2022年9月15日号
4月1日号保険だより等で既報のとおり,後期高齢者医療制度については,現役世代の負担上昇をできるだけ抑え,全世代型社会保障を推進する観点から,令和4年10月1日より必要な配慮措置(外来受診において,施行後3年間,1か月の負担増を最大でも3,000円とする措置)を設けつつ,一定以上の所得を有する方の医療費の窓口負担割合が2割となります。
今回の窓口負担割合の見直しについては,国民への丁寧な周知を図る観点から,厚労省において,窓口負担額の計算イメージ(外来の診療報酬点数(合計)ごとの早見表)など,医療機関の職員の方に向けた説明資料が作成されていますので,下記をご参照ください。
また,窓口負担割合の見直しおよび配慮措置の導入にともなうレセプトの作成に係る計算事例についても,基本的な事例を抜粋してお知らせします。
なお,配慮措置の導入にともなうレセプトの取り扱い等においては,配慮措置に係る計算が誤ったレセプトについて,可能な限り審査支払機関でレセプトを修正する取り扱いとする等,医療機関等における事務負担を踏まえつつ,柔軟に取り扱うよう,後期高齢者医療広域連合および審査支払機関等にて調整されています。
記
▷厚労省から医療機関等の職員の方向けの説明資料の提供等について
○ 後期高齢者医療の窓口負担の見直しの施行に向けては,従来,医療機関等に対して,
・ポスター・リーフレットを活用した周知・広報を依頼するとともに,
・医療機関等の職員の方向けの説明資料,レセプトの作成に係る計算事例
の提供等を行っているところです。
○ 今般,医療機関等の職員の方向けの説明資料について,配慮措置の計算方法等をよりわかりやすくする観点から更新しましたので,円滑な施行に向け,御活用いただきますようお願いします。
なお,資料については,厚生労働省ホームページに掲載されています。
厚生労働省ホームページ
『後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)』
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21060.html
▷レセプトコンピュータ等の改修について
○窓口負担割合の見直し及び配慮措置の導入に伴う医療機関等で使用しているレセプトコンピュータ等の改修については,一般社団法人保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)宛て記載要領改定事務連絡において,レセプトの作成に係る計算事例等の提供とあわせて,同会会員各位に対し,適切に改修を進めるよう周知を依頼しているところです。
○各医療機関等においてもベンダと連携し,施行に向けて適切に改修を進めるよう取り組んでいただきますようお願いします。
▷配慮措置の導入に伴うレセプトの取扱い等について
○医療機関等においては,レセプトコンピュータ等の改修や,レセプトの作成に係る計算事例の確認等により,適切かつ円滑な請求を行っていただく必要があるところ,加えて,適切かつ円滑な請求に資するため,後期高齢者医療広域連合に対して,以下の事項について審査支払機関に要請するよう事務連絡を発出しています。
⑴ レセプト等の作成に係る保険医療機関等からの相談について
レセプト等の作成に当たって,医療機関等から照会を受けた場合は,積極的にこれに応じるように努めること。
⑵ 配慮措置に係る計算が誤ったレセプトの取扱いについて
配慮措置に係る計算が誤ったレセプトについて,審査支払機関から医療機関等に返戻を行うことが考えられるが,審査支払機関においてレセプトを修正する取扱いとする場合,保険医療機関等における負担が軽減され,また,返戻処理と比べて,保険医療機関等への支払も迅速に済むという利点が考えられることから,可能な限り審査支払機関においてレセプトを修正する取扱いとする等,保険医療機関等における事務負担を踏まえつつ,柔軟に取り扱うようにすること。
なお,レセプトを修正した場合には,当該修正内容を増減点連絡書により医療機関等に通知するなど,その内容が医療機関等にも伝達されるようにすること。加えて,修正に当たっては,医療機関等に修正の理由等を説明することにより,配慮措置に係る計算の誤りが可能な限り再度発生しないようにすることが考えられる。
○上記配慮措置に係る計算が誤ったレセプトの取扱いについては,具体的には,審査支払事務の状況を踏まえ,後期高齢者医療広域連合及び審査支払機関の調整によって決定されることとなりますが,上記とあわせ,ご承知置きください。
▷後期高齢者医療制度の負担割合見直しに係る計算事例集(10月以降)
(参考)特定給付対象療養の取扱いについて
配慮措置について
○窓口負担の見直しに伴い,1割負担から2割負担へ負担増となる被保険者について経過措置として,施行から3年間,一月(ひとつき)の負担を最大3,000円に抑える配慮措置を設ける。
○配慮措置については,整備政令において,高齢者の医療の確保に関する法律施行令(平成19年政令第318号。以下「高確令」という。)第15条及び第16条において定められている高額療養費算定基準額を読み替える形で措置済。
※具体的には,高額療養費算定基準額について,「6,000円+(医療費-30,000円)×0.1」に読み替え。
特定給付対象療養の取扱いについて
○制度ごとに窓口負担上限額が決まっている特定給付対象療養・特定疾病給付対象療養・マル長については,窓口負担割合が変更になることによる追加の本人負担が発生しないため,配慮措置を適用しない。
※公費負担医療の窓口負担上限額に達しない者は,窓口で現物給付を受けられないが,窓口での支払額は高確令第15条第3項の「なお残る負担」として合算されるため,結果として配慮措置の対象となる。
○また,公費負担医療の中には,予防接種法に基づく副作用被害救済給付など,窓口では通常通り自己負担額を支払い,後に全額を償還払いするものがあるところ。
これらの者については,窓口やレセプトにおいて,通常の保険診療なのか公費負担医療なのか判定することができないため,全て通常の保険診療として扱い,配慮措置の対象とする。