訪日外国人受診者の医療費不払いに対する予防策について

 訪日外国人は,新型コロナウイルス感染症流行により一時的に減少していましたが,10 月11 日より国際的な往来が再開されることが決まったところです。訪日外国人が安心・安全に日本の医療機関を受診できる体制を整備することが大切である一方,医療費の不払いを発生させないための取組みをさらに推進することが重要なことから,今般,厚労省医政局総務課医療国際展開推進室から訪日外国人受診者の医療費不払いの発生対策に資する予防策および関連事項を整理した通知が発出されましたので,お知らせします。

1.医療費の不払いを行った訪日外国人受診者に係る個人情報の第三者への提供の同意を不要とすることについて(周知)
 厚労省では,令和3年5月10 日以降,一定の金額以上の医療費の不払いの経歴がある訪日外国人受診者の情報を,訪日外国人受診者医療費未払情報報告システム(以下「システム」という)を通じて出入国在留管理庁と共有する仕組みの運用を開始しているところです。
 一定額以上の医療費の不払いを発生させた患者に係る個人情報を医療機関から第三者である厚労省に対して提供することの同意については,個人情報の保護に関する法律第27 条第1項第4号に掲げる場合に該当すると整理され,本年10 月11 日以降,訪日外国人が医療機関を受診した際に,本目的における個人データの第三者提供について,本人の同意を求める必要がなくなりました。また,訪日外国人患者による不払いの抑止に資する観点も踏まえ,患者が医療機関で不払いを発生させた場合,当該患者に係る個人情報は医療機関から厚労省を通して,出入国在留管理庁に提供され,同庁により当該患者の次回以降の入国審査において厳格な審査に活用されることや,その目的以外に外国人患者の個人情報を使用しない旨を記載した患者診療受付時の交付書類の例を厚労省HP ※1に掲載されていますので,ご参照ください。

※1 厚生労働省HP
   https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000202921_00012.html

2.システムにおける医療機関の利用登録(協力依頼)
 上記1.に関連し,訪日外国人受診者による医療費の不払いの発生の抑止力とすることを目的に運用を行っているシステムにおいて,不払いを発生させた訪日外国人受診者の情報の登録をする前に,まず医療機関が利用登録をする必要があります。つきましては,不払い患者が生じた際の厚労省及び出入国在留管理庁へのスムーズな情報提供を実現するために,本システムへの登録をお願いします。

※医療機関における情報登録用ウェブサイト(厚生労働省HP より)
   https://unpaid.mhlw.go.jp/report1/

3.外国人患者受け入れ情報サイトについて(周知)
 厚労省が平成30 年度より,外国人患者受け入れに有用な情報をまとめた「外国人患者受け入れサイト」※2の運用を開始しています。未収医療費対策に有効な行政サービス,民間サービスの情報を順次追加される予定です。

※2 外国人患者受入れ情報サイト
   https://internationalpatients.jp/

4.デポジット(前払い)請求の活用について(周知)
 外国人患者,特に訪日外国人受診者の場合,一旦帰国してしまうと医療費の回収は非常に困難となることから,可能な限り,医療機関内にいる間に全額回収できるような支払い方法を立てることが重要です。厚労省では,「外国人患者の受入れのための医療機関向けマニュアル」において,デポジットの請求方法を例示しています。

※「外国人患者の受入れのための医療機関向けマニュアル」(厚生労働省HP より)
   https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000795505.pdf

2022年11月1日号TOP