2022年5月1日号
舞鶴医師会との懇談会が2月26日(土),Webで開催され,舞鶴医師会から8名,府医から7名が出席。「北部地域における医療看護および看護教育体制のあり方検討会」,「ジェネリック医薬品流通不足」,「リフィル処方箋」をテーマに活発な議論が行われた。
〈注:この記事の内容は2月26日現在のものであり,現在の状況とは異なる部分がございます〉
地区より,「北部地域における医療看護および看護教育体制のあり方検討会」の開催背景や北部地域における看護師不足の実情が訴えられた。
検討会が実施された背景には,地域の基幹病院が附属看護学校の廃止について検討したことを発端として,同看護学校の定員40名のうち,卒業後に地元で就業する看護師が約30%という実情があり,養成することの意味合いが問われることになったと説明。北部地域ではその他4校を含め,定員が合計180名であるところ,令和3年度入学生は129名で定員割れ,卒業生は166名で京都府内での就職は108名,うち北部就職は80名とほぼ半数であったことが報告された。
検討会では現状の確認が行われ,「定員割れの要因は大学志向が強く,都会への就職希望者が多いためである」,「附属病院を持たない看護学校では実習先の確保に翻弄されている」,「毎年募集をするが人員が集まらない一方で,高齢化にともなう退職者が増加している」,「働き方改革の実行には,増員が必要である」等の意見が上がり,これらは北部地域に限らず,共通の問題であるとの認識が共有された。
~京都府医師会看護専門学校の状況~
続いて,府医より,府医看護専門学校の状況について説明し,北部地域と同様の問題を抱えているとの認識を示した。人口減少・少子高齢化とともに大学志向が強くなり,京都市内でも大学の看護学部が増えた影響を受け,府医看護専門学校でもここ数年は定員割れの状況が続いていることを報告。「将来構想検討特別委員会」を設置の上,学校運営について議論を行った結果,答申において適切な時期に事業縮小を図ることが示され,令和2年度で准看護科の募集を停止し,令和3年度の卒業生をもって准看護科を閉科,順次2年過程も閉科していくことを説明した。府医看護専門学校においても,学生の確保に苦労しており,今後ますます高齢化が進む中において,看護師のニーズは高まるものの,人材確保ができないという課題があるとした。
京都府は,看護師の養成が非常に重要であることを認識しているものの,今以上の予算措置は難しいのが現状であると述べ,府医として,引続き京都府に対して事業の重要性を訴え,看護師養成のための補助金の増額等,適切な予算措置を要望していく考えを示した。
後発品を中心とした多くの医薬品の供給不足の状態が続いていることについて,厚労省の対応や日医の現状認識等について情報共有を行った。
令和4年度診療報酬改定において導入されたリフィル処方箋について,情報共有と意見交換が行われた。「症状が安定している患者について,医師の処方により,医師および薬剤師の適切な連携の下,一定期間内に処方箋を反復利用できるリフィル処方箋の仕組みを設ける」ことを基本的な考え方として,以下の具体的な内容を説明した。
日医は,症状が安定している慢性疾患の患者であっても,定期的に診察を行い疾患管理の質を保つことが重要であるとの認識を示しており,現行制度においても投薬日数は医師の裁量とされ,特定の薬剤を除いて制限はないものの,長期処方にはリスクがあることから不適切な長期処方は是正すべきであるとして,リフィル処方にあたっては,患者の健康に大きく関わることになるため,慎重かつ丁寧な検討を呼びかけていることを報告した。
~リフィル処方箋の問題点~
府医より,リフィル処方箋の問題点として,患者の安全性よりも利便性が優先されてしまう懸念があることと併せて,その導入過程に大きな問題があることを指摘した。
本来,診療報酬改定は,内閣が決定した改定率を前提として社会保障審議会医療保険部会および医療部会が基本方針を策定し,中医協が基本方針に基づき個別の診療報酬点数や算定要件を審議して医療費の分配を決定するというプロセスで進められてきたが,リフィル処方箋は中医協での十分な議論もなく,大臣折衝を踏まえて導入が決定されており,中医協の立場を軽視するとともに,患者の健康やあるべき医療の姿を無視して経済性や効率性のみを追求していると非難した。
また,処方権は医師にのみ存在するものであり,リフィル処方箋の適用にあたっては患者の健康を守る観点から慎重に慎重を重ね,丁寧に検討することが必要であるとした。
当日は,保険医療懇談会も開催され,情報共有が行われた。