勤務医通信

新規採用職員研修 ~コロナ禍で3度目の春を迎えて~

綾部市立病院 院長
高升 正彦

 新緑がとても鮮やかな気持ちの良い日々となりました。「勤務医通信」には初めて投稿させていただきます。どうぞよろしくお願いします。さて当院は病床数206床のそれほど大きくない病院ですが,今年度も28名の新人職員を受け入れました。内訳は医師7名,研修医2名,薬剤師1名,臨床検査技師1名,臨床工学技士1名,看護師12名,事務職員4名で,そのうち新卒の方は11名です。
 3月に入りましてから,京都府全体としてはコロナ患者は減少傾向でしたが,なぜか当院の周辺の綾部地域は患者減少が見られず,それどころか下旬には職員も複数感染して業務に支障をきたすほどとなり,4月には初めての院内クラスターを経験することとなりました。
 毎年行っている新人研修ですが,コロナ禍であっても一昨年も昨年もこれほどひどいことはなく,このような状況で今年度はどうするのか,かなり悩ましい問題となりました。全体の歓迎会もできないので歓迎の気持ちを表したいのと,早く業務になれてもらいたいのできちんとした研修を行いたいという思いもあり,一方で感染の心配から縮小すべきという意見も出て,ぎりぎりまで検討を重ねました。
 コロナ感染に関しましては,その功罪のうち,「功」の部分に言及しているお話も散見します。例えば多くの会議がWEBで行われるようになり,京都市内で30分~1時間程度の会議であっても,我々のような場所からは往復で半日はつぶれる状況でしたが,WEBでの会議が多用されるようになってそのようなことは減ってきました。そういう意味では新規採用職員の研修のあり方を真剣に見直すことができたのもコロナの「功」のおかげといえるかもしれません。これまでどちらかというと漫然と行っていた研修ですが,今年は最終的には2日間にわたり院内の各部署に担当してもらい,少し規模は縮小しましたがリアルの講義とリモートと文書配布をミックスしたより良い研修ができたように思います。
 これまで小生は,この新人研修では鴻巣前院長より教えていただいたKJ法を用いて,医療上のいくつかの問題を題材にして,なおかつ新規採用職員同士の横のつながりを深めていくような研修をしておりましたが,そのやり方ですとどうしても密になりますので,コロナの感染が始まってからは倫理的に問題を含むような症例を提示してみんなで検討してもらい,職業倫理について考えを深めていくこと,および綾部市の歴史や当院の設立の経緯を解説して病院開設のため苦労された先人に思いを馳せ,病院への帰属意識をできるだけ高めることを目的とするような研修を行っています。準備に苦労した分,余計にみんながしっかりと聞いてくれているようで反応も良く,うれしく思った次第です。
 コロナ禍にあっても,医療の道を志し,この病院を希望して就職してくれた若い力に感謝し,彼らの前途が光り輝く素晴らしいものであることを祈るばかりです。最後に平成29年に病院の西側の道路が整備されてすっきりとした当院の航空写真を付けさせていただきます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

Information
病院名 綾部市立病院
住 所 綾部市青野町大塚20-1
電話番号 0773-43-0123
ホームページ https://www.ayabe-hsp.or.jp/

2022年5月15日号TOP