2022年9月15日号
7月30日(土),夏の参与会が府医会館とWebとのハイブリッドで開催され,参与24名,府医役員23名が出席した。
「地域医療計画・構想について」をテーマとして,京都府健康福祉部長の長谷川 学氏より京都府における新型コロナウイルス感染症への対応を含めた内容の講演が行われ,その後の質疑応答では今後の対策等について活発な意見交換が行われた。
<注:この記事の内容は7月30日現在のものであり,現在の状況とは異なる部分がございます。>
京都府健康福祉部長の長谷川 学氏より,冒頭,7月に入り新型コロナウイルスの急速な感染拡大を受けて,各医療機関における日々の奮闘に謝意が示され,続いて府内の現況と今後の対策等について説明がなされた。
<京都府内の状況>
新規陽性者数が過去最多を更新し,人口10万人あたりの7日間累積新規陽性者数は府内のいずれの保健所管内でも過去最大を記録,特に京都市内を中心に突出して増加している。年代別に見ても,いずれの年代においても感染者数が増加し,病床使用率も4割を超えて5割に向かっている状況である。中でも,その半数は70歳以上であることが今回の特徴である。
京都府において毎週2回実施している遺伝子検査の結果からBA.5検出割合の推移を見ると,7割近くにのぼる状況であり,関西圏においてはさらに置き換わりが進み,BA.2.75が入ってきている。
一方で,重症者については非常に限定的であり,その意味では,新型コロナウイルス感染症発生当初に医療関係者が目指した姿が徐々に実現しつつあるものの,これだけ新規陽性者数が増加すると,やはり一定の割合で重症者が発生するため,引続き十分な警戒が必要である。
京都府健康福祉部長 長谷川 学 氏
新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで示された年代別死亡率の資料を見ると,第1波=4.9%,第2波=1.5%,第3波=2.6%,第4波=2.8%,第5波=0.4%と徐々に低下し,第6波では0.27%,特に6月25日以降は0.02%と,季節性インフルエンザと同等,あるいはそれ以下の死亡率になりつつある。なお,京都府における死亡率は,第6波=0.25%,第6波の後半(令和4年4月以降)は0.14%,特に6月半ばから7月にかけては0.06%と大きく下がってきている。
他府県の例からも,これだけ急激な感染拡大が起こった要因としては,BA.5の特性としてエアロゾルによる感染リスクが高く,感染力が非常に強いことに加え,人々の活動性が上がり,移動や交流の機会が増加していること,さらには若年層におけるワクチン接種率の低さと最終接種からの時間経過等が挙げられている。
現在,救急搬送に関しても大変厳しい状況で,全国的にも搬送困難事案数が過去最高となり,第6波の時よりも悪化している。京都府においては,医療機関の協力もあり,救急搬送体制を整えているものの,ほとんどの隊が出払い,予備隊まで出動している状態である。
<検査キットの配布について>
7月22日に政府から新型コロナの抗原検査キットを無料配布する方針が示されたことを受け,京都府としても府医の協力のもと対応するに至った。国からは,各医療機関の外来の受付で配付するよう言われていたが,一方的に配付すると,受診すべき人が受診できない等の問題が生じるため,京都府においては国の方針を調整の上,各医療機関でキットが不足している状況を考慮し,まずは50キット,翌週に50キットの計100キット分の送付を予定している。その後は,要望に応じて配付する予定であるが,検査キットは国内に総体で1.8億個が確保されているものの,流通における課題がある。
京都府においては,配付キットの使途を「各医療機関の任意」としたことがポイントである。各医療機関でキットが不足しているようであれば,診療用に使用してもよいこととし,自院で検査した場合は,保険点数の算定も可としている。一方で,患者自身が検査した場合は算定できないと解釈通知が発出されている。その上で,余力があれば,かかりつけの患者に配付していただき,当該医療機関で診ていただくか,京都府の陽性者登録センターの条件に合致する患者であれば,京都府の方で対応することとしている。陽性が判明した場合は,各医療機関で診察していただくことが受診者にとって一番の安心につながると思うので,可能であればご対応をお願いしたいと考えている。
<今後の対策について>
7月25日には京都府知事が緊急会見を行い,対応可能な診療・検査医療機関で検査キットの配布が可能である旨と併せて,自分で検査し,陽性判定となった場合は京都府陽性者登録センターに自身で登録,あるいは医療機関への受診も可能であることを広報している。現在は,保健所に代わって各医療機関の外来で新規陽性者へのファーストタッチにご協力いただいている。京都府としては,保健所では高齢者やハイリスク者のフォローアップをきちんと実施していきたいと考えている。
今後の対策として,自宅療養支援物資センターの再構築・集約化によるワンストップ窓口の設置や,宿泊療養の調整に係るワンストップ窓口の設置に加え,自宅療養者の急増に対応すべく,きょうと新型コロナ医療相談センター内の機能拡充として,特に緊急度の判定で迷うケースにおいて,医師が電話対応することで,救急車や夜間の外来に負担をかけることなく,極力,平常時の外来診療に結び付けられるよう調整していく考えである。
高齢者等の感染拡大防止に向けて,施設内感染専門サポートチームや高齢者施設へのワクチン接種チームの派遣等の取組みの見直し・拡充を図ると同時に,京都府独自の事業として,各医療機関において実施されている医療従事者確保のための取組みに対し,その実費を補助することで医療機関の業務継続を支援することを検討している。
治療薬・ワクチンの登場や医療提供体制の整備,国民の行動様式の変容により,新型コロナウイルスとある程度対峙できるようになってきたものの,それを上回る速度でウイルスが変異を繰り返し,今後が見通しにくい状況である。今後は新型コロナウイルスの「終息」を目指す考えを改め,常にウイルスと向かい合っていかなければならない時代がきたと認識する必要がある。今後も府民の安全と安心の確保に向けて,死亡率や重症化率に留意しつつ,感染症との闘いに対する府民の不安に対してもきちんと対応していきたい。
続いて,令和4年3月4日に開催された第8次医療計画等に関する検討会で示された資料を基に説明があり,地域医療構想に関しては,新型コロナウイルス感染症への対応により,重要な部分の議論に時間を要している印象があるとしつつ,今後,厚労省において協議を重ね,関係団体と調整しながら方向性が定められていく見通しであるとした。
<地域医療構想に係るこれまでの経緯>
地域医療構想の背景には,①2040年頃に65歳以上人口のピークが到来,②人口減少の中で2025年以降の医療・福祉職種のマンパワーの確保―という大きな課題があり,税や社会保障費を原資とする医療・介護において財源の議論は避けて通れないものとなっている。
医療従事者の人材確保については厚労省においても重要な問題と捉えられている。医師・看護師等の専門職だけでなく,医療補助者の確保についても厳しい状況にあり,今後,タスク・シフティング等の議論も難しいものとなる可能性がある。
平成20年度以降,医学部の入学定員が過去最大規模まで増員されたが,この定員数が維持されれば,2027年頃には人口10万人対医師数がOECD諸国の加重平均に達する見込みである。今後,医師数の削減・調整の議論になることも見受けられるが,京都府がその典型であるように,全体として医師数が全国平均を上回っている一方で,医師の偏在の問題があり,令和5年度以降の医師養成については,総数は減る一方で,地域枠の医師をさらに確保していく方向性が示されている。
<医師の働き方改革について>
2024年4月からの医師の働き方改革の開始時期が迫る中で,特にB・C水準の指定および宿直の許可等の対応については,府内の医療機関で情報共有しつつ,京都私立病院協会が受託する「医療勤務環境改善支援センター」とよくご相談の上,労基署等と十分に調整いただきたいと考えている。都道府県の基本的なスタンスは,地域医療,救急医療を守ることが重要であるという立場であるが,現在の医療界の労働状況は労働法規上も問題があり,その中で妥結点を見出しながら調整を図っているところである。
各都道府県において取組みが進められる一方で,医師確保が難しい地域においては,全国一律のやり方で進められてしまうと地域医療に大きな影響を及ぼす可能性があることから,当該地域の労基署がどのような判断を下すのかを注視しつつ,状況を見極めながら府内で調整を図っていく必要があると考えている。
<地域医療構想について>
今後,入院患者数が2040年をピークに増加する一方,外来患者数は減少が見込まれ,医療ニーズの変化が予想される中で,地域包括ケアと地域医療構想を進めていかなければならない。地域医療構想は,元々,病床削減や公的病院の統合等の議論を目的としたものではなく,増大する医療需要に対して供給が追い付かないという厳しい未来について,医療関係者が当事者である地域住民とともに結果責任を含めて議論していくというものである。これらを踏まえ,新型コロナウイルス感染症を経験した今,改めて地域医療構想を見つめ直す必要がある。
<感染症の対応・医療計画について>
新興感染症等の感染拡大時には,一般の医療提供体制にも大きな影響があることから,都道府県が作成する医療計画の記載事項に感染症の感染拡大時における医療が追加され,医療計画への位置づけが明確化された。
感染症への対応として,当初,感染拡大期には一時的に一般病床・マンパワーを感染症病床にシフトして弾力的に対応することが想定されていたが,現状では,新型コロナウイルス感染症を一般病床で診ている状況である。今後,第8次医療計画の策定に向けて,国から指針が示される予定であるが,この部分の取り扱いをどのようにしていくかが課題となっている。
<京都府地域包括ケア構想について>
京都府は,平成29年3月に策定した地域医療構想(「京都府地域包括ケア構想」)において,機能区分や地域ごとの病床数を示さず,独自の病床機能区分の枠組みを設定した唯一の都道府県である。当時,国はDPCデータを用いて保険点数を基にした病床機能区分の目安を示したが,現在はNDBや救急搬送など新たに様々なデータを活用することができ,患者の受療行動が明らかにできることから,府内の有識者の意見を踏まえながら,一人ひとりの患者の視点で地域連携パスのようなモデルを作成し,医療ニーズを取りこぼさない医療提供体制を構築するための新たな地域医療構想が策定できるのではないかという可能性を感じており,場合によっては,今後の日本の地域医療のモデルとなりうるものを示せるのではないかと考えている。
最後に,高齢化による医療需要が増大する一方で,医療・介護におけるマンパワーや財源の増加は期待できず,医療・介護を取り巻く今後の状況はたいへん厳しいものであるが,地域で課題を抽出し,解決策を導き出すことが重要であると述べ,講演を締めくくった。
各地区医から事前に提出のあった意見・要望について,以下のとおり紙面にて回答した。
<総務関係>
◇コロナ禍終息後の府医の会議等におけるリモート会議の活用方法について(下京西部医師会)
【回 答】
新型コロナウイルス感染症の発生当初は中止・延期していた府医の各種委員会や研修会を再開するため,府医ではウェブ会議システムを導入いたしました。
ウェブ会議はどのような場所からでも参加できるため,スケジュール調整などを比較的容易に行え,移動にかかる時間も抑えられ,更に会議室も必要なく,参加者が多くなっても柔軟に対応が可能となります。
一方,デメリットとして,対面に比べると参加者の表情など反応を読み取るのが難しく,活発な議論にならないケースがあります。
メリット・デメリットはそれぞれありますが,新型コロナウイルス感染症発生後の約3年間で,ウェブ会議やウェブを用いた研修会の有効性は一定程度確認されました。WEB会議は通信機器等の環境さえあれば,京都府内のどこからでも参加でき,時間や距離の関係で参加が難しかったケースでも参加が可能となり,非常に大きなメリットであります。
府医では先生方の利便性を第一に考え,今後も参集とウェブによるハイブリッド開催など会議や研修会のそれぞれの特色を踏まえた積極的な活用を考えております。
◇新型コロナウイルス感染症流行期の京都府から地区医師会への情報伝達について ~京都府内の地区医師会の役割について~(宇治久世医師会)
【回 答】
新型コロナウイルス感染症の発生当初より,国および府,日医からの情報について,京都医報,府医会員メーリングリスト,FAX情報を通じて会員各位へ周知するとともに,情報にアクセスしやすいよう府医ホームページ内にも新型コロナ特設ページを設置し,速やかな情報伝達を念頭に取り組んでまいりました。府医会員ML,FAX情報についてはこれまで週1回を目途に情報発信しておりましたが,新型コロナ発生後の令和2年1月末からは随時発信いたしました。新型コロナ発生当初は,行政や日医から日々発出される膨大な情報をすべて地区医にも情報提供しておりましたが,すべての情報を流すのではなく,府医にて精査した上で情報伝達してはどうか等のご意見をいただき,様々な情報の中から各地区医師会,各医療機関においてご対応を要する内容の情報の提供に努め,この間,会員ML,FAX情報それぞれ400通以上を「府医通信」として発信いたしました。
また,「新型コロナウイルス感染症関連情報」として現在の流行状況や各種通知等の内容をまとめ,令和2年2月1日号の京都医報に「地域医療部通信」の別冊として「第1報」を配付して以来,令和4年7月15日号まで「第43報」を発信し,府医ホームページ上にも随時アップして周知を図るとともに,会員からの疑問に対しては,新型コロナ特設ページ上の問い合わせフォームからご質問を受け付け,個別に回答するとともに,全体に府医の公式見解を発出する必要があれば会員MLおよびFAX情報にてさらなる周知を図ってまいりました。
さらに,月1回の庶務担当理事連絡協議会に加えて,一般会員の参加も可能とした地区感染症担当理事連絡協議会を随時開催し,新型コロナワクチンの最新情報や行政担当者からの説明等について情報共有を図ってまいりました。
今回,発信する情報に漏れがあったとのご指摘を受け,地区で必要とされている情報と,情報発信にあたって府医にて精査した内容との間にギャップがあったということだと感じております。今後,府医からの情報発信のあり方や,発信すべき情報の内容について再検討すべく,具体的事例を府医までお寄せいただければと思います。引き続き,適切な情報提供に努めてまいりますが,より有効な情報共有の手段がございましたら,ご意見をいただきますようお願い申し上げます。
<保険医療関係>
◇リフィル処方箋について(西京医師会)
【回 答】
ご指摘のとおり,令和4年度診療報酬改定において,リフィル処方箋が導入されましたが,中医協で十分な議論もないままに厚生労働大臣と財務大臣の大臣合意で決定した経過があります。本来保険診療は,有効性と安全性を確認した上で導入すべきであるにもかかわらず,リフィル処方箋は利便性と医療費削減を優先したものであり,本会は明確に反対であり,その導入過程についても問題視しています。その点は,3月の代議員会でご承認いただいた決議でも政府に訴えており,また近畿医師会連合の会議等でもその都度発言しているところです。
さて,ご質問のリフィル処方箋の医療費の削減効果については,リフィル処方箋の導入・活用促進による効率化で改定率マイナス0.10%,医療費ベースで約470億円の削減が見込まれています。主に再診料の減少が見込まれています。また,現在の利用状況について,受付割合はまだまだ少ないようですが,傾向として,首都圏を中心に,医療モールクリニックからが多く,また,ドラッグストア等併設型薬局の受付割合が高い傾向にあり,患者からの要望が多いとされています。
今後,中医協において秋以降にリフィル処方箋の実施状況調査が行われ,来年以降に詳細な数字が示される予定であるため,その内容を注視していきたいと考えています。
また,リフィル処方箋の定義に「医師の処方により」とあるとおり,処方権が医師にあることに変わりはありません。不必要な再診というものはなく,医師が定期的に医学管理を行い,適切な処方期間を考えることがすべてです。患者から要望があった場合も,患者の病状を個別に考慮した上で,医師の責任のもと慎重に投薬期間を判断していることを説明いただきたいと考えています。本会としてはリフィル処方については明確に反対であり,会員の先生方にはリフィル処方箋という形態ではなく,患者の状態が安定している場合には長期処方で対応していただきたいと考えております。
◇ジェネリック医薬品の供給不安定について(山科医師会)
【回 答】
2020年,後発医薬品大手メーカーの不正を発端に次々と各社で問題が発覚し,その後多くの後発医薬品が出荷停止に陥りました。その影響で,先発品も出荷調整となり不足し,すでに処方している患者に対して薬の変更など対応が強いられています。一部の医薬品は生産量が改善しているものもありますが,まだまだ現場は混乱しており,解消には今しばらくかかるとされています。
この問題は日医からも,国や製薬業界に医薬品の供給再開・増産に向けて,さらに対応を強く求めているところであり,また,行政処分を受けた企業と面談し,不正に至った経緯説明を受けるとともに,製造管理,品質管理体制,品質保証体制,安全管理体制の一層の強化を要望しています。
そもそも日本には後発品メーカーが190社と多く,米国の16社の10倍以上である上に,後発薬剤の許認可が安易であること,さらには改定毎の薬価引き下げによりメーカーはさらなるコスト削減を強いられてきたことが,不正や製造品質の低下につながった可能性があります。そのため,本会では以前から後発医薬品の品質の確保,安定供給,適切な情報提供を課題にあげ,京都府の後発医薬品に関する会議などでもそのことを強く訴えてきたところです。
この問題は医療現場で起きている切実な問題として受け止めておりますが,都道府県単位で解決できるものではなく,また,供給連鎖(サプライチェーン)の問題もあるため,引き続き日医を通じて国及び企業の取り組みを注視してまいります。
なお,薬剤の安全性という最も注意すべき点からも,これまでの国の失政は看過できるものではありません。ご指摘のAG医薬品への限定について,本会も安全性の観点から将来的にはAGに収れんされていくことが望ましいと考えます。
<地域医療関係>
◇高齢者施設等医療提供体制構築事業(案)の各地区の進捗状況について(綴喜医師会)
◇高齢者施設において新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生した場合の対応について(船井医師会)
【回 答】
京都府内の高齢者施設等への医療体制の強化については,京都府において「高齢者施設等医療提供体制構築事業」として検討されています。
事業内容としては,
①施設内療養支援協力金の支給
感染発生施設での治療薬の投与,健康観察等(往診・オンライン診療・電話診療)を行った「施設医」や「施設協力医療機関」等に対し,協力金を支給
②訪問診療等協力医療機関への協力金の支給
「施設医」や「施設協力医療機関」で対応できない施設に,治療薬の投与,健康観察等を往診またはオンライン診療で行った「訪問診療等協力医療機関」に対し,協力金を支給
③往診コーディネートチームの設置
感染発生施設への医療アセスメント・コーディネート業務を委託(委託先はコロナ受入病院または地区医師会を想定)
④看護師の確保・派遣
施設内での医療的ケア(点滴・経口薬投与等)を行う看護師(潜在看護師等の活用)を府で確保し,施設に派遣
⑤施設内感染専門サポートチームの体制強化
感染発生後24時間以内にファースト・コンタクトを行うサポートチーム体制を強化
となっており,府医から京都府に対し,高齢者施設等でクラスターが発生した場合の初期行動のルール化や協力医療機関との具体的な連携方法を施設等に対して周知徹底いただきたいことや,施設・入所者とかかりつけ医との関係性にもそれぞれ事情があるため,個々にきめ細やかな対応をしていただくよう申し入れています。
また,京都市においては,施設種別ごとの経口抗ウイルス薬や中和抗体治療薬の投与状況についても調査していただき,速やかに投与できる体制を構築し,重症化予防につなげていただきたいことについても申し入れています。
現在,京都府内全域において,各保健所から地区医師会に対し,「往診等コーディネートチーム」の設置について,説明・相談が入り始めているところと認識しています。
これは,感染者が発生した高齢者施設・障害者施設への医療アセスメントや訪問診療等協力医療機関のコーディネートを行うチームとして,京都府・京都市がコロナ受入病院や地区医師会への委託を考えているもので,チームの機能としては,
が想定されており,京都市以外の医療圏では各圏域に1箇所,京都市内には8箇所の設置が予定されていますが,受託先(新型コロナ受入病院または地区医師会)に過度な負担がかからないよう申し入れています。
その他,京都府からは高齢者施設等において,1例目が発生した段階で保健所とサポートチームに施設から連絡を入れ,24時間以内にファースト・コンタクトするサポートチームが介入し,指導を行うほか,必要に応じて医療チームも派遣する方針です。
以上については,5月28日に開催した「第1回在宅医療戦略会議」で京都府・京都市から説明を受け,各地区医師会からのご意見も踏まえ,改善点等を伝えたところです。
これを受けて京都市および京都市以外の各保健所から,各地区医師会へのアプローチが始まっているところと聞き及んでおり,その状況を共有するために,今後,京都在宅医療戦略会議で行政からその後の進捗状況や各地区医師会の検討状況等に係るアンケート結果についてご報告いただく予定です。
◇産業医について(綴喜医師会)
【回 答】
報酬等の待遇については,事例として,産業医に担当事業所をお願いする際,産業医担当理事が事前に意見を取りまとめ,報酬についても産業医業務の増加,責任範囲が拡大していることなどにより交渉を従来より行っています。このような取り組みを参考に各医師会で工夫をしていただけるとよいと思われます。
また,過去のストレスチェック導入時に,現在の報酬のままストレスチェックを行うことは難しいという意見を受け,アンケートを取った結果の中央値を報告したことがありますが,医師会として,産業医の報酬の定価を提示することは難しいですが,アンケート結果の目安となる報酬や参考となるような情報を提示することを検討したいと考えております。
研修会については,日医に問題提起していくとともに,実地研修をディスカッション形式ではなく,筆記演習形式で開催できるよう工夫をしながら引き続き開催できるよう検討いたします。
地区でお引き受けいただける産業医が見つからない場合は,地区の了承を得たうえで近隣の地区医師会で産業医を探していただくようにしておりますが,産業医を増やすための取り組みとして,地区医師会の希望を可能な範囲で取り入れ,利便性の高い各種研修を提供していきたいと考えております。あわせて,先述の待遇改善への取り組みを,府医と地区医とで進めていきたいと思います。