2022年6月15日号
1.庶務関係連絡事項について
4月からの新年度にあたり,地区医役員に異動があった場合の府医への連絡や,各種委員会委員の推薦への協力,会員の入退会手続きに関するお願いなど,地区医会長への連絡依頼事項について各地区に協力を依頼した。
2.最近の中央情勢について
3月下旬から4月中旬にかけての社会・医療保険状況について,◆府医は臨時代議員会で,公的医療保険の適用にあたっては厚生労働省内での医学的審議内容を最優先にすべきであるとの決議を取りまとめ,「有効性と安全性が科学的に確認されたもののみが公的保険に導入されるべき」だと主張し,初診からのオンライン診療やリフィル処方に懸念を示した。◆厚生労働省は社会保障審議会・医療部会で,オンライン診療を含めた「遠隔医療」について,さらに推進するための基本方針を2022年度中に新たに作成する方針を示した。◆財務省は財政制度等審議会・財政制度分科会で,新型コロナウイルスの影響を踏まえた医療機関の減収補填について,コロナ前と同水準の診療報酬を支払うなどの手法を導入し,医療機関や地域ごとの点数・単価の違いを認めるべきだとの姿勢を示した。◆厚生労働省保険局医療課は,2022年度診療報酬改定に関する事務連絡「疑義解釈資料の送付について(その4)」を発出し,外来感染対策向上加算,感染対策向上加算の届け出で「要しない」としている「実績」の詳細を明示した。◆自民党の社会保障制度調査会・デジタル社会推進本部「健康・医療情報システム推進合同プロジェクトチーム」は,診療報酬請求事務の効率化についてヒアリングした結果,改定内容の決定から施行までの準備期間が短いため負担が大きいとの指摘があり,出席議員からは改定の施行時期や頻度を検討すべきだ等の意見が出た。―といった話題を中心に説明した。
3.学術講演会の今後の予定について
5月に予定している府医学術講演会を紹介し,参加を呼びかけた。
4.「第31回日本医学会総会2023東京」早期事前参加登録について
標記総会について,例年とは異なりWebも併用したハイブリッド開催となることを報告。
参加申し込みについては,WEBからの申し込みを勧めるとともに,今回から参加登録料において団体登録割引が適用されることを紹介した。なお,参加登録料がかかるため,府医での取りまとめの予定はないとした。
【会期】
〔学術集会〕2023年4月21日(金)〜23日(日)
〔学術展示〕2023年4月20日(木)〜23日(日)
〔博覧会〕 2023年4月15日(土)〜23日(日)
【会場】
東京国際フォーラムおよび丸の内・有楽町エリア
【URL】
https://isoukai2023.jp
1.医療機関名称ガイドラインの機能不全について
医療機関名称について,京都府・京都市・府医・京都府歯科医師会で協議の上,平成23年に「医療機関(病院,診療所)の名称ガイドライン」(以降,ガイドライン)を作成したものの,ガイドラインに沿わない医療機関名称が散見される現状があると指摘し,下記の問題点を挙げた。
① 法的拘束力がないため,行政では書類上の瑕疵が無ければ受理せざるを得ない。
② 行政担当者の異動により,引継ぎがなされないとガイドラインの周知が不十分となる。
③ 法人の事務所が京都府外にある場合,管轄する都道府県において定款変更がなされた後で京都府に開設許可申請書が提出されるため,名称変更を申し入れることが困難。
指定医療機関の指定・更新などを検討する「近畿地方社会保険医療協議会」において,府医から改善を求めているものの,保健所で開設届が受理された後の保険医療機関の指定申請になるので,近畿厚生局では覆せないと判断されていると報告した。
また,行政の届け出を終えた後に地区医に入会を希望される場合もあり,看板や広告等作成済みのため,費用的にも名称変更を再検討いただくのが難しいケースもあるとし,名称だけを理由に入会を拒否するのではなく,入会していただくことで,地域の実情への理解を得るという苦渋の決断をしている地区の現状に理解を示しつつ,府医としても行政への申し入れやガイドラインの周知徹底に取組む意向を示した。
保健所等の行政機関へのアプローチについては,以前から定期的に京都市へ申し入れているものの,法的に問題ないことから改善に取組んでもらえなかったと報告し,全国レベルに合わせるためにガイドラインの見直しも視野に入れる必要があるとの見解を示した。
2.医薬品安定供給の体制についての問題について
今回の医薬品の供給不足は,2020年の後発医薬品大手メーカーの不祥事を発端に各社で次々と問題が発覚し,多くの後発医薬品が出荷停止等に陥るとともに,先発品も出荷調整が行われたことに起因していると説明。患者に対して処方薬変更の対応に追われる等,医療機関への影響も大きく,解消には時間を要するとの見通しを示した。
3月末に行われた日医の代議員会でも,複数の県からこの問題について発言があり,日医は供給停止や出荷控えとなっている医薬品の供給再開・増産に向けて,さらに国や製薬業界に対応を強く求めていく意向を示していると報告。また,日本製薬団体連合会,日本製薬工業協会からは,日医からの要望内容を各社に周知徹底し,製薬企業各社の使命である安定供給確保に向けた最大限の対応を実施・継続し,供給不安の早期解消を目指す意向が示されていることを紹介した(詳細は京都医報4月15日号保険だより参照)。
府医としても,国および企業の取組みを引続き注視し,情報提供を行っていくとした。
3.リフィル処方箋の問題について
3月の府医代議員会でもリフィル処方箋は,その導入過程において安全性よりも利便性が優先されていることから府医として反対であるとの考えを示したと説明。
この制度は中医協でも議論なく,大臣折衝で決定されたものであるが,その背景には医療費削減を目論む財務省の意向が大きく反映されていることは明らかであると指摘し,経済効率のみを優先する外部の会議体からの要求が中医協での科学的根拠に基づく議論のないまま導入決定されており,安全性等が十分に考慮されていないとして,強く改善を求めていくとした。
また,薬局の薬剤師が薬学的にリフィル処方が不適切と判断した場合は,速やかに処方した医師に確認した上で,患者に受診を促すことができるようになっているが,「不適切」の判断基準が不明瞭であり,責任も大きいため,現場の薬剤師もリフィル処方箋を歓迎していないのではないかと指摘した。今後,どの程度リフィル処方箋が活用されているのか調査した上で,国へ改善を求めていく考えを示した。
国が政策について議論する際,医師会等の関係団体にヒアリングした上で決定されるが,今回のリフィル処方箋においては医師会の意見が無視されていると指摘し,医政活動の重要性を改めて強調し,協力を呼びかけた。