2022年9月1日号
中医協は8月10日,「オンライン資格確認の導入の原則義務付けおよびこれに伴う診療報酬上の加算の取り扱い」について厚労大臣に答申しました。
具体的には,令和4年度診療報酬改定で新設された「電子的保健医療情報活用加算」は9月末で廃止され,10月1日からは「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」が新設されます。オンライン資格確認を行う体制を有する医療機関(オンライン請求の医療機関に限る)を評価するもので,医療情報・システム基盤整備体制充実加算1は初診の患者に月1回に限り4点を加算,医療情報・システム基盤整備体制充実加算2はマイナンバーカードで受診した初診の患者に月1回に限り2点を加算するものです。
また,令和5年4月からオンライン資格確認の導入が原則として義務付けられるとともに,医療機関および保険医療養担当規則にその旨が定められることとなります(紙レセプトで請求する医療機関は対象外)。
あわせて,オンライン資格確認の導入に際しての補助金についても見直しがされ,診療所は上限額の3/4の補助から上限額の実費補助に変更,病院は補助上限額の変更がされます。
〇電子的保健医療情報活用加算を9月末で廃止
マイナ保険証を利用する場合7点(初診)4点(再診)/利用しない場合3点(初診)
〇医療情報・システム基盤整備体制充実加算の新設(10月1日~)
加算1:施設基準を満たす医療機関で初診を行った場合4点(月1回)
(従来の保険証を持参した患者の場合等)
加算2:施設基準を満たす医療機関で初診を行った場合であって,オンライン資格確認等により情報を取得等した場合2点(月1回)
(マイナ保険証を持参し,医療情報等の提供に同意した患者の場合や,診療情報提供書等を通じて,医療情報等を取得した患者の場合等)
※初診料,小児科外来診療料,外来リハビリテーション診療料,外来放射線照射診療料,小児かかりつけ診療料,外来腫瘍化学療法診療料に加算
[施設基準](抜粋)
(1)レセプトのオンライン請求を行っていること。
(2)オンライン資格確認を行う体制を有していること。なお,オンライン資格確認の導入に際しては,医療機関等向けポータルサイトにおいて,運用開始日の登録を行うこと。
(3)次に掲げる事項について,当該医療機関の見やすい場所及びホームページ等に掲示していること。
ア オンライン資格確認を行う体制を有していること。
イ 当該医療機関を受診した患者に対し,受診歴,薬剤情報,特定健診情報その他必要な診療情報を取得・活用して診療を行うこと。
*情報の取得・活用の具体的な方法として,初診時に患者の診療情報を取得する際には,別途示される問診票(標準的な問診項目が含まれた問診票)又はこれに準じた問診票を用いることが求められる予定。
〇日本医師会 相談窓口の拡充
今回の原則義務化を契機として地域医療提供体制に支障を来たす事態が生じないよう,日本医師会としても各関係者と協力し,引き続き課題解決に努めていくことを表明されています。
これらの課題への対応について,厚労省は中医協において,「コールセンターを設置し,個別の問い合わせに対応している」,「これまでに受けた問い合わせを踏まえ,順次Q&A を更新し,わかりやすい配付資料等も行っていく」,「システム事業者にも,システム事業者導入促進協議会の活動等を通じ,丁寧な対応を依頼していく」,「申し込みから導入開始まで,ステージごとの課題に適切に対応していく」との見解を示しています。
そこで,現場の課題をより広く収集するために,日本医師会では,従来から設置している相談窓口を拡充いたします。導入についてお困りのこと(例えば,地域に業者が見つからない,見積額が補助金上限額より高い,保守料が高い,導入に時間がかかる,適切なネットワーク回線が見つからないなど)ございましたら,下記相談窓口に是非情報をお寄せください。いただいた情報を厚生労働省やオンライン資格確認推進協議会(日本医師会,日本歯科医師会,日本薬剤師会にて設立)と共有し,問題解決のための情報提供や業者への働きかけ等の支援を行ってまいります。
【日本医師会ホームページ・メンバーズルーム内オンライン資格確認相談窓口】
https://www.med.or.jp/japanese/members/info/jirei.html
医療DXの基盤となるオンライン資格確認の導入の原則義務付け
第1 基本的な考え方
オンライン資格確認は,患者の医療情報を有効に活用して,安心・安全でより良い医療を提供していくための医療DXの基盤となるものであることを踏まえ,医療機関・保険薬局に,令和5年4月からその導入を原則として義務付ける。
第2 具体的な内容
(1)医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年厚生省令第15号)等の改正関係
1.医療機関及び保険薬局は,患者の受給資格を確認する際,患者がマイナンバーカードを健康保険証として利用するオンライン資格確認による確認を求めた場合は,オンライン資格確認によって受給資格の確認を行わなければならないこととする。(医療機関及び保険医療養担当規則第3条第1項及び第2項関係等)
2.現在紙レセプトでの請求が認められている医療機関・保険薬局については,オンライン資格確認導入の原則義務付けの例外とする。(同令第3条第3項関係等)
3.医療機関及び保険薬局(2.の医療機関・保険薬局を除く。)は,患者がマイナンバーカードを健康保険証として利用するオンライン資格確認による確認を求めた場合に対応できるよう,あらかじめ必要な体制を整備しなければならないこととする。(同令第3条第4項関係等)
(2)療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等(平成18年厚生労働省告示第107号)の改正関係
医療機関及び保険薬局はオンライン資格確認に係る体制に関する事項を院内に掲示しなければならないこととする。