保険だより – 新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取り扱いについて

 新型コロナウイルスの感染が拡大している状況を踏まえ,臨時的な診療報酬の取り扱い(その75・76)が下記のとおり示されましたので,お知らせします。
 その75は,介護療養病床等に入院している者または介護医療院若しくは介護老人保健施設に入所する新型コロナウイルス感染症患者であって,病床ひっ迫時に,やむを得ず当該施設内での入所を継続し療養を行う者に対して,ラゲブリオカプセル200mg(成分名:モルヌピラビル)を投与した場合の薬剤料の取り扱いについて示されたものです。
 その76は,①入院中の新型コロナウイルス感染症患者に対し,必要な感染予防策を講じた上で疾患別リハビリテーションを実施した場合に二類感染症患者入院診療加算(250点)が算定可能となる取扱い,②新型コロナウイルス感染症から回復した後,引き続き入院管理が必要な患者が退院に関する基準を満たし,入院の勧告・措置が解除された後,最初に転院した医療機関において,救急医療管理加算1の100分の200に相当する点数(1,900点)が算定可能となる取扱い等について示されたものです。

◇臨時的な取扱い その75(9月13日付)

問1 介護療養病床等に入院している者又は介護医療院若しくは介護老人保健施設に入所する新型コロナウイルス感染症患者であって,病床ひっ迫時に,やむを得ず当該施設内での入所を継続し療養を行う者に対して,ラゲブリオカプセル200mg(成分名:モルヌピラビル)(以下「本剤」という。)を,療養上必要な事項について適切な注意及び指導を行ったうえで投与した場合に,特掲診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第63号)第16第2号に規定する内服薬のうち,「抗ウイルス剤(B型肝炎又はC型肝炎の効能又は効果を有するもの及び後天性免疫不全症候群又はHIV感染症の効能又は効果を有するものに限る。)」とみなして,本剤に係る薬剤料を算定できるか。

(答) 算定可。なお,調剤料等の算定については,特に定めのない限り,要介護被保険者等である患者について療養に要する費用の額を算定できる場合(平成20年厚生労働省告示第128号)等に基づき取り扱うことに留意されたい。

◇臨時的な取扱い その76(9月27日付)〈10月1日以降適用〉

問1 入院中の新型コロナウイルス感染症患者に対し,必要な感染予防策を講じた上で疾患別リハビリテーションを実施した場合において,「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その9)」(令和2年4月8日付け厚生労働省保険局医療課事務連絡。以下「4月8日事務連絡」という。)の2(2)に示される二類感染症患者入院診療加算(250点)について,どのように考えればよいか。

(答) 当該点数については,「日本リハビリテーション医学会感染対策指針(COVID-19含む)」(日本リハビリテーション医学会)等を参照した上で,疾患別リハビリテーションを実施し,「H000」心大血管疾患リハビリテーション料,「H001」脳血管疾患等リハビリテーション料,「H001-2」廃用症候群リハビリテーション料,「H002」運動器リハビリテーション料又は「H003」呼吸器リハビリテーション料を算定する場合に,1日につき1回算定できる。
 なお,地域包括ケア病棟入院料等,疾患別リハビリテーションに係る費用が当該入院料に含まれる特定入院料を届け出ている病棟においても,上記と同様の疾患別リハビリテーションを実施した場合に,1日につき1回算定できる。
 また,4月8日事務連絡の2(2)における二類感染症患者入院診療加算(250点)と併算定して差し支えない。

問2 「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その31)」(令和2年12月15日付け厚生労働省保険局医療課事務連絡。以下「12月15日事務連絡」という。)の2において,「新型コロナウイルス感染症から回復した後,引き続き入院管理が必要な患者を受け入れた医療機関において,必要な感染予防策を講じた上で実施される入院診療を評価する観点から,当該患者について,いずれの入院料を算定する場合であっても,二類感染症患者入院診療加算の100分の300に相当する点数(750点)を算定できること」とされている。
 この場合において,「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その12)」(令和2年4月18日付け厚生労働省保険局医療課事務連絡。以下「4月18日事務連絡」という。)の2に示される救急医療管理加算1の100分の200に相当する点数(1,900点)について,どのように考えれば良いか。

(答) 当該点数については,新型コロナウイルス感染症から回復した後,引き続き入院管理が必要な患者が退院に関する基準(※1)を満たし,入院の勧告・措置(※2)が解除された後,最初に転院した医療機関における入院日を起算日として30日を限度として算定できる。
 なお,12月15日事務連絡の2に示される二類感染症患者入院診療加算の100分の300に相当する点数(750点)と併算定して差し支えない。
 ただし,「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その34)」(令和3年1月22日付け厚生労働省保険局医療課事務連絡)の問1に示す救急医療管理加算1(950点)は併算定できないが,最初に転院した医療機関における入院日を起算日として30日を超えて入院する場合は,30日を経過した日以降,60日を限度として算定できることとなる。

問3 問2について,新型コロナウイルス感染症から回復した後,引き続き入院管理が必要な患者を受け入れた医療機関から,さらに,他の医療機関に転院した場合,4月18日事務連絡の2に示される救急医療管理加算1の100分の200に相当する点数(1,900点)について,どのように考えれば良いか。

(答) 新型コロナウイルス感染症から回復した後,引き続き入院管理が必要な患者を受け入れた医療機関から,やむを得ない理由等により,他の医療機関に転院した場合であっても,当該点数は引き続き算定できる。ただし,二回目以降の転院については,入院の勧告・措置(※2)の終了後,最初に転院した医療機関における入院日を起算日とする。
 また,当該加算の算定に当たっては,レセプトの摘要欄に,最初に転院した医療機関における入院日及び当該加算の算定日数を記載すること(当該医療機関に転院するよりも前に,複数の転院がある場合は,それぞれの医療機関における当該加算の算定日数を記載すること。)。

※1 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正)」(令和2年6月25日健感発0625第5号厚生労働省健康局結核感染症課長通知)に定める退院に関する基準をいう。
※2 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第19条又は第20条に基づく入院の勧告・措置をいう。

2022年10月15日号TOP