2022年5月1日号
1.最近の中央情勢について
3月上旬から中旬にかけての社会・医療保険状況について,◆城守国斗日医常任理事は,令和4年度診療報酬改定内容全般に対し,「コロナ禍で現場に大きな影響を与える改定は行うべきでないと一貫して主張してきたが,大きな改定内容になり,納得できない」との認識を示し,オンライン診療での初診料が251点に設定されたことから,現在の基本診療料・初診料288点の引上げが今後の大きな検討課題になるとの見方を示した。◆厚労省は,令和4年度診療報酬改定でオンライン診療を行った場合の初・再診料,外来診療料が創設されることにともない,これらの届け出を行った医療機関が時限的・特例的対応に関わらず,オンライン診療を行った場合は,創設された点数を算定できる取り扱いとした。◆厚労省は,3月末までの臨時的な措置として実施している後発医薬品の供給不安を踏まえた「診療報酬上の臨時的取り扱い」を4月以降も継続することを決定。◆新型コロナウイルス感染症対策を巡り,政府が18都道府県のまん延防止等重点措置を3月21日で解除することを踏まえ,厚労省は3月16日,医療機関に対するコロナ関連支援措置の延長も含めて,感染の再拡大に備えた対応策として「診療・検査医療機関が公表されている場合の診療報酬加算550点を,当初の3月末から7月末までに延長」,「外部委託する場合のPCR検査料1,350点は,4月から700点に下げる方向であったが,これを見直して4~6月は850点とする」等の内容を発表。―といった話題を中心に説明した。
2.令和4年4月診療報酬改定点数説明会への対応について
令和4年度診療報酬改定に係る改定内容の配布物について,それぞれの配布スケジュールを説明するとともに,配布資料は府医ホームページに開設する専用ページでも閲覧可能であることを案内した。
また,改めて新型コロナウイルスの感染状況を鑑み,令和4年4月診療報酬改定点数説明会および近畿厚生局京都事務所と京都府による改定時集団指導は中止となることを案内し,代わりに厚労省動画チャンネル(YouTube)において改定内容が配信されていることを紹介した。
3.学術講演会の今後の予定について
4月に予定している府医学術講演会を紹介し,参加を呼びかけた。
4.日本医師会生涯教育制度実施要綱の一部改正について
「日医生涯教育制度」実施要綱が大きく改定されたとして,主な改定点を説明した。
※経過措置として,令和4年3月末までに承認された講演会等については,4月以降の開催であっても,従来のカリキュラムコードの付与方法が適用される。
5.日医生涯教育制度一括申告について
府医から日医生涯教育講座における各種講演会等への出席状況を日医へ一括申告するにあたって,令和3年度における追加申請がある場合は,出席を証明する書類(参加証等)の写しとともに,追加申告用紙をFAXまたは郵送にて5月30日(月)までに府医学術生涯研修課まで提出するよう呼びかけた。
また,昨年からの変更点として,府医で把握している全会員に送っていた受講一覧を今年度から希望者のみに送付することを説明し,希望者は5月11日(水)までにFAXまたはメールで申し込むよう案内した。
6.各種予防接種に係る連絡について
各種予防接種について下記のとおり案内した。
① HPVワクチンの積極的勧奨の再開に係る対応等について
HPVワクチンは副反応である疼痛や運動障害が問題となり,接種勧奨が控えられていたが,令和4年4月より再開されることとなった。従来からの定期接種の対象年齢である小学6年生~高校1年生相当の女子の他,令和3年12月23日の厚生科学審議会 (予防接種・ワクチン分科会)にて,過去に接種機会を逃した令和4年度に17歳~25歳になる女子を対象として,令和4~6年度の間にキャッチアップ接種を行うこととした。
京都市では,接種対象者が非常に多く,十分にワクチンを確保できないため,令和4年10月以降,中学1年生から順番に個別通知が送付される予定である。また,可能な限り供給量に不足が出ないようワクチンの種類もガーダシルのみだったが,サーバリックスも流通再開されることとなった。
その他,変更点や注意点として,令和4年度から予診票に「予防接種済証」が追加されたこと,専門的な診察が必要な副反応については,京都府立医科大学附属病院が協力医療機関として対応すること,新型コロナウイルスワクチンと同時には接種できず,互いに片方のワクチンを受けてから2週間の間隔を空けること等を説明した。
② 風疹の追加的対策の延長について
令和4年3月末で終了予定であった風疹の追加的対策(昭和37年4月2日から昭和54年4月1日生まれの男性が対象)について,新型コロナウイルス感染症の流行により,抗体検査および予防接種を控える動きが見られたことから,令和7年3月末まで延長されることとなった。
また,京都市が実施している「妊娠希望の女性等を対象とした風疹抗体検査」と本対策が混同されることがあるとして,地区医へ注意を呼びかけた。
③ 高齢者インフルエンザ予防接種に係る生活保護等受給者の取り扱いについて
従来,京都市では所得額の区分に応じて高齢者インフルエンザの自己負担額を分けていたが,令和4年度から生活保護等受給者のみ自己負担なしとし,その他については,市民税非課税者も含め,一律1,500円とすることとなった。
今回の見直しの主な理由としては,該当者からの事前申請により自己負担区分証明書を交付する事務手続きを省略することで経費削減を図ることである。
府医としては賛同しておらず,段階的に切り替えるよう求めたが,京都市は決定事項であるとして段階的な切り替えは難しいとの返答であり,今回の見直しとなった。また,京都市が高齢者インフルエンザの自己負担額を変更することで,他市町村も同様の変更をする可能性があるため,今後,留意が必要である。
④ 結核関連の連絡事項について
医師は,結核患者であると判断した時には,直ちに,また,病院管理者は,結核患者が入院または退院した時には,7日以内に最寄りの保健所(京都市の場合は,医療衛生企画課)へ届出を行う必要があるが,特に後者において期限通りに提出されない場合が多いため,留意するよう呼びかけた。
また,医療機関で業務に従事する者を対象とした結核定期健康診断実施報告書の令和3年度分の提出期限は,令和4年4月28日(木)であることを連絡し,期限までの提出を促した。
7.診療・検査医療機関の公表等について
新型コロナウイルスの診療・検査医療機関については,公表している診療・検査医療機関に発熱者が集中しており,今後,診療・検査医療機関を増やしていく必要があることから,京都府ホームページ上での公表について再依頼することとなったと説明し,地区医に対し改めて協力を求めた。
非公表から公表に変更する場合だけでなく,診療時間の拡大等,何か変更がある場合は,「診療・検査医療機関への指定に係る『登録内容変更』申請書」にて京都府健康対策課感染症対策係まで届出するよう呼びかけた。