2022年9月1日号
設問1 5-ASAについて正しいものを選べ。
主に軽症・中等症症例から使用
① 5-ASAは安全で副作用がほとんどない薬であり,内服開始後に症状が急激に悪化した場合には病勢コントロール困難と考え,ステロイド追加など治療強化のみ検討する
② 5-ASAは内服開始後に急激に腹痛,血便,発熱などが悪化した場合には5-ASA不耐例ではないかと疑い,一旦休薬なども含めて治療方針変更を考慮する
③ 5-ASAは内服薬を変更しても,5-ASA大腸粘膜濃度に変化は出ないと考えられるため病状悪化時においても内服薬の変更は検討しない
解答1 ②
設問2 ステロイドについて正しいものを選べ。
5-ASA内服にて症状改善困難な症例に使用
① 局所製剤は副作用が少ないため,長期に使用しても安全である
② 局所製剤もCOVID-19の重症化リスクの可能性があり,漫然と使用せず症状コントロール困難であれば他の治療法を検討する
③ 直腸炎型においても早期寛解を目指して局所製剤よりステロイドの全身投与から開始する
解答2 ②
設問3 免疫調節薬について正しいものを選べ。
ステロイド依存症例の寛解維持に使用
① ステロイドと比較して副作用が少ない薬であり,NUDT-15の測定についてCyS/Cys型は日本人で1%程度とごくわずかであるため測定は必ずしも必要ない
② 開始時にNUDT-15を測定し,Arg/Argである場合には副作用が少ないと考えられるため,外来フォローは慎重でなくともよい
③ 開始時にNUDT-15を測定し,Arg/Argであった場合でも用量非依存性の嘔気,肝機能障害や膵炎などの副作用もあることから慎重な採血フォローが必要である
解答3 ③
設問1 就労・療養両立支援指導料(初回算定800点)の対象疾患ではないものは以下のどれか?
① 潰瘍性大腸炎
② クローン病
③ うつ病
④ 若年性認知症
⑤ 糖尿病
解答1 ③ うつ病
解説1 うつ病にはリワークなど別のシステムがあるからと考えられる。
就労・療養両立支援指導料(初回800点,3月以内2回目以降400点)
平成30年度の診療報酬改定 悪性腫瘍
令和2年度の診療報酬改定 脳血管疾患,肝疾患,指定難病
(①潰瘍性大腸炎,②クローン病)
令和4年度の診療報酬改定 心疾患,糖尿病,若年性認知症
設問2 炎症性腸疾患の病態を評価する基準の中で,患者報告アウトカムPROM(Patients Reported Outcome Measures):とは考えにくいものはどれか?
① IBD-Q
② Mayo Score
③ WPAI(Work Productivity Activity Index)
④ SF-36
解答2 ②Mayo score
解説2
設問1 日本の糖尿病患者の特徴を表しているのはどれか?
① 若年の糖尿病患者が増え,やせの糖尿病患者が増えてきた。
② 若年の糖尿病患者が増え,肥満した糖尿病患者が増えてきた。
③ 高齢の糖尿病患者が増え,やせの糖尿病患者が増えてきた。
④ 高齢の糖尿病患者が増え,肥満した糖尿病患者が増えてきた。
解答1 ④
設問2 男性で(㋐)kg未満,女性で(㋑)kg未満を握力低下と判定し,サルコペニアに対する治療介入を行う。
① ㋐18, ㋑12
② ㋐26, ㋑18
③ ㋐28, ㋑18
④ ㋐38, ㋑32
解答2 ③
設問3 日本消化器病学会・日本肝臓学会編:NAFLD/NASH診療ガイドライン2020によると,脂肪肝を合併する2型糖尿病の治療薬として推奨されている薬剤はどれか?あてはまるものをすべて選べ。
① α-グルコシダーゼ阻害剤
② SGLT2阻害剤
③ チアゾリジン薬
④ ビグアナイド薬
⑤ DPP-4阻害薬
⑥ GLP1受容体作動薬
⑦ SU薬
⑧ インスリン
解答3 ②,③,⑥
設問1 上腕骨外側上顆炎の保存治療で注意すべき点は?
解答1 保存加療により多くの症例で症状が改善する。保存加療抵抗例は他の疾患も検討する必要がある。ステロイド注射の多数回の使用は慎む。
設問2 ヘバーデン結節の更年期障害が関連するとすれば,その保存治療はどうするか?
解答2 女性ホルモンの補充療法として,エクオールの摂取が考えられる。但し,DIP関節の変形が進行していない状態において効果が期待できる。
設問3 ばね指のステロイドを用いた腱鞘内注射で注意すべきことは?
解答3 用いるステロイドの種類や投与量および投与回数に注意し,腱断裂等の合併症を起こさないようにする。
設問1 肩関節可動域の評価に際して最も重要なポイントは?
解答1 坐位ではわからない場合があるので,臥位で評価する
解説1 肩関節可動域は肩甲胸郭関節と肩甲上腕関節の複合運動である。肩関節疾患の多くは肩甲上腕関節の可動性の低下をきたすことが多い。よって,正しく肩関節可動域を評価するためには,臥位として,肩甲骨の動きを固定して評価することが望ましい。特に投球障害などのように,わずかな可動域の低下を判別するときにも有効である。
設問2 肩腱板変性断裂の保存的治療のポイントは?
解答2 断裂拡大に注意しながら,肩後方の拘縮を改善し,挙上能力を維持する。断端部の疼痛に対しては注射治療を行う。
解説2 腱板断裂の2/3は無症候性断裂と言われている。症候性断裂の特徴としては挙上にともなう断端の引っかかり,炎症が挙げられ,肩関節後方の拘縮はそれを助長すると考えられている。よって,保存的治療では肩関節後方の筋群の柔軟性や関節包の拘縮を改善するとともに,疼痛の原因を除去するよう積極的に注射治療を行うとよい。
設問3 凍結肩の治療のポイントは?
解答3 疼痛のコントロールを積極的に行う。注射治療では疼痛の緩和,滑走性の改善を目指して病態に応じて適切な方法を選択する。重度の拘縮では非観血的関節授動術を行う。
解説3 凍結肩では可動域訓練の障害となる疼痛を緩和し,積極的に運動療法を行うことがよい。そのためには病態の変化に応じた注射治療や,投薬治療による疼痛のコントロールが大切である。しかし,重度の拘縮で運動療法に抵抗性を示す場合は非観血的関節授動術が有効である。