2023年4月15日号
令和5年1月下旬〜2月中旬にかけての社会・医療保険状況について,◆厚生労働省は,4月以降のオンライン資格確認の原則義務化における経過措置について,2月末までにシステム事業者と契約締結したものの,システム整備が未完了の場合など6つの「やむを得ない事情」がある場合には,ポータルサイトを通じて届け出れば,経過措置が適用されることとなった。◆厚生労働省は,医療DX推進や医薬品供給対策に向けた4〜12月の診療報酬上の特例措置を告示。オンライン請求を普及させるため,加算の算定要件を見直す特例を設けることや医薬品の供給が不安定な中,保険薬局が銘柄によらず,供給・在庫の状況に応じて調剤できるよう,医療機関の処方に関する一般名処方加算を引上げること等が明記された。◆自民党の厚生労働部会は,「かかりつけ医機能報告」の創設を盛り込んだ全世代社会保障法案を再び審査し,部会長一任で了承。報告した医療機関が機能の要件を満たしているか,都道府県が「確認」する仕組みについて,厚生労働省は前回から説明を一転させ,確認は「行政行為」ではなく,処分性をともなわない「事実行為」だとした。―等の話題を中心に説明した。
地区より,「オンライン資格確認の経過措置について,2月末までに業者と書面が交わせていない場合はどうすればよいか」と質問が出され,府医からは,見積書や注文書等,業者に依頼していることが分かる書類があれば,経過措置の申請が可能と回答し,対応が難しい場合は報告するよう依頼した。
3月に予定している府医学術講演会を紹介し,参加を呼びかけた。
日医より令和5年4月からの日医生涯教育制度の単位の取り扱いについて,1時間の演題に対し2つのカリキュラムコードを付与することを不可とすることが通知されており,府内の運用について説明した。
受講証については,原則,発行しないこととし,届出等で受講証が必要な場合は,府医事務局に連絡するよう依頼した。主催者は府医事務局に参加者名簿を提出することで,府医が全国医師会研修管理システムに登録し,管理していくことから,主催者側との連携が重要であるとした。
地区より「地域包括診療加算のために必要な研修を受講するにあたって,これまでは参加するごとにそれぞれ受講証がPDFでもらえたが,今後はなくなるのか。申請すれば,一括した受講証がもらえるのか」との質問があり,府医からは,会員から希望があった際には受講証を発行するが,研修会ごとの個別での発行はなくなると説明した。
下記について,情報提供が行われた。
① HPVワクチン9価「シルガード9」について
令和5年4月より HPVワクチン9価「シルガード9」が定期接種として適用される。
諸外国では接種回数を2回としているが,日本では3回接種とされ,接種間隔は1回目接種から2か月後に2回目を,6か月後に3回目を接種することとなった。
また,従来,接種完了まで使用するワクチンの種類は統一する必要があったが,「シルガード9」は,接種回数の途中でも使用可能である。
② 四種混合の接種時期の変更
令和5年4月から,これまで生後3か月から接種することとなっていた4種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風・百日咳・不活化ポリオワクチン)が,生後2か月から接種できるようになった。
本件の周知について,京都市では,新生児訪問時に説明する他,新生児訪問が完了している対象児については通知を送る予定であり,京都市外でも同様の周知方法が行われる予定である。
③ 新型コロナウイルスワクチンについて
新型コロナウイルスワクチン「スパイクバックス」の有効期限が令和5年2月11日までとなっていることから,特例臨時接種対象ワクチンから除外された。有効期限以降使用しないよう注意が必要である。
また,国が「ヌバキソビッド」の購入を取りやめたことから,今後,流通することはなくなる。
オミクロン株対応2価ワクチンについては,未承認であるにも関わらず,配送スケジュールが示された。協力医療機関には,改めて通知される予定である。
現在,京都府内で胃がん内視鏡検診を実施しているのは3市町村のみであり,受診体制を整備すべく,標記制度が令和5年度より施行されることを報告。
従来,各市町村で行われていた協力医療機関の募集を府医が担い,京都府全体に募集をかけることで,住民は住所地の市町村に限らず受診ができるようになると説明した。一部の市町村からは,この制度に参加する意向が示されており,地区医にも相談がある可能性があるとした。
従来の協力医療機関も含めて,本制度の協力医療機関の募集を4月から開始することから,地区医に対し協力を求めた。
地区からは,住民に広報する際に現行の制度名では管内では受診できない誤解を招く可能性があるとして,「広域化」と表現することが提案された。