の小児において忍容性と免疫原性が高く,成人を対象とした第Ⅲ相試験で示された高い有効性と関連する抗体の魚土と同程度の抗体を誘導することができ,安全性に関する懸念は認められなかったと結論した。
⑼ 生後6か月以上の小児へのワクチン接種
米食品医薬品局(FDA)は,生後6か月以上の小児に対して,モデルナ社およびファイザー社の新型コロナワクチンについて緊急使用許可をしたと6月17日に発表した。
モデルナ社ワクチンの,無作為盲検プラセボ対照臨床試験では,2回接種した成人と比較したところ,成人と同等の免疫反応が確認された。2回目接種から14日以降のSARS-CoV-2への予防効果は,6~23か月で50.6%,2~5歳では36.8%,12~17歳において93.3%の有効性が示された。小児年齢層での安全性と忍容性が確認され,死亡例や心筋炎・心膜炎を発症した例は報告されなかった。
ファイザー社ワクチンはすでに5歳以上に対する3回接種が承認されている。ファイザー社ワクチンの生後6か月~4歳の小児を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相無作為化比較試験において,オミクロン流行期に2回目の接種から少なくとも2か月後の3回目接種によって,ワクチンによる強い免疫反応が確認され,プラセボ群と同様の安全性が認められた。また成人と同程度の中和抗体価の上昇が確認された。
モデルナ社ワクチンは,6か月~6歳未満は成人の1/4量(25µg),6歳~12歳未満は成人の1/2量(50µg),6歳~12歳は成人と同量を,それぞれ1か月間隔で2回接種する。なお免疫不全のある小児は,2回目から少なくとも1か月後に3回目を接種する。
ファイザー社は,6か月~5歳では成人の1/10量を3回接種(最初の2回は3週間間隔,3回目は2回目から少なくとも8週間後)する。
⑽ 妊婦へのワクチン接種と出生児の感染リスク
1歳未満の乳児ではCOVID-19の重症化リスクが高いことが報告されているが,コロナワクチン接種の対象年齢ではないため乳児から5歳未満の幼児での予防が困難であり,家族を含めた周囲の者のワクチン接種が勧められているのが現状である。第40報で,ワクチン接種により妊婦から新生児に移行する抗体が有意に高いことが英国から報告されたことを記載した(JAMA 327;11, 2022)が,ワクチン接種をした妊婦から生まれた小児でのSARS-CoV-2の感染リスクが低かったとする研究結果がノルウェーおよび米国から報告された。
① ノルウェーの報告
ノルウェー公衆衛生機構(The Norwegian Institute of Public Health)の研究グループは,妊娠中のコロナワクチン接種と出生児の生後4か月間のCOVID-19の関連について,ノルウェーの出生登録データを用いたコホート研究を実施した。解析対象は2021年9月1日~22年2月28日に同国で出生した児21,643例で,生後4か月間の感染リスク(PCR検査で陽性となるリスク)を,妊娠中(第2期または第3期)にSARS-CoV-2のmRNAワクチンを接種した母親から生まれた小児(ワクチン接種群)とワクチン未接種の母親から生まれた小児(ワクチン未接種群)で比較し,Cox比例ハザード回帰モデルで解析した。出生21,643例中9,739例(45.0%)の母親が妊娠中に2回または3回のmRNAワクチンを接種しており,生後4か月間にSARS-CoV-2のPCR検査で陽性となった児は906例(4.1%)であった。
母親の年齢,経産回数,教育歴,出生国,居住地を調整して解析した結果,生後4か月間のCOVID-19感染リスクはワクチン未接種群と比べてワクチン接種群で低かった。生後4か月間のCOVID-19感染率は,デルタ株流行期でワクチン未接種群の1万日あたり3.0に対してワクチン接種群では同1.2と低く(調整後ハザード比(aHR) 0.29, 95%CI 0,19~0.44),オミクロン株流行期でそれぞれ10.9,7.0と低かった(同0.67,0.57~0.79)。また妊娠中にワクチンを3回接種した母親から生まれた児(824例)では,デルタ株流行期のCOVID-19感染例はなかった。さらに,ワクチン3回接種の母の児では,2回接種した母の児と比べて,オミクロン流行期におけるCOVID-19感染リスクの低下度が大きかった(ワクチン未接種群に対するaHRは3回接種群0.22,95%CI 0.12~0.43,2回接種群0.70,同0.59~0.83)。
以上から,ノルウェーの住民データベースのコホート研究において,妊娠中にコロナワクチンを接種した母親から生まれた小児では生後4か月間にPCR検査で陽性となるリスクが低くなることが示され,また,母親が妊娠中にワクチン接種をすることで生後間もない乳児をSARS-CoV-2から守ることができる可能性がある,としている。
② 米国の報告
米国から妊娠中のコロナワクチン2回接種で生後6か月未満の乳児の入院を半減する,という報告が発表された。米国22州30小児病院において,2021年7月1日~22年3月8日にSARS-CoV-2のPCR検査陽性または抗原検査陽性でCOVID-19により入院した生後6か月未満の乳児(症例群),ならびに症例群とマッチさせたSARS-CoV-2陰性でCOVID-19以外で入院した乳児(対照群)を特定し,母親のワクチン接種の有効性を解析した。母親のワクチン接種は,mRNAワクチンの2回接種とした。試験期間を,デルタ株流行期(21年7月1日~12月18日)およびオミクロン株流行期(21年12月19日~22年3月8日)に分けた。解析対象は,症例群537例(デルタ期181例,オミクロン期356例),対照群512例で,両群とも年齢中央値は2か月であった。妊娠中にワクチン2回接種完了した母から生まれた乳児は,症例群16%(87/537例),対照群29%(147/512例)であった。
症例群では,113例(21%)がICUで治療を受け,そのうち64例(12%)は人工呼吸器装着または血管作動薬の投与を受けた。2例がCOVID-19により死亡したが,2例とも母親はワクチン未接種であった。乳児のCOVID-19による入院に対する母親のワクチン接種の有効性は,試験期間全体で52%(95%CI 33~65),デルタ期で80%(同 60~90),オミクロン期で38%(同 8~58)であった。母親のワクチン接種が妊娠20週以降に行われた場合の有効性は69%(同 50~80),妊娠初期(20週以前)の場合は38%(同 3~60)であった。
以上から,妊娠中,とくに妊娠20週以降でのコロナワクチン接種は,乳児のCOVID-19による入院を回避する有効性があり,デルタ株流行期よりもオミクロン株流行期で有効率が下がるものの,妊娠中のワクチン接種によってSARS-CoV-2に対する抗体が経胎盤移行し,乳児のCOVID-19に対する防御を与えている可能性が示唆された。
③ 日本産婦人科学会
6月7日付けの「日本におけるCOVID-19妊婦の現状~妊婦レジストリの解析結果」(日本産婦人科学会周産期委員会,周産期における感染に関する小委員会)では,中等症Ⅱ以上のCOVID-19感染妊婦はすべてワクチン未接種例であるとしている。27日に日本産婦人科学会は,妊婦へのコロナワクチンに関する積極的勧奨をあらためて呼びかけた。コロナワクチン接種後の副反応や胎児への影響についての懸念が根強い状況であるが,前述の報告など国内外からの妊婦へのワクチン接種が母体の重症化と周産期死亡率の低下に寄与することや,妊婦への接種の安全性を示す疫学データが得られているとした。
⑾ 新しいワクチン
① モデルナ社追加接種用2価ワクチン(その2)
第42報に記載したモデルナ社の2価追加接種ワクチン候補(mRNA-1273.214;武漢株とオミクロン株に関する有効成分を組み合わせたワクチン)の第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験について,6月16日にモデルナ社が中間解析データを発表した。
試験開始時のSARS-CoV-2陰性例(血清反応陰性)を対象に,mRNA-1273(スパイクバックス筋注)追加接種に対するmRNA-1273.214追加接種の優位性を,中和抗体の幾何平均抗体価比(GMR)で評価した。解析の結果,mRNA-1273.214追加接種によるGMRは1.75(95%CI 1.49~2.04)で,オミクロン株に対する中和抗体の幾何平均抗体価(GMT)は試験開始の約8倍に達した。従来株に対するGMRは1.22(同1.08~1.37)で従来株についてもmRNA-1273.214追加接種の非劣性が示された。mRNA-1273.214追加接種の忍容性は良好で,安全性と反応原性はmRNA-1273と一貫していた。
この中間解析データを提出して,今秋にも追加接種でのmRNA-1273.214の使用許諾に向けた承認申請を行う予定としている。
なお,米FDAは,追加接種用のコロナワクチンについて,オミクロン株のBA.4,BA.5系統に対応したワクチンに改良するよう,30日に各ワクチンメーカーに対して勧告した。
② 植物由来遺伝子組換えアジュバント添加ワクチン
植物を用いて製造される,SARS-CoV-2原株の融合前のスパイク糖蛋白をもつコロナウイルス様粒子(CoVLP,Coronavirus-like particles)とアジュバント(AS03,Adjuvant System 03)との併用のワクチン(CoVLP+AS03)の,第Ⅲ相国際共同無作為化プラセボ対照試験の解析結果が報告された。
85施設で行われ,18歳以上の参加者にCoVLP+AS03を21日間隔で2回筋注する群と,プラセボを注射する群に1:1で割り付けた。試験の主要目的は,2回目の注射後7日以降に発生する有症状のCOVID-19の予防におけるワクチンの有効性を明らかにすることで,症例が少なくとも160例確認された時点で解析が行われた。
参加者は24,141名のボランティア(年齢中央値は29歳)で,intention-to-treat集団においてPCR法で確認されたCOVID-19は165例であり,配列決定されたウイルス検体はすべて変異株であった。5つの変異株(アルファ,ガンマ,デルタ,ラムダ,ミュー)による有症状のCOVID-19全体の予防におけるワクチンの有効率は69.5%(95%CI 56.7~78.8)であった。事後解析では,中等症~重症COVID-19の予防における有効率は78.8%(95%CI 55.8~90.8)であり,ベースライン時に血清陰性であった参加者では,有症状のCOVID-19の予防における有効率は74.0%(95%CI 62.1~82.5)であった。ワクチン群では重症COVID-19は発生せず,ワクチン群のブレイクスルー感染症例におけるウイルス量の中央値は,プラセボ群の症例の100分の1以下であった,有害事象の頻度はワクチン群のほうがプラセボ群よりも高かったが,大部分は軽度~中等度で一過性であった。以上から,CoVLP+AS03ワクチンは様々な変異株によるCOVID-19の予防に有効であった。
③ RBDダイマー由来ワクチン
中国で開発された,SARS-CoV-2のスパイク蛋白受容体結合ドメイン(RBD,Receptor-Binding Domain)の二量体と水酸化アルミニウムをアジュバントとして含有するZF2001ワクチンは,第Ⅰ相試験と第Ⅱ相試験では,成人において許容可能な副反応プロファイルとともに,安全性と免疫原性が示されていた。この組換えワクチンは,遺伝子工学技術によって,細胞内で病原体抗原蛋白を発現・純化して作成される。いかなる外部由来のタグを持たない,独特な構造である。
第Ⅲ相試験は,無作為化二重盲検プラセボ対照試験で,ウズベキスタン,インドネシア,パキスタン,エクアドルの31の臨床施設で行われ,安全性解析のみに中国の1施設が追加された。18歳以上の参加者を,ZF2001 25µgを計3回(30日間隔)接種する群と,プラセボを接種する群に1:1で無作為に割り付け,3回目接種後7日以降のPCRで確認された有症状COVID-19発生を主要エンドポイントとした。
2020年12月12日~21年12月15日に28,873例がZF2001またはプラセボ接種を少なくとも1回を受け,安全性解析の対象とした。3回接種を完了し,6か月間の追跡データのあった25,193例を主要有効解析の対象とした。有症状のCOVID-19は,ZF2001群の12,650例中158例,プラセボ群の12,568例中580例で報告され,ワクチンの有効率は75.7%(95%CI 71.0~79.8)であった。重症・重篤なCOVID-19は,ZF2001群で6例,プラセボ群で43例発生し,ワクチンの有効率は87.6%(95%CI 70.6~95.7)であった。COVID-19関連死は,それぞれ2例と12例で生じ,ワクチンの有効率は86.5%(95%CI 38.9~98.5)であった。有害事象の発現率および重篤な有害事象の発現率は2群とも均衡がとれており,ワクチン関連死はなかった。副反応の大部分はグレード1または2であった。
以上から,大規模コホートにおいて,ZF2001ワクチンは安全で,3回接種後少なくとも6か月間は有症状COVID-19の予防および重症・重篤COVID-19の予防に有効であることが示された。
⑿ 接種間違いの防止
厚労省健康局予防接種室から,接種に係る間違いの防止について数回の事務連絡が発出されている。解凍後に再び冷凍したワクチンを使用した事案が判明したことで,4度目の事務連絡となった。接種医療機関あるいは集団接種に出務される接種医におかれては「新型コロナウイルス感染症に係る予防緒接種の実施に関する手引き(8.1版)」を再度ご確認いただくようお願いする。
⑴ アストラゼネカ社の新しい抗体カクテル療法(AZD7442)
アストラゼネカ社は,SARS-CoV-2に感染して回復した患者から提供されたB細胞に由来する2種類の長時間作用型抗体であるtixagevimabとcilgavimabを併用するAZD7442の特例承認(製造販売承認)を厚労省に申請した。すでにEUでの販売承認,英国医薬品医療製品規制庁の条件付き販売承認,米FDAの緊急使用許可を取得している。
tixagevimabとcilgavimabはSARS-CoV-2感染者のB細胞から分離された抗体由来の完全ヒト型中和モノクロナール抗体で,それぞれSARS-CoV-2のスパイク蛋白に特異的に結合し,ウイルスのヒト細胞への侵入を阻止し,AZD7442を筋注で1回投与後,少なくとも6か月間はウイルスからの保護が持続するとしている。
① PROVENT試験
米国コロラド大学の研究グループが,COVID-19の予防におけるAZD7442の安全性と有効性の評価を目的とする「PROVENT試験」を実施した。二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験で,2020年11月~2021年3月に,5か国(ベルギー,フランス,スペイン,英国,米国)の87施設で参加者の登録が行われた。対象は18歳以上で,SARS-CoV-2ワクチン接種への反応が不十分であるリスクが高い(60歳以上,肥満,免疫不全,心疾患,呼吸器疾患など),またはSARS-CoV-2への曝露リスクが高い地域や環境にある(医療従事者,軍関係,寮生活など),あるいはこれらの双方に該当し,スクリーニング時に血清を用いた検査でSARS-CoV-2陰性の集団である。被験者は,1日目にAZD7442 300mgの単回投与(tixagevimabとcilgavimabを別個に連続して筋注)を受ける群とプラセボ群に2:1の割合で無作為に割り付けられた。
5,197例(平均年齢53.5±15.0歳,60歳以上43.4%,女性46.1%)を,AZD7442群3,460例,プラセボ群1,737例で,ベースラインで73.3%がコロナワクチン接種への反応が不十分であるリスクが高く,52.5%がSARS-CoV-2への曝露リスクが高いと判定され,77.5%は重症COVID-19の進展リスクが高い共存疾患を有していた。少なくとも1件の有害事象を報告した参加者は,AZD7442群が35.3%(1,221/3,461),プラセボ群は34.2%(593/1,736)で,重症度はほとんどが軽症~中等度であった。有害事象で最も頻度が高かったのは,注射部位反応(AZD7442群2.4%,プラセボ群2.1%)であった。
死亡は両群4例ずつみられ,プラセボ群の2例はCOVID-19による死亡とCOVID-19関連の急性呼吸促迫症候群(ARDS)による死亡であった。AZD7442群では心筋梗塞と腎不全による死亡が1例ずつであった。
症候性COVID-19の発生割合は,AZD7442群が0.2%(8/3,441)と,プラセボ群1.0%(17/1,731)に比べて有意に低かった(相対リスク減少率76.7%,95%CI46.0~90.0,p<0,001)。長期の追跡(中央値6か月)における相対リスク減少率は82.8%(95%CI65.8~91.4)であった。Severe/critical(肺炎または低酸素血症がみられ,WHO Clinical Progressionのスコア5点以上)のCOVID-19は,AZD7442群では認められず,プラセボ群に5例みられた。AZD7442群の有効性は,すべてのサブグループで一貫して認められ,また症状発現までの期間は,AZD7442群がプラセボ群よりも長かった(ハザード比0.17,95%CI0.08~0.33)。
以上から,COVID-19の免疫予防薬としてのAZD7442の使用は支持されるものであり,また臨床および薬物動態の評価は少なくとも12か月継続される見込みである。また免疫不全状態の集団における免疫予防薬として有効性を評価する試験が進行中である,としている。
② 第Ⅲ相試験TACKLE
2021年1月28日~7月22日に,米国,中南米,欧州,日本の95施設で,910人が参加した無作為二重盲検プラセボ対照試験で,COVID-19発症から7日以内の軽症から中等症Ⅰの入院していない18歳以上の成人を対象とした。重症化リスクの高い患者は90%で,被験者をAZD7442群(456例,AZD7442 600mg筋注,単回投与)とプラセボ群(454例)に分け,29日後までの重症化または死亡の相対リスクを調査した。
AZD7442群はプラセボ群に比して,重症化または死亡の相対リスクが50.5%(95%CI 14.6~71.3)減少した。また発症から3日以内に治療を受けた患者では88.0%(95%CI 9.4~98.4),5日以内の治療では66.9%(95%CI 31.1~84,1)減少した。呼吸不全リスクは71.9%減少し,人工呼吸器やECMOなどを要したのは,プラセボ群11人(2.6%)に対してAZD7442群3人(0.7%)であった。有害事象は,AZD7442群の29%(うち重症例7%)に対しプラセボ群36%(同12%)であった。COVID-19肺炎は,AZD7442群26例(6%),プラセボ群49例(11%)に発生し,死亡はAZD7442群3例,プラセボ群6例であった。
その他,複数の独立したin vitroおよびin vivo試験によるオミクロン株に対する効果の検討が進められている。米国ワシントン大学研究グループは,オミクロン株BA.2に対しても中和活性を有し,同グループではin vivoにてAZD7442がオミクロン株のウイルス負荷を軽減し,肺の炎症を抑制することが示されている。また,英国オックスフォード大学での非臨床試験では,オミクロン株のBA.4およびBA.5に対しても中和活性を保持していることが確認されている。
⑵ コロナ治療薬の使用上の注意の改訂
COVID-19治療薬のモルヌピラビル(ラゲブリオⓇ)とニルマトレビル・リトナビル(パキロビッドパックⓇ)について,国内および海外でのアナフィラキシー関連の症例を評価し,両薬剤ともに因果関係が否定できない症例が集積してきた。
・モルヌピラビル:国内8例(薬剤との因果関係が否定できない症例:2症例),死亡4例(同:0例),海外では11例(同:1例),死亡は2例(同:0例)
・ニルマトレビル・リトナビル:国内1例(同:1例),海外3例(同:3例),死亡例なし
以上から,厚労省は,専門委員の意見聴取をした上で,「使用上の注意」の「重大な副作用」の項にアナフィラキシーを追記する改訂指示を6月14日に発出した。
⑴ 再感染予防効果とワクチン接種
国立感染症研究所は,SARS-CoV-2への多彩な免疫歴(ワクチン接種と種々の系統/変異株による感染の組み合わせにより様々)を持つ集団においてのオミクロン株の免疫回避リスクを評価した。mRNAワクチンの2回接種後にアルファ株またはデルタ株に感染(ブレイクスルー感染)した者と,ワクチン2回接種し感染しない者との血清中和抗体の比較,ワクチン接種からブレイクスルー感染までの期間の長短での中和抗体価の比較検討を行った。
ファイザー社ワクチン2回接種した医療従事者20人から,2回目接種後初期(中央値31.5日)と後期(中央値150.5日)の採血し検討した結果,オミクロン株に対する中和活性は,従来株と比べて接種後初期および後期のいずれも著しく低下していた。
ワクチン2回接種後にアルファ株またはデルタ株によるブレイクスルー感染した者の回復期(感染から10~22日後)の血清中和活性では,従来株と比べてデルタ株に対する中和活性は高かったが,ベータ株は-3.8倍,オミクロン株は-9.7倍と著しく低かった。ブレイクスルー感染のないワクチン接種者とは異なり,ブレイクスルー感染例のほとんどからオミクロン株に対する中和活性が検出され,中には他の変異株と同程度の中和活性がみられる症例もあった。従来株に対する中和活性の低下の程度は個人差が大きく,さらにオミクロン株に対する交差中和活性は,アルファ株と比べてデルタ株によるブレイクスルー感染例で高い傾向がみられた。
⑵ ブレイクスルー感染と罹患後症状(後遺症)
COVID-19の罹患後症状に関する研究は数多く報告されてきたが,ブレイクスルー感染での罹患後症状についての研究報告は少ない,米国の研究グループが,米国退役軍人局の診療データベースを利用して,ブレイクスルー感染した患者3万3,940人の感染から6か月後までの各種の罹患後症状を,いくつかの対照群と比較した研究を報告した。
対象患者と同時期に受診したが,SARS-CoV-2には感染していなかった498万3,491人を対照群にした比較では,死亡リスクのハザード比は1.75(95%信頼区間(CI)1.59~1.93),少なくとも1つ以上の罹患後症状を経験するハザード比は1.50(同1.46~1.54)であった。罹患後症状の種類別では,呼吸器疾患2.48(95%CI 2.33~2.64),血液・凝固系疾患2.43(同2.18~2.71),疲労2.00(1.82~2.21),心血管系疾患1.74(1.66~1.83),神経系疾患1.69(1.52~1.88)などのリスクが高かった。
ブレイクスルー感染と,ワクチン接種歴のないSARS-CoV-2感染者11万3,474人を対照群にした比較では,死亡リスクのハザード比は0.66(95%CI 0.58~0.74),少なくとも1つ以上の罹患後症状を経験するハザード比は0.85(同0.82~0.89)であった。
以上から,ブレイクスルー感染者は,ワクチン未接種者に比べると死亡も罹患後症状もリスクは下がっているが,罹患後症状は発生するため,一次予防策の見直しを指摘している。
⑶ 罹患後症状の長期的残存
① 日本国内多施設共同調査
COVID-19の罹患後に長期に持続する症状に関する報告が海外から行われているが,日本からの報告は少なく,その内容も罹患後症状の割合が主体であった。慶応大学呼吸器内科と消化器内科の研究グループが,国内最大規模かつ長期にわたりCOVID-19の罹患後症状の調査を実施し,その結果は同大学公式サイトで公表された。
全国27施設が参加した多施設共同調査研究で,2020年11月~22年3月に実施された。参加施設においてCOVID-19と確定診断され入院治療を受けた18歳以上の症例で,診断3か月後,6か月後,12か月後に回答用紙あるいはスマートフォンアプリを用いてCOVID-19罹患後症状の有無を調査し,また各症例の臨床情報を収集した。対象は患者背景および臨床症状ともに解析可能な1,066例(男:女=679:387例;軽症以下248例,中等症Ⅰ412例,中等症Ⅱ226例,重症100例;80歳代以上7.3%,70歳代および60歳代18.4%,50歳代23.5%,40歳代12.8%,30歳代11.2%,20歳代未満8.3%)。
COVID-19罹患後症状として代表的な24項目の症状の有無,発症時期,症状の持続期間についての調査に加えて,診断3か月後の時点でEQ-5D-5LおよびSF-8による健康関連QOL,HADSによる不安・抑うつ傾向,COVID-19恐怖尺度による恐怖感,ピッツバーグ睡眠質問票による睡眠障害,WHO健康と仕事のパフォーマンスに関する調査票による労働生産性を調査し,患者背景などとの関連を評価した。
1つ以上症状を有する割合(有症状率)は,入院時1,009件(93.8%),診断3か月後912(46.3%)診断6か月後845(40.5%),診断12か月後707(33.0%)であり,有症状者の割合は経時的に有意に減少していた(各々 p<0.0134, p<0.0001, p<0.0025)が,12か月後の時点で1/3の患者に症状が残存していた。入院時にみられた24の症状の割合は,発熱(37.0℃以上,80.2%),倦怠感(64.2%),咳(57.0%),呼吸困難(45.2%),痰(35.5%),頭痛(34.5%),味覚障害(34.0%),嗅覚障害(31.5%),筋力低下(28.9%),関節痛(28.6%),咽頭痛(27.4%),睡眠障害(25.5%),思考力・集中力低下(24.3%),筋肉痛(23.6%),下痢(21.0%),脱毛(16.1%),意識障害(15.2%),記憶障害(12.5%),眼科症状(11.6%),皮疹(11.6%),知覚過敏(11.4%),手足の痺れ(10.2%),耳鳴り(10%未満)であった。診断3か月後,6か月後,12か月後に症状が残存する割合は経時的に低下するが,12か月後には主に倦怠感(12.8%),呼吸困難(8.6%),筋力低下(7.5%),集中力低下(7.5%)などが残存していた。
診断3か月後に1つでも症状が残存する場合は,健康関連QOLは有意に低下,不安や抑うつ傾向が強くなり,SARS-CoV-2に対する恐怖心が増強,睡眠障害が悪化していた。また罹患後症状が1つでも残存することで労働生産性の低下を感じる人が多かった。診断3か月時点で罹患後症状が残存する危険因子を単変量ロジスティック回帰分析を用いて検討した結果,女性,入院中の咳,味覚障害,嗅覚障害,下痢,悪心・嘔吐,細菌感染の併発,気管内挿管や昇圧薬を要するなどの重症化が抽出された。
以上のことから,COVID-19患者に対しては,急性期の治療だけでなく回復後に健康関連QOLの低下や不安・抑うつ,恐怖感の増強,睡眠の質の低下などを誘発する罹患後症状が残存するため,多面的なサポートが必要と考えられる。今後の医学的アプローチの検討や政策立案にも寄与するデータといえる。
② 中国での追跡調査
中国武漢市のCOVID-19による入院後生存した患者1,000例超を2年間追跡し,罹患後症状や健康状態などを評価した。解析対象は2020年1月7日~5月29日に武漢市の医療機関を生存退院したCOVID-19患者1,192例(退院時年齢中央値57.0歳,男性54%)で,主要評価項目は罹患後症状(long COVID),modified British Medical Research Council (mMRC)息切れスケールで評価した呼吸困難の程度,EQ-5D-5L質問票に基づく健康関連QOL,6分間歩行距離(6MWD)で評価した運動能力,復職状況,退院後の医療の利用状況とし,COVID-19発症から6か月後,12か月後,2年後の時点で評価した。
解析の結果,罹患後症状を1つ以上有する割合は,6か月後の68%から12か月後には49%と有意に低下したが(p<0.0001),2年後には55%と上昇に転じた(p=0.0010)。入院中の重症度を問わず,疲労感,筋力低下,睡眠障害の報告が多かった。呼吸困難(mMRCスコアが1以上)を有する割合は,6か月後の26%から2年後には14%へと有意に低下した(p<0.0001)。健康関連QOLは,ほぼすべての項目が2年間で改善し,特に不安または抑うつ症状を有する割合は6か月後の23%から12%へと有意に低下していた(p<0.0001)。6MWDが正常範囲の下限を下回る割合は,6か月後の14%から2年後に8%と有意に低下した(p<0.0001)。2年後の復職率は89%であった。復職しなかった理由は,身体機能の低下,復帰を望まない,失業であった。
多変量調整後の解析では,2年後に罹患後症状を有する群では,有さない群に比べて,運動能力および健康関連QOLが低く,メンタルヘルスおよび退院後の医療の利用が多かった。罹患後症状群におけるオッズ比(OR)は,移動障害で3.81(95%CI 1.62~8.93),疼痛/不快感4.42(同3.14~6.21),不安/抑うつ症状7.46(同4.12~13.52),外来医療の利用2.82(同1.99~4.00),再入院1.64(同1.12~2.41)であった。
またCOVID-19生存退院例はSARS-CoV-2感染歴がない対照群と比べて,2年後に日常活動の障害(2% vs. 1%未満),疼痛/不快感(23% vs. 5%),不安/抑うつ症状(12% vs. 5%)を有する割合が有意に多く,EQ-VASスコアに基づくQOLの自己評価が有意に低かった(80.0 vs. 85.0,すべてp<0.0001)。COVID-19急性期治療おけるステロイド投与は,疲労/筋力低下のリスク増加と関連し(OR1.36,95%CI 1.12~1.64),年齢は罹患後症状の長期化および拡散障害との正の相関がみられた。年齢が10歳上昇するごとに罹患後症状の長期化リスクが8%上昇し(OR1.08,95%CI 1.02~1.15),拡散障害リスクは33%上昇した(同1.33,1.14~1.54)。
以上から,罹患後症状の発症機序の解明と効果的なリスク低減策の開発が急務であると結論づけている。
③ 米国での神経症状の追跡調査
米国ノースウェスタン・メディシンNeuro COVID-19クリニックでは,過去の研究でCOVID-19に罹患した非入院患者で,神経症状が発症から6週間以上続いた100人を対照に,最初の評価から6~9か月後の神経症状や患者が自覚する回復について報告していた。このフォローアップ研究として,100人の内66人が研究参加に同意し,最終的に52人(平均年齢42.8±11.5歳,女性73%)が,発症から中央値で14.8か月後の追跡調査を行った。
解析の結果,ブレインフォグ(頭に霧がかかったようにぼんやりして集中できない状態)を有する患者は71%,しびれ/チクチク感が65%,頭痛54%,めまい54%,かすみ目44%,倦怠感81%にみられた。一方,味覚障害と嗅覚障害は,初回評価時に比べて追跡評価時に減少(味覚障害:63% vs. 27%,嗅覚障害:58% vs. 21%)していた。
対象患者に生じた多くの衰弱性の神経症状のしつこさと,自律神経系の障害を示唆する症状の出現の遅さは注目すべき点であること,またワクチン接種によってCOVID-19の罹患後症状は治癒することもなかったが悪化することもなかった,と研究者は述べている。
⑷ BA.1とBA.2の増殖能と病原性の比較
オミクロン株の流行はBA.1系統で始まったが,その後は多くの国でBA.2が優勢となってきた。南アフリカやスウェーデン,オーストラリアなどからBA.2に関する報告が出ていたが,それらのデータではBA.1よりもBA.2の方が伝播性が高い可能性が示されていた。SARS-CoV-2の基準株である武漢株(Wuhan/Hu-1/2019)に比べて,スパイク蛋白の変異は,BA.1で36個,BA.2で31個の置換が起きているが,それらのうち,BA.1とBA.2に共通するアミノ酸置換は20個である。BA.2とBA.1の間の差は決して小さくないことから,病原性や伝播性が異なり,既存のワクチンや治療薬の効果が弱まった可能性が懸念されていた。東京大学医科学研究所のグループが,COVID-19患者から分離したオミクロン株BA.2の増殖性と病原性を,マウス等の動物モデルを用いて評価し,治療用抗体と抗ウイルス薬の効果を検討した。
野生型マウスの鼻腔内にウイルスを感染させる検討で,BA.2感染群,BA.1感染群,非感染群に分けた。体重減少はどの群もみられず,感染の2日後と5日後の時点での最大呼気流量低下は,いずれの群でも低下を示さなかった。感染から2日目と5日目の鼻甲介ウイルス量はBA.2群BA.1群に差は無かったが,2日目はBA.1に比べBA.2の方が有意に多かったものの5日目にはBA.2で有意に少なくなっていた。組織病理学的な分析では,BA.1とBA.2の両方がマウス細気管支と肺胞上皮に同様に感染すること,ベータ株(B.1.35)に比べるとそれらの変異株の肺への感染性が低いことが明らかになった。感染後1~3日目のサイトカインやケモカインを検出することによる肺への炎症反応を調べると,BA.2の感染による炎症反応は,ベータ株感染後に比べて限定的であることが観られた。
野生型マウスよりも易感染性であるヒトACE2(hACE2)発現マウスを用いた一連の実験では,野生型マウスで得られたものとほぼ同様の結果で,BA.2の病原性はBA.1と同様であることが示された。
野生型ゴールデンハムスター,hACE2発現ハムスターでの一連の実験を行った。ウイルス増殖については,BA.2よりBA.1の方が高く優勢であること,BA.2の病原性はBA.1と同程度で,肺での増殖能はBA.1より低いことが明らかとなった。
BA.2を感染させたハムスターに対して,感染の翌日に治療用モノクローナル抗体(イムデビマブ/カシリビマブ,チキサゲビマブ/シルガビマブ,S309(ソトロビマブの前駆体)を投与し,感染から4日後の時点で,肺でのウイルスの増殖が抑制されていた。一方,鼻甲介での増殖は抑制されていなかった。抗ウイルス薬のモルヌピラビル,ニルマトレビル,S-217622(塩野義)の効果を検討し,ハムスターにBA.2を感染させた翌日から1日2回,3日間いずれの薬剤を投与しても,感染後4日目の肺でのウイルス増殖が抑制されていた。またニルマトレビルとS-217622は鼻甲介での増殖も抑制していた。
以上から,齧歯類モデルでは,BA.2の増殖能と病原性はBA.1と同様で,従来株や他のVOCより低く,既存の治療用モノクロナール抗体と抗ウイルス薬は,BA.2に対して有効であることが示唆されたと結論している。
⑸ オーストラリアでのインフルエンザ流行:今冬,日本でのインフルエンザ流行の懸念
図2.オーストラリアのインフルエンザ流行(オーストラリア保健省)
COVID-19感染拡大がはじまった2019-2020年シーズンから日本国内での季節性インフルエンザは激減し,2020-2021年シーズン以降感染者は極めて少ない状態で推移してきた。諸外国においても同様で,2020-2021年シーズンはほとんど報告がなかった。2021年夏に一部の地域(東南アジア,インド,バングラデシュ,欧州)では小流行があったものの大きな流行はみられなかった。2021-2022年シーズンは,コロナ前ほどではないが感染者の増加がみられる。
インフルエンザの流行時期が日本と異なり5月〜9月頃にピークを迎える南半球のオーストラリアでは,過去2年間はインフルエンザの流行がなかったが,現在急激なインフルエンザ患者の増加が報告されている。過去数年間の流行に比して,増加スピードが極めて速い(図2)。NNDSS(the National Nortifiable Disease Survailance System)の報告では90%がA型(サブタイプ不明94.5%;H1N1 0.9%;H3N2 4.6%)で,B型は0.1%,残りの10%近くは型不明である。オーストラリアでのインフルエンザの流行は,その後の日本での流行を予測する上で参考になることが多く,日本で今年の冬はインフルエンザが流行する可能性がある。特に,6月からの水際対策緩和による入国者の増加もあり,注意を要する。
2021年の夏に日本でRSウイルス感染症の大流行が起こったが,その理由として,2020年にRSウイルスが流行しなかったことで,RSウイルスに免疫を持つ人が減っていたことが挙げられる。RSウイルス感染症は,通常2歳までの間に一度は感染するが,昨年の流行では2歳以上のRSウイルス感染症患者の割合が増えており,COVID-19流行中にRSウイルスに免疫を持たない子どもが増え,今シーズンの大流行に繋がったと考えられる。インフルエンザについても,3年間に渡り免疫を持たない人が増え続けていることが考えられ,2019年以前のシーズンを上回るインフルエンザの大流行が懸念される。
すでに6月17日に東京都内の公立小学校でインフルエンザによる学年閉鎖が行われた。冬を待たずに,早ければこの夏からの流行の始まることも考えられ,注視が必要である。季節性インフルエンザとCOVID-19の同時感染に備えての,診療体制の強化が求められる。2020年,2021年の夏には,インフルエンザ流行期を前に,会員の先生方に同時流行の際の発熱者を受け入れる体制についてお願いしてきたが,季節性インフルエンザの流行はなかった。COVID-19対策の1つとして診療・検査医療機関への参加を募ってきたが,さらに拡大する必要がある。2019年までにインフルエンザ患者の診療を行っていたすべての医療機関が,診療・検査医療機関として地域医療に貢献していただければ幸いである。
また10月からはじまる季節性インフルエンザワクチンの接種が強く勧奨されるべきである。日本ワクチン学会も生後6か月以上のすべての人に対して2022/23シリーズのインフルエンザワクチン接種を推奨した。
なお,米モデルナ社は季節性インフルエンザワクチン候補のmRNA-1010の第Ⅲ相臨床試験を開始したことを6月7日に公表した。mRNA-1010は,WHOが推奨するA/H1N1,A/H3N2,B/山形系およびB/ビクトリア系統の4つのインフルエンザ株の血球凝集素糖タンパク質がコードされた新規mRNAワクチン候補である。安全性と免疫学的非劣性を評価し,早ければ2022/2023年のインフルエンザシーズンに有効性確認試験が実施できるよう開発準備を進める,としている。
<資料>
#「Short term, relative effectiveness, of four doses versus three doses of BNT162b2 vaccine in people aged 60 years and older in Israel: retrospective, test negative, case-control study」(S Gazit, Y Saciuk, et al. BMJ 2022;377:e071113)
#「Protection and Waning of Natural and Hybrid Immunity to SARS-CoV-2」(Y Goldberg, M Mandel, et al. New Eng J Med 2022, oa2118946)
#「Vaccination-infection interval determines cross-neutralization potency to SARS-CoV-2 Omicron after breakthrough infection by other variants」(S Miyamoto, T Arashiro, et al. Med 3,249-261, Apr 8, 2022)
#「Long COVID after breakthrough SARS-CoV-2 infection」(Z Al-Aly, B Bowe, Y Xie, Nature Med 2022, s41591-022-0814-0)
#「Health outcomes in people 2 years after surviving hospitalization with COVID-19: a longitudinal cohort study」(L Huang, X li, et al. Lancet Respir Med 2022;s2213-2600(22)00126-6)
#「Effectivwness of mRNA vaccine boosters against infection with SARS-CoV-2 omicron (B1.1.529) variant in Spain; a nationwide cohort study」(S Monge, A Rojas-Benedicto, et al. Lancet;s14-73-3099(22)00292-4, June 2, 2022)
#「Transmission and Infectious SARS-CoV-2 Shedding Kinetics in Vaccinated and Unvaccinated Individuals」(J Jung, JY Kim, et al. JAMA Network Open. 2022;5(5):e2213606)
#「Assessment of Delayed Large Local Reactions After the First Dose of SARS-CoV-2 mRNA-1273 Vaccine in Japan」(T Higashino, Y Yamazaki, et al. JAMA Dermatol. Doi:10.1001, June 1, 2022)
#「Association of COVID-19 Vaccination During Pregnancy With Incidence of SARS-CoV-2 Infection inINfants」(EO Carlsen, MC Magnut, et al. JAMA Intern Med, Doi:10.1001,published online June 1, 2022)
#「Efficacy and safety of intramuscular administration of tixagevimab-cilgavibmab for early outpatient treatment of COVID-19 (TACKLE) : a phase 3, randomized, doubule-blinds, placebo-controlled trial」(H Montgomery, FD Richard-Hobbs, et al. Lancet Respir Med 2022; 2213-2600(22)00213-2)
#「Efficacy and Safety of a Recombinant Plant-Based Adjuvanted Covid-19 Vaccine」(KJ Hager, GP Marc, et al. New Eng J Med 2022;386:2084-96)
#「Efficacy and Safety of the RBD-Dimer-Based Covid-19 Vaccine ZF2001 in Adults」(L Dai, L Tao, et al. New Eng J Med 2022;386:2097-111)
#「Intramusucular AZD7442(Tixagevimab-Cilgavibmab) for Prevention of Covid-19」(MJ Levin, A Ustianowski, et al. New Eng J Med.org. 2022:oa2116620)
#「Characterization and antiviral susceptibility of SARS-CoV-2 Omicron/BA.2」(R Uraki, M Kiso, et al. Nature 2022;10.1038/s41586-022-04856-1)
#「Comparative Safety of BNT162b and mRNA-1273 Vaccines in Nationwide Cohort of US Veterans」(BA Dickerman, AL Madenci, et al. JAMA Intern Med online, 2022.2109, June13,2022)
#「Safety and immnunogenicity of the ChAdx1 nCov-19 (AZD1222) vaccine in children aged 6-17 years: a preliminary report of COV006, a phase 2 single-blind, randomized, controlled trial」(G Li, F Cappuccini, et al. Lancet 2022;399:2212-25)
#「Updated US Infection-and Vaccine-induced SARS-CoV-2 Seroprevalence Estimates Based on Blood Donations, July 2022 – December 2121」(JM Jones, JD Opsomer, et al. JAMA Research Letter, published online June 13, 2022)
#「Coronavirus (COVID-19) Update: FDA Authorized Moderna and Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccines for Children Down to 6 Months of Age」(FDA News Release, Jun 17, 2022)
#「Maternal Vaccination and Risk of Hospitalization for Covid-19 among Infants」(NB Halasa, SM Olson, et al. New Eng J Med oa2204399, June 22, 2022)
#「Evolution of neurologic symptoms in non-hospitalized COVID-19 “long haulers”」(ST Ali, AK Kang, et al. Ann Clin Transl Neurol, 2022, acn3.51570 )
#「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応 第4版」(2021年11月22日,(一社)日本環境感染学会)
#「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後に関する国内最大規模調査報告について」(6月2日,プレスリリース,慶応大学医学部)
#「武田社ワクチン(ノババックス)の接種会場の確保について(依頼)」(6月3日,4ワ83号,京都府健康福祉部)
#「日本におけるCOVID-19妊婦の現状~妊婦レジストリの解析結果」(6月7日,出口雅士,山田秀人,日本産婦人科学会周産期委員会)
#「新型コロナワクチンの有効性に関する研究結果について 厚生労働省研究班「新型コロナワクチン等の有効性及び安全性の評価体制の構築に向けた研究」」(6月8日,第87回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料3-2-①,厚労省)
#「武田社ワクチン(ノババックス)の配分等について(その3)」(6月9日,事務連絡,厚労省健康局)
#「コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)に係る「使用上の注意」の改訂について」(6月10日,薬生安発0610第1号,厚労省医薬・生活衛生局)
#「「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」の改訂について」(6月13日,事務連絡,厚労省健康局)
#「「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」(自治体向け)の改訂について(8.1版)」(6月14日,日医発第534号(健Ⅱ),日医)
#「高齢者及び基礎疾患を有する方への4回目接種の実施について(依頼)」(6月15日,4ワ第88号,京都府健康福祉部)
#「新型コロナウイルス感染症対応について 保健・医療の提供体制や新型インフルエンザ等対策特別措置法の運用等を中心とした政府のこれまでの取組 ~2019年12月末から2022年5月まで~」(6月15日,第5回新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議資料,内閣官房対策推進室)
#「新型コロナウイルス感染症へのこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に向けた中長期的な課題について」(同上)
#「「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1.1版)」の周知について(依頼)」(6月17日,事務連絡,厚労省対策推進本部)
#「新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に備えるための対応の方向性」(6月17日,第93回COVID-19対策本部決定,首相官邸)
#「新型コロナワクチン追加接種(4回目接種)に使用する武田/モデルナ社ワクチンの配分等について」(6月17日,事務連絡,厚労省健康局)
#「新型コロナ予防接種の間違いの防止について(その4)」(6月17日,事務連絡,厚労省健康局)
#「効果的かつ負担の少ない医療現場における感染対策について」(6月20日,事務連絡,厚労省対策推進本部/医政局)
#「小児の新型コロナウイルス感染症対応について」(6月20日,事務連絡,厚労省対策推進本部/医政局/健康局/子ども家庭局)
#「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則 の一部を改正する省令の公布について(公布通知)」(6月30日,健発0630第1号,厚生労働健康局)